2025年7月より、NTTコミュニケーションズは
NTTドコモビジネスに社名を変更しました
2025年12月26日

「インテリジェントIoT」でどう変わる?
NTTドコモビジネスが描くIoTの未来と戦略について

世の中のあらゆるモノにインターネットを接続し、収集したデータを活用する「IoT(Internet of Things)」。NTTドコモビジネスでは、NTTグループが持つ豊富なアセットを強みに、さまざまな形でIoTビジネス、社会課題の解決に取り組んでいる。今後、IoTを通じてどのような世界をめざすのか、そして顧客に対しどのようにアプローチをしていくのか。具体的な戦略と方針について、7月に発足したインテリジェントIoT推進PTを兼務する、ビジネスソリューション本部 ソリューションサービス部の西野輔さんとプラットフォームサービス本部 5G&IoTサービス部の淵上豊崇さんに聞いた。

データの蓄積・分析・フィードバックまで一貫して支援する「インテリジェントIoT」

NTTドコモビジネスはIoTを法人事業の重点領域の一つとしており、「インテリジェントIoT」をコンセプトに、データの蓄積・分析と実行・フィードバックまで一貫した支援ができるサービスの提供をめざしている。

昨今のAI活用やIoTの進展の中で、ネットワークに求められる要件はより高度化し、自律的に最適なネットワークを選んで通信をしたり、セキュリティ上のリスクを検知して自ら通信をシャットダウンしたりする“インテリジェント化”が進んでいる。インテリジェントIoTとは、「インテリジェンスを備えたネットワークで通信する、より進化したIoT」とも言える。

この進化したIoTによって、単にモノをインターネットにつなぐだけではなく、より安全で簡単につながるセンシング、途切れない通信、柔軟なネットワーク制御によるデータの蓄積を可能にする。そして、AIを活用した分析によって、監視状況や予測結果などを現実世界にフィードバックし、さまざまな価値を提供できるようになる。

西野さん

「具体的な現実社会へのフィードバックとしては、例えば、防犯、運輸業界での輸送能力の増加、エネルギー利用の効率化などが考えられます。私たちのIoTの仕組みを活用することで、お客さまに多様な価値を提供し、あらゆる社会の課題を解決することができるはずです」(西野さん)

「IoT業務DX」と「製品組み込みIoT」〜市場にアプローチする2つの戦略〜

進化したインテリジェントIoTの強みや価値を、どのようにしてより多くのお客さまに伝え、使ってもらうのだろうか。市場へのアプローチとしては、「IoT業務DX」と「製品組み込みIoT」という、2つの戦略を打ち出している。

「IoT業務DX」は主にB2Bを想定しており、お客さまの課題解決から入りIoTによって業務プロセスを変えるというアプローチだ。例えば警備ロボットのIoTがユースケースとして挙げられる。社会全体が労働力不足という大きな課題を抱える中で、人間の業務負荷の軽減に警備ロボットが普及しつつあるが、低レイテンシーなMECなど最適な通信環境を提供している。

さらには、AIが最適な回線を選択することで通信が途切れることなく稼働したり、AIが大量のデータを処理できるようクラウドを活用したりするなど、インテリジェントIoTを生かしたサービスを実現することで、単なる「警備ロボットの通信機能」だけではない、NTTドコモビジネスならではのAI中心のIoTソリューションをめざしている。

一方で「製品組み込みIoT」は、B2B2Xを想定し、お客さまの製品にNTTドコモビジネスのIoT回線やサービスを組み込むことでその製品の価値を高め、面的な展開を狙う。ユースケースとしては、自動販売機などに搭載されているキャッシュレス決済に対応する電子決済端末が挙げられる。NTTドコモビジネスのIoTを取り入れた電子決済端末で活用しているのは、通信サービス「SIMアプレット」だ。従来電子決済端末内の保存領域で処理していた機微情報をSIM内のアプレット領域で処理することで、端末内に特別な構造やハードウェアを追加することなくセキュリティを高めることが可能になった。

セキュリティ対策をSIMアプレットで実施することによって、電子決済端末を製造している顧客は、自社の製品の開発コストを下げることが可能になるスキームが成り立つ。価格競争が激しいSIMは、競合による格安なものも多いが、価格だけではない付加価値を提供することで他社との差別化、競争優位を実現した事例と言える。

営業戦略にも新しい視点が必要

こうした戦略を着実に実行していくためには、営業のアプローチも変えていくことが重要だ。例えば製品組み込みIoTの場合、その製品にIoTを組み込むことでどのように価値を上げることができるのか、いかに製品の企画段階から入り込みニーズにマッチした提案ができるかが、NTTドコモビジネスを選択してもらう鍵となる。

淵上さん

「今まではアカウント制度に基づき、例えばお客さまの情報システム部や総務部といった部署を対象に営業、提案をしてきたことが多かったと思います。しかしIoTの場合は、LOBと呼ばれる基幹業務の部署や、R&D・開発といった事業そのものを担う部署がアプローチ対象となります。これまで培った顧客基盤に加えて、パートナープログラムやPull型マーケティングを活用してチャネル拡大を進め、より大きな成果につなげていければと思います」(淵上さん)

これまでの営業コネクションと異なるアプローチが必要となってくることから、5G&IoTサービス部内に、顧客先の製品開発部署に対して技術的な提案をするチームを新設。営業担当者と一緒に出向くなどして、現在、勝ち筋の見極めに動いている。

豊富なアセットを強みに、新たな領域開拓にチャレンジ

あらゆる業界においてIoTが急速に広がり、各社がさまざまなIoTサービスを仕掛ける中、NTTドコモビジネスのIoTの武器となる、他社にはない特徴としてはどのようなものがあるのだろうか。西野さん、淵上さんが声をそろえて挙げたのは、「NTTドコモビジネスだからこそ活用できる豊富なアセット」という強みだ。

docomo business プライベート5Gで提供する「5Gワイド」や「ローカル5Gサービス TypeD」などは他社にはないサービスであり、また「docomo business SIGN™」(12月19日よりサービス提供)はセキュリティ機能を備えたNaaS