Business/Technology
NTTドコモビジネス
プラットフォームサービス本部 コミュニケーション&アプリケーションサービス部
古高 奈津美
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9月17日、NTTドコモビジネスは、「テクノロジーロードマップ2025(以下、本ロードマップ)」を公開した。それに伴い、同日開催されたメディア向けの勉強会では、イノベーションセンター(以下、IC)池尻副センター長が登壇。NTTドコモビジネスが、「産業・地域DXのプラットフォーマー」として企業と地域が持続的に成長できる自律分散型社会を支え、豊かな未来社会の実現に向けて、本ロードマップを公開すると説明した。
勉強会では最初に、NTTドコモビジネスがめざす4つの世界観、「豊かな日常の創出」「経済の安定成長」「安心・安全な社会」「持続的な資源循環の世界」を紹介。本ロードマップは、これら豊かな未来社会への共創・実現に向けて、または、そのための社会課題解決に向けて対応する技術の方向性を示したものだと解説した。
また本ロードマップでは、客観的な調査に加え、NTTドコモビジネスがこれまでの事業活動で培った知見を基に、7つの技術領域の進展を俯瞰(ふかん)的に表現したもの。単に技術を並べるのではなく、技術が浸透する中で、企業活動や人々の生活などがどのように変わっていくのかについてもキーワードで記し、具体的なイメージを抱くことができる内容になっているのが特徴だ。


さらに、短期(~2025)・中期(2026~2028)・長期(2029~2034)の3つのフェーズに分けて、社会課題の解決と持続的な価値創出に向けた技術テーマの全体像を表しているので、段階的な技術の実装とそれぞれの技術が持つテーマや未来が一目で分かるようになっている。
7つの技術領域についての詳細は以下の通り。
この領域では、現在すでに始まっているAI技術による業務効率化や自動化を経て、中期では、マルチAIエージェントのように、自律的なAI同士がつながり、より高度な課題を解決することが想定される。さらに長期では、AI、ロボティクス融合が進み、例えば私たちの分身・いわゆるヒューマンデジタルツインのようなものがエージェント機能を果たすなど、AIとロボットが日常を支え、人々の生活をより豊かにする未来を提案している。
AIなどを動かすために、データの収集や管理の重要度はかつてに比べて大きく増しており、現在、各方面でIoTなどの取り組みが進められている。中期で途切れない無線通信や映像伝送などが実現すれば、自動運転の遠隔操作などが可能となり、さらに長期では人とデジタル機器をつなぐ技術によって、モノからのデータだけではなく、人間や生態系からのデータ活用も進むことが期待できる。
AIや高度化するサービスによって、データと計算リソースの最適化が急務となっており、 AIによる自律的な運用が求められている。現在、必要なときに必要な量だけ使うことができるエコなネットワーク実現に向け、NaaSやAPI経由のネットワーク制御に取り組んでいるが、中期ではAIと組み合わせることで用途に応じた効率化を実現したり、さらに長期では、AIがオペレーターフリーにICT環境を確認し、自律的にネットワークを制御したりする世界が必要となるだろう。
多くのデータを使うようになり、現在、より高い冷却性能を持つGPUやデータセンターが必要とされ、その対応が進められている。また、消費電力の増加に伴い、中期ではデータセンターの分散化やワットビット連携、エネルギーマネジメントなどが求められる。さらに長期では量子コンピューターが普及し、これまで長時間を要していた計算が瞬時にできるようになることで、さまざまな業界に大きな変化が起きる可能性がある。
工場のネットワーク化でセキュリティリスクが増す中、AIによる脅威検知などの対応が現在進められている。また中期では、トラスト基盤の構築やブロックチェーンの活用などによってデータそのもののセキュリティを高めることも必要だ。さらに長期では、AI自体が自律的にエージェント同士で通信をしたりシステムにアクセスしたりする世界を考えると、AI自体にどのようなセキュリティ対策が必要か、どのようなルールを設け動ける範囲をどう規定するのか、そうしたガバナンスの方法を考慮していく。
