いま大注目の生成AI「Claude(クロード)」とは?
Anthropic社が開発する「高い安全性」と「自然な文章力」
ChatGPTやGeminiと並び、世界を牽引する生成AIプラットフォームの筆頭格が「Claude(クロード)」です。開発元であるAnthropic(アンソロピック)社は、AIの安全性と倫理的な開発を重視する目的で、2021年に元OpenAIの研究者らによって設立された企業です。
Claudeの特徴として、まず挙げられるのが、人間が書いたような自然で流暢な日本語の文章力です。取引先への丁寧なビジネスメールの作成や、マーケティングのキャッチコピー考案など、文脈やニュアンスを汲み取った出力が得意で、多くのビジネスパーソンから高く評価されています。
もう一つが、「Constitutional AI」と呼ばれる独自の安全性フレームワークです。これは、AIの行動原則(いわば「憲法」)を定め、それに基づいてAIが自らの出力を確認・修正する仕組みです。このアプローチにより、Claudeは「ハルシネーション」(もっともらしいが実は不正確な情報を生成すること)が比較的少なく、信頼性の高い回答が得られるとされています。
Anthropic社はこれまで、最高性能の「Opus(オーパス)」、処理速度と性能のバランスに優れた「Sonnet(ソネット)」、そして高速・軽量な「Haiku(ハイク)」という3つのモデルファミリーを展開してきました。そして2026年6月、この力関係をさらに塗り替えるモデルが登場しました。
【2026年6月登場】主力モデル「Claude Sonnet 5」の衝撃
2026年6月30日、Anthropic社は新たな主力モデル「Claude Sonnet 5」を発表しました。従来、最高レベルの推論能力や複雑なプログラミング支援を求める場合は、高額な最上位モデルOpusを利用する必要がありました。しかしSonnet 5は、中位モデルでありながらその前提を変えました。ビジネスパーソンが押さえておきたい進化を、3つに絞って解説します。
① 「100万トークン」の圧倒的な長文処理能力
生成AIが一度のリクエストで読み込み、参照できるテキスト量の上限は「コンテキストウィンドウ」と呼ばれます。分かりやすく言えば、「AIの短期記憶の容量」のようなものです。近年のAIモデルではこの容量が大きく拡張されており、たとえばAnthropicが開発するClaudeでは、数十万~100万トークン規模のコンテキストウィンドウを扱えるモデルも登場しています。
日本語に換算すると、分厚い専門書を何冊もまとめて読み込めるほどの情報量に相当します。数百ページに及ぶ企業の決算資料や契約書、社内規程などを一度に読み込ませて分析することも可能です。たとえば、「1年分の社内規程集の中から、今回制定した新ルールと矛盾する箇所をすべてリストアップしてほしい」といった高度な依頼も、AIにまとめて読み込ませて短時間で処理できるようになっています。
② 人間のようにPCを操作する「Computer Use」機能の進化
もう一つの目玉が、「コンピュータ操作(Computer Use)」能力の飛躍的な向上です。これは、AIが人間と同じように画面のスクリーンショットを解析し、クリックやキーボード入力を行ってパソコンを操作する機能です。GUI操作ベンチマーク「OSWorld-Verified」でも高い水準を示しており、最新のSonnet 5ではこの領域がさらに強化され、ブラウザやターミナルを自ら操作して多段階の作業を最後までやり遂げる「エージェント」としての実行力が大きく高まっています。
古い社内システム(レガシーシステム)からデータを抽出し、Excelに転記してグラフ化するといった、従来のRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)では環境構築が難しかった複雑な事務作業も、AIが自律的に実行できるレベルに近づいています。
③ 上位モデルに迫る性能を、より低い単価で実現
Claude Sonnet 5は、プログラミングやエージェントとしての計画能力、ナレッジワーク全般で大きく性能を伸ばしました。Anthropicは発表時(2026年6月30日)に、その性能を「当時の最上位モデルであるOpus 4.8に近い」と説明しています。また、AIにどれだけ深く考えさせるかを指定する「努力(effort)レベル」を上げれば、一部のタスクではさらに差が縮まります。
