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【読書】トップリーダーの
入念な話し方の準備術

【読書】トップリーダーの入念な話し方の準備術

NewsPicks +d編集部が、本の要約サイト「フライヤー」とコラボし、NewPicks +dの読者向けに話題の書籍の要約をお届けする連載「10分読書 +d」。今回は『世界のトップリーダーが話す1分前までに行っていること』(PHP研究所)をお届けします。矢野香(やの かおり)氏は、長崎大学准教授でスピーチコンサルタント。心理学・コミュニケーション論を専門とし、NHKで17年にわたりキャスターを務め、ニュース報道番組で視聴率20%超を記録。現場経験をもとに博士号を取得し、大学での研究と並行して「信頼を勝ち取るスピーチ」を指導している。クライアントは上場企業役員や経営者、政治家など多岐にわたり、記者会見や株主総会など失敗が許されない場面で成果を発揮。著書には『その話し方では軽すぎます!』『最強リーダーの「話す力」』などのベストセラーがある。

この記事はNewsPicksとドコモビジネスが共同で運営するメディア「NewsPicks+d」編集部によるオリジナル記事です。ビジネスやキャリアに役立つコンテンツが無料でご覧いただけます。 NewsPicks+d 詳しくはこちらをクリック
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目次

トップリーダーは半年以上前から準備をする

入念な準備がプレゼンの成否を分ける

古今東西のトップリーダーは、話す前に入念な準備を行っている。なぜなら、自身の話を聞いてもらうことは、相手を動かす強力な方法だと知っているからだ。

トップリーダーとそのチームによる準備は、人前で話すことが決まったらすぐ始まる。毎年恒例なら3か月から半年前が目安だ。スピーカーを依頼されたら、即手帳にリハーサルスケジュールを記入する。

入念な事前準備をしていたトップリーダーの一例として、安倍晋三元首相が挙げられる。彼は2015年4月29日、米議会の上下両院合同会議で45分間にわたる英語の演説をした。その後、割れんばかりの拍手が沸き起こった。

安倍氏は毎日自宅で大声を張り上げて練習をしたという。英語の原稿からは、練習の跡がはっきりと読み取れた。マーカーで大事な部分に線が引かれ、「拍手を促す」といった伝え方の注意点も書き込まれていたのだ。

このように、準備や練習の量と成功の数は比例する。

最初に考える「3つの問い」

(写真:Vitalii Barida / gettyimages)
(写真:Vitalii Barida / gettyimages)

プレゼンテーションの予定が決まったら、最初にすべきことは次の3点を考えることだ。

  1. 目的は何か
  2. メインメッセージは何か
  3. あなたは誰か

1つ目は、なぜあなたがそのプレゼンをするのかである。プレゼンテーションの語源は英語のpresentであり、名詞で贈り物という意味だ。プレゼンはプレゼントと捉えることができる。

大切な人にプレゼントを送るとき、相手の好みや希望、ラッピングなどを考えるだろう。プレゼンでも同様に、どんな形式のプレゼンが受け入れられやすいか、相手がどんな話を聞きたいのかなど、聞き手の立場に立つことが重要となる。

話が終わった時点で聞き手にどうなっていてほしいのか、具体的な行動指標を設定しよう。話す目的は、情報提供(理解させる)、説得(賛同を得る)、行動変容(行動を促す)の3つに分けられる。

ゴールが情報提供の場合でも、聞き手が大事なところでメモをとるなど、確認できる行動を決めておきたい。

2つ目は、相手の記憶に刻み込ませたいメインメッセージを明確にすることだ。歴史上、名演説の多くはメインメッセージによって語り継がれている。人種差別の撤廃を呼びかけたキング牧師による「I Have a Dream」はまさにその好例だ。

メインメッセージを何回も繰り返すことで、記憶に残りやすくなる。聞き手が覚えやすいように、メインメッセージは短くする必要がある。日本語の場合、13文字を目安に一息で話すとよい。

3つ目は、「あなたは誰か」という点だ。トップリーダーは、その人でないと話せない話を伝える人である。社会で求められる話す力は3つの階層から成る。第1階層は好感を得ること。第2階層はわかりやすく伝えること。そして第3階層は影響力を持つことであり、トップリーダーにはこの第3階層が求められる。

セルフ・パペットを操る

第3階層で伝えるには、セルフ・パペットの出番となる。セルフ・パペットとは、自分の操り人形のことで、人前に立つときの方法として著者が名づけた呼び方だ。「リーダーとしての自分」を操り人形のように俯瞰し、「それを操る自分」と分けて考えるのだ。

