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「なんとなく怖い」を因数分解する。
リスクベース・アプローチのすすめ(Vol.3)

「なんとなく怖い」を因数分解する。リスクベース・アプローチのすすめ(Vol.3)

「AIを使うのはリスクがある」「何かあったらどうするんだ」——ここまでの連載ではルール作りの基本を紹介してきましたが、もしあなたの会社の現場や経営層に“変化への恐怖”が根づいていたら、それを払拭するのは簡単ではないでしょう。しかし、リスクを恐れて立ち止まることは、最大の機会損失にもなりかねません。 最終回では、AIガバナンス協会の佐久間弘明氏と、弁護士で同協会リサーチフェローの宮原瑞穂氏とともに、正しく恐れ、メリットを最大化するための思考法「リスクベース・アプローチ」について考えます。

この記事はNewsPicksとドコモビジネスが共同で運営するメディア「NewsPicks+d」編集部によるオリジナル記事です。ビジネスやキャリアに役立つコンテンツが無料でご覧いただけます。 NewsPicks+d 詳しくはこちらをクリック
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目次

「AIが怖い」の正体を突き止める

「便利な部分があるのはわかるけれど、業務に使うのはなんとなく怖い」。そう感じている人は少なくないかもしれません。

佐久間氏は、この不安には2種類あると分析します。ひとつは、AIに仕事が奪われるのではないか、支配されるのではないかという漠然とした恐怖。もうひとつは「偽情報を出したり、差別的な判断をしたりする」という実務上のリスクへの懸念です。

佐久間「ビジネスの現場で向き合うべきは、現状はどちらかと言えば後者ですが、多くの場合、この怖さを過大に見積もってしまっているように感じます。ぜひ知ってほしいのは、『リスクベース・アプローチ』という考え方です」

「議事録生成」と「人事評価」のリスクは違う

リスクベース・アプローチとは、簡単に言うと「ハイリスクなものは厳重に、ローリスクなものはゆるやかに」管理する考え方です。

佐久間「例えば、会議の議事録をAIで要約するのと、AIに新卒採用の合否判定を任せるのでは、リスクの度合いがまったく違いますよね。議事録の要約であれば、多少の間違いがあっても人間がチェックすれば修正できます。これはローリスクなので、利用にあたっていちいち厳しい審査をせずにどんどん使えばいい。一方で、採用や人事評価にかかわる使い方は、公平性や人権にかかわるためハイリスクになり得ます」

すべてを一律の厳しいルールで縛ると、議事録作成のような日常的かつ生産性アップに直結する使い方もやりにくくなってしまいます。

「誰かを傷つける可能性はないか?」「影響を受けるのは誰か?」など、成果物が持つ影響力を考えることが重要です。

宮原「EUのAI法では、このリスクベース・アプローチに基づいて、AIのリスクを分類しています」

  • 社会的な行動や個人の特性に基づいて個人・集団を評価分類したり、潜在意識に本人の自覚のないまま働きかけたりするAIシステムは「許容できないリスク」として禁止
  • 採用や雇用、教育や職業訓練など人の評価にかかわる分野のAIシステムは、人の健康、安全、基本的権利に悪影響を及ぼす可能性がある「ハイリスク」として、開発や利用を厳しく規制

など段階を設けています。

宮原「この分類をそのまま業務に転用することは難しいと思いますが、理解を深めるために参照するのはおすすめです」

「EUのAI規制法案の概要」(総務省)より
「EUのAI規制法案の概要」(総務省)より

リスクとリターンをセットで考えて

佐久間氏が重要性を訴えるのは「リスクだけでなく、リターンとセットで考えること」。

佐久間「AIリスクというと、どうしても使った時のリスクを連想しがち。ですが、AIとの協働が当たり前になっていくであろうこれからの時代は『使わないこともリスク』と言えます」

AIを使えば圧倒的に業務効率が上がるのに、小さなリスクを恐れて使わないのはある意味で機会損失である、と強調します。

佐久間「経営判断や上長判断として、リスクとリターンを天秤にかけ『これだけのリターンがあるなら、最低限の対策をしたうえでGOを出す』という論理で意思決定ができるようになることが大切だと思います。マイナスの側面だけに目を向けると、どうしても『やらないほうが正解』になってしまいますから」

人口減少で人手不足が進むなか、業種や企業規模を問わず、AI活用は避けて通れません。佐久間氏は、小回りのきく企業こそチャンスがあると語ります。

佐久間「社員全員がAIを駆使して生産性を向上できれば、人数や規模ではかなわない企業にも対抗できるかもしれません。『怖いから使わない』ではなく、『正しく恐れて、賢く使う』。今一度、自分たちで議論し、納得できる活用指針を持つことが、迷った時の羅針盤になるはずです」

この記事はNTTドコモビジネスとNewsPicksが共同で運営するメディアサービスNewsPicks +dより転載しております。

取材・文・編集:山崎春奈
デザイン:山口言悟(Gengo Design Studio)

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