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筋トレは「最強の自分」となって人生を好循環させるトリガーだ(Vol.1)
データが語るフィットネス業界の再成長
国内のフィットネス業界の市場ピークは2018年。会員数337万人、売上高3372億円に達し、その後も堅調な拡大が見込まれていました。
しかし2020年、新型コロナウイルスの流行により状況は一変。外出自粛や感染症予防のために「三密」を避ける生活様式が推奨されるなかで、業界は急激な落ち込みを経験します。
その後、2024年には会員数288万人、売上高2910億円にまで回復。V字回復とまではいかないものの、着実な持ち直しを見せています。
テレワークや在宅勤務など、働き方の多様化に伴う運動不足や体重増加は、ビジネスパーソンにとって他人事ではありません。市場もまた、そうした「新たな健康ニーズ」に応えるかたちで大きな変化を遂げています。
その象徴が、フィットネス施設数の増加。矢野経済研究所の調査によると、2020年10月に7893施設だった全国のフィットネス施設総数は、2024年に1万2000施設を超え、そのうち約3分の1を24時間型ジムが占めています。
「好きな時間に、低価格で、気軽に始められる」業態が、これまで運動習慣のなかった層を大きく取り込んでいることがわかります。
第1回でビジネスパーソンにとっての筋トレのメリットを語ってくれた日本体育大学教授の岡田隆さんは、こうした流れを「筋トレのインフラ化」と表現しています。
「ここ10〜15年ぐらいのスパンで分析すると、筋トレブームの背景には、参入ハードルが段階的に下がってきた流れがあります。
かつては、そもそもジム自体多くありませんでしたし、一部の人が好んでやっている状態でした。しかしRIZAPがテレビCMを通じて“筋トレと食事でダイエットできる”という認識を社会に広く浸透させました。これにより、筋トレは一部の愛好家のものから、一般にも選択肢として意識される存在へと変わっていきます」(岡田さん)
その後、ANYTIME FITNESSのような24時間ジムの普及によって時間の制約が取り払われ、さらに低価格帯ジムの登場で金銭的なハードルも下がりました。近年はchocoZAPのようなライト層向けサービスが入口となり、そこから本格的なジムへ移行する流れも生まれています。
「コンビニで手軽に“たんぱく源”のサラダチキンやプロテインドリンクが購入でき、駅前には24時間ジムが立ち並んでいます。やろうと思えばすぐに筋トレを始められる環境が整ったことで、筋トレは特別な行為ではなく、日常の選択肢としてインフラのように定着し始めているのです」(岡田さん)
地方で広がる“通い続けられるジム”の条件
東祥(本社・愛知県安城市)が運営する地方発の総合型ジム・ホリデイスポーツクラブの担当者も、フィットネスのトレンドについて次のように語ります。
「コロナ禍以降、フィットネス業界の多様化が一気に加速しました。24時間ジムのようなコンビニ型ジムや、マシンピラティススタジオなどの出店は1つのトレンドですし、低価格帯を軸にした価格競争も生まれています。
一方で、我々のような総合型フィットネスジムも、独自の強みを生かしながら、ほかにはない価値を提供しています」(ホリデイスポーツクラブ)
全国に95店舗を展開するホリデイスポーツクラブでも、コロナ禍を乗り越えたいま、利用者が徐々に回復・増加しているといいます。
「ホリデイスポーツクラブは、“基幹ロードサイド型の出店”と“初心者フレンドリーな総合型ジム”という明確なコンセプトを長年にわたって掲げてきました。ジムエリアに加え、スタジオ、プール、お風呂やサウナといった設備を完備し、運動経験にかかわらず皆さまが安心して通える環境を整えています」(ホリデイスポーツクラブ)
ロードサイド立地で全店広い駐車場を完備し、車社会の地方における通いやすさを意識した出店計画。都市圏の24時間ジムとはまた異なるアプローチで、地方や郊外を中心に「気軽に通って、身体を動かしたい」というニーズに応えます。
実際に、2025年12月に取材で訪れたホリデイスポーツクラブ相模原店では、朝10時のオープン前から開店待ちの列ができ、11時にはマシンの約半数が稼働。スタジオレッスンも朝から満員御礼の活況を見せていました。
(ホリデイスポーツクラブ相模原・水井祐輔店長)
平日午前ということもあり、シニア層の利用が目立つ一方、30〜40代の男性がマシントレーニングに励む姿もちらほら。近年は筋トレを目的に入会するビジネスパーソンも増えているそうで、マシン構成の見直しなど、時代のニーズに合わせた進化を続けています。
筋トレは、もう特別な挑戦ではない
好調な回復を見せるフィットネス業界において、業態を問わずに共通する課題は「始める」ことよりも「継続」すること。
近年活況の24時間型ジムにおいては、自由度が高いゆえにやり方がわからずに挫折してしまったり、「継続するモチベーションを保つのが難しい」と、習慣化できずに離れてしまったりする人が一定数いるのも事実です。
総合型ジムでも、会員の新規獲得と同様に「いかに継続してもらうか」は重要な課題です。ホリデイスポーツクラブは、その解決策を「人」と「コミュニティ」に見出しています。
「初回説明会やスタジオプログラムといった“人のサポート”を通じて、1人ではなかなか続かない運動習慣が定着する仕組みづくりに注力しています。
近年は、謎解きとフィットネスを融合させた『ホリデイホラーナイト』といった参加型イベントを開催するなど、施設をコミュニティのハブとしてより楽しく使っていただけたらと思っています」(ホリデイスポーツクラブ)
筋トレブームは一過性のものではなく、筋トレはもはや地方においても特別な趣味ではありません。ボディメイクにとどまらず、ヘルスケアやメンタルの安定を支える習慣として、ビジネスパーソンの日常にも静かに、しかし確実に根づき始めています。
出勤前や仕事帰りに24時間ジムへ立ち寄る人もいれば、休日に総合型ジムで汗を流したあと、併設のサウナでリフレッシュする人もいる。その選択肢の広がりこそが、筋トレ文化の成熟を物語っています。
「ホリデイスポーツクラブでも、新年を迎えて一念発起する1月や、生活環境が変わる3〜4月は入会者が増加する時期です。これまで運動と縁のなかった方も、フィットネスという新しい習慣づくりを始めやすいタイミングといえます」(ホリデイスポーツクラブ)
2026年もすでに大きく動き出しています。仕事もプライベートも充実させて最高のスタートを切るためにも、今年こそ自分に合ったスタイルのジムを見つけて、筋トレを始めてみたいものです。
この記事はNTTドコモビジネスとNewsPicksが共同で運営するメディアサービスNewsPicks +dより転載しております。
取材・文:吉信武
撮影:菅井淳子
編集:久遠秋生
バナー写真: baona/gettyimages
デザイン:山口言悟(Gengo Design Studio)








