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2025年12月に施行「スマホソフトウェア
競争促進法」とは何か?

2025年12月に施行「スマホソフトウェア競争促進法」とは何か?

スマートフォン市場では、OSやアプリストアを提供する一部のプラットフォーマーに影響力が集中しています。こうした状況を是正するために制定されたのが、2025年12月に施行された「スマホソフトウェア競争促進法(スマホ新法)」です。同法では、アプリ配信や課金・決済、検索・ブラウザの初期設定などを巡るルールを見直し、サイドローディングやチョイススクリーンといった新たな仕組みによって、公正な競争環境の確保を目指しています。スマホ業界はどのように変わるのか、新法のポイントを解説します。

目次

2025年12月に施行
「スマホソフトウェア競争促進法」とは何か?

2025年12月に、「スマートフォンソフトウェア競争促進法」(正式名称:スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律、以下スマホ新法)という法律が施行されたことをご存じでしょうか。この法律は、スマートフォン市場において圧倒的な影響力を持つ大手プラットフォーマーを規制し、公正な競争環境を確保するための法律です。

公正取引委員会のサイトでは、このスマホ新法を解説する専用のページが公開されています。同サイトによれば、この法律は特定の有力なプラットフォーマーを「指定事業者」として定義し、その行為を厳格に管理するものとされています。指定事業者が遵守すべき主な禁止事項および義務事項は、以下のとおりです。

  • 自社以外のアプリストアの利用を妨げないこと(サイドローディングの容認)
  • アプリ内課金において、自社の決済システムの利用を強制しないこと
  • ブラウザや検索エンジンなどの初期設定を、自社製品に固定しないこと(チョイススクリーン)
  • 検索結果において、自社サービスを他社より不当に優先して表示させないこと

公正取引委員会では、スマホ新法におけるこうしたルールの新設により、スマホユーザーが多様なサービスを選択できるような競争環境が整備され、様々な主体によるイノベーションが活性化し、良質で低廉なサービスやこれまでにない新たなサービスが提供されることが期待されるとしています。

スマホ新法の特徴と期待される変化
スマホ新法の特徴と期待される変化
(公正取引委員会「スマホソフトウェア競争促進法 スマホをお使いのみなさまにとってのメリットを解説」より引用)

もし事業者がこれらの規定に違反した場合、国内売上額に対し「20%」の課徴金が課される規定となっており、違反の態様や悪質性によっては、「30%」というさらに重い制裁が科される仕組みとなっています。ちなみに現行の独占禁止法では、課徴金の算定率は最大でも売上額の「10%」までのため、スマホ新法には非常に重いペナルティが設定されているといえるでしょう。

プラットフォーマーの独占が、市場に落とす影とは

スマホ新法の背景には、特定のプラットフォーマーによる市場の独占と、それによる競争の停滞があります。現在のスマートフォン市場は、OSおよびアプリストアの双方が、Apple (日本ではiTunes株式会社を含む)、Googleの2社に集中しているのが実情です。

公正取引委員会が発表した「スマホソフトウェア競争促進法の全面施行に向けた 公正取引委員会における取組の状況」という資料では、スマホ新法施行前の市場の課題が詳しく指摘されています。

一例としては、アプリ開発者がAppleやGoogleのアプリストアで支払う手数料の割合が非常に高額であることが指摘されています。一部報道では、その割合は最大30%ともいわれており、たとえば1000円のアプリが売れた場合、開発者は700円、アプリストア側は300円の割合で分けられることになります。こうしたコストは、最終的にサービスの利用料金に転嫁され、消費者の負担が増大、外部の安価な決済手段への誘導を阻害する要因にもなりえます。

加えて、アプリストア内から入手したアプリで有料サービスを利用する場合、その支払い方法がプラットフォーマー独自の課金システムを利用することがデフォルトとなっていました。つまりアプリのユーザーは、決済手段の選択肢が、プラットフォーマーが用意する決済方法を受け入れるしかありませんでした。

資料ではこうした「囲い込み」を解消し、公平な競争の場を取り戻すことが、日本のデジタル経済にとって喫緊の課題であるとの見解が示されています。

こうした大手プラットフォーマーに対する規制は、すでに欧州ではスタートしています。たとえば2023年から本格的に適用が始まったデジタル市場法(Digital Markets Act、略称はDMA)では、OSや検索、SNSや広告、アプリストアやクラウドサービスなど、幅広いデジタルプラットフォームを対象に、競争制限的な行為の規制を行っています。一方のスマホ新法では、あくまでもスマホ市場に最適化されたルールとなります。

第三者のアプリストアが登場!?
ブラウザ・検索エンジンはすでに選択可能

スマホ新法の施行により、今後はアプリ配信や決済の選択肢が大幅に広がることが予測されます。

具体的には、AppleやGoogle以外の事業者が運営するアプリストアが登場し、これによってアプリの入手ルートが多様化する「サイドローディング」(Sideloading:第三者が運営するアプリストアなど、公式ストア以外の経路からアプリを入手すること)が一般的になると予想されます。その結果、開発者は手数料の低いプラットフォームを自由に選択できるようになり、ひいてはユーザーがより安価なサービスを享受できる可能性もあります。

利便性が向上する反面、安全性の確保が重要な課題になるという懸念もあります。たとえばセキュリティ対策が不十分なストアからアプリを入手した場合、ウイルス感染や不正プログラムのリスクが高まることになります。サイドローディングのストアの運営者と利用者には、相応のセキュリティ対策が求められるといえるでしょう。

同法施行直後の2025年12月には、ブラウザや検索エンジンなどの初期設定を自社製品に固定しないための取り組みがスタートしています。具体的には端末購入後の初期設定時などに、ブラウザや検索サービスが選択できる「チョイススクリーン」画面が新たに表示されます。

このチョイススクリーンで選んだブラウザや検索エンジンは、以降のデフォルトアプリとして設定されます。これにより、大手プラットフォーマーから強制された検索エンジンではなく、自分の好みのブラウザや検索エンジンを利用することが可能になります。公正取引委員会では、チョイススクリーンに関する特設サイトも開設しています

端末購入後の初期設定時などに、ブラウザや検索サービスを選択できる画面(チョイススクリーン)が新たに表示されるようになった
端末購入後の初期設定時などに、ブラウザや検索サービスを選択できる画面(チョイススクリーン)が新たに表示されるようになった
(公正取引委員会「選ぼう!じぶんブラウザ」サイトより引用)

スマホ新法は、プラットフォーマー主導だったスマートフォンの世界を、利用者と事業者の選択に委ねる第一歩といえます。一方で、これまではプラットフォーマーが一定レベルで保証していたアプリの安全性を、ユーザー側が検証する必要も出てきています。利便性だけでなく安全性も含めて端末やサービスを選ぶという視点が、これからのスマートフォンユーザーの新たな前提となるかもしれません。

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