歴史に名を残すリーダーたちは、リーダーとしての自分を演じることで、人々を動かしてきた。なりたいリーダーとしての自分をセルフ・パペットとして設定し、それを俯瞰しながら操り人形のように動かしていこう。

セルフ・パペットを設定すると2つの利点が得られる。

それは、自信がなくてもリーダーになれることと、自分の心を守れるということだ。他人から批判や中傷をされても、セルフ・パペットとそれを操る自分を切り離せば、人格を否定されたわけではないと思えて心を守りやすくなる。

なりたいリーダー像に近づくために

(写真:takasuu / gettyimages)
(写真:takasuu / gettyimages)

なりたいリーダー像をセルフ・パペットに設定するには3つのステップがある。ステップ1では、セルフ・パペットの種類を選ぶ。親しみやすさ、活動性、社会的望ましさから、理想とするリーダー像に近い姿を選ぼう。

ステップ2は未来の自分を先取りすることだ。社会人なら5年先が目安となる。将来の理想のリーダー像をイメージし、少しずつ実践していく。

ステップ3は新しいセルフ・パペットに変更することだ。

理想像は少し背伸びをしたくらいがよい。成長期に制服を数年単位で新調するように、人間的に成長したい場合はセルフ・パペットを新調しよう。新たなセルフ・パペットはあなたをさらなる上のステージへと引き上げてくれるだろう。

話し方は準備が9割

メンタルを整えるために行うこと

話し方の準備は、「実際に話す前に本人がやるべきこと」と、他者の協力をもとにした「自分をサポートする環境づくり」に分けられる。まずは、本人が話す前に準備すべきことは、メンタルを整えることである。

緊張対策として効果的な心理学的手法は次の5つだ。(1)イメージ・リハーサル法、(2)アファメーション、(3)皮肉過程理論、(4)自己決定理論、(5)パワーポーズである。

(1)を取り上げる。イメージ・リハーサル法とは、人前で話す場面における行動や心理状態を、想像や心的イメージを用いて頭の中で再現する学習方法のことである。緊張しそうなネガティブな場面を、先に一人で脳内リハーサルしておく。

こうして適切な対処方法を考えておくと、本番で起きても落ち着いて対処できる。

手順としては、最初に自分が話をしている部屋の中をイメージする。視覚だけでなく聴覚や触覚などを使い、ハンドマイクを握る感触や、聞き手からあがる声などをイメージする。そのためにも、可能な限り事前に下見をしておくとよい。

次に、周辺をイメージする。最寄り駅から会場までの道のりなどを想像しよう。最後に、実際に話している様子をイメージする。

話の順番、ジェスチャー、表情、拍手など、本番でそうありたいと思う映像をリアルに想像しよう。このイメージ・リハーサル法をやればやるほど、うまくいく確率が高まる。

自分をサポートする環境づくり

身体化認知

人前で話す場を成功させるには、環境を整えることも大切だ。話し手をサポートする環境づくりの方法を紹介する。

まず、物理的環境をコントロールすることで、話の内容に対する聞き手の印象やその後の行動を操作できる。これは、心理学者ウィリアムズとバーグが提唱した「身体化認知」という心理的作用だ。

例えば、温かい飲み物を渡された聞き手は、その人物を「あたたかい」と評価しやすかったことが報告されている。脳の島皮質が、体の暖かさを感じたときと、心が暖かさを感じたときの両方で反応するためだ。

話し手に「あたたかく思いやりがある人物」であると印象づけたいときは、聞き手に温かいコーヒーやお茶を配るとよい。

また、会議やプレゼンで資料を配る場合、重みのあるペンやバインダーを用意すると、話し手を重要な人物に見せられる。人は重いものを持つと、相手や話の内容をより重要だと感じやすくなるからだ。

相手目線の確認

(写真:izusek / gettyimages)
(写真:izusek / gettyimages)

話す前に一度相手の位置に座って、相手目線を確認するようにしたい。確認したいのはパーソナルスペースとノイズである。

パーソナルスペースとは、その中に他者が入ると心的不快を生じさせる空間を意味する。会議室でいすを置く際は、席と席の距離は60~80cmあれば十分だ。

これは知人や友人との会話に適した「個体距離」にあたる。一方、話し手と聞き手がそれほど親しくない場合は、公式な商談で用いられる120~360cmの「社会距離」に変更するとよい。

聞き手に話に集中してもらうためには、視覚と聴覚のノイズを取り除くことも必要だ。話し手による視覚のノイズの多くは、話し手が身につけているものによって引き起こされる。

