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経理部門のDXを進めるステップと活用できるツール

新型コロナウイルスの影響によりリモートワークが広がる一方で、経理領域のデジタル化の遅れが目立った企業も多いのではないでしょうか?日本CFO協会の調査によれば、リモートワーク中に経理財務部門の社員が出社する必要があった企業は43%にものぼることがわかりました。現場からの証憑類が集められず月次・年次の決算が遅れたり、出社制限によって調達先への支払いが遅れたりといった経験をされた方もいるでしょう。
この記事では、経理領域で起こっている現状と経営上の問題点を整理した上で、経理領域のDXを進める方法を紹介していきます。データとデジタル技術を活用することで、リモートワークを実現しながら、サポート的な役割にとどまらない価値を生み出す攻めの組織への変革が見込めるはずです。

1. DXとは

1. DXとは

DXとは、外部環境の変化に対応し続けられように、デジタル技術を活用してビジネスモデルやプロセスを変革すること、また、変化に柔軟に対応できる人・組織へ変革することを指します。企業の競争力に直結しない“協調領域”については、業務の標準化、デジタルツールの導入などによってリソースを削減する一方で、競争力を高める“競争領域”にリソースを集めることが重要と言われています。
経理財務業務は多くの企業において、この“協調領域”に当てはまるでしょう。そして、経理財務業務を自動化・効率化するためのITサービスやソリューションは数多く存在し、これらを活用して“協調領域”である経理財務部門をどのように変革していくべきかを見直すことが課題となっています。

2. 経理の現状と経営上の問題点

2-1. 現状の業務

冒頭でも述べた通り、デジタル化の遅れが顕在化している経理財務領域ですが、具体的にどのような状況下で業務を行なっているのでしょうか?

  • 紙・ハンコ文化:紙の証憑をベースにした経費精算や他社との取引、ハンコによる承認など、紙・ハンコをベースにした処理が多い
  • 手作業:帳票の作成や送付、報告書の作成、銀行対応、Excelによる集計など、手作業で行う処理が多い
  • 作業の属人化:専門性が必要な作業や、特定の取引先への例外対応など、特定の人でないと処理できない作業が多い
  • データの散財:決算に必要な情報が様々なシステムやスプレッドシートに散財しており、各所から集める作業が必要

2-2. 経営上の問題点

経理部門がこのような業務状況に置かれていることによって、以下のような経営的な問題が発生しています。

・作業に追われて付加価値が出せていない
経費精算や月次・年次の締め処理、監査対応などに追われて手いっぱいになっているケースは少なくありません。最低限必要な処理や、現状を明らかにすることだけで疲弊してしまい、可視化された情報をもとに何をどのように改善すべきかといった、提案活動に至っていないのです。

・決算の遅延による経営判断の遅れ
会社やグループ全体の経営状態をタイムリーに把握できず、経営判断が遅れてしまうという問題もあります。これは、決算に必要な情報が各社・各部署に散在しており、それらの収集に時間がかかることや、収集後も手作業や属人化した作業が多く、確定情報を出すまでに時間がかかってしまっているという背景があると考えられます。

・リモートワークに対応できていない
冒頭でも述べた通り、リモートワーク下でも経理財務部門が出社するケースは少なくないことが分かっています。コロナ禍でのリモートワークは強制的なものではありませんでしたが、これから気候変動が更に進むと自然災害や新たな感染症も起こりやすくなる懸念があります。出社しないとできない作業が存在しているということは、事業を中断せざるを得ないリスクを背負っていることを意味しています。また、通勤からの解放や働く場所の自由を求める人材にとって、リモートワーク非対応であることはマイナスポイントとなり、優秀な人材の確保が一段と難しくなるでしょう。

・脆弱なガバナンスによって信頼失墜のリスクがある
手作業や属人化した作業が多いということは、入力内容や承認者、承認日などの改ざんがしやすい状況であるとも言えます。ガバナンスの体制整備不足によって一度でも不正や改ざんが起こってしまうと、株主や取引先、最終消費者、従業員からの信頼を一瞬で失う事態にもなりかねません。

3. DXによって経理部門が目指すべき姿とは

3. DXによって経理部門が目指すべき姿とは

では、これからの経理財務部門は、デジタル技術を活用してどのような方向にトランスフォーム(=革新)していくべきなのでしょうか?