一方で標準の利用単価は、100万トークンあたり入力2ドル/出力10ドル。上位のOpusクラス(同5ドル/25ドル)のおよそ4割にとどまります(2026年8月17日時点)。
その後2026年7月にOpus 5が登場し、上位モデルの性能はさらに引き上げられました。ただし「日常業務の大半は中位モデルでカバーし、難所だけ上位モデルに任せる」という構図は変わりません。むしろ選択肢が増えたことで、用途に応じて使い分ける効果は大きくなっています。「上位モデルに頼らなくても日常業務の大半をカバーできる」という状態は、AI投資の費用対効果を高めやすくします。
Sonnet 5だけじゃない。Claudeの全モデルを徹底解説
2026年8月17日現在、ClaudeはHaiku・Sonnet・Opusの3階層に加え、Opusを超える最上位ティア「Mythosクラス」を擁する4ティア構成です。Mythosクラスには、一般提供の「Fable 5」と、限定提供の「Mythos 5」が含まれます。本章では、Sonnet 5以外の各ティアの位置づけと、法人がどう向き合うべきかを簡潔に整理します。
Claude Haiku 4.5 ―高速・軽量タスクの専用機
主要4ティアのなかで最も軽量で、応答速度に優れるのが「Haiku(ハイク)」シリーズです。最新のHaiku 4.5は、1回あたりの利用料金が安く、応答もすばやい設計のため、FAQの自動応答、大量メールの一次振り分け、よくある問い合わせの一次対応チャットボットなど、「定型・大量・即応性」が要件のタスクに適しています。
一方、契約書の精査や経営判断に関わる長文分析といった、じっくり考える必要のあるタスクには向きません。Sonnetと併用し、タスクの複雑さに応じて振り分ける運用が基本になります。
Claude Opus 5 ―上位ティアのフラッグシップモデル
「Opus(オーパス)」はAnthropicの最上位実用モデルで、現行版は2026年7月24日に公開されたOpus 5です。複雑な数学的推論、長期スパンの自律エージェント計画、研究レベルのコード生成など、Sonnet 5でも難航する高難度タスクで真価を発揮します。後述する最上位ティアの「Fable 5」に迫る性能を、およそ半分の料金で利用できる点が大きな特徴です。
コスト面を見ると、トークン単価はSonnet 5の約2.5倍です(2026年8月17日時点)。Anthropicの公式ドキュメントは、複雑な業務やエージェント型のコーディングにはまずOpus 5を選ぶよう案内しています。一方、大量の定型業務を高頻度でこなす用途では、単価の低いSonnet 5に分があります。全社展開では「量をこなす業務はSonnet 5、難所はOpus 5」と役割を分けるのが基本の考え方になります。
Claude Mythosクラス(Fable 5/Mythos 5)―Opusを超える最上位ティア
Opusをさらに上回る最上位ティアが「Mythos(ミュトス)」クラスです。Anthropicは2026年4月、このクラス最初のモデル「Claude Mythos Preview」を発表しました。ソフトウェア開発の課題をどこまで自力で解けるかを測る指標「SWE-bench Verified」で93.9%を記録し、ゼロデイ脆弱性(まだ知られていない欠陥)を自律的に発見する能力も報告されています。当初は一般公開されず、サイバー攻撃への防御など高度なセキュリティ対策を担う、ごく一部の組織だけに提供される研究プレビューに留まっていました。
そのMythosクラスの現行世代が、2026年6月9日に同時公開された「Claude Fable 5」と「Claude Mythos 5」です。両者は同一の基盤モデルで、安全装置(セーフガード)の設定だけが異なります。Fable 5はAnthropicが一般提供するモデルのなかで最も高性能なモデルで、サイバーセキュリティや生物・化学など悪用リスクの高い領域では、応答を自動的にOpusへ切り替えるセーフガードを備えます。
一方のMythos 5は、その制限を一部解除した版です。こちらは一般には提供されておらず、Anthropicの招待制プログラム「Project Glasswing」に参加する組織に限定して提供されています。通常の申し込みでは利用できません(2026年8月17日時点。最新の提供状況はAnthropicの公式サイトをご確認ください)。
