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【けんすう】
生成AI×スマホが導く、すごい仕事術

【けんすう】生成AI×スマホが導く、すごい仕事術

NewsPicks Brand Designにて取材・掲載されたものを当社で許諾を得て公開しております。
202︎5-︎12-16 NewsPicks Brand Design
かつて「スマホでは仕事にならない」と言われていた。小さな画面、フリック入力の煩わしさ、セキュリティへの不安。多くのビジネスパーソンにとって、スマホは「個人用デバイス」の域を出なかった。 しかし2025年現在、状況は一変した。セキュリティ対策の成熟とクラウド時代の到来。さらに画面の大型化、音声入力の進化、生成AIの登場がスマホでの業務を後押ししている。 「もうパソコンは持ち歩かないですね。持ち歩くのはキーボードだけでいい」そう話すのは、「スマホ仕事」黎明期から実践を重ねてきたアル株式会社代表取締役の古川健介氏(けんすう)だ。NTTドコモビジネスで法人向け生成AIサービス「Stella AI for Biz」の販売を推進する太田英信氏けんすう氏に「スマホ仕事」の現在地と少し未来のワークスタイルを聞いた。

目次

まだPCが業務の中心なの

──スマホ誕生の初期から「スマホで仕事ができる」という論調はありました。しかし一般のビジネスパーソンには広まりませんでした。なぜ、普及しなかったと思いますか。

けんすう 単純な問題として、画面が昔は小さかったですよね。PDFも閲覧できなかったし、入力がパソコンに比べると大変でした。ただ、最近は画面がどんどん大きくなっていて、アプリも充実して様々なデータが扱えます。

また、個人的には音声入力の進化は大きいです。長文を一度に入力でき、さらには生成AIで適切な文章にも手直しできます。僕の仕事で必要なことは、ほぼスマホで完結できるようになりました。

古川 健介(けんすう) アル株式会社代表取締役/連続起業家/エンジェル投資家

太田 セキュリティの進化も大きいですね。テレワーク拡大期の2020~2022年に特にセキュリティ被害が拡大したことに伴い、モバイルに対応したセキュリティサービスが数多く出てきました。そのことで、クラウドでもセキュリティ対策を実施できるようになり「スマホを業務に使っても安心だ」という風潮が出てきました。

また、けんすうさんがおっしゃるように、音声入力は応用範囲を広げています。例えば、製造業の現場で手袋をつけている作業者は、いちいちフリック入力はしにくい。小売店なども同様です。スマホを操作できる環境が当たり前ではない中でも、音声入力であれば日常業務を簡単に遂行できます。

太田 英信 NTTドコモビジネス株式会社 ソリューション&マーケティング本部 デジタルマーケティング部 ソリューションDX部門主査

けんすう すごくわかります。あと、スマホはネットに常時接続しているので、すぐ仕事に移れますよね。パソコンを立ち上げてネットにつなぐ、というステップも省略できますし、シンプルに、働く場所と環境を選ばなくていい。

僕は「スマホで仕事ができる状況」を大きく4つに分類しています。「操作できる環境がある×キーボード有無」「操作できない×音声有無」です。

PCは「操作できる環境でかつキーボードが使える」条件だけに対応したデバイスです。

スマホなら「キーボードを使えれば」PCと同じように入力できますし、「キーボードを使えない」ときにも生成AIで業務を進めたり、メールを確認したりできる。「操作できない」場合は、イヤホンを装着して音声入力や、生成AIと対話しています。

PCよりもスマホの方が多様な環境で仕事ができる

僕は「分割キーボード」を自宅でも外でも愛用していますが、PCより重たくないですし、収納場所もとらずに持ち運びしやすいですね。

まだPCが業務の中心なの
けんすうさんのスマホ作業環境。分割キーボードを使用。
スマホは折り畳み式でワイドな2画面。それぞれに別のアプリを映して作業する。

最近は「ARグラス」をスマホと接続する人もいます。これでPCと同様の大きさの画面が「ARグラス」に映せますので、さらに制約は少なくなっていくでしょうね。

──とはいえ、オフィスではPCでも仕事をしますよね。スマホで仕事をすることが多くなるとデバイス間の連携で苦労しませんか。

けんすう 僕の場合は苦労していません。PCでは「Cursor」というAIを扱えるコードエディタを使用しています。

NotionやEvernoteだと専用アプリの中でしか文章を閲覧できませんが、Cursorは「MDファイル(Markdownファイル)」がローカル保存されていくので、それをDropboxへ保存する。 外出先では「Obsidian」というテキストファイルの扱いに優れたノートアプリで閲覧や編集をします。