3-1. タイムリーな経営状況の可視化

企業のリソース配分や戦略・戦術のインプットとして活用できるよう、財務面での経営状況がタイムリーに可視化できる状態を目指すべきでしょう。
売上など資金の流入は、上層部だけでなく現場担当者も含めて関係者がタイムリーに把握し、施策の練り直し、実行といったPDCAサイクルを短期間で回すことが、変化の激しい時代において特に重要となります。資金の流出面においては、特に経費についてはタイムリーに把握することは社員の作業負荷的にも難しいかもしれません。しかし、月次決算を翌月の早い段階に完了させ、よりフレッシュな確定情報を提示することが、素早い経営判断と実行のアクセルを強く踏むことへと繋がります。

3-2. 財務面での提案

財務面でのデータ可視化に終始するのではなく、課題の特定や改善案の提案など企業の収益性向上につながる活動に主軸を置く“攻めの経理”が求められています。市場動向や自社ビジネスの特性といった非財務情報と、自社の資金の流れを把握した上で、ビジョンや戦略に対して資金調達方法のオプション案の提示や、コスト削減方法といった具体的な施策を提案していくのです。バックオフィスの代表格とも言える経理部門ですが、これからの時代では企業の変革を推進する部門としての役割が期待されています。

3-3. 強固なガバナンス

仕組みを整えて、不正や改ざんが起こりえない状態にしておくことも重要です。これは、“攻めの経理”に対して“守りの経理”の強化とも言えるでしょう。近年ESG投資が増加していることからもわかる通り、ステークホルダーはクリーンで正しい経営を行う企業をより評価する傾向が強くなっています。資金調達、企業ブランド向上の点からも、強固なガバナンスは欠かせません。

4. 経理部門でDXを推進するステップ

経理の変革を目指すとはいえ、まだ紙の業務に手を煩わせているのに、経営層に提言する“攻めの経理”を実現することは無理があるでしょう。以下のように、ステップを追って進めていくことが現実的です。

4-1. 経理関連書類のペーパーレス化

まずは、ハンコや書面を使わないといけない作業を極力なくすところからスタートします。経費精算の申請をwebで完結できるようにするだけでなく、証憑の提出もweb上で行えるとよいでしょう。また、仕入先や販売先との請求書のやりとりを電子化し、社内の稟議申請などもオンラインで行えるようにしましょう。これによって、働く場所の制約がなくなり、即時に情報連携できるため、業務のリードタイムが短縮されます。また、作業の進捗状況を把握しやすくなり、マネジメントも行いやすくなるはずです。

4-2. 業務の自動化・効率化

次に取り組むべきは、手作業を極力減らすことです。ペーパーレス化が難しい帳票類の自動データ化、入金消し込みや請求書照合の自動化、システム同士を連携させて、データの抽出・取り込みといった作業の自動化など、多くの施策が考えられます。
自動化や効率化を進めることで、決算の早期化や月末に偏りがちな残業の削減が見込めるだけでなく、定型業務にかかっていた工数を削減し付加価値の高い業務に工数を当てることが可能になります。また、手入力による人為的ミスやデータの改ざん防止にも繋がり、ガバナンスの向上にも貢献するでしょう。

4-3. 経営状況のタイムリー可視化

最後に、様々なシステムに溜まった情報を一元的に収集し、タイムリーな経営判断・事業判断に役立てられる状態を目指しましょう。経営者や役員、各事業部の責任者、現場担当者それぞれが目標とする指標は異なります。それぞれが追っている財務的指標とその要因分析ができる情報が極力フレッシュな状態で把握できるようになっていることが望ましいです。社内に蓄積されたデータが有効に活用されるだけでなく、必要な数字の算出やレポート作成のためにかかっていた経理の工数が削減されることで、深い原因分析や改善に向けた提案ができるようになり、新しいミッションを達成する組織へと変革していけるでしょう。

5. 経理部門で活用できるDXツール

ここでは、経理のDX(デジタル変革)に活用できるツールを紹介していきます。

RPA自動化ツール

RPA自動化ツールとは、これまで人の手で行なっていた作業を、ロボットに代替させるツールです。オンラインで完結する作業、かつ意思決定を必要としない作業が対象で、作業の手順やルールを覚えこませることで、大量のデータを速く・正確に処理することができます。(近年ではAIと組み合わせることで意思決定も自動で行うことができるようになりつつあります。)
経理部門に関しては、決算データの収集や、配賦計算、帳票の作成、メール送付などが自動化でき、付加価値の一切発生しない業務を人の手から切り離すことができるようになります。