なお法人利用で注意したいのが、データの扱いです。Mythosクラスでは安全性の監視のため、入力と出力が30日間保持されます。他のモデルで結べる「データを保持しない」契約は、このクラスには適用されません。「学習に使われない」ことと「保存されない」ことは別の話なので、機密性の高い業務で使う場合はこの点の確認が要ります。
位置づけとしては、法人が日常業務で使うモデルではありません。それでも「Claudeの最上位がどこまで到達しているか」を知っておくと、自社のAI活用をどの水準まで引き上げられるかを見積もる目安になります。
Claude主要4モデル早見表
| モデル | ポジション | 主な想定用途 | 法人での 位置づけ |
一般 提供 |
|---|---|---|---|---|
| Haiku 4.5 |
軽量・高速モデル
|
FAQ自動応答、大量メール分類、よくある問い合わせの一次対応
|
コスト重視の補助役
|
○
|
| Sonnet 5 ★ |
ビジネス汎用の主力
|
文書分析、コーディング、汎用業務全般
|
法人のメイン推奨
|
○
|
| Opus 5 |
最高性能フラッグシップ
|
最難度の推論、研究、複雑エージェント
|
難所に投入する上位モデル
|
○
|
| Mythosクラス (Fable 5/Mythos 5) |
Opus超の最上位ティア
|
最先端の開発・研究、サイバー防御
|
最難関タスク用の切り札
|
○Fable 5は一般提供、Mythos 5は限定提供
|
※「★」本記事で法人のメイン用途として推奨するモデル。各種公式発表(2026年8月17日時点)をもとに作成。
コストと性能のバランスから法人の汎用業務に最も合致するのはSonnet 5です。上位のOpus 5は難所で頼れますが、日々の大量処理まで任せるとコストが膨らみます。役割を分けることが、費用対効果を高めるうえでの前提になります。後段で紹介するNTTドコモビジネスの「Stella AI for Biz」が、まさにこのSonnet 5をセキュアに利用できる環境を提供しています。
Claudeの料金プランと無料版でできること
Claudeには、個人向けのFree・Pro・Maxと、法人向けのTeam・Enterpriseがあります。プランによって変わるのは「使える機能」よりも「どれだけ使えるか」と「組織として管理できるか」です。ここでは、金額そのものより選び分けの軸を整理します。料金は米ドル建てで改定もあるため、金額は目安として捉え、実際の申し込み前にClaude公式の料金ページでご確認ください。
無料版でできること、できないこと
無料プラン(Free)でも、Claudeの基本的な機能はひととおり使えます。Web・iOS・Android・デスクトップアプリでの利用、Web検索、会話をまたいで内容を覚えておくメモリ、ファイルの作成やコードの実行、SlackやGoogle Workspaceとの連携、じっくり考えさせる「拡張思考」までが無料の範囲です。
制約もあります。利用できるモデルが限られること、利用量の上限が小さいこと、そして開発者向けのClaude Codeや業務支援のClaude Coworkが含まれないことです。業務で毎日使うのであれば、実質的にPro以上が前提になります。
なお、Claudeの利用上限は「1日◯回」といった回数制ではありません。5時間ごとに区切られたセッション単位でリセットされ、有料プランではこれに週単位の上限が加わります。Web・デスクトップ・モバイル・Claude Codeの利用はすべて同じ枠から消費され、会話の長さや選んだモデルによって減り方が変わるため、決まったメッセージ数は公表されていません(2026年8月17日時点)。
Pro・Max・法人プランの選び方
有料プランは「利用量をどこまで広げるか」と「組織で管理する必要があるか」の2軸で選びます。個人が毎日の業務で使うならPro、上限に頻繁に当たるならMax、複数人で使い管理者が必要ならTeam以上、というのが基本の流れです。最上位のFable 5を日常的に使いたい場合は、Proでは別料金になるためMax以上が候補になります。
Claude料金プラン早見表
| プラン | 月額の目安 (米ドル・税別) |
主な対象 | 押さえておきたい点 |
|---|---|---|---|
| Free | 0ドル |
まず試したい人 |
使えるモデルと利用量に制限。Claude Code・Coworkは対象外 |
| Pro ★ | 月20ドル (年払いは月17ドル) |
個人が日常業務で使う場合 |
