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2026年2月13日

選手として活躍後、ろう者サッカー協会の専務理事として普及活動に奮闘

NTTドコモビジネスは、フレックスやリモートワークなどの制度が充実しており、柔軟に働く環境が整っています。今回は、デフサッカーの選手として活躍後、普及活動に力を注いでいる関西支社の浜津哲也さんにお話を伺いました。

デフサッカーと出合い、日の丸を背負って国際舞台へ

浜津さんは、11月に開催された東京2025デフリンピック(以下、デフリンピックまたは今大会)に一般社団法人日本ろう者サッカー協会(以下、ろう者サッカー協会または協会)の専務理事として、デフサッカーの広報も兼ねてチームに帯同した。

デフサッカーとは、聴覚障がいを持った人たちが行うサッカー。競技中は、補聴器を外し、笛の音も聞こえない環境下でプレーする。現在、国内の競技人口は約300人。主な国際大会として、4年に1度開催されるデフリンピックやデフサッカーワールドカップ(以下、W杯)が開催されている。

浜津さんは、幼い頃から耳の聞こえにくさは多少あったが、ろう学校ではない小学校に通っており、小学2年生から大学卒業まで健常者の中でサッカーを続けてきた。そんな彼がデフサッカーに出合ったのは、ずっと後のことだった。

「デフサッカーという競技があることを友人から教えてもらったのは、30歳手前でした。正直、もっと早く出合いたかったという思いはありましたが、その存在がとにかくうれしくて。デフサッカーなら日本代表選手になれるかもしれないと希望がふくらみました」

その思いは、31歳で実現した。デフサッカーの存在を知り、大学で競技を引退していたが、5人で行うデフフットサルで競技者として復帰した。その後、デフフットサルの日本代表選手に選ばれた浜津さん。2010年のW杯アジア予選、2011年のW杯への出場を果たした。
「サッカーを続けてきた私にとって、日本代表選手として日の丸を背負い国際大会に出場することは、まさに夢の舞台。国を代表して戦うという重みが感じられる、貴重な体験をさせていただきました」

スウェーデンで開催された2011年デフフットサルW杯の
記念撮影(後列左から2番目)
スウェーデンの新聞記事にも掲載

デフサッカーに魅せられた思い

デフサッカーの日本代表選手を経て、現在、浜津さんはろう者サッカー協会の専務理事の他、一般社団法人 日本障がい者サッカー連盟の理事も務めている。

「私自身、選手時代には日の丸を背負ってプレーすることに、特別な思いがありました。その価値に障がいの有無は関係ないと思っています。ただ、15年ほど前の障がい者スポーツの環境では、デフサッカーの競技にかかる費用は全て自己負担。その環境で戦い続ける過酷さを体験し、改善したいとの思いから、選手引退後に協会の活動に加わりました」

今、課題の一つに挙げられるのが、まだまだ低いと感じるデフサッカーの知名度。

「聴覚障がいがあり、サッカーもやってきた、そんな環境にあった私でさえ、デフサッカーという存在を長い間知らずに大人になっていました。同じような方が大勢いるのではないでしょうか」

今年開催されたデフリンピックの知名度も同様でまだまだ低い。しかし、1924年にフランスで初開催され、実はパラリンピックより歴史が古い。浜津さんはデフサッカーの魅力を次のように語る。

デフサッカーの合宿にて代表選手たちと

「デフサッカーは、見た目には健常者のサッカーとの差が分かりにくいと思います。ただサッカーが好きな人なら、試合を見ていただければ、スピード感やテクニックなどに、純粋なスポーツとしての魅力を感じてもらえるはずです」

世界的に見ても日本代表チームは実力もあるという。今大会では、デフサッカーの日本代表チームは、男女ともに銀メダルに輝いた。

「世界一を目標に取り組んできたので、正直あと一歩という思いがありました。ただ、男女ともにメダルを獲得したのは史上初の快挙であり、一定の成果が残せたと思っています。2029年にギリシャで行われる次回大会では、全力で優勝をめざします。また、2031年のデフサッカーW杯は、日本で開催できるよう準備を進めています」と、熱い思いを語った。

浜津さんは、デフリンピックで高円宮久子殿下の案内役も務めた。
「普段は裏方業務が中心ですが、今大会では大変光栄なお役目を頂き、殿下の素晴らしいお人柄に触れることができ、感動いたしました」

柔軟な働き方によって、仕事と協会業務の両立をめざす

浜津さんは、9月にNTTドコモビジネスの関西支社に入社した。転職のきっかけは、働き方の改革が必要になったためだという。

「デフサッカーの競技レベルや知名度が少しずつ高まるにつれ、ろう者サッカー協会の業務に追われるようになり、前職の仕事と協会業務の両立が難しくなりました。そのため、転職を決意しました。入社したばかりで、業務内容を十分に理解できているとは言えませんが、NTTドコモビジネスのデフサッカーへのご理解や柔軟な働き方ができているおかげで、仕事と協会業務を両立できています」

