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2021.04.27

東京2020大会における最重要拠点のべニューテレコムマネジャーとして活躍中
<4>オリンピックスタジアム 松沢良雄さん

1989年入社。桐生支店線路設備課から1994年にインドネシアでのODA・電気通信網構築PJにトレイニー派遣。1995年にNTTインターナショナルに出向した後、NTT Com Thailandの営業責任者兼技術責任者、第二法人営業本部・金融営業部、またNTT Com Vietnam・ホーチミン支店長として営業、技術、総務、人事なども経験。NTTアドバンステクノロジ・国際営業部、NTTコム ソリューションズを経て2019年7月より現職。

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京2020大会)のゴールドパートナーとして、大会運営を通信サービスで支えるNTT(持株会社、NTT東日本・西日本、NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ)。各会場での通信関連業務を統括するのが「べニューテレコムマネジャー(VTCM、Venue Telecom Manager)」と呼ばれる運用・保守責任者です。長年NTT Comで通信関連業務に当たり、東京2020大会でVTCMを務める4人の熟練技術者たちに、現場の様子や準備状況、大会に向けての思いを伺いました。今回はオリンピックスタジアムを担当する松沢良雄さん(2019年7月からNTT東日本にてご就業中)です。

※国立競技場の東京2020大会期間中の呼称は「オリンピックスタジアム」
※この記事は2019年11月時点の情報です

打診は「馬事公苑」だったのに…… どこまで広がる? 担当エリア

最初にVTCMのお話をいただいたのは2018年の10月頃だったと思います。「馬事公苑を担当してください」ということでした。私は元々、東京2020大会では言語ボランティアをやろうかなと考えていたんです。でも、お仕事で関わることができるならそこで頑張ろう、と。馬術競技は数日で終わりますし、それなら自分にも務まるだろうと思って引き受けました。まぁ、現在の職場に着任してから、馬事公苑もかなり厳しい会場と分かったので見立てが甘かったのですが。

その後、ある段階でオリンピックスタジアムを、という話になったんです。大会のメイン会場ですので、相当、驚きました。施設の規模は、地上5階、地下2階。通常の会場の8倍ほどあります。

よくよくお話を聞くと、それだけじゃない。スタジアム周辺一帯にも各種回線、Wi-Fiを提供しますので、故障や不具合などがあればすぐ飛んでいかなければなりません。

さらには、オリンピックスタジアムで行われる競技のほかに、パラリンピックのマラソンについても担当します。札幌の話も含めて後ほど詳しくお話しますが、5キロ、10キロ、15キロ……というコースの各中間計測地点にフレッツ回線を構築します。つまり、皇居外苑や銀座、日本橋、浅草など東京名所を巡る広大なエリアも保守エリアとなるわけです。

「受け持ちエリアが広いことがどんどん分かってきて、がぜんやる気が湧いてきました」――とでもいいましょうか。(笑)

パラリンピック競技大会マラソンコース

パラリンピック競技大会マラソンコース(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会公式より)。コースは、オリンピックスタジアム~富久町~水道橋~神保町~神田~日本橋~浅草雷門~日本橋~銀座~増上寺~銀座~日本橋~神田~神保町~皇居外苑~神保町~水道橋~富久町~オリンピックスタジアム

波乱のマラソン テストイベントで台風直撃。そしてまさかの札幌へ!

マラソンでわれわれが何をするかというと、計時計測や運営関係者向けの通信回線を提供します。先ほど、各中間計測地点にフレッツ回線を構築すると申しましたが、万が一のバックアップとして、NTTドコモ側でも4Gのネットワークを準備します。

2019年9月15日に東京2020オリンピック日本代表を選考するための競技会(以下、日本代表選考会)が行われました。大会本番を想定した、われわれにとっても重要なテストイベントです。この最終準備期間中の2019年9月9日に、台風15号が都内を直撃しました。当然、荒天などのリスクは考慮しているのですが、あれだけの台風が直撃するというのは想定外でした(関東地方に上陸したものとしては観測史上最強クラスの勢力だったそうです)。

松沢良雄さん 1

ちょうどその日、スタート・ゴール地点横にあるプレハブにネットワーク回線を引き込む予定でしたが、暴風雨のためプレハブ設置そのものが中止となりました。作業を再開したのは9月12日、大会まであと3日というタイミングです。すると、事前テストを行いたいからネットワークの装置一式を追加で1セット、明日までに用意してほしいと依頼が入ったんです。もちろん、突然のオーダーですので、われわれNTT内は騒然です。しかし、大会の根幹システムについてでしたので、断れません。TOC(テクノロジーオペレーションセンター)のチーム、上長と深夜まで電話をつなぎっぱなしにして話し合い、とにかく装置はここのオフィス(有明センタービル)で組み立てて、タクシーで会場まで運ぶことにしました。