個人利用の標準。Claude Code・Cowork・Design込み(Fable 5は従量課金) |
| Max | 月100ドル〜 |
一日中使うヘビーユーザー |
Proの5倍または20倍の利用量。出力の上限も広く、最上位のFable 5をプラン内で利用できる |
| Team | 1ユーザーあたり 月25ドル(年払いは月20ドル) |
2〜150人の組織 |
SSO・中央請求・管理機能。既定で入力内容をモデル学習に使わない |
| Enterprise | 1ユーザーあたり 月20ドル+利用量に応じた料金 |
統制が必要な大規模組織 |
監査ログ、SCIM、データ保持設定、権限管理。年間契約 |
※Claude公式の料金ページ(2026年8月17日時点)をもとに作成。米ドル建て・税別で、為替や改定により変動します。Teamには利用量が5倍の上位ライセンス(1ユーザーあたり月125ドル、年払いは月100ドル)もあります。「★」は個人が業務で使う場合の標準的な選択肢を示します。最上位モデルのFable 5は、Maxでは週ごとの利用上限の範囲内でプランに含まれ、Proでは従量制のクレジットを購入して利用します。
自社のシステムにClaudeを組み込む場合は、月額プランではなくAPIの従量課金を使います。料金はモデルごとに、処理したトークン量(おおよそ文字数に相当する単位)に応じて決まります。モデル選びがそのままコストに直結するため、目安を押さえておくと見積もりが立てやすくなります。
主要モデルのAPI料金の目安
| モデル | 入力 (100万トークンあたり) |
出力 (100万トークンあたり) |
|---|---|---|
| Haiku 4.5 | 1ドル |
5ドル |
| Sonnet 5 ★ | 2ドル |
10ドル |
| Opus 5 | 5ドル |
25ドル |
| Fable 5 | 10ドル |
50ドル |
※Claude公式の料金ページ(2026年8月17日時点)をもとに作成。Sonnet 5の入力2ドル/出力10ドルは当初2026年8月31日までの導入価格として発表されましたが、その後この価格が標準価格になりました。
法人利用で必ず確認したい「学習させない」設定
法人でAIを使ううえで、料金と並んで重要なのが「入力した内容がAIの学習に使われるかどうか」です。Claudeの場合、個人向けのFree・Pro・Maxはオプトアウト方式で、利用者自身が設定を変更しないかぎり学習に使われる可能性があります。これに対して法人向けのTeamとEnterpriseは、既定で入力内容をモデルの学習に使用しません(2026年8月17日時点)。
つまり、社員が個人アカウントの無料版やProを業務で使っている状態は、コスト以前に情報の取り扱いの面でリスクがあります。これは後述する「壁①:機密情報漏洩とセキュリティの懸念」で扱うシャドーAIの問題そのものです。全社で使うのであれば、個人契約を積み上げるのではなく、管理者が設定と利用状況を把握できる環境を用意することが前提になります。
Claudeと他の生成AI(ChatGPT・Gemini)の
決定的な違い
2026年現在の生成AI市場は、「単一モデルによる一強」から、用途に合わせてモデルを選ぶ「多極化」へと移りつつあります。それぞれの得意領域を把握しておくことが、企業でのAI活用を左右します。
圧倒的な「長文処理・ドキュメント分析」能力
Claudeが評価されているのは、大量の文書を一度に読み込み、正確に要約・分析する能力です。「数十ページの契約書から自社に不利な条項を洗い出す」「複数の競合調査レポートを横断的に分析する」といったタスクにおいて、他のAIと比較して特に優れた実力を発揮します。
ニュアンスを汲み取る「人間らしさ」
ChatGPTやGeminiも優秀ですが、Claudeは特に「文脈を理解した上での自然な文章表現」に定評があります。マーケティングのキャッチコピー作成や、取引先への丁寧なメール文面の作成など、「そのまま使えるレベル」のアウトプットが得られるのが、多くのビジネスパーソンが実感する強みです。
意思決定のスピードアップ
これに対してChatGPTは論理的な推論や数学的な課題に、Geminiは動画・音声・画像を含むマルチモーダル処理やGoogle Workspaceとの連携に強みがあります。3者は優劣というより、得意領域が異なると捉えたほうが実態に近いといえます。
主要AIの評価項目比較