例えば、ブランドロゴが大きく入った衣装を着ていると、言葉よりもロゴの方が印象に残ってしまう。

また、聴覚ノイズとは、聞こえたら邪魔な音のことである。参加者にスマホの電源を切るかマナーモードにするよう依頼しよう。

サポートメンバーがいると心強い。例えば、話し手から見えやすい場所に友人に「笑顔の人」として座ってもらう。すると、話し手がその人の笑顔を見たときにミラーニューロンが働き、緊張した顔が自然と笑顔になっていくのだ。

【必読ポイント!】最初ですべてが決まる

第一印象が肝心

印象形成に関する心理学研究で、初頭効果はよく主張されている。初頭効果とは、最初の情報が全体の印象に大きな影響力を持つというものだ。人前で話す際も最初に好印象を与えられれば、その後の行動もよい方向に受け止められやすくなる。

ただし、リーダーとして話す場合は、「頼りになりそう、威厳がある」という最終段階の印象を目指さなければならない。こうした第一印象の秘訣は、非言語スキルと言語スキルの両方を使って「重厚感」を伝えることだ。

重厚感の法則

(写真:gorodenkoff / gettyimages)
(写真:gorodenkoff / gettyimages)

本書では、非言語スキルを用いて、第一印象として重厚感を印象づける手法を「重厚感の法則」として7つ紹介する。

(1)歩き方
リーダーの印象は歩く姿から始まっている。堂々とした印象を与えるためには、背筋を伸ばし、普段よりゆっくりと話す場所まで歩くことが重要だ。

(2)靴音
話す場所の床の素材を確認しよう。カツカツと靴を響かせて歩くと、自信と品性がある印象を与えられる。音のよい靴は、話し手の気分を上げるのにも役立つ。

(3)歩き回る
話し始めの段階で、話しながら部屋の中を歩き回ると、全体を支配している印象を与えられる。後方のドアから入室すると、自然と歩かなければならない状態をつくりやすい。

(4)疑問を持って人前に出る
人前に立ったらまずは堂々と前を見よう。日本語の「見る」を英語にすると3種類ある。

  • see(見る、受動的に視界に入ってくる)
  • look(観る、能動的に目で捉える)
  • watch(注視する)

堂々とした目力を持って前を向くためには、watchを意識しよう。その際、人前に出たときに前をしっかり見ないと答えがわからない疑問を持つことが有効だ。例えば何人くらい集まっているのか、といった疑問である。

(5)高く、大きく見せる
人前に立つときは、身長を高く見せると、支配力があるという印象を与えやすくなる。これは、背が高いことに対するステレオタイプを利用したものであり、シークレットブーツを履く、台を用意して聞き手より一段高いところに立つ、といった手法も効果的だ。

ジェスチャーに関しても、胴体よりも外、肩よりも上で行おう。自分の表面積を大きく見せることで、「この場は私が守っている」という権威を示しやすくなる。

(6)「沈黙」をつくる
人前に立ったら5秒黙るのも効果的だ。話す位置についたら全体を見渡す。そのうえで沈黙の時間を5秒以上取ってから、ゆっくりと話し始めよう。沈黙の後に大事なメッセージを口にすると、言葉の重みが出る。

(7)アタック音を立てる
テレビ番組などの出だしに流す5~10秒ほどの短い効果音をアタック音と呼ぶ。このアタック音の勢いが強いほど、人はその後の情報にパワーを感じる。例えば、冒頭で「さぁ、始めましょう」といいながら手を叩いたり、床をドンと踏みならしたりするのも有効だ。

好印象を与える言語スキル

人前に出たら、「これさえ話せばうまくいく」という言語スキルがある。

まずは「行為の返報性」だ。トップリーダーの最初の一言は感謝から始まることが多い。感謝という好意を受け取った聞き手は、同じ量の好意を返さなければと感じる。結果、聞き手は行動変容や依頼の内容を受け入れやすくなる。

次に、「もれなくダブりのない声かけ」も、聞き手を誰一人取りこぼさない上で重要だ。オンライン形式だと聞き手の姿が見えないことも多い。

そこで、話し始めの段階で聞き手全員に、「私にはあなたが見えています」と伝えることが大事になる。集まってくれた参加者だけでなく、オンラインの参加者や後日アーカイブで見る方のことも触れることで、時空を超えてあなたの影響力が届いていく。

そのほか、相手の同意を引き出す内容を語って同調効果を生む方法や、相手の外見から自分との類似した点を探して相手に好感を持ってもらう方法も効果的だ。

世界のトップリーダーが話す1分前までに行っていること 口下手な人が伝わる人に変わる心理メソッド43 矢野香(著)

この記事はNTTドコモビジネスとNewsPicksが共同で運営するメディアサービスNewsPicks +dより転載しております。

提供:フライヤー
編集:Takashi Hatano
デザイン:山口言悟(Gengo Design Studio)

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