AI-OCR

AI-OCRとは、OCR(光学文字認識)とAI(人工知能)を組み合わせて、紙や画像のテキスト部分をデジタルデータ化する技術です。OCRは、紙の請求書や領収書などをスキャナやデジタルカメラで読み取り、GIFやJPG、PNG形式の画像としてデータ化、その後、文字列を識別して文字コードの列に変換する技術です。これにAIを組み合わせることで、読み取り精度がより一層高められています。紙に記載された情報の入力作業を行わなくてよいだけでなく、転記ミスなどのヒューマンエラーの削減、原本データの保管作業なども削減することができます。

ワークフローシステム

ワークフローシステムは、組織内の申請業務をシステム上で完結できるシステムです。経費精算や支払いに関する稟議書など、申請から承認まで一連の作業がシステム上で行えるだけでなく、会計システムへの仕訳出力や、振込データの作成までできるものもあります。
各種申請のための紙やハンコを一掃してリモートワークに対応できるだけでなく、申請から承認までのリードタイム短縮、承認漏れなどのヒューマンエラー削減、原本の管理作業軽減などが見込まれます。また、申請者と承認者を明確に分けることができるため、不正の予防にも役立つでしょう。

給与前払いサービス

給与前払いサービスとは、働いた分の給料前払いを希望する従業員への対応をサポートしてくれるサービスです。仮に従業員の前払いを個別に対応するとすれば、勤怠状況に基づいて前払い金を計算、振込、仕訳帳への記入など煩雑な作業が発生します。しかし、給与前払いサービスを利用すれば、サービス会社が勤務データに基づいて給与を立て替えるため、後日まとめてサービス会社に入金すれば良く、手間が大幅に削減されます。本来前払いには対応していない企業もあるかと思いますが、労務や経理の手間をほとんど増やすことなく、従業員の満足度を高めることができると言えるでしょう。

電子帳票システム

電子帳票システムとは、企業間取引時に必要となる発注書や納品書といった帳票類を、作成・送付・保管するシステムです。テンプレートを事前に設定し、基幹系のシステムと連携することで帳票データを作成することができます。また、メールやFAX、郵送など取引先の希望に合わせた送付や、帳票類を保管する機能も備えています。経理部門としては、支払い通知書など帳票の作成や送付といった手間を削減するだけでなく、ペーパーレス化によるリモートワーク対応、保管にかかる手間やコストも削減することができます。

受発注システム

受発注システムとは、企業間取引時に発生する発注業務・受注業務を効率化するためのシステムです。受注する企業、発注する企業それぞれが同じ受発注システムを利用する必要がありますが、発注書や受注請書といった帳票類の作成や送付、在庫確認といった受発注業務が効率的かつ迅速に行われます。実際に受発注業務を行うのは、調達や物流を担当する部署になりますが、経理としても請求書データの入力が効率化できるだけでなく、売り上げや仕入れデータが正確に把握できるため、経営状況のリアルタイム可視化、決算早期化が見込まれます。

経費精算システム

経費精算システムは、経費精算の申請・承認・振込データ作成・仕訳データ作成など、経費精算業務を全体的に効率化するためのシステムです。前述のAI-OCRを組み合わせて領収書を読み取る機能や、ワークフロー機能、自動仕訳機能、振込データ作成など一連の作業をサポートする機能に加え、社内規定に沿っているかどうかをチェックする機能なども揃えているケースが多いでしょう。経費精算にかかる工数の削減、ヒューマンエラーの削減、紙の運用を減らせることによるリモートワークの対応、リードタイムの短縮などが見込まれます。

会計システム

会計システムは、経理業務の作業を全般的にサポートするソフトウェアです。後述するERPの債権・債務管理機能や財務会計機能が独立しているものと考えてよいでしょう。ソフトウェアの種類によって実装される機能は異なりますが、帳票類の作成や帳簿の作成、売掛/買掛管理機能、決算書作成機能、経費精算機能、銀行振込機能、予実管理機能などがあり、ペーパーレス化、効率化、経営状況のリアルタイム可視化に貢献します。

ERP(Enterprise Resource Planning)