| 評価項目 | Claude Sonnet 5 (Anthropic) |
ChatGPT / GPT系 (OpenAI) |
Gemini系 (Google) |
|---|---|---|---|
| 主な強み |
自然な日本語作成、長大なドキュメント分析、自律的コーディング、PC操作
|
高度な論理的推論、数学的課題、汎用的なオフィス業務
|
マルチモーダル処理、Google Workspace連携、長大コンテキスト
|
| コンテキスト長 |
100万トークン
|
最大105万トークン
|
100万トークン
|
| コーディング |
エージェント型コーディングで最上位クラス
|
強力な推論能力で実用的
|
基本的なコーディングに対応
|
※各社公式発表および各種ベンチマークデータ(2026年8月17日時点)をもとに作成
【業務別】Claudeの使い方・ビジネス活用事例
企画・マーケティング部門:市場調査・コンテンツ制作
マーケティング部門では、アンケートの自由記述データ、複数社の競合調査レポート、Web解析ツールから出力したデータなどを横断的に分析する必要があります。Claudeの長文処理能力を活かせば、これらの散在するデータを一度に読み込ませ、「20代女性が最も不満に感じているポイント」を抽出するといった分析が瞬時に可能です。さらに、ターゲット層に響く自然なトーンの広告コピーを複数提案させることも得意です。
バックオフィス・法務部門:規定チェック・文書要約
法務やコンプライアンス部門では、数十ページから数百ページに及ぶ契約書や社内規定集を精査する作業が日常的に発生します。Claude Sonnet 5の100万トークン処理能力を活かし、過去数年分の契約書データと最新の法改正情報を一括で読み込ませることができます。単なる要約にとどまらず、「自社に不利な条項が追加されていないか」「過去の契約と矛盾する点はないか」をAIにリストアップさせ、修正案の提示まで行わせることが可能です。
IT・開発部門:コーディング支援・エラー解析
開発現場では、「Claude Code」というコマンドラインツールを使ったコーディング支援の利用が広がっています。Sonnet 5はプログラミング能力が向上しており、エラーのログやシステム全体のコードベースを読み込ませることで、バグの特定から修正パッチの提案、テストコードの実装までを自律的に行います。コーディング関連のベンチマークでも高い水準を示しており、実務での支援に耐えうる水準に達しつつあります。
企業がClaudeを導入する際に直面する「2つの壁」
壁①:機密情報漏洩とセキュリティの懸念(シャドーAI問題)
最も危険なのが、従業員が会社の許可を得ずに、個人の判断で無料版の生成AIサービスを業務に利用する「シャドーAI」の問題です。
一般的な無料版生成AIでは、入力したテキストやアップロードしたファイル(顧客の個人情報、未発表の企画書、財務データなど)が、AIモデルの性能向上のための「学習データ」として二次利用されるリスクがあります。「契約書を要約してもらおう」と入力した自社の機密データが、他社のユーザーへの回答に含まれてしまう。こうした情報漏洩は、企業にとって深刻な事態を招きます。
管理・監視の及ばない生成AIサービスの利用は、ガバナンスの観点から避ける必要があります。
▼シャドーAIについてより詳しく知りたい場合は、下記の記事も確認してみてください。
壁②:特定モデルへの過度な依存リスク
「Claude Sonnet 5が素晴らしいから、全社でAnthropic社とだけ法人契約を結ぼう」と決断するのも、実は中長期的なリスクを伴います。生成AIの進化は非常に速く、数カ月後には別のAIが新しいアプローチで先行している、ということが珍しくありません。
「A社のAIだけで業務フローを組んだが、半年後にB社のAIのほうが自社業務に合っていた」という場合、システムの乗り換えコストや従業員の再教育の負担が重くのしかかります。特定のAIモデルに過度に依存する「モデルロックイン」は、警戒しておきたい経営リスクです。実際に2026年6月には、最上位ティアのFable 5とMythos 5が、米国政府による輸出管理措置を受けて一時的に提供停止となり、7月1日に再開されるという出来事がありました。特定のAIに業務を寄せきっていると、こうした外部要因がそのまま業務の停止につながります。そのときどきで適したモデルを選べる体制を整えておくことが重要になります。
最新AIを適材適所で!
