生成AIを業務で使うこと自体は、もう珍しくありません。総務省の最新の白書によれば、日本企業の86.4%が何らかの業務で生成AIを利用※1しています。前回調査(2024年度)※2の55.2%から、30ポイント以上伸びました。
ただ、業務単位で見ると景色が変わります。効果を実感している企業の割合は、最も高い業務と最も低い業務で3.6倍の開きがありました。しかも、よく使われている業務ほど効果が出ているとは限りません。2026年に公表された調査を業務別に並べ直すと、その濃淡が見えてきます。
※1 出典:総務省「令和8年版 情報通信白書」第Ⅰ部第2章第1節「生成AIの業務利用状況」(2026年7月24日公表)
※2 出典:総務省「令和7年版 情報通信白書」「企業におけるAI利用の現状」(2025年7月公表)
効果が出ているのは、
まだ「文書まわり」に偏っている
総務省の白書は、業務類型ごとに生成AIの効果実感を尋ねています。最も高かったのは「議事録・メール作成補助」で72.3%。2位の「社内ヘルプデスク」42.7%とは約30ポイントの差があります。
同じ傾向は、別の調査でも確認できます。IPAの「DX動向2026」では、AIの利用用途の1位が「文書・音声の要約・翻訳・校正」で82.5%、2位が「文書・レポートの作成」で80.5%。帝国データバンクの調査でも、主な活用業務の1位は「文章の作成・要約・校正」の45.1%でした。
3つの調査は、対象も設問も母数も異なります。それでも、いずれも文書まわりの業務が上位でした。効果を実感している企業が多いのは、いまのところ文書まわりの作業です。
※出典:総務省「令和8年版 情報通信白書」第Ⅰ部第2章第1節「生成AIの業務利用状況」(2026年7月24日公表)、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「DX動向2026」本文(PDF)(2026年7月30日公開)、帝国データバンク「生成AIに関する企業の動向調査(2026年3月)」(2026年5月14日)
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効果を実感している企業が多い業務、少ない業務
白書の数字を、効果実感の高い順に並べ直したものが次の表です。
業務類型別|生成AIの効果を実感している割合(日本)
効果を実感していると回答した企業の割合が高い順
| 順位 | 業務類型 | 効果を実感している割合 |
|---|---|---|
| 1 | 議事録・メール作成補助 | 72.3% |
| 2 | 社内ヘルプデスク | 42.7% |
| 3 | 製造・生産 | 39.8% |
| 4 | 研究・商品開発 | 39.1% |
| 5 | 営業・販売 | 37.5% |
| 6 | マーケティング・広報 | 36.6% |
| 7 | カスタマーサポート | 33.8% |
| 8 | 経理・財務 | 29.7% |
| 9 | 法務 | 28.8% |
| 10 | 社内システム開発・運用 | 26.3% |
| 11 | 調達 | 25.9% |
| 12 | 人事 | 23.5% |
| 13 | 経営 | 20.1% |
※総務省「令和8年版 情報通信白書」第Ⅰ部第2章第1節「生成AIの業務利用状況」(2026年7月24日公表)をもとに編集部作成。その業務で生成AIを活用していると回答した企業にのみ、効果の実感を尋ねた結果です。原典にある「上記の業務に当てはまらない業務」(8.8%)は業務類型ではないため、この表から除いています。横棒の長さは割合(0〜100%)をそのまま表しています。
1位と13位の差は3.6倍。同じ「生成AIを使っている」でも、置いた場所によって手応えはこれだけ違います。なお「導入効果があると感じる業務はない」と答えた企業も6.0%ありました。
使われている割合ほどには、効果の実感が伸びていない
この調査では、活用率と効果実感が必ずしも一致していません。
白書によれば、活用率が高いのは「議事録・メール作成補助」の約7割、「営業・販売」の約6割、「社内ヘルプデスク」の約5割。ところが効果実感で見ると、営業・販売は37.5%で5位です。使っている企業は多いのに、効いたと感じている企業はそれほど多くない、ということです。
理由を断定できるデータはありませんが、ひとつの見方は示せます。営業や販売の成果物には、顧客名、案件の履歴、自社商材の条件といった社内にしかない情報が必要です。汎用の生成AIは、そこを知りません。文章の形は整っても、中身までは埋まらないのです。
これを裏づける数字もあります。白書によれば、「生成AIに社内データを学習させたり、生成AIが参照可能なデータベースを構築したりしている」日本企業は24.5%。米国57.2%、ドイツ54.4%、中国73.0%と比べると、半分以下の水準です。
※出典:総務省「令和8年版 情報通信白書」第Ⅰ部第2章第1節「生成AIの業務利用状況」、総務省「令和8年版 情報通信白書」第Ⅰ部第2章第1節「組織的な取組状況」(2026年7月24日公表)