こうすると、PC専用のテキストエディタと、スマホで使いやすいテキストエディタを分けてもデータが常に同期していて、シームレスに作業できます。

macOSとAndroidを組み合わせると、アプリの互換性がないことが悩みがちですが、ローカルファイルをうまく活用することによって、解決しています。

CursorxDropboxxObsidianの同期フロー

達人が語る時間効率化

──スマホと生成AIを積極的に取り入れることで、効率化が図れそうですね。

太田 テキスト入力作業を中心にかなり効率化できると思います。例えば、メールの作成。当社のデータによれば、1通あたり5分程度、毎日なら約2.5時間をメールに割いていると言われています。

そこに生成AIを活用すれば、1通あたり1〜2分となり、トータルで90分を削減した例もあります。かなりインパクトのある数字です。

けんすう 当社のエンジニアの例ですが、たくさんのコードをAIに書いてもらうときは完了するまでにそれなりに時間がかかります。その合間に家事や筋トレ、ランニングをしているそうです。

達人が語る時間効率化

また逆説的ですが、「AIに指示を出して待つ」ことが増えると、実は一般的な就労時間である8時間を集中して作業するという常識が変わる可能性もあります。

当社でも「薄く長く働いたほうが、疲れないし生産性が上がるのでは」という声が挙がっています。スマホから操作できるから、ジムを仕事場にしてAIにコードを書かせ、確認して、また筋トレをしている人もいますね(笑)。

太田 面白い例ですね。たしかに、人間が仕事以外のことをする余白を生みますよね。逆に移動時間、運転中の時間などは余白だった時間。こうした時間にスマホと生成AIを組み合わせれば効率的です。

当社は「Stella AI for Biz」という初めての方でも使いやすいUI/UXを搭載した業務改善に役立つ生成AIサービスを手掛けています。

例えば、報告書の作成なども帰社して着手するのではなく、移動中にスマホからプロンプトのテンプレートを活用し、アンケート形式で必要項目だけ埋めていけば報告書形式に仕立てることも可能です。

営業社員の報告書のクオリティも均一化され、上司等確認者の負担は減り、全体のレベルアップにつながります。

Stella Al for Bizのテンプレートとは

けんすう 会議も録音して議事録をAIに作成させ、さらに報告書まで作らせたり、それをもとにメールのお礼文を書かせたり。一つのインプットから複数アウトプットを出すことが、ほぼ時間を使わずにできるのがすごく楽ですよね。

太田 またまだ紙資料が使われている企業も多くありますが、紙資料でも、スマホでスクショしてAIを活用すればその場でデジタル化できるほど、画像認識技術も発達しています。スマホ一つで便利になるシーンはまだまだありそうです。

けんすう 今後AIの業務活用が進むと、AIが取り扱いやすいデータでないと失礼だ、なんてムードも出てくる気がしますね。

太田 おっしゃる通りです。経理情報などもそうですが、社内の機密情報を取り込み、AIがすぐにアウトプットを出せる状況にすることが生産性向上の鍵になると思います。

われわれがAI導入を実践したお客さまでも、営業で訪問し、提案に対して細かな質問をされた場合に、サッと裏でAIに聞く。即答して、そのまま商談を続けることで「持ち帰り仕事が減った」という例もありますね。

AIが個別パートナーになる日

──今後もAIは進化すると思いますが、どんな変化が起こると考えますか。

けんすう AIによる業務の先読みですかね。例えば、AIがAさんのカレンダーの予定を確認したとします。その予定通り、1時間の商談を録音したデータがスマホにあった。その後、Aさんが議事録を書き、クライアントに送信すると推測。

すぐに内容を取りまとめて、AIが議事録と、クライアントへのメールを作成するといったことも実現されるはずです。人間は内容を確認して送信を押すだけです。

──個人に寄り添うように対応してくれると。

けんすう まさにそうですね。僕自身もKindleでハイライトした箇所や、閲覧したウェブサイトをクリッピングして、自分用のデータベースを作っています。

noteを書くときに、AIにこんなアウトプットをしたいと伝えると、文章と共にAIから「こんな引用もいれましょう」と提案をもらっています。

太田 「日報をあなたみたいなトーンで作って送っておくね」といった世界はすぐに出来上がるでしょうね。ChatGPTなども質問をすると「レコメンド質問」が表示されるようになりました。それもだんだん自分の質問の傾向に応じてカスタマイズされています。

