2021年04月21日

東京2020大会における最重要拠点のべニューテレコムマネジャーとして活躍中
<3>選手村 津島淳さん

1983年入社。諏訪電報電話局での研修の後、1985年からフランス(パリ、アルザス)にて交換技術の研修を受ける。1987年からの2年間、ジュネーブの国連機関ITUで開発途上国向け技術協力に従事。NTTドイツやNTT Europeでは日系・外資向けのSIやArcstar営業を経験した。2011年以降は、NTT Comが保有する重要な国際海底ケーブルの保守・運用を担当した。

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京2020大会)のゴールドパートナーとして、大会運営を通信サービスで支えるNTT(持株会社、NTT東日本・西日本、NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ)。各会場での通信関連業務を統括するのが「べニューテレコムマネジャー(VTCM、Venue Telecom Manager)」と呼ばれる運用・保守責任者です。長年NTT Comで通信関連業務に当たり、東京2020大会でVTCMを務める4人の熟練技術者たちに、現場の様子や準備状況、大会に向けての思いを伺いました。今回は選手村を担当する津島淳さん(2019年7月からNTT東日本にてご就業中)です。

※この記事は2019年7月時点の情報です

みんなで笑って乗り越えていきたい

私はもともとオリンピックに関わりたかった。ずっと手を挙げたかったんですが、会社の仕事があるやろ、って言われていまして(笑)。ここに来る前は、日本と海外をつなぐ海底ケーブルの業務に7年間携わっていました。ちょうどタイミングよくNTT コム エンジニアリングのサービスネットワーク部企画部門企画ユニットに移って仕事をすることになって。そうしたら急にお声が掛かり、この4月からプロジェクトに入りました。――もうね、めちゃめちゃうれしかったです。

リオ2016大会と平昌2018冬季大会で選手村の業務に携わった方は、「もうストレスだらけだ」と言うんですね。でも、だからこそ、そのストレスだらけで大変なところで、いかに楽しく働くか、ということを考えています。選手からクレームが来たらラッキーと思え、とかね。だって、選手と接する機会なんて普通はないでしょう。仲良くなってサインの1つももらえるかもしれない、というのは冗談にしてもね(笑)。だから、どこから呼ばれても喜んで駆け付けるために今、真夏の選手村を縦横無尽に移動できる若くて元気なスタッフを要望中です!

大会期間中だけ出現する街「選手村」

中央区晴海に建設中の選手村に、実際に行って歩いてみましたが、結構広いです。広さは44haあります。そのまっさらな敷地の中に一時的に街ができる、というのが選手村だと思ってください。

現在宿泊棟を21棟建てていて、オリンピック時の部屋数は約3800戸、1万8000ベッドが用意されます。その他、選手団とともに多くのメディアやゲストが交流でき、また雑貨店などの店舗、カフェや金融機関も入る「ビレッジプラザ」、選手団へ飲食を24時間無償提供する「メインダイニングホール」なども別途作ります。

既存の設備を使ったり、建設したものを遺したりして将来にわたって使うことを“レガシー”といいますよね。一方、利用期間が終わったらすべて撤去するようなものを“オーバーレイ”と呼んでいます。

選手村はレガシーとして大会終了後に分譲マンションが建てられたり、中央区によって学校などに作り変えられたりします。一方、オーバーレイである建物の内装やケーブル配線などの多くは撤去されます。ただ、人が多く集まる場所は美観も大切ですので、配線などは出来るだけ裏に隠すなど配慮しています。

正直“しんどい”ところもある

VTCMとしての私の役割は、選手村にある建物全棟分の通信関係業務を取りまとめて調整すること。東京都、組織委員会、建設業者、ベンダーなど複数の関係者間の調整から、Wi-Fi、CATV、放送用など各種ネットワークを構築するための通信機器選定、設置場所の調整も行います。建築工事は進行中ですので、必要となる通信設備を想定して、各工事業者に「これくらいのケーブルを通したいから、こんな大きさの穴を開けておいてほしい」といった交渉もしなければなりません。

国際放送センターのVTCMを務める笠原さんのお話にもありましたが、「直前の変更」もかなりあると聞きました。建築工事が終われば工事関係者の方たちはいなくなりますので、その後出てくるさまざまな要望にどう応えていくか。人員も限られていますからね。

そして大会時期になれば選手団が入居してきますが、パソコンやテレビの位置を変えたい、Wi-Fiがつながらない、などの要望も多くあるそうです。この時には、通信に関するさまざまな問い合わせに応え、故障などがあれば迅速に対応する運用・保守も担います。

加えてもう1つ、選手村で“しんどい”ところは、大会期間中にこのような「入居」が2回あるということです。まずは各国オリンピック代表選手団が入って、競技を終えて退去します。その後、各国パラリンピック代表選手団が入居してくる。数日で、撤去と据え付けをやり直さなければなりません。まったく新しい人たちが入れ替わりで来るわけですので、当然ニーズも違います。この2つのピークをどう乗り切るか。今一番頭を悩ませている点です。

モットーは「スマイル」! 選手も関係者も笑顔にしたい

津島淳さん

それでもね、例えばあらゆる国の人から、クレームが山のように来ても、相手は人間やと。それは、私がかつて務めた日本人がほとんどいない国連での2年間で学んだことです。それに、アジアの人たちを相手に日本語ボランティアをしていた時に確信したのですが、互いに頭で必死に考えながら英語で会話しようとするよりも、心を込めたコミュニケーションの方が通じ合える。英語に自信がないという社員にも言っています。いざとなったら日本語でいける! とね(笑)。気持ちの入った日本語の方が伝わる、というのが私の持論です。

モットーは、「スマイル」。ここに来る選手の方々のみならず、われわれ“おもてなし”をする側の関係者も、皆さんを笑顔にしたいんです。

もちろん、日々大変なことはあります。金融機関が入るので通常よりもセキュリティの高いケーブルを持ってきてくださいとか、各部屋に光ファイバーをつないだだけでは消防法の許可が下りないので局からアナログ回線も引いてくださいとか……。各方面からさまざまな課題がどんどん出てきます。それを今、一つ一つ解決している最中です。そんな中でも、オリンピックに関わる仕事ができてうれしいですね。だから、常に何か楽しみを見つけていきたいし、みんなで笑って乗り越えていきたいと思っています。

社員メッセンジャー

NTTコミュニケーションズビジネスソリューション本部 事業推進部

佐藤 晴紀

東京オリンピック・パラリンピック推進室では、大会に関するNTT ComグループやNTTグループの動き、また、大会成功に向けて挑戦する社員の姿・経験などを社内向けに情報発信するほか、NTTグループ各社と連携したさまざまな活動を行っています。そういった情報をShinesでもご紹介します。

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