しかし、装置が載せられるワゴンタクシーを呼ぼうにも、台風災害で大きい車はみんな、千葉方面に出てしまっていたんです。タクシー会社30社くらいに電話をしましたが、「明日の朝もう一度電話をかけていただいて、空いている車があれば……」と言われるばかり。当日も、チームメンバーが朝7時からオフィスに来て、片っ端から電話をかけましたが、やっぱりつかまらなかった。

すると、オフィス脇の道で新型のタクシーが停まっているのが見えたんです。ドンドンドンドン、とドアを叩き、夜勤明けで寝ていたドライバーさんを起こして、装置が載せられるのか寸法を確認させてもらいました。これなら載る! と分かったので、そのドライバーさんに、今から行ってもらえますか、と一縷の望みをかけてお願いしたんです。結局、別の車が手配できることとなり、ようやく9時ころに装置を届けることができました。もう、綱渡りですね。そこで遅れていたら、日本代表選考会は中止だったかもしれません。

こうして、なんとか迎えた本番。アクシデントによる問い合わせもありましたが、通信設備に関するトラブルはなく無事に終わりました。――と思ったら、今度は札幌です(笑)。

オリンピックのマラソンと競歩の札幌開催が正式に決まりました(パラリンピックのマラソンは東京で開催予定)。テストイベントでの経験も含め、「ノウハウ伝授など、深く関与してしっかりナレッジ・トランスファーすべし」と東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下、組織委員会)から釘を刺されているので、私も逃げられません。場合によっては札幌まで何度か出張して、全ノウハウを北海道チームに手渡すか、と意気込んでいましたが、その後、札幌は別のメンバーで対応してもらえることとなり、少し安堵(あんど)しました。(笑)

【波乱の日本代表選考会 ~当日編~】ピストルが鳴らない! データも来ない!

いざ本番、男子マラソンスタート! と思ったら、スターターピストルが鳴りませんでした。原因はオフィシャルには発表されていませんが、現場にいたのでトラブルが起きたと分かりました。

あとは、途中25キロ地点のデータが上がってこなかった。こういったケースでは、まず現場のわれわれのところに問い合わせがあり、ここからTOCに連絡して具体的な確認作業や対策を講じます。結果的に、こちらもネットワーク側は無罪。正式な原因は発表されていないはずですが、ともかく何が起きるか分かりませんので、予行演習となるテストイベントは本当に大事だと思います。

2月からスタートする大会専用通信設備の構築 2つの難所とは?

松沢良雄さん 1

完成したばかりのオリンピックスタジアムですが、東京2020大会用のケーブルをこれから大量に引き込みます。この“オーバーレイ*”と言われる大会専用通信設備の構築は2020年2月に着工します。数字で申し上げると、引き込むUTP、光、同軸ケーブルの総延長は約300キロ。東京から名古屋までの距離に匹敵します。機器数や施工対象の部屋数も膨大です。こうしたネットワークのSIは、準備段階が勝負。これだけの設備を、実質半年以内で段取りよく工事していくために、現在もさまざまな調整や交渉を続けています。

工事・作業の“山”は2つあって、1つは、「放送局とプレスエリア」です。観客席の一部を潰して、カメラマンや記者が集まるエリアを作るのですが、パソコンだけでなく最近はカメラもIP接続なので、すべてLANを用意しなければなりません。入口から大量のケーブルを引っ張ってきて、観客がつまずいたりしないよう上手に隠しながら、回線をつなぎます。放送や報道は大きなお金が動く“商売”ですので、メディア関連の方は発言力も強いですし、過去大会でも故障となればかなり殺気立ったそうです。そういった場面でもあわてず的確に対応することも重要な任務の一環です。

それから、もう1つは「トランジション」です。オリンピックスタジアムでは、開会式・閉会式のほかに複数の競技を行うため、その度に機器などの移動が発生します。例えば、陸上競技が夜に終了した後、翌日の昼前にはサッカー女子決勝が行われます。この間、徹夜作業で機器の移動を行います。

短期間でのトランジションが予定されているオリンピックスタジアム

短期間でのトランジションが予定されているオリンピックスタジアム(写真提供:独立行政法人日本スポーツ振興センター)

