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「陸上養殖ICTプラットフォーム」の
開発・提供を通じた地域創生
過疎地域の産業創出が待たれる
今や国土の約6割を占める過疎地域では過疎の進行が地域の魅力を損ね、さらなる人口減少を招く可能性も顕在化しています。一方、過疎地域の多くが長らくわが国の一次産業を支えてきた事実があります。沿岸部では水産業界の高齢化や人手不足が深刻化し、魚食文化の衰退ひいては食糧自給率の低下が危惧されています。こうした課題の解決手段の一つが陸上養殖です。陸上養殖は、海面養殖より高度な技術が求められる一方、生育環境を制御しやすく安定した生産量が見込めます。漁業権も不要で、ICTの活用により未経験でも参入しやすいため、地域の新たなビジネスチャンスとして期待が高まっています。
陸上養殖ICTプラットフォームの提供価値
誰でも参加できる陸上養殖を
NTTドコモビジネスは、東日本大震災の被災地支援をきっかけに海の状態を“見える化”する「ICTブイ」を開発し、全国の漁業現場における課題解決に挑んできました。その後、沖縄で先進的なろ過技術を持つ紅仁（株）との共同研究の機会を得て、2024年12月には循環式陸上養殖の研究・開発・提供を行うグループ会社（株）NTTアクアを立ち上げました。
両社がめざす「誰でも参加できる陸上養殖」の強みは、紅仁が保有する先進的なろ過技術を中心とした陸上養殖設備とICT/AIを融合したことにあります。従来の一般的な生物ろ過槽とは異なるろ過方式は、メンテナンスが容易で生産効率を大幅に向上し、また生物ろ過槽が不要のため面積効率が良く、廃校や空き施設など未利用資源の活用につながる可能性があります。一方、NTTアクアは、陸上養殖の日常を支えるICTプラットフォームの構築を担いました。「ICTブイ」のノウハウを活かし、センサーで取得する水質、水温等の情報や養殖設備の状態などを把握できるダッシュボードの開発により、プラットフォーム上の情報を一元管理し、異常時には遠隔で養殖事業者をサポートします。
現在は実際に養殖して育てた高級魚であるハタ系の魚種に絞ってチューニングを施した養殖設備／ICTシステムの提供から、養殖コンサルや遠隔オペレーション支援、エサ開発・販売まで一気通貫のサービスを展開しています。今後は実績を積み上げ、AI分析等を重ねることで、より生産効率が高いシステムへと進化を図り、陸上養殖の可能性を広げていきます。
全国に陸上養殖の輪を広げたい
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株式会社NTTアクア 代表取締役 社長
山本 圭一NTTアクアは「陸上養殖を起点に“地域が元気になるストーリー”を地域と共に創る」をミッションに掲げています。まだ事業はスタートしたばかりですが、それぞれの地域のリアルな現状や要望に耳を傾けつつ展開することで、地域の再生や再発展の一端を担う可能性があると考えています。今は魚種を限定した展開ですが、今後、事業を通じてデータを蓄積し、AI分析等を進めていくことで、扱える魚種も増えていく見込みです。さらに将来的には、陸上養殖に使用した排水を活用して生態系や環境保全につなげる研究も大学と共同で進める予定です。まずは我々が提供するソリューションを通じて全国各地で陸上養殖への新規参入を増やし、そこでビジネスとしてしっかりと成功を収めてもらうことで、ひとつでも多くの地域が元気になっていくことをめざしています。
※本記事の内容は2025年7月現在の事実にもとづくものです。