少しずつではあるが、近年サッカー業界ではデフサッカーの認知度が進み、デフサッカー選手の育成環境は改善されてきたという。世界大会などに出場する日本代表レベルの選手は、アスリート契約によって月に数回の出社や午前のみの勤務が可能になった。合宿やイベント時の特別休暇、交通費の企業負担などのサポートを受けている。一方、ろう者サッカー協会の理事やスタッフは、ほとんど収入がなく、大会への参加も個別で有給休暇を取得して対応しているのが現状だ。

「私は、協会業務を通常の仕事終了後、毎日平均1~2時間程度行っています。転職したことで会社のフレックス制度やリモートワークを活用し、移動時間を協会業務に充てられるのは、大変助かっています。また、長期休暇についても取りやすい環境のため、国際大会への帯同もしやすく、どちらの業務も柔軟にできると期待しています」

その他、協会の仕事の一環として、さまざまなイベント出席や取材対応もしている浜津さん。12月19日には、「JFA PARTNERS GALA 2025」のイベントに出席。日本代表監督である森保一さん(以下、森保監督)を始め、多くの日本代表OBの方と情報交換を行いました。

ろう者サッカー協会の理事やスタッフの多くは、元デフサッカー選手。現役選手たちが引退後も安心して働ける環境をつくることも、ろう者サッカー協会の大きな役割だと感じている浜津さん。

さらに、協会の仕事や自身の使命について話してくれた。

協会では、学校への講演や教科書などの制作に協力する
機会もあるそう

「私の子どもたちも聴覚障がいがあります。うちの場合は、夫婦共にろう者だったので、子どもも同じ障がいがでるのは覚悟の上でした。しかし、子どもの通う学校には夫婦共に健常者で、お子さんがろう者というケースが多くみられます。ご家族の悩みは深く、どう育てていけばいいのかと苦しんでいらっしゃいます。私の場合は、聴覚障がいがあっても自分自身がスポーツを続け、大学にも通い、就職した経験から、幸せに生きていけると身をもって知っています。それを伝えるためにも、デフサッカーの存在意義は大きいといえます。ハンディがあっても、スポーツを楽しみ、日本代表選手をめざせるということを広く伝えることで、将来に希望を持てるご家庭がいらっしゃるはずです」

一方、NTTドコモビジネスの仲間たちと共に仕事をする上で、どのようにコミュニケーションを取っているのだろうか。

「私の場合は、生まれつきではなく途中から耳が聞こえにくくなったため、騒がしい場所でなければ補聴器を付けて会話することができます。オンライン会議では、Teamsの音量調整や字幕機能を活用することが、大きな助けとなっています」

浜津さんによると、デジタル技術が急速に進化している一方、補聴器の精度は昔とさほど変わらないという。ろう者を取り巻く環境は、まだまだ改善の余地があり、周辺機器の開発はNTTドコモビジネスとの親和性が非常に高い。

「将来的に、AIを活用した手話翻訳機能、医療分野(補聴器・人工内耳)、スポーツ分野(AIカメラ)、介護分野などの開発は、大きな可能性が感じられます。開発において、私の経験や視点がお役に立てるなら、ぜひお声掛けください」

技術革新によって、障がい者スポーツシーンを塗り変えたい

テレ東スポーツのYouTubeチャンネルの取材を受けデフサッカーを
広くアピール。取材に来た中澤佑二選手と記念撮影

聴覚障がいに限らず、全ての障がい者スポーツに共通する課題は、資金不足と知名度の低さと浜津さんは考えている。今大会では、テレビやメディアの放送はほとんどなかった。

「デフサッカーでは、今大会ではクラウドファンディングを行って資金を募り、AIカメラを活用して全試合をYouTube配信しました。同時に、ホームページやSNSで積極的に情報発信し、Instagramでは215万人の閲覧数と2.3万件の“いいね”を頂きました!」

今大会での活動を通して、障がい者スポーツの可能性とNTTドコモビジネスの親和性を強く感じたという浜津さん。将来的には、Lemino(レミノ)やSpoLive(スポライブ)などで当たり前に障がい者スポーツを観戦でき、“投げ銭”などで選手や団体を支援できる仕組みを構築したいと考えているという。さらに今大会、現地へ応援に駆け付けてくれたろう者の人たちに対し、通訳不足を解消できたらと強く感じたそうだ。

「AIによる手話と音声のスムーズな通訳機能、集客予測の精度向上の機能を取り入れることで、今後は多くの障がい者スポーツシーンを変えていけたらと願っています」

最後に、NTTドコモビジネスグループで働く意欲を聞いた。

「入社したてで大きなことは言えませんが、社長や支社長のお言葉からも、NTTドコモビジネスグループは世界を舞台に活躍している、まさに日本を背負って戦っている企業だと感じます。日本や世界を変える、そんなわくわくする気持ちを胸に、皆さんと共に日々の業務に前向きに取り組んでいきたいと思っています」

社員メッセンジャー

NTTドコモビジネス関西支社

浜津 哲也

2025年9月に入社。前職の製薬会社では事務職を経験し、新たに未経験である業界へ飛び込んだ。真剣にやりがいを持って仕事をすれば必ず成長できると信じ、日々前向きな気持ちで挑戦中。デフサッカーの代表選手、協会運営の経験を今後の障がい者スポーツ分野、医療分野の改善、AI技術の向上などに生かしたいとの思いを持つ。

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