※活用率は、原典の「業務プロセスがAI中心に変更されている」「部署内の特定業務で活用している」「従業員が個人作業の効率化で活用している」の3区分を編集部で合算した数値です(白書も「議事録・メール作成補助」について同様に約7割としています)。
【作業別】実際に任せている作業は、まだ狭い
白書が業務類型別に見た数字だとすれば、帝国データバンクの調査は作業の種類別に見た数字です。生成AIを活用している企業3,560社に、主にどんな業務で使っているかを尋ねています。
作業別|生成AIを主に活用している業務
| 業務 | 割合 |
|---|---|
| 文章の作成・要約・校正 | 45.1% |
| 情報収集 | 21.8% |
| 企画立案時のアイデア出し | 11.0% |
| データの集計・分析 | 7.4% |
| コード生成などのプログラミング支援 | 5.9% |
※帝国データバンク「生成AIに関する企業の動向調査(2026年3月)」(2026年5月14日)をもとに編集部作成
ここで注意したいのは、下位にある業務は「任せて失敗した」わけではないという点です。データの集計・分析やコード生成は、正確さの要求水準が高い作業です。割合が低いのは、適用が慎重になっている可能性もあります。
なお同じ調査では、サービス業でコード生成が13.3%、小規模企業で情報収集が25.2%と、いずれも全体を上回っています。使いどころは、業種や規模によって少しずつ違います。
業界ごとの使われ方は【業界別】企業の生成AI活用事例13選でも取り上げています。
作業は速くなった。
でも、労働時間の短縮にはつながりにくい
厚生労働省の「労働経済動向調査」は、常用労働者30人以上の民営事業所およそ5,800事業所を対象とした政府統計です。2026年2月の調査で、AIの導入状況が新たな調査項目として加わりました。AIを導入している事業所は31%でした。
この調査が特徴的なのは、「AIを活用する狙い」と「AI活用後の効果」を、同じ選択肢で尋ねている点です。企業が何を期待し、実際に何が起きたのか。そのズレを、そのまま比べられます。
※厚生労働省「労働経済動向調査(令和8年2月)」結果の概要(PDF)をもとに編集部作成。AIを導入している事業所のうち「活用する狙いがある」94%、「活用後に効果があった」78%。いずれも複数回答です。図中の「差」は、狙いと効果の差(ポイント)です。この調査のAIは生成AIを含みますが、生成AI単体の数値ではありません。また有償契約での導入(自社開発を含む)が対象で、従業員が個人で導入しているものは含みません。
「作業負担の軽減や作業効率の改善」は、狙い93%に対して効果91%。ほぼ狙いどおりに起きています。
一方、「労働時間の短縮や休暇・休日の増加」は狙い46%に対して効果25%、「人手不足の解消」は狙い47%に対して効果22%と、割合で見るといずれも半分程度の水準にとどまります。狙いと効果は別々の設問なので「狙った企業の半分が実現した」とは読めませんが、期待の広がりに対して効果の広がりが追いついていないことは確かです。
同じ構造は、民間の調査でも確認できます。パーソル総合研究所が全国の就業者を対象に行った調査によれば、生成AIを使っているタスクでは、所要時間が平均16.7%削減されていました。1週間あたりに直すと26.4分の削減です。
ただ、この26.4分は、週40時間(2,400分)の労働時間に対して約1.1%にあたります。タスク単位では確かに速くなっているものの、1週間の働き方を変えるほどの量にはなっていません。実際、業務時間が減ったと実感している人は、利用者の25.4%でした。
浮いた時間の行方も示されています。削減できた時間の61.2%は仕事に再投下され、その中身の75.4%が「日常の業務」でした。これまで手が回らなかった通常業務に、浮いた時間が再配分されている形です。
※出典:厚生労働省「労働経済動向調査(令和8年2月)」結果の概要(PDF)、パーソル総合研究所「生成AIとはたらき方に関する実態調査」報告書(PDF)(2026年2月3日公表)
※週40時間(2,400分)換算による約1.1%は、26.4分をもとに編集部で算出した数値です。
さらに、生成AIならではの手間もあります。カウネット(コクヨグループ)が自社コミュニティサイト「カウネットモニカ」の会員1,122名に行った調査では、業務での生成AI活用の課題として「情報の信頼性」が56.3%で最多、48.9%が「回答の正誤確認に時間がかかる」と答えています。総務省の白書でも、生成AIの活用により生じうる影響として「作業の追加や不慣れな作業による業務効率の低下」を挙げた企業が17.9%ありました。
※出典:株式会社カウネット(コクヨグループ)「生成AI活用についての調査」(2026年4月23日公表)、総務省「令和8年版 情報通信白書」第Ⅰ部第2章第1節「生成AIの活用により生ずる影響」(2026年7月24日公表)
