NTT Com グローバル Watch vol.2
[2015年3月改訂]

通信インフラを流れるデータトラフィックが爆発的に増加している。モバイル端末が普及し、SNSなどでインターネットがユーザーにとってより身近になったほか、ビジネス用途のクラウドサービスの利用が拡大するなどグローバル規模での環境の変化がその理由だ。こうしたニーズの変化に対応すべく、通信事業者はネットワークの広帯域化や高品質化への取り組みを進めている。NTT Comでは、特に需要が拡大する日米間インフラなど国際IPバックボーンの増速を進めるとともに、お客さまのニーズに応えるサービスの提供に尽力している。この記事では各種調査レポートを基に、最新市場動向をレポートする。
インターネット利用環境の変化がもたらした
トラフィック量の爆発的増加
近年、インターネット利用の急拡大に伴い、回線を流れるトラフィック量が爆発的に増加している。その主な要因は、大容量コンテンツの増加、スマートフォン/タブレットなどのモバイル端末の普及といったインターネット利用環境の変化だ。
動画やゲームに代表される大容量のリッチコンテンツや、SNSのようなユーザーの生活に密着したアクセス頻度の高いサービスの普及は、トラフィック量の増加に直結する。米国Cisco Systems(以下シスコ)が発表した「Cisco Visual Networking Index(VNI):予測と方法論、2013 ~ 2018 年」によると、2013年から2018年までにおける全世界のIPトラフィック総量の年平均成長率は21%とされており、全世界の年間のIPトラフィックは2016 年にゼタバイト(1,000 エクサバイト)の大台を超える見込みだという。そして、2018 年には全世界の IP トラフィックは年間 1.6 ゼタバイト(1カ月あたり 131.6 エクサバイト)になると予測されている。

シスコシステムズの予測によると、全世界の年間の IP トラフィックは2016 年にゼタバイト(1,000 エクサバイト)の大台を超える見込み。
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企業ICT環境の変化と「クラウドコンピューティング」の進展による、
ビジネス関連トラフィック量の増加
一方、ビジネス関連トラフィック量の増加も目を見張るものがある。シスコが発表した「Cisco Visual Networking Index(VNI):予測と方法論、2013 ~ 2018 年」に基づいて作成したグラフを見ると、ビジネス関連のトラフィックも増加の一途をたどっていることがわかる。

シスコシステムズの予測によると、ビジネスIPトラフィックは2013年から2018年までに年平均18%の成長率で増加し、 企業部門での高度なビデオ コミュニケーションの普及によって2018 年には 2013 年の 2 倍になると見込まれている。
このトラフィック量増加の主な要因は、企業におけるICT環境の変化だと考えられる。従来のように企業のコンピューターでサービスやデータを所有・運営するのではなく、現在はネットワークインフラやプラットフォームのみならずメールやオフィス用アプリケーションまでを含めて、ネットワークを通じてサービスを利用するICT環境が広く普及している。 これは「クラウドコンピューティング」と呼ばれ、ここ数年で急激に進展してきた。クラウドサービスはネットワークを通じて提供されるので、ビジネス関連トラフィック量増加の大きな一因となっていると言える。また、クラウドサービスは場所にとらわれず利用できることから、多くのグローバル企業がクラウドサービスを導入しており、国境を越えたトラフィック量増加にもつながっている。
今後も世界中でこうしたクラウド化の流れは加速するとともに、企業がビジネスで扱うデータのすべてを蓄積して、既存ビジネスの革新や新たなビジネスの創出に役立てる「ビッグデータ」への取り組みも進展している。
IDC Japanが2014年12月8日に発表した「2015年 世界ICT市場の主要10項目」の中で世界のクラウドサービスについて、「クラウドサービスはエコシステムを含む市場で1,180億ドルの支出を生みだし、2015年も引き続きICT市場で活性な動きを見せる」と分析している。
このようにクラウドコンピューティングやビッグデータのさらなる進展による、国境を越えたトラフィック量の増加を考えると、国際ネットワークの品質・信頼性向上は急務であると言えよう。
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国際ネットワークの品質・信頼性向上に、
リーディンググローバルプレーヤーの1社として取り組むNTT Com
先に述べたように、大容量コンテンツの増加、スマートフォン/タブレットなどのモバイル端末の普及、クラウドコンピューティングの進展によって、インターネット利用の環境や企業におけるICT環境に大きな変化が起こっている。これらの変化は国境を越えたトラフィック量の急増につながり、それに対応すべく、グローバルTier1キャリアであるNTT Comは、世界のネットワーク品質・信頼性の向上に取り組んでいる。

とくに積極的に取り組んでいるのが、国際IPバックボーンの広帯域化・高品質化だ。NTT Comは、日米間IPバックボーンを2010年1月に300Gbps化。その後、4年で3倍の容量である900Gbpsへ拡大、さらにアジア域内のバックボーンは同4年間で250Gbpsから4倍の容量である1Tbpsを超えるなど、積極的に増速を進めてきた。また、接続拠点も順調に拡大し、今では26カ国47都市でのサービス提供を行っている。
ほかにも次世代通信規格であるIPv6サービスに2001年より取り組み、IPv6サービスのパイオニアとしてリーダーシップをとりながら、IPv6サービスの全世界での普及に向けて努めている。
このような国際的な情報通信分野での業績、サービス品質の高さ、最新技術の活用能力、IPv6分野におけるリーダーシップなどが評価され、世界的に有力な情報通信業界のメディアであるTelCap/Capacity Media社が主催している“Global Carrier Awards 2014”で、“Best Global Wholesale Carrier - data”と”Best North American Wholesale Carrier” を受賞するなど、世界最高峰のインターネット通信事業者として確固たる地位を築いている。
これからもNTT Comは、リーディンググローバルプレーヤーの1社として、通信インフラの高品質化、高信頼化に尽力し、ネットワーク社会を支える基盤整備の使命を果たしていく。