ERPとは、企業のリソース(人・モノ・カネ)を最適に配分することを目的としたパッケージソフトウェアです。調達管理、生産管理、販売管理、在庫管理、経営管理など企業の根幹となる業務のデータを一元的に管理し、現状の可視化、将来的なリソース配分を検討するための機能を備えています。これまでのERPは数年かけてカスタマイズし、自社のサーバ上に構築するオンプレミス型が主流でしたが、外部環境の変化に即時対応していくにはそのやり方では間に合わず、クラウド上のシステムをサービスとして利用するSaaS型が有効であると言われています。
経理部門としては、前述の会計システムと同様の機能が利用でき、他部署が利用するシステムと同じパッケージであるため、よりリアルタイムに必要な情報を把握することができます。

BIツール

BIツールとは、組織に蓄積されたデータを集計・蓄積・加工・分析・可視化する機能を備え、さまざまな意思決定をサポートするツールです。BIツールは、経理部門だけでなく全社的に活用できるツールですが、経理部門としては原価や経費分析、業績報告資料の作成、決算処理などの作業を自動化・効率化することができます。

6. 経理DXを成功させるポイント

経理部門のデジタル変革を推進するにあたっては、ただ単にツールを導入すればいいという訳ではありません。では、どのような点に注意して進めるべきでしょうか?

6-1. 目指す業務プロセスの定義

目指す業務プロセスを描いて、それに見合うツールを選ぶことが重要です。付加価値を生み出す作業とそうでない作業を整理し、付加価値を生み出さない作業は極力デジタル技術の活用によって自動化・効率化することを目指しましょう。そのためには、ツールに合わせて業務を標準化し、例外対応を極力減らす努力も必要になるでしょう。

6-2. ステークホルダーとの連携(関連部署・取引先など)

経理業務のDXを推進するには、他部署や取引先の協力が欠かせません。経費をデータ登録してもらう場合には、登録者のニーズを踏まえた仕様にしておかなければ対応してもらえません。また、これまで紙で請求書を送付していた販売先にプラットフォームで請求書を送るような場合には、先方にも同様のプラットフォームを導入してもらう必要が出てくるでしょう。
このように、関連部署や取引先の協力なしでは経理業務のDX化は難しく、対応する意図やメリットを理解してもらう努力が必要不可欠です。取引先の事情で、例外的な対応を残さざるを得ない場合は、手作業による例外対応を残すのか、デジタル技術を用いて効率化を目指すのか、投資対効果を踏まえて検討してください。

6-3. 属人化を防ぐ工夫

デジタルツールを導入しても作業が属人化してしまうようでは、スピード感と透明性の高い経理業務は実現できません。ITリテラシーが高くない人でも操作できるような仕様にすること、事前にマニュアルを整備して作業内容を可視化すること、例外を作らないことなどを徹底し、特定の人物でないとできない作業をつくらない工夫が必要です。

6-4. システムグランドデザインに沿った導入ツールの決定

全社的なシステムグランドデザインを踏まえたツールを選定することも重要です。経理領域だけ、特定の作業の効率化のみを考えたツール選定を行うと、他システムと機能が重複することによる不必要なコストの発生や、他システムとのデータ連携ができず、データの抽出・登録といった手作業が発生するおそれもあります。システム部門とも連携しながら、投資対効果が最適なツール選定を行いましょう。

6-5. セキュリティ対策とガバナンスへの対応

データの重要度が増すにつれて、サイバー攻撃や内部人材による情報漏えいのリスクは近年より一層高まっています。特に経理部門においては、金融機関のパスワードや詳細なキャッシュフローなどセンシティブな情報が厳密に守られている必要があります。安全性の高いツールを選定するのはもちろんのこと、社員の意識改革も必要になるでしょう。また、これまで述べてきた通り、ガバナンスの向上は企業価値を高める上で欠かせない要素であり、不正や改ざんを抑止する機能の設置や、研修などで社員への注意喚起を促すことも重要になります。

7. まとめ

この記事では、経理領域のDXを進めるにあたり、目指すべき方向性や実現のステップ、活用できるデジタルツールについて紹介しました。テクノロジーの発展や消費者志向など外部環境が目まぐるしく変化する状況下において、経営の舵を迅速に切り続けるためには、財務状況をリアルタイムで把握できる状態であることが欠かせません。また、企業の競争力に直結しない領域であるからこそ、可能な限り自動化・効率化を進め、リソースを競争力強化のために活用できるようにしていくべきです。まだ紙やハンコを用いた処理が多く残っている場合は、第一ステップであるペーパーレス化を目指していきましょう。

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Q4

DXにむけて組織や人事評価の仕組みを変えていますか。

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