出力の正しさを確かめる作業は、生成AIを使う以上どうしても発生します。確認の手順を決めておくことと、そもそも手戻りの少ない指示を出すこと。この2つが、浮いた時間を守るための現実的な手当てになります。
▼確認の手間を減らす方法について詳しく知りたい場合は、下記の記事も確認してみてください。
IPAの調査では、AI導入による効果は「一定の効果はあった」が50.6%で最多。「期待以上の効果があった」と「期待どおりの効果であった」の合計は31.8%にとどまりました。
※出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「DX動向2026」本文(PDF)(2026年7月30日公開)
効果が出ていないわけではありません。大半の企業が、何らかの手応えを感じています。ただ、「作業が速くなること」と「時間が空くこと」は、別の話だった——それが、数字の示している内容です。
米国と比べると、日本は「議事録」に集中していた
総務省の調査は、日本・米国・ドイツ・中国の4か国で行われています。このうち業務類型ごとの効果実感を日米で比べると、日本の偏りがはっきり見えてきます。
日米比較|生成AIの効果を実感している割合
| 効果を実感している業務 | 日本 | 米国 |
|---|---|---|
| 議事録・メール作成補助 | 72.3% | 42.6% |
| 研究・商品開発 | 39.1% | 47.5% |
| 導入効果があると感じる業務はない | 6.0% | 1.1% |
※総務省「令和8年版 情報通信白書」第Ⅰ部第2章第1節「生成AIの業務利用状況」(2026年7月24日公表)をもとに編集部作成
日本で72.3%だった議事録・メール作成補助は、米国では42.6%。逆に研究・商品開発は、米国が47.5%で日本の39.1%を上回ります。米国で最も高いのは、この研究・商品開発の47.5%です。米国では2位の製造・生産44.1%、3位の社内ヘルプデスク43.5%と僅差で並ぶのに対し、日本は1位が2位を約30ポイント引き離し、文書まわりの一点に集中している格好です。
白書はこの傾向について、日本では生成AIが業務効率化の文脈で捉えられている一方、他の3か国では製品・サービスの質の向上や生産性向上といった文脈で捉えられている可能性がある、と分析しています。実際、日本企業が挙げた影響でも「作業時間の短縮などによる業務の効率化」が61.6%だったのに対し、「製品・サービスの質の向上」は32.2%と、およそ半分でした。
※出典:総務省「令和8年版 情報通信白書」第Ⅰ部第2章第1節「生成AIの活用により生ずる影響」(2026年7月24日公表)
担当者が押さえておきたい3つのポイント
ここまでの数字から、実務で使える視点を3つに整理します。
①「まず文書まわりから」には、数字の裏づけがある
3つの調査すべてで、文書まわりの業務が最上位でした。議事録や報告書の下書きといった、失敗しても手戻りの小さい作業から始めるのが定石です。
②効果が出にくい業務には、共通点がある
社内固有の情報やデータを参照しないと成果物にならない業務です。ツールを配っただけでは埋まりません。社内文書を生成AIに参照させるRAGのような仕組みが、次の段階の課題になります。社内データを参照できる環境を整えている日本企業は24.5%で、整備の余地はまだ大きく残っています。
ただし、生成AIに社内の情報をどこまで入力してよいかは、ルールを決めてから広げるのが安全です。
▼ルール不在のまま個人利用が広がるリスクについては、下記の記事も確認してみてください。
③「作業が速くなる」の先を、最初に決めておく
厚生労働省の統計が示したとおり、作業効率の改善は起きやすい一方で、労働時間の短縮までは自動的にはつながりません。浮いた時間の使い道を先に決めておかないと、これまで手が回らなかった業務に吸収されて終わります。
確認の手順も同じです。帝国データバンクの調査では、生成AI活用の懸念・課題として「情報の正確性」が50.4%で最多でした。総務省の白書でも、懸念されるリスクは「社内情報の漏洩などのセキュリティリスク」46.4%、「出力結果の精度」35.3%、「著作権等の権利侵害」31.3%の順です。どの業務で誰が最終確認をするかを決めてから、対象業務を広げることをおすすめします。
※出典:帝国データバンク「生成AIに関する企業の動向調査(2026年3月)」(2026年5月14日)、総務省「令和8年版 情報通信白書」第Ⅰ部第2章第1節「懸念されるリスク及びリスク対策のための取組状況」(2026年7月24日公表)
なお同じ帝国データバンクの調査では、生成AIを使いこなせる社員とそうでない社員の間で能力や成果の格差が拡大したと答えた企業が18.8%、大企業では23.6%にのぼりました。
生成AIの業務活用に関するよくある質問
ここまでの内容を、よくある疑問の形で整理します。
生成AIを導入しても労働時間が減らないのはなぜですか?
