2025年7月より、NTTコミュニケーションズは
NTTドコモビジネスに社名を変更しました
2025年11月6日

AIの力で企業の事業成長・生産性向上を実現する新コミュニケーションサービス
「docomo business ANCAR™」を12月から提供開始

高橋部長

高橋部長

 

9月16日、大手町プレイスOPEN HUB Parkにてプラットフォームサービス本部 コミュニケーション&アプリケーションサービス部 高橋聡子部長が登壇し、さまざまな通信サービスや通信データと、AIの力を組み合わせた新たなコミュニケーションサービス「docomo business ANCAR™」について記者説明会を行った。今後のコミュニケーションサービスの柱となる本サービスの開発背景から提供内容、今後の展開などについてデモンストレーションを交えて披露。時間ギリギリまで多数の質疑も行われるなど大盛況となった本発表会の様子をレポートする。

    目次

  1. 企業の事業成長における重要指標「CX最大化・NPS改善」と「EX向上」に挑む
  2. AIで顧客接点を進化させるdocomo business ANCAR™
  3. 提供機能と3つの効果
  4. docomo business ANCAR™ Routingのデモンストレーション
  5. docomo business ANCAR™の今後の展開

企業の事業成長における重要指標「CX最大化・NPS改善」と「EX向上」に挑む

NTTドコモビジネスでは、企業の事業成長に重要な「CX(顧客体験)最大化・NPS改善」および人材課題の解決や生産性向上に直結する「EX(従業員体験)向上」に資するサービスの開発を進めてきた。

CXの指標の一つ「総合顧客満足度」においては、コミュニケーション体験が重要な要素として挙げられ、顧客接点(お客さまとの直接なやりとり)におけるコミュニケーションの在り方が事業の成長を左右するとされている(下の左図)。また、採用難や離職率など「人材」に関する課題はすでに事業影響を及ぼす状況になっており、多くの企業がEX向上に取り組んでいる(下の右図)。

CX向上に重要な「コミュニケーション体験」

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CX向上に重要な「コミュニケーション体験」
多くの企業が抱える「人材」課題

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多くの企業が抱える「人材」課題
企業のAI活用実態 — 社外利用 企業のAI活用実態 — 社外利用

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CX/EXいずれにおいても「デジタル技術/AI活用」は不可欠な取り組みであり、「3年後に最も伸びる経営課題」にも挙げられている反面、企業にとってはまだまだ導入ハードルが高く、特に社外向けの顧客接点におけるAI利用はいまだ1%台にとどまっているのが現状だ。

市場シェア1位のフリーダイヤル/ナビダイヤルや、競合他社に先行してクラウド0ABJに対応したArcstar IP Voiceなど、「通話・会話」による顧客接点を担うサービスを提供するNTTドコモビジネスが、こうしたお客さまの経営課題の解決に挑む新しいコミュニケーションサービスとして開発を進めるのが、docomo business ANCAR™だ。

AIで顧客接点を進化させるdocomo business ANCAR™

docomo business ANCAR™の概要 docomo business ANCAR™の概要

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本サービスのコンセプトは、顧客接点においてAIがコミュニケーションの一部として“自然に・当たり前に”活用できること。また、頻発する災害や障害へのBCP対策や、人材課題への対応、カスハラなどの社会環境の変化などに迅速かつ効果的にも対応し、CXの最大化・NPS改善やEXの向上に貢献する。そのために、docomo business ANCAR™ではさまざまな機能を一連のラインアップとしてSaaS型で提供していく。

提供機能と3つの効果

本サービスの効果の一つがCXの最大化。

提供機能と3つの効果 — ①CX最大化 提供機能と3つの効果 — ①CX最大化

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AIによる最適な案内と応対の自動化はもちろん、つながる前から始まっている「本当の顧客体験」を可視化し、CX最大化に必要な改善点を明らかにすることができる。本当の顧客体験の可視化とは、例えば、「高齢のお客さまがスマートフォンのキーパッド操作ができずに諦める」「選び間違えてやり直す」結果、「窓口につながらない」ことなど。

