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都心回帰への揺り戻し
「地方創生」を実現するには、東京と地方それぞれのマインド、カルチャー、そして行動の変容が不可欠です。
過去数十年にわたって東京一極集中を加速させてきた結果が「いま」であり、地方の人口流出や過疎化はそこにいる人たちの意思と努力だけではどうにもならない社会構造の問題になっているのです。
コロナ禍をきっかけに、地方へ移住する人や、東京圏の都市部と地方都市との多拠点居住をする人が増えました。
一方で、ここにきて再び都心回帰への揺り戻しの兆しが見えているのも、また事実です。東京と地方、それぞれにおいてどのような行動が求められるのでしょうか──。
【東京圏の企業や中央省庁にお願いしたいこと5つ】
1.ガソリン価格、いますぐ下げて!
ガソリン価格の高騰は、クルマ社会である地方都市の人々には死活問題です。“地方都市ハンディ”と言っても過言ではないでしょう。物流コストなどをいたずらに押し上げ、食料品や日用品の価格高騰を引き起こすなど、地方で暮らす人々の生活を圧迫しています。
だからこそ、ガソリンに多重にかかる税制の撤廃や削減も含めて、ガソリン価格の値下げを断行していただきたい。これこそ、東京の中央省庁がいますぐできる地方創生策だといえます。
2.出社回帰の風潮止めて!
最近になって、リモートワーク廃止や出社義務を課す方針に転換した企業が、東京都市部を中心に増えてきています。
事業やビジネスモデルの実態に応じてワークスタイルを切り替えることには合理性があります。しかし、それが地方都市に与えるネガティブな影響も大きいという現実を意識していただきたいと思います。
リモートワーク解禁によって地方に移住、または多拠点居住をした人は少なくありません。一極集中の流れで東京や首都圏に奪われた人たちが、地方に帰ってきたのです。それなのに、リモートワークの廃止や過度な縮小は地方創生に水を差すことになります。
実際、泣く泣く地方の住まいを手放して再び東京に戻っていった人たちもいます。一方、リモートワークが可能だから、地方在住でありながら東京の最先端企業に就業し、やりがいも高収入も実現できている人たちもいます。
「だったら、東京に引っ越せ」
「会社の言うことを信頼して、地方に移り住んだ人が悪い」
このような“自己責任論”を唱える人もいますが、これはミクロかつ横暴すぎる指摘ではないでしょうか。これは個人レベルの責任論では済まない、地方経済や人流に影響するイシューなのです。
せっかく地方に戻ってきた人たちを返してほしい。某人気バスケットボール漫画の主人公の名セリフを拝借するなら、まさに「返せ」です。
自社の目先の生産性だけで、リモートワーク廃止・縮小をする風潮には「ちょっと待った」と言わざるを得ません。
東京の企業の“出社主義”は、ある意味で、東京のムラ社会構造の強化だといえます。ダイバーシティ&インクルージョンにも、地方創生にも反することです。
「自社さえよければいいんですか?」「東京さえ栄えればいいんですか?」と言いたくもなります。中央省庁も、リモートワークによる地方在住者の就業に意欲的な企業を優遇するなど行動に移してほしいと切に願います。
そもそも「アンフェア」なゲームの上で戦っている
3.複業・兼業を許容/促進して!
