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長年の窓口・個人営業から法人営業へ。
リスキリングを経て6年で部長代理に(後編)

長年の窓口・個人営業から法人営業へ。リスキリングを経て6年で部長代理に(後編)

山陰合同銀行(以下、ごうぎん)では人的資本戦略の一環として、「リスキリング×配置転換」を積極的に推進。その結果、それまで窓口業務や個人営業担当だった女性行員81名が、法人営業として現在も活躍しています。そのひとりが鳥取法人営業部・部長代理の平尾茜さんです。「決算書も読めず、役割の転換には不安が大きかった」と振り返る平尾さんにリスキリングで自身のキャリアがどのように変化したのかをインタビューしました。(第2回/全2回)

この記事はNewsPicksとドコモビジネスが共同で運営するメディア「NewsPicks+d」編集部によるオリジナル記事です。ビジネスやキャリアに役立つコンテンツが無料でご覧いただけます。 NewsPicks+d 詳しくはこちらをクリック
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目次

「辞めよう」から「やってみよう」へ

──平尾さんは、入行から10年以上窓口業務や個人営業に従事されていたそうですね。

平尾「2008年に準職員として入社し、10年程度は支店の窓口担当として預金や振込、各種手続きなどを応対。途中、育児休業を2回取得し、異動も経験しました。異動後の支店では、個人のお客さまを中心に資産運用の提案をする個人営業も担当してきました。現在は法人のお客さま向けのコンサルティングにあたっています」

(写真提供:山陰合同銀行)
(写真提供:山陰合同銀行)

──窓口や個人営業をやってきた平尾さんが、法人営業に転じることを決めた経緯はどのようなものだったのでしょうか。

平尾「法人営業に挑戦する前、2018年頃の私は、自分のキャリアについて『このままでいいのかな』と迷いを感じ、退職も考えていた時期でした。窓口業務や個人営業は楽しかったのですが、ずっと同じ仕事をしていることに対する行き詰まりのようなものを感じていました。

キャリア志向が強かったわけではないですが、準職員という職種上、将来的なキャリアのロードマップを描きづらかったように感じます。子どもが小さく、家庭との両立が大変だったのも、辞めることを考える理由のひとつでした。

そんな自分の本音を上司に相談したところ、『辞めるのではなく、正規の職員になる行員登用試験に挑戦してみたらどう?』と背中を押してもらい、2019年に行員になることができました」

──正規職員になったことで、将来のキャリアへの幅が広がったということですね。

平尾「そうですね。行員になった翌年の2020年に支店長から『法人営業に挑戦してみないか』と声をかけてもらいました。まさか自分が法人営業にチャレンジすることになるとは、それまで思ってもいなかったので最初はとても驚きましたし、不安も大きかったです。

でも、リスキリングによって銀行も成長し、地域のお客さまのお役に立つ、という当行の方針は理解していましたし、“新しいことをやってみたい”という気持ちが勝ちました。

最初はとても驚いたし、不安も大きかったけれど、'新しいことを学びたい'という気持ちが勝ちました

同じ境遇の仲間と励まし合いながら学ぶ

──法人営業への異動が決まって、育成対象者として必要な知識やスキルを学ぶことになったと思います。リスキリング研修は実際にどんな内容だったのでしょう。

平尾「研修は通常の法人営業業務と並行して業務時間内に行われました。決算書の読み方や稟議書の書き方、資金繰りの仕組みなど、法人営業に必要な知識を本当にゼロから教えてもらいました。

勉強そのものは久しぶりでしたが、わからなかったことがわかるようになるのが面白くて、学生時代に戻ったようで楽しかったですね。子どもが寝たあとや通勤時間に研修動画を見返したり、本を買って読んだりもしました」

(イラスト:Tatiana Smirnova / gettyimages)
(イラスト:Tatiana Smirnova / gettyimages)

──現場でのOJTや専任の教育担当者を拠点に配置するなど、きめ細かいフォロー体制があったそうですが。

平尾「支店の上司や先輩のサポートのほか、法人営業の経験が豊富な教育担当者がOJT担当となり、週に一度面談で理解度を確認してくれたのが、心強かったです。初歩的なことや小さな不安もすぐに相談しやすい雰囲気で、安心して質問できました。

育成対象の行員が同じ支店に4〜5人いたので、仲間と一緒に頑張れたと思います。ほかの支店の育成対象者との座談会や休日セミナーもあり、情報共有ができました。仕事と家庭の両立は大変ですが、相談し合える仲間がいたからこそ頑張れました」

女性法人営業の担当者が集まって情報交換も(写真提供:山陰合同銀行)
女性法人営業の担当者が集まって情報交換も(写真提供:山陰合同銀行)
相談できる仲間がいたので、励まし合って頑張れました

初めての融資、創業支援。「責任とやりがいを実感」

──法人営業の現場に出るときは、心細さはありませんでしたか。

平尾「お取引先への訪問は、最初のうちは上司とペアで訪問することを基本としていたので、具体的な話し方や提案の仕方を実地でどんどん学んでいきます。商談後には、必ず振り返りをしてもらい、アドバイスももらいました。