この「つながる前(=通信キャリア網内)」の顧客体験の可視化は通信キャリアにしかできないことだ。また、市場シェア1位を誇るフリーダイヤル/ナビダイヤルの通信データを活用した「業界別ベンチマーク」の提供も行うが、これはNTTドコモビジネスだけができるサービスと言える(特許出願中)。

2つ目が、カスハラ対策やアフターコールワーク(後処理)の効率化によるEX向上だ。

提供機能と3つの効果 — ②EX向上 提供機能と3つの効果 — ②EX向上

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カスハラ対策は、すでに多くの自治体で防止条例の検討、施行が進み、企業の顧客接点における大きな課題となっている。また、応対履歴や営業日報など、応対後のアフターコールワークの効率化は、社員の生産性や働き方に直結する課題である。それらを解決するために本サービスでは、通話内容を通信キャリア網内で録音、テキスト化、AI要約する機能を、特別な設備が不要なSaaSサービスとして提供する。設備や工事に関するコストを最小化できるため、今まで費用対効果から諦めていた小規模事業所・店舗にも安価かつスピーディーに導入することが可能だ。また、通話録音を基にしたVoCやマーケティング分析を行える機能も提供していく。

3つ目は有事における顧客接点の強靭(きょうじん)化だ。異常気象や災害が頻発する昨今では事業継続性の観点で不可避の事業課題と言える。

提供機能と3つの効果 — ③顧客接点強靭化 提供機能と3つの効果 — ③顧客接点強靭化

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災害や障害により、コンタクトセンターや事業所での応対が困難となった場合でも、AIが案内や応対を継続することが可能になる。さらに被災中の通話データも自動保存されるため、復旧後に必要な影響範囲の確認や再応対にかかる負担も大幅に軽減でき、まさに強靭なBCP対策が実現できる。エンドユーザーから見れば「つながらない」を最小化でき、企業にとっては「商機」を失わない対策となっている。

通信キャリアだから実現できる3つの特長

さらにdocomo business ANCAR™には、通信キャリアだから実現できる3つの特長を備えている。

docomo business ANCAR™「3つの特長」 docomo business ANCAR™「3つの特長」

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1. 現地設備・工事不要のSaaS型サービス
docomo business ANCAR™は拠点へのサーバーなどの設備やライセンスの導入、工事が不要なSaaS型サービスとして提供されるため、初期投資や設定工事、運用のコストを大幅に削減することが可能だ。小規模な事業所や店舗にも、AI導入やカスハラ対策などが手軽に進められる。また、提供されるさまざまな機能の中から必要な機能だけを選んで利用することも大きなメリットだ。拠点ごとに必要なタイミングで必要な機能を柔軟・迅速に拡張することができる。

2. 通信サービスと連携したAIサービス
docomo business ANCAR™は、通信サービスと連携して提供するため、「AIを導入したいが、通信サービスとどうつなげばいいのか」という悩みがない。フリーダイヤルやArcstar IP Voiceを利用中であれば、特別な準備は不要ですぐに導入できることも特長だ。すでにフリーダイヤルやArcstar IP Voiceをご利用いただいている数十万社の企業にとっては、既存の環境を変えずに(つまり現場の負担なく)利用が可能になる。

3. 通信キャリアのデータを活用し、顧客体験を可視化
通信キャリアだけが持つ通信データを活用することで、「本当の顧客体験」を可視化できる。これは通信キャリアしかできない顧客価値である。

窓口につながるまでにも、IVR(電話自動音声応答システム)の番号を間違えたり、何度もかけなおしたり、結局つながらなかったりと、エンドユーザーはさまざまな体験をしている。通信キャリアの中で起きている「見えない顧客体験」を可視化し、CX上の課題を明確化することで、真に有効な改善策を講じることができる。

docomo business ANCAR™ Routingのデモンストレーション

今回、説明会では、銀行総合受付窓口を想定した電話応対のデモンストレーションを行った。

デモンストレーションの様子

デモンストレーションの様子

通常のIVR(電話の自動応答による振り分け)では、何度も該当の番号を押したり、番号誤りのため手戻りを起こしたりなど、顧客満足度低下の一因となっている。docomo business ANCAR™ Routingでは、お客さまは用件をAIに伝えるだけ(自然発話)で最適な宛先につながり、番号誤りや意図しない誤選択を防止することができる。

今回のデモンストレーションでは、AIが「適切な受付窓口におつなぎします。お問い合わせ内容を簡潔にお話しください」と応答した後、「“未払い料金があるので、すぐに振り込んでください”ってメールが来て、裁判になるとも書いてあって……。これって何か対応した方がいいでしょうか?」「北海道に住んでいる娘に振り込もうとしたら、急に銀行のアプリにログインできなくて......急いでいるのでどうしたらいいですか?」というあいまいな表現での問い合わせを行った。

AIは、「不審なメールなどに関するお問い合わせですね」「インターネットバンキングに関するお問い合わせですね」とすぐに内容を理解し、適切な窓口へ案内することができた。

エンドユーザーにとっては要件を伝えるだけでスムーズに最適な窓口につながり、企業にとっては問い合わせの30%を占めると言われる「迷い呼・あふれ呼」による応対生産性の低下を最小化できるサービスとなっている。

docomo business ANCAR™の今後の展開

「当社はすでに次のステップを視野に検討を進めている」と高橋部長は言及。

更なる価値の実現に向けて(Next Step) 更なる価値の実現に向けて(Next Step)

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1つ目はさまざまなCCaaSやSFA/CRMなどのアプリケーションとの連携だ。お客さまがすでにご利用のSFAやCRM、コンタクトセンター基盤などとdocomo business ANCAR™が連携し、個々のエンドユーザーにパーソナライズされた最適な応対の実現やAIによるアフターコールワークの完全自動化も可能にしていく。

2つ目はマルチキャリアへの対応。当初はフリーダイヤルやArcstar IP Voice、NTTドコモのモバイルサービスなど、NTTドコモビジネスが提供する通信サービスを対象に提供していくが、今後は他のキャリアサービスをご利用のお客さまでもdocomo business ANCAR™を活用いただけるように拡張する。「通信キャリアに縛られず、NTTドコモビジネスとしてまずはお客さまの課題解決を優先し、多様な選択肢をご提示していきたい」と高橋部長は語った。

本サービスは12月より順次提供を開始し、2026年9月を目途に全ての機能を提供する予定だ。また、2029年度の販売目標として400億~500億円規模を見込んでいるという。docomo business ANCAR™によってもたらされる日常は、CX、EXにおける課題を驚くほどのスピードで解決し、新たなビジネスの未来を開くことだろう。

皆さまへのメッセージ

docomo business ANCAR™の「ANCAR」は、「AI Native Communication with Advanced Resilience」という、サービスコンセプトの頭文字を取った名称です。顧客接点におけるAIが「特別に用意するもの」ではなく、コミュニケーションの一部として自然に、当たり前のように活用できるがdocomo business ANCAR™のサービスコンセプトです。

これまで課題を抱えながらも、コンタクトセンターや店舗などの顧客接点において、AI導入を諦めていた全てのお客さまに、ご利用いただけます。豊富なラインアップがあり、お客さまの課題解決につながる機能が必ずあると思いますので、お困りごとがあれば、ぜひ一度ご相談ください。

関連リンク

社員メッセンジャー

NTTドコモビジネスプラットフォームサービス本部 コミュニケーション&アプリケーションサービス部

古高 奈津美

新サービス開発や複数サービスのマーケティング・プロモーション担当を経て、現在docomo business ANCAR™のプロモーション・販売促進業務を担当しています。企業の顧客接点におけるCXの最大化やEXの向上にお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。

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