NTTグループが総力を挙げて取り組んでいるIOWN®構想。IOWN®の技術の一つである、光信号のままで伝送・交換処理を行うオールフォトニクス・ネットワークが実現することで、例えば交通の分野では安全でスムーズな自動運転、医療分野ではより正確に操作できる遠隔手術などが可能となる。中期でネットワークだけではなく、コンピューティングの裏側も含めた光化が進めば、都市や医療のデータを即時に分析し、交通渋滞や電力消費を最適化する他、例えば地方にいる経験の浅い医師が蓄積した医療データにアクセスし、精度の高い診断を即座に行うなど、医療の質の向上も期待ができる。さらに、IOWN®構想は2030年を見据えており、それが実現した長期では、世界中のデータがリアルタイムでつながる、次世代社会が見えてくる。
現在は5Gによる、高品質なアクセスや優先的なリソースの割り当てなど、安定した通信環境の整備が進められている。中期では宇宙からのデータを活用し、電波が届かない、いわゆる「不感地帯」を解消し、農業や漁業などの効率化や災害時の安定通信の実現をめざす。さらに長期に向けては、まだ標準化の途中ではあるが、宇宙にデータセンターを設置して宇宙統合コンピューティング環境をつくり、宇宙通信を進展させることも構想されている。それによって多様なリアルタイムデータが利活用できるようになり、へき地や危険地帯での事業が可能になったり、地上の災害リスクを避けながら高速で効率的なデータ処理ができたりするようなことが予想される。
本ロードマップにおける7つの各領域の説明に続き、会場およびオンラインでの参加者による質疑応答が行われた。その一部を抜粋して紹介する。
Q:5つ目のセキュリティに関して質問です。自律型AIに対するセキュリティは「長期」にマッピングされていますが、AIエージェントの進歩は非常に早く、もう少し早い段階で対策が必要になるのではないか、とも考えられます。この項目を長期のところに置いている理由について教えてください。
A:確かに、AIエージェントに関しては動きが非常に速いため、(短期・中期・長期の)どこに自立型セキュリティを置くかという点については正直議論があるところかと思います。例えばAIエージェント自体が通信をする際、どこの誰と通信するのか。これについて、現状は一定の人間が規定したポリシーを介していると認識しています。一方で、今後、そういう領域に関してもAIの自律性が高まる世界になっていくという想定のもと、そこに対するセキュリティ対策が必要という観点で、今回は5年後を想定した長期のところに置いています。
Q:7つの技術領域のそれぞれに対する短期・中期・長期の構成については、現在NTTグループとしてカバーしている領域から積み上げて作ったものなのか、それとも、最初示された4つのめざす世界観からバックキャストで逆算して作ったものなのか、いずれの方法で考えられているのでしょうか。
A:主に短期と中期の部分に関しては、現状のサービスなどで活用されている技術をベースに、いわゆる積み上げでプロットをしています。対して長期の部分に関しては、めざす世界に対して伸ばしていかなければならない技術は何か、新たにどのような技術が求められるのか、というバックキャストで考えている部分もあります。全体としては両面の要素を含んでいます。
テクノロジーロードマップは、地域・産業の皆さまと「豊かな未来社会」を共創する技術の羅針盤として作成しました。AI、ロボティクス、モビリティ、量子、スマートシティ、それらを活用するさまざまな業界の皆さまと、「豊かな未来社会」の創造に向けたディスカッションができれば幸いです。お気軽にご相談ください。
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NTTドコモビジネスイノベーションセンター 技術戦略部門
八木 貴之
スマートフォン向けサービスの企画・運用、SNSやデジタルマーケティングを活用した販売、デザイン部門「KOEL」にて理念信条の浸透や組織プロモーション、サービス組織の総括業務に従事。2025年よりテクノロジーロードのPMを担当。座右の銘は「好奇心こそが人生をつくる」。
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