Web会議が不安定になる原因はどこにある?
コロナ禍でリモートワークへの移行が急速に進み、非対面コミュニケーションの機会が増えています。この状況でよく見られる課題が「SaaS利用時の通信が重い、遅い」、あるいは「Web会議の映像が固まり、音声が途切れる」といった回線に関するものです。とりわけ、Web会議の打ち合わせで、普段は真面目な上司の動きがカクカクしたり、自身の重要な発言が聞き取りづらいと指摘されたりすると、緊張感が切れて大きなストレスを感じてしまうものです。


- NTT Com中堅中小企業層市場調査(2020年4月)
- IDC Japan「2018年 企業ネットワーク機器利用動向調査」
このようなトラブル発生の原因は動画配信サービスの増加やコロナ禍による在宅時間の増加、SaaSなどのクラウドサービスが普及したことにより、国内のインターネットトラフィックが年々、爆発的に増加していることにあります。これにより年末年始、連休時の高速道路のように、回線が渋滞しているためWeb会議の絵が固まる、声が途切れる問題が起きるのです。おそらく、このトラフィックの増加状況は今後ますます加速していくことは間違いないでしょう。

もう1つの原因として考えられるのが、社内ネットワークの構成です。たとえば、複数の拠点、店舗を展開する企業の場合、セキュリティポリシーの観点からVPNなどを経由して本社にインターネット接続環境を集約しているケースがあります。そのためアクセスが集中すると出口となるゲートウェイがボトルネックとなり、Web会議をはじめとするインターネット全般の接続が遅くなる事象も発生します。さらには、社内サーバーへの接続までもが遅くなってしまい、さまざまな業務に悪影響を与えてしまう問題が起きることもあります。

このような問題を解決する有効な手段があるのをご存じでしょうか。
ローカルブレイクアウトでWeb会議の品質は格段に向上できる
シンプルに考えるのであれば、本社に集約しているインターネット接続環境を改め、それぞれの拠点から直接インターネットに接続できる環境に移行すれば、通信の遅延は解消され、Web会議の品質は劇的に改善されるでしょう。しかし、ここで留意すべきはセキュリティ対策です。とくに管理を担当する情報システム部門としては絶対に見過ごすことはできません。
各拠点、店舗から直接インターネット接続を行えばアクセスの集中が改善され、Web会議の品質は格段に向上できることは間違いありません。一方で社内ネットワークのようなファイアウォール、UTMなどによる監視が行えなくなるため、当たり前の話ですがセキュリティリスクは向上します。つまり、つねに安心して業務に取り組める社内ネットワークのような信頼性、安全性を担保するためのなんらかの手立てが必要になってくるのです。

もっともシンプルな解決策のひとつが「ローカルブレイクアウト」(Local Break Out)の導入です。これは信頼できる特定のクラウドサービス向けトラフィックについては、本社やデータセンターなどに設けられたゲートウェイを使わず、各拠点から直接アクセスするネットワーク構成です。各拠点に置いたルーターなどで通信内容を識別し、あらかじめ登録されたクラウドサービスであればインターネット回線、そうでなければクローズドVPN回線などとトラフィックを振り分けることで実現できます。つまり信用できる特定のWeb会議ツールなどに限って接続できるようにすれば、間違いなくWeb会議の品質は向上できるようになります。

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ローカルブレイクアウトでも改善しない場合には?
しかし、状況によってはローカルブレイクアウトに切り替えてもWeb会議の品質が上がらないことも起こりえます。なぜなら、国内のインターネットトラフィックが年々、爆発的に増加している理由から、各拠点で利用するインターネット接続用の回線によって品質が左右されるためです。ローカルブレイクアウトで社内ネットワークのボトルネックが解消できたとしても、インターネット接続で利用する回線によってはWeb会議の品質が思うように改善されないこともありますので、サービス選定の際には充分な比較検討を行うべきでしょう。
そのようなリスク対策にはIPoE方式を使ったインターネット接続サービスがおすすめです。従来のPPPoE方式より大容量化した設備を利用することで、混雑しにくいネットワーク構成になっています。さらに混雑の原因となりやすい個人向けサービスのトラフィックを論理的に分離し、ローカルブレイクアウトに必要な高速で安定したインターネット接続が可能になります。
たとえば、NTT Comの「OCN光 IPoEサービス」では用途に応じて選べるメニューをラインナップ。従来サービスから2倍の帯域設計を採用した「標準プラン」、標準プランの3倍の帯域設計を採用、さらにWindows Updateの通信を他の通信と分離する「ワイドプラン」、ワイドプランに加え、Web会議の通信を別経路に分離する「ワイドプラン(アプリコントロールA)」などをご用意しています。いずれもWeb会議の品質改善に適したサービスといえるでしょう。

とはいえ、業務で扱う情報のレベル、セキュリティポリシーなどの理由でローカルブレイクアウトへの移行が困難な場合もあるでしょう。その場合、社内ネットワークのボトルネックを解消する回線増強を行うことでWeb会議の品質を向上するのも一手です。
NTT Comでは最大100Gbps の帯域メニューで本社集約型のインターネット接続のボトルネックを解消する「スーパーOCN イーサアクセス」、拠点からのVPN接続の帯域を拡大する「Arcstar Universal One・L3 ギャランティアクセス(センタエンドオプション)」、さらにAWS、Azure、GCPといったクラウド接続を安全・快適にする「FIC(Flexible InterConnect)」など、お客さまの幅広い課題を解決するソリューションをラインナップしています。ぜひ、お気軽にご相談ください。
あるいは今回のようなネットワーク増強と一緒にセキュリティ対策を見直し、さらに強化したいなら「SASE(Secure Access Service Edge)」の導入が有効かもしれません。SASEとはネットワークとセキュリティの機能をクラウド上で包含的に提供する考え方です。クラウド上で提供されるSASEの機能を利用すれば、自宅や外出先からWeb会議などのクラウドサービスを利用する場面でも快適、安全なアクセスが可能になります。もちろんオフィスからクラウドにアクセスする際にも、適切にSASEの機能を使うことでセキュリティの担保が可能です。
NTT Comでは必要なネットワーク、セキュリティサービスをワンパッケージで提供し、多拠点・多店舗のお客さまもスモールスタートで始められる「SASEソリューション・ライト」をご用意しています。上記で紹介したWeb会議の品質を向上する各種ネットワークサービスをハイブリッドに組み合わせ、さらにクラウド型セキュリティでメンテナンス業務をアウトソース。セキュリティの専門家による手厚いサポートを受けられることが魅力となっています。
「映像カクカク」「音声トビトビ」といったWeb会議のストレスから一刻も早く解放されたいなら、まずはトータルな解決策を提案できるNTT Comにお気軽にご相談ください。