法人向け「Stella AI for Biz」のすすめ
「機密情報を守りながら、最新の生成AIを複数使い分けたい。しかも、ITに詳しくない現場の社員でもすぐに使えるようにしたい」――こうした要望に応えるのが、NTTドコモビジネスが提供する法人向け生成AIサービス「Stella AI for Biz」です。
「Claude Sonnet 5」をセキュアな環境で即座に利用可能
Stella AI for Bizの最大の強みは、本記事で紹介した話題のClaudeを含む複数の最新AIモデルを、月額定額のプランで利用できる点です。
入力データは、AIモデルの学習には一切使用されません。全データは暗号化され、日本国内リージョンのサーバーで安全に保存されるため、社外秘の情報も安心してAIに入力できます。「シャドーAI」のリスクを解消し、全社的にAIを安全に活用できる環境を整えられます。
複数AIを使い分ける「マルチモデル」という選択肢
Stella AI for Bizでは、用途に応じて最新AIを瞬時に切り替えて使えます。たとえば、「自然な文章作成や複雑なドキュメントの比較はClaude」「大量のWeb情報検索はGemini」「論理的推論はGPT」といった使い分けが、たった1つのプラットフォーム上で実現します。
搭載モデルは用途別に整理されています。日常業務向けには、質問内容に応じて最適なモデルを自動で選ぶ「Autoモード」のほか、Claude Haiku 4.5、GPT-5.6 Luna、Gemini 3.5 Flash-Liteが用意されています。より高度な推論が必要な場面では、契約プランの上限の範囲内でClaude Sonnet 5、GPT-5.6 Terra、Gemini 3.6 Flash、Gemini 3.1 Pro、Grok 4.5を選択できます。さらに画像生成モデル(Nano Banana Pro、Nano Banana 2、GPT-Image-2)も搭載されているため、テキストから画像まで幅広い業務ニーズに対応します(搭載モデルは変更される場合があるため、最新は公式サイトでご確認ください)。前述の「モデルロックイン」のリスクを抑えやすいことが、マルチモデル環境の利点です。
いつものOfficeツールで直接AIが動く「AI拡張機能」
AIを導入しても「わざわざ専用のチャット画面を開くのが面倒」と現場で使われなくなるケースは多々あります。Stella AI for Bizでは、従業員が普段使っている業務ツール上で直接AIを呼び出せるAI拡張機能が提供されています。
WordやExcel、PowerPoint、OutlookなどのMicrosoft Officeアドインに加え、ChromeやEdgeのブラウザ拡張も対応。プロンプトを入力しなくても、要約・翻訳・解説・編集・改善が「ワンクリック」で実行できるため、プロンプトエンジニアリングの専門知識がない社員でも、初日からAIの恩恵を享受できます。
管理しやすく安心の法人向け定額制
料金は、1IDあたり月額2,480円(税込2,728円)の定額制で、初期費用は無料です。従量課金ではなく定額なので、コスト予測が立てやすく、IT担当者にとって大きなメリットです。9ID以下の場合は年額23,760円(税込26,136円)/IDの年間契約となります。
さらに、導入から定着までを支える「使いこなしサポート」が付属しているのも、中小企業にとって心強いポイントです。従業員向け勉強会の開催、テンプレート作成支援、RAGデータベースの構築支援など、AI活用の定着化まで伴走型でサポートしてくれます。
Claudeに関するよくある質問(FAQ)
最後に、Claudeの導入を検討する際によく寄せられる疑問に、結論を先に示しながらお答えします。