リモートワークなどを契機として働き方を変えた人、あるいは新たなチャレンジやキャリア自律に関心のある人たちのなかには、地方都市の企業と複業・兼業を始めた人もいます。
地方側からすれば、フルタイムで雇用する財力がないなかで人材不足を解消したり、デザインやマーケティングなど地方に乏しい能力を借りられたり、といった面で強い味方になっています。最近、複業・兼業の人材活用に意欲的な地方都市の経営者が、私のまわりでも増えています。
ところが、東京都市部の企業の一存で、ある日突然、複業・兼業を禁止したり、複業・兼業をやめるよう本人に迫ったり、といったことが起きています。地方側の企業からしたら、たまったものではありません。貴重かつ、少ない人材を奪われるのです。
「だったら、フルタイムで正社員として雇用すればいい」
東京でしか働いた経験のない人は、そう思うかもしれません。ごもっともな意見ですが、そのための財力や体力も東京一極集中の流れで奪われてきた歴史が地方都市にはあります。
そもそも「アンフェア」なゲームの上で戦っているのが、地方都市なのです。人材獲得の難度も、東京都市部の比ではありません。
複業・兼業は、いわば自社で人的リソースを独占しない、ほかの企業や組織の人材をうまく活用しながら、東京と地方で人材を「シェア」するリソースシェアの取り組みであり、社会や未来に対する優しさでもあります。
少子高齢化による労働力不足の深刻さが増す時代だからこそ、人を取り合う、独占し合うのではなく、シェアする発想で地方にも人の能力と意欲を分けてほしいところです。
②で挙げたリモートワーク推奨と同様、東京の企業や中央省庁による地方複業・兼業の後押しと実践に期待したいと思います。東京の皆さん、いままで独占してきた人、モノ、カネ、知識の解放と、地方とのシェアをお願いします!
4.地方の人を都内に呼びつけないで!
東京の企業や省庁の人たちが、気軽に「東京に来い」と言う──。これは、私と同様の地方都市の経営者や、地方都市の知事や市町村長からも、大変よく聞く悩みです。移動のコストも時間も、すべて地方在住の人たちに負わせる悪しき行動習慣です。
近年の東京都市部を中心とした宿泊費の高騰も、負担に追い打ちをかけています。そして、経営者や行政の長が東京に呼び出されるほど、地域不在の時間が増えることになります。そのマイナスのインパクトも大きいといえるでしょう。
オンラインミーティングやグループウェアを活用するなど、リモートで対応するシーンを、いま以上に増やしてほしい、というのが私の提言です。
地方創生のための会議を、東京都心で対面のみで定例開催する組織体などを見るにつけ、何の冗談だろうと首を傾げざるを得ません。
都市部の人たちに地域体験を!
5.あなたたちが地方に来て!
だったら、東京の人たちが地方に足を運んでも良かろう、と思います。地方創生を謳うならば、なおさらです。自分の足で地方に足を運び、地方の人たちと同じ景色を見て地域を体験する。それがなによりの、地方創生への第一歩です。
私は「東京にお越しください」と言われるたびに「リモート対応でお願いします」と言っていますが、対面が望ましいケースにでは「たまには浜松・豊橋にお越しください」と返すようにしています。
意外と喜んで来てくれることも多い、というのが実際にやってみた印象です。皆さんも、ぜひ私のマネをしてみてはどうでしょうか。こうして、東京都市部の人たちの地域体験を増やしていきましょう!
以上、東京圏の企業や中央省庁に求める5つの提言を紹介してきましたが、もちろん、地方側も文句を言っているだけではダメです。後編では、地方が頑張るべき4つのことを挙げていきたいと思います。
沢渡あまね(さわたり・あまね)
作家・企業顧問/ワークスタイル&組織開発。『組織変革Lab』『あいしずHR』『越境学習の聖地・浜松』主宰。あまねキャリアCEO/ダム際ワーキング協会 共同代表/大手企業人事部門・デザイン部門ほか顧問。プロティアン・キャリア協会アンバサダー、DX白書2023有識者委員。400以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。著書『新時代を生き抜く越境思考』『EXジャーニー』『組織の体質を現場から変える100の方法』『職場の問題地図』ほか。#ダム際ワーキング推進者。
この記事はNTTドコモビジネスとNewsPicksが共同で運営するメディアサービスNewsPicks +dより転載しております 。
文:沢渡あまね
デザイン:山口言悟(Gengo Design Studio)
編集:鈴木毅(POWER NEWS)
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