中小企業はデジタル化が進んでおらず、
そのための人材も足りていない
ビジネスの生産性を向上したり、業務を効率化するためには、アナログな業務のデジタル化が欠かせません。しかしながら、中小企業のデジタル化はなかなか進んでいないようです。
総務省が2024年7月に公開した資料「令和6年版 情報通信白書」によると、デジタル化の取組状況について「未実施」と回答した割合は、大企業では約25%だったのに対し、中小企業では約70%と、7割の中小企業がデジタル化に取り組んでいないことが分かりました。
中小企業の場合、事業のデジタル化を進めようとしても、そもそも人材が足りず、業務の転換ができないという側面もあるかもしれません。
中小企業庁が2024年5月に発表した「2024年版 中小企業白書」によると、中小企業が抱く最も優先度が高い経営課題のトップが「人材の確保」(46.6%)で、2位の「人材の育成」(13.1%)、3位の「財務・資金繰りの改善」(7.5%)を大きく上回りました。
同資料では、人口減少トレンドが続く日本において、人材の確保は中小企業にとって避けては通れない経営課題であるとしています。
業務の省力化につながる製品の導入で、
最大「1,500万円」が補助される!
このように中小企業で人材不足が課題となるなか、中小企業に限定した業務の省力化を支援する助成金や補助金も存在しています。こうした支援を受けることで、たとえ人材や資金が少ない中小企業でも、生産性の向上や業務の効率化を推進することが可能です。
2024年6月にスタートした「中小企業省力化投資補助金」も、中小企業の省力化をサポートする支援事業のひとつです。
この補助金は、中小企業がIoTやロボットなどによる生産性向上や業務効率化、人手不足の解消に効果が期待される製品を購入した際、その購入額の一部を補助するものです。対象となる製品は、補助金のサイトの「製品カタログ」ページに掲載されており、業種ごとに絞り込んで検索することが可能であり、「カタログ注文型」と呼ばれています。
補助率は購入額の1/2で、補助額の上限は、従業員数が5名以下の場合は200万円、6~20名が500万円、21名以上が1,000万円です。さらに、補助事業の実施期間中、従業員の給与支給額の総額を6%以上アップし、かつ事業所内の最低賃金を45円以上プラスするなど、一定以上の賃上げを実施した場合、補助額の上限は300万円(5名以下)/750万円(6~20名)/1,500万円(21名以上)に増額されます。
(中小企業省力化投資補助金のPDF資料より引用)
「清掃ロボット」や「検品・仕分システム」も
補助の対象
この中小企業省力化投資補助金の特徴のひとつに、対象となる製品がカタログにて指定されている点にあります。
たとえば小売業では、清掃業務を自動で行う「清掃ロボット」や、倉庫内の商品を自動で搬送する「自動倉庫」、これまでは目視で行っていた検品や仕分け業務を無人で行う「検品・仕分システム」などが、カタログにラインナップされています。
(中小企業省力化投資補助金のPDF資料より引用)
このほか製造業では、人による手貼り作業を機械による自動貼り作業にする「オートラベラー」、ルートを設定するだけで、自動で搬送を行う「無人搬送車(AGV/AMR)」も、カタログに掲載されています。
カタログには現在、10の業種(飲食サービス業/宿泊業/製造業/卸売業/小売業/倉庫業/印刷・同関連業/建設業/専門・技術サービス業/産廃物処理業)に関連する、全149件の製品が掲載されています(数値は2024年9月2日時点)。カタログの商品は随時更新されている模様です。
なお、カタログに掲載された製品を選んで導入する「カタログ注文型」に加え、現場に合わせて設備やシステムを構築する「一般型」もあります。一般型は、IoT・ロボットなどを組み合わせた“オーダーメイド”の省力化投資にも対応し、補助上限が最大1億円と規模の大きい投資も対象です。
現場に合わせた“オーダーメイド”の省力化投資を支援