Claudeはブラウザやアプリで対話しながら使うAIアシスタント、Claude Codeは開発者がターミナルやエディタから使うコーディング用のツールです。Claude Codeはすべての有料プランに含まれており、利用枠はチャットと共通のプールから消費されます。
無料プランでも、Web検索、会話をまたぐメモリ、ファイルの作成やコードの実行、SlackやGoogle Workspaceとの連携、拡張思考まで利用できます。一方で、使えるモデルと利用量には制限があり、Claude CodeとClaude Coworkは対象外です。業務で毎日使うのであれば、実質的にPro以上が前提になります(2026年8月17日時点)。
個人向けのFree・Pro・Maxはオプトアウト方式で、利用者自身が設定を変更しないかぎり学習に使われる可能性があります。これに対して法人向けのTeamとEnterpriseは、既定で入力内容をモデルの学習に使用しません。業務で扱う情報は、法人向けの環境を前提に運用してください(2026年8月17日時点)。
Fable 5は一般提供されています。Claude Maxと、Teamプランの上位ライセンスでは追加費用なく利用でき、Claude Proでは従量制のクレジットを購入して利用します。一方のMythos 5は一般には提供されておらず、Anthropicの招待制プログラム「Project Glasswing」に参加する組織に限定されています(2026年8月17日時点。最新の提供状況はAnthropic公式サイトをご確認ください)。
はい、「クロード」と読みます。フランス語圏の人名に由来する名称です。開発元のAnthropicは「アンソロピック」と読み、2021年に元OpenAIの研究者らによって設立された、AIの安全性を重視する企業です。
用途によって向き不向きが分かれます。長文の読み込みや文書分析、自然な日本語の文章作成、エージェント型のコーディングではClaudeに定評があります。一方で、幅広い用途を1つでこなす汎用性や論理的な推論ではChatGPTが強みを持ちます。法人では無理に1つへ絞らず、用途に応じて使い分ける前提で検討するのが現実的です。
ほかの生成AIについてもっと詳しく(個別記事)
まとめ:生成AIは「どれか一つ」を選ぶ時代から「使い分ける」時代
2026年6月にリリースされた「Claude Sonnet 5」は、100万トークンの長文処理とコンピュータ操作機能によって、生成AIが単なる「チャットボット」から、実務を分担できる存在へ近づいたことを示しました。
一方で各社の開発競争は続いており、単一のAIモデルだけに依存する形はリスクを抱えます。Claudeの特徴を理解したうえで、業務ごとに適したAIを選べる環境を整えておくことが重要です。
NTTドコモビジネスが提供する「Stella AI for Biz」は、最新のClaudeを含む複数のAIを、高いセキュリティで、使い慣れたWordやExcelの中でシームレスに使いこなすことができる実践的なプラットフォームです。
まずは自社の業務の中で「AIに任せられる定型作業」や「読み込みに時間がかかっている膨大な資料」を洗い出し、安全かつ拡張性の高い環境づくりから始めてみませんか。
- 本記事は2026年8月21日時点の情報に基づいて作成しています。
- AIモデルの仕様やサービス内容は変更となる場合があります。最新の情報は公式サイトをご確認ください。
- 本記事のアイキャッチ画像:Azulblue - stock.adobe.com



(クロード)とは?料金や使い方をはじめ、最新モデル「Opus 5」の特徴、ChatGPTとの違い、法人向けのマルチモデル戦略までを解説">