さらに、サッカーの試合が終わると、その数時間後の夜にはまた陸上が行われるというような具合。しかも、電源の工事をするエネルギー部門などいろいろなところが同じ時間内に動きますので、大きなものを運ぶとなったら、エレベーターも取り合いです。この調整作業をどう行えばいいのか……、これも悩ましいですね。

*オーバーレイ:大会限りで設けられる設備やサービス。大会終了後に撤去されるもの。

NTTとして、日本代表として。手を抜けない来場者への「おもてなし」対応

それと、オリンピックスタジアムには一般のお客さんも入られます。観客の中には、VIPと呼ばれる人たちも含まれますし、専用の休憩ラウンジも作られる予定です。ここでの対応のポイントは、「安全確保」と「おもてなし」だと考えています。

大会専用に設置したケーブルなどは、全部が全部、天井裏などに隠せないので、例えばイエロージャケットと呼ばれる安全カバーを使って通路などを横断させます。そうすると、どうしても段差ができるので、警備員を配置する場所も出てきます。マラソンコースの各計測地点も同様です。こうした安全確保は、一義的には組織委員会側の担当なのですが、通信ケーブル敷設に起因するので、われわれもパトロールをして常に目を光らせる場面も出てくるかもしれません。

また大会期間中は、NTTの作業着を着て会場内での各種保守・点検作業、パトロールに当たりますので、管轄外の各種問い合わせが寄せられることも想定されます。レガシー(オリンピックスタジアム本体)側で構築した観客用Wi-Fiがうまくつながらない、プリンターで印刷ができないなどの不具合があれば、まず私のところに連絡が入ることになります。もし仮に「それは“レガシー”の領分で、私は“オーバーレイ”担当なので分かりません」などと言おうものなら、ゴールドパートナーとしてNTTの信頼は失墜し、ネットで炎上は必定、日本のおもてなし精神への信頼は瓦解(がかい)するでしょう。

以前に携わった業務で、世界各国の日本大使館に衛星通信システムを構築するため、アジア・アフリカ・中近東15カ国を回りましたが、例外なく、日本への評判は抜群です。この評判をおとしめるのは非常に切ない。自分たちの持ち場をしっかりやる、というのはもちろんですが、開催国として、この業務に携わる人間がどういう態度であるべきか、そういう部分の責任もわれわれにはあると考えています。このことについては、時機をみて、チーム内でも議論しておくつもりです。

それから、社内外を問わず、できるだけオリンピック・パラリンピックに興味を持っていただきたい、という気持ちもあります。実際、海外赴任中にお世話になった方々や知人に対しても、積極的に宣伝活動をしています。先日、初めて田中章仁選手(NTTクラルティ所属)など5人制サッカー*の選手たちにお会いしましたが、実際に見たり聞いたりしないと、なかなかそのすごさは分からないんですよね。この記事を見てくださっている方々にも、そういった面白さ、良さを、ぜひ現地で味わってもらいたいと強く思っています。

* 東京2020パラリンピックでのブラインドサッカーのこと。NTTクラルティの田中章仁選手が日本代表として活動中

オリンピックという大事業を成功させて未来につなげていきたい

松沢良雄さん 4

ご存知の方も多いかと思いますが、いわゆるオリンピック組織の構造は、IOC(国際オリンピック委員会)があって、その“日本支店”としてJOC(日本オリンピック委員会)があり、実際に手足を動かすのは組織委員会です。組織委員会はさまざまな部局で構成されています。われわれが携わるテクノロジー局もその1つ。さらに、テクノロジー局関連業務については、アドバイザー企業からも細かく指示が入ります。各種会議や現場でのやり取りなど、英語で折衝しなければならない場面も多いので、骨が折れますね。

気持ちとしては、「もう、やるしかない」です。スタッフ全員が円滑に業務遂行に当たれるよう心を砕くのも、関係各所との多岐に渡る調整・折衝を行うのも、結局は人間関係の構築です。これだけ大きな仕事を一緒にやるわけですから、しっかり根っこでつながっていないと。

与えられた仕事をやり遂げることはもちろんですが、この機会を通じて、NTTの、さらには日本の評判を上げるために少しでも役に立ちたい。経緯については驚きの連続でしたが、今は、しっかりやらないと、と決意を新たにしています。

社員メッセンジャー

NTTコミュニケーションズビジネスソリューション本部 事業推進部

佐藤 晴紀

東京オリンピック・パラリンピック推進室では、大会に関するNTT ComグループやNTTグループの動き、また、大会成功に向けて挑戦する社員の姿・経験などを社内向けに情報発信するほか、NTTグループ各社と連携したさまざまな活動を行っています。そういった情報をShinesでもご紹介します。

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