カタログ注文型が「カタログ掲載の汎用製品を選んで導入する」制度であるのに対し、一般型は、個別の現場や業務に合わせた設備導入・システム構築など、多様な省力化投資を支援する類型です。たとえば、ロボットやセンサー、IoTを組み合わせて工程全体を自動化する、といった現場最適の投資も検討しやすくなります。
一般型は従業員数により上限が変わり、最大で8,000万円(要件を満たすと1億円)まで対象となります。補助率は、中小企業で1/2(一定条件で2/3)、小規模企業者・小規模事業者等は2/3とされています。
さらに、補助事業の実施期間中、従業員の給与支給額の総額を6%以上アップし、かつ事業所内の最低賃金を50円以上プラスするなど、一定以上の賃上げを実施した場合、補助額の上限は1,000万円(5名以下)/2,000万円(6~20名)/4,000万円(21名~50名)/6,500万円(51名~100名)/1億円(101名以上)に増額されます。
(中小企業省力化投資補助金のPDF資料より引用)
カタログ注文型と一般型、選び方の考え方
同じ「省力化投資補助金」でも、製品を選んで導入するか、現場に合わせて構築するかで適した類型が変わります。
カタログ注文型:カタログ掲載の汎用製品を選択して導入。上限は従業員数により最大1,500万円(賃上げ要件達成時)で、比較的導入イメージを固めやすい類型。
一般型:個別の現場に合わせた設備導入・システム構築など“オーダーメイド”の省力化投資に対応。上限は最大1億円で、より大きな投資・全体最適を狙う場合に検討しやすい類型。
申請から補助事業完了までの流れ
中小企業がこの補助金を申請する場合、「カタログ注文型」は随時受付、「一般型」は公募回制で、申請できるタイミングが異なります。
カタログ注文型の場合、中小企業が申請を行うためのフォームの入口は用意されていません。中小企業が申請するためには、対象製品ごとに記載されている販売事業者(事業者情報に宛先記載)に連絡し、販売事業者から送られた招待メールからマイページを開設することで申請フォームに入ることが可能です。中小企業は販売事業者と共同で事業計画を策定し、公募期間内に事務局に対し申請を行います。
補助金の採択・交付決定が通知された場合、そこから12カ月間が補助事業実施期間となります。中小企業はこの期間で省力化製品を導入し、事業計画の達成を目指す取り組みを行ったうえで、事務局に事業実績報告を提出します。この報告を事務局が審査し、問題ないことが確認された場合、補助額が確定し、補助金が交付されます。
さらに、補助金の交付から5年間は「効果報告期間」として、製品の使用状況や生産性の向上状況、賃上げの状況を毎年事務局へ提出することが求められます。
(中小企業省力化投資補助金のPDF資料より引用)
応募は現在も受け付けており、現時点では応募の締め切りについて特に設定されていません(2026年2月時点)。人手不足に悩む中小企業や、ちょうど省力化に資する製品の導入を検討している中小企業は、利用する価値があるといえそうです。
こうした中小企業を支援する補助金・助成金制度は、ほかにも「IT導入補助金2024」など数多くの施策が実施されています。自社がどんな補助金・助成金の交付が受けられる可能性があるのか、どんなIT機器を導入すべきなのかが分からない場合は、補助金・助成金を申請するサポートサービスに相談すると良いでしょう。
一方、一般型は公募回制で、年3〜4回の公募が予定されています。直近の第5回は、2026年2月2日(月)から2月27日(金)17:00まで応募申請を受け付けていました。
今後も、採択発表日は回次ごとに更新されるため、応募前に公式のスケジュール表で最新情報を確認してください。
(中小企業省力化投資補助金のPDF資料より引用)
こうした中小企業を支援する補助金・助成金制度は、ほかにも「IT導入補助金2026」など数多くの施策が実施されています。自社がどんな補助金・助成金の交付が受けられる可能性があるのか、どんなIT機器を導入すべきなのかが分からない場合は、補助金・助成金を申請するサポートサービスに相談すると良いでしょう。