徐々に1人で訪問するようになり、上司から『失敗を恐れずに、自分でやってみて』と言われたときは、任せてもらえたことで一人前になれたような気分でしたね」

──これまでで印象に残っている案件はありますか。

平尾「私が最初に担当したのが、「ゼロゼロ融資(※)」。いわゆるコロナ資金融資の案件でした。お客さまから『一緒に頑張ろう』と言ってもらえたことは今でも印象に残っています。初めて融資が実行されたときは、とてもうれしかったですし、銀行員としての責任を改めて強く感じました」

(※)コロナ禍での中小企業向け支援制度。利息0%、担保なし・保証人なしで、事業資金の借り入れが可能となった。

──以前の業務と法人営業では、やりがいにどんな違いがあるのでしょうか。

平尾「それぞれにやりがいがありますが、例えば窓口はお客様のご依頼のお手続きを丁寧かつ正確に行い、その場で感謝される仕事。一方で、法人営業は時間をかけて、お客さまとの信頼を築いていき、顕在的なご要望にも潜在的な課題にも寄り添ってご提案をする仕事です。

信頼関係は、必ずしも自分だけで築けるものではありません。過去の担当者から脈々と繋がれ、自分が担当のタイミングでお客さまのお役に立てるときがある。この時間の流れや過去から関わってきた多くの人の活動も含めての達成感が、やりがいに繋がっているような気がします。

正直、法人営業は “辛いこと7割、楽しいこと3割”という感覚ですが、その“楽しいこと3割”の達成感はとても大きいものがあります。お客さまから『ありがとう』と言ってもらえた瞬間に、それまでの苦労がすべて吹き飛びます。

銀行の仕事は融資だけではなく、経営のご相談に乗ったり、人材や各種制度をご紹介したりと、さまざまなかたちでお客さまの役に立てる仕事です。経営者の方々と直接話すことで視野が拡がり、経済の循環や地域の課題を感じるようになったことでも、自分の成長を実感します」

法人営業は'辛いこと7割、楽しいこと3割'。それでも達成感が大きなやりがいに

学び続けることでモチベーションがアップ

──リスキリングや役割転換を経験して、どんなふうに自分が変わったと思いますか。

平尾「いちばんは、視野が広がったことですね。法人営業をするようになって、地域の企業が地域経済を支えていることを実感しています。自分の提案がそういった地域企業の発展に関わっていると思えることが意欲に繋がっています。

リスキリングを経験したことで、“自分から学ぶ”意識が生まれたのも、変化のひとつです。銀行の研修以外にも、自分から進んで動画を見たり勉強したりするようになりました。

リスキリング研修は修了しましたが、ごうぎんではそれ以外にもさまざまな研修が頻繁に行われています。興味があったり役立ちそうだったりするものは、いまでも積極的に参加するようにしています。

参加することで知識を得られるのはもちろんですが、普段はなかなか会えない別の支店の行員とも交流できます。新しい情報を得たり、刺激をもらえたりするのが楽しいし、業務にも役立っています。学びの場に参加することが、さらなる学びや仕事へのモチベーションにつながっていますね」

同じような境遇の女性営業行員が悩みを打ち明け合えるよう、積極的に場を設けた(写真提供:山陰合同銀行)
同じような境遇の女性営業行員が悩みを打ち明け合えるよう、積極的に場を設けた(写真提供:山陰合同銀行)

──平尾さんは現在、鳥取東部エリアを統括する法人営業の中核拠点・鳥取営業部で部長代理として活躍されています。部下を育てる立場でもあるそうですね。

平尾「部長代理として若手の育成を担当しています。教える立場になって、自分の理解の浅さに気づくことも多いです。教えることが、私自身の学び直しにもなっています。

後輩の中には以前の私のように“自信がない”という人もいます。法人営業は『なんとなく怖い』とか『数字を追うのは苦手』と思われがちなんです。そんな不安をできるだけなくして、安心して挑戦できるようにサポートしたいと思っています。

私が言われてうれしかった『失敗を恐れずに、やってみよう』という言葉を後輩にもかけるようにしています。私がここまで支えられてきた分、今度は後輩を支える立場になりたいですね」

昔のじぶんのように'自信がない'という後輩に'失敗を恐れずに、やってみよう'と伝えていきたい

──法人営業とマネジメント。忙しさも増していると思いますが、家庭との両立はいかがですか。

平尾「フレックスタイム制勤務やテレワーク勤務制度があり、出退勤時間をずらすことや、休暇を時間単位で取得することもできます。朝は子どもの送り迎えや学校の旗当番をしてから出勤することもありますね。

そういうふうに会社が家庭の事情を考慮して、働きやすい環境を整えてくれているのは本当に助かります。加えて、近くに実家や義実家があるので、夫や周囲の協力が得やすいのも、地元の強みですね」

役職よりも、人として成長を目標に

──最後に、これからのキャリアの目標を聞かせてください。

平尾「正直、役職にこだわりはなく、上を目指してどんどん昇進したいという気持ちはそれほどありません。もちろん、チャンスがあれば挑戦したいですが、それよりも、いまは目の前の仕事をしっかりやって、自分がどう成長できるかを大事にしたいですね。

法人営業を突き詰めていく中で、お取引先の経営者と一緒に地域を元気にする仕事をするのがいまの目標です。学びに終わりはないと思っています。これからも勉強し続けて、いろいろなことを吸収していきたいですね」

この記事はNTTドコモビジネスとNewsPicksが共同で運営するメディアサービスNewsPicks +dより転載しております。

編集・取材・執筆:久遠秋生
デザイン:山口言悟(Gengo Design Studio)

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