タスク単位の作業時間は、実際に短くなっています。パーソル総合研究所の調査では、生成AIを使ったタスクの所要時間が平均16.7%(週26.4分)短縮されていました。ただ、同じ調査によれば、削減できた時間の61.2%は仕事に再投下され、そのうち75.4%が日常の業務に充てられています。空いた枠に、これまで手が回らなかった業務が流れ込む形です。加えて、出力の正誤を確かめる作業も新たに発生します。カウネットの調査では、業務での生成AI活用の課題として48.9%が「回答の正誤確認に時間がかかる」と回答しています。
生成AIの効果を実感している企業が最も多い業務は何ですか?
総務省「令和8年版 情報通信白書」によれば、「議事録・メール作成補助」で72.3%です。2位の「社内ヘルプデスク」42.7%を約30ポイント引き離しています。最も低いのは「経営」の20.1%で、1位との差は3.6倍。効果を実感している業務は、いまのところ文書まわりに集中しています。
使っているのに効果を感じられないのはなぜですか?
業務の性質が影響している可能性があります。営業・販売のように、顧客名や案件の履歴といった社内固有の情報がないと成果物にならない業務は、汎用の生成AIだけでは中身が埋まりにくいためです。実際、総務省「令和8年版 情報通信白書」では、活用率が約6割の営業・販売でも効果実感は37.5%止まりでした。同じ白書によれば、生成AIが参照できる社内データベースを整備している日本企業は24.5%で、米国57.2%の半分以下です。
※出典:総務省「令和8年版 情報通信白書」第Ⅰ部第2章第1節「生成AIの業務利用状況」、総務省「令和8年版 情報通信白書」第Ⅰ部第2章第1節「組織的な取組状況」(2026年7月24日公表)、パーソル総合研究所「生成AIとはたらき方に関する実態調査」報告書(PDF)(2026年2月3日公表)、株式会社カウネット(コクヨグループ)「生成AI活用についての調査」(2026年4月23日公表)
まとめ:速くなった作業と、埋まったままの時間
日本企業の86.4%が、何らかの業務で生成AIを使うようになりました。効果を実感している業務の1位は議事録・メール作成補助の72.3%。一方で最下位の経営は20.1%で、その差は3.6倍あります。
そして、作業効率の改善は狙いどおりに起きているのに、労働時間の短縮までは届いていない。浮いた時間の6割は仕事に再投下され、その大半が日常の業務に充てられています。
生成AIは「導入したかどうか」ではなく、「どの業務に置いたか」と「浮いた時間をどう使うか」で結果が分かれる段階に入りました。まずは自社で生成AIを使っている業務を書き出し、手応えのあるものとないものを分けてみてください。効果の差は、ツールだけでなく、どの業務にどう組み込むかにも左右されます。
業務ごとの具体的な使い方は【業務別】企業の生成AI活用事例7選、業界別の事例は【業界別】企業の生成AI活用事例13選をあわせてご覧ください。導入から定着までを支援する環境をお探しの場合は、NTTドコモビジネスの「Stella AI for Biz」もご検討ください。
- 本記事は2026年8月27日時点の情報にもとづいて作成しています。本文中で引用した各調査の参照日は、いずれも2026年8月27日です。
- 各調査は対象・設問・母数が異なります。異なる調査の数値を合算・平均することはできません。
- 調査結果の最新の情報は、各機関の公式サイトをご確認ください。



1位は議事録・メール72.3%、米国1位は研究・商品開発47.5%">