さらに、他のアプリケーションともAPIで連携して、AIが一貫して他の作業まで完了させる。ルーティン業務や一定の推測で動ける業務はAIアシストが進むと思います。

中小・ベンチャー企業こそスマホを

──業務デバイスの起点がスマホに変わりそうですね。どんな企業から進んでいきそうでしょうか。

けんすう 意外と中小企業やベンチャー企業からじゃないでしょうか。小さい企業だと「スマホが便利らしいから、ちょっと試してみようよ」と導入してもハレーションが少なく、うまくいかなければすぐ戻せます。

それが1万人規模になってくると導入だけでも大ごとになります。

太田 特に中小企業やベンチャー企業では個々人の業務領域が広い傾向があります。さらに労働生産人口の減少を踏まえ人材の確保がより難しくなっていくことを考えると、生成AIやスマホ内のアプリケーションでどんどん効率化していくアクションが必要だと思います。

AIが個別パートナーになる日

太田 どんなツールでも新しいことを覚えるための心理的ハードルは必ずあります。一方で「学習コスト」に関してはスマホだからこそ削減できる領域だと考えています。

例えば、法人ではLINEのように使える「LINE WORKS」というチャットツールがあり、普段LINEを使っているからこそ操作に苦労することなく利用できます。

けんすう たしかに、LINE WORKSはLINEとほぼ変わりないUXですもんね。

太田 はい、また環境整備のコストの問題も挙げられますが、コストがより小さいのもスマホです。あくまで肌感ですが、PCとスマホで比べると安価に導入が可能です。

あとは月々の通信料の調整ですが、中小・ベンチャー企業向けに新しい料金プランも設けるなど、導入ハードルを下げています。

NTTドコモビジネスの新料金プラン

けんすう 以前、前職でポケットWi-Fiを契約していました。その端末分だけ管理コストが増えてしまい、中小やベンチャー企業だと負荷が大きかった。その点、スマホだけだと楽ですよね。

太田 おっしゃる通りで、紛失時もPC、スマホ、ポケットWi-Fiと複数端末の貸与よりもスマホだとシンプルです。

けんすう 落とした場所もわかりますし、スマホだと指紋認証や顔認証があるのでセキュリティリスクも低い。

また、コーヒーショップのフリーWi-Fiを使用するほうが怖いから、モバイル回線で実施してほしい。そういった懸念を防げるのも、経営者としてはプラスです。

太田 セキュリティを担保する意義は大きいですよね。当社の法人モバイル専用の新料金プラン「ドコモBiz」もスマホ紛失時に、当社センターへお電話いただければ、24時間体制で端末ロックや初期化を代行するサービスを、一部プランにバンドルしています。

また、私たちは中小・ベンチャー企業の声を基に、彼らのお困りごとに最適なサービスをパッケージ化し「ドコモビジネスパッケージ」としてご提案しています。

「ドコモビジネスパッケージ」を活用すればさらにセキュリティを強化することもできます。

また「Stella AI for Biz」などの一部サービスにおいては「使いこなしサポート」をあわせて提供しています。スマホ導入時のガイドライン策定支援、設定サポートや、導入後の勉強会の開催や専用の相談窓口を設けています。

経営者自らが使おう

──では、中小企業やベンチャー企業でスマホ仕事を浸透させる鍵はどこにありますか?

けんすう 経営者自らが使うことですね。大企業だと「代表が使わない問題」が多くあるんです。社内チャットがあっても代表はメールしか見てない、とか。AIも同様でしょう。

当社では「AIで一度チェックしたものしか承認しない」というルールにしています。なぜなら、承認者が必ずAIに一度はチェックさせるからです。

すると、つまらない指摘がほぼなくなります。「誤字脱字があるからこのメールを送っちゃだめ」とか。それも代表や上司が自ら使っているから言えることで、やはりトップから変わらないといけません。

太田 たしかに当社への相談でも成功されているところは、企業規模に関わらずトップが自ら実践されていますし、スピード感をもったAI導入につながっています。

けんすう また高齢だからというのも変な理由で、僕の親も80歳近いですが、LINEでやりとりして、ChatGPTをスマホで使うくらいはできます。

太田 60代の経営者の方も40代ころからスマホを使われていたはずですよね。

現在、法人における生成AIの活用は急速に拡大しており、すでに多くの企業が導入を開始しています。

今後さらに加速していくことが見込まれる中で、いかにスマホと生成AIを組み合わせて業務効率化を早急に実施できるかが企業成長の鍵になる。

まさに早期に取り組み、定着を目指していくことが必要な領域です。

企業での導入や社内浸透は、当社が伴走支援できますので、企業内での活用・浸透をご検討されている経営者の方がいらっしゃれば、ぜひご一緒に進めさせていただきたいですね。

執筆:長谷川賢人
撮影:宿野部隆之
デザイン:小鈴キリカ
取材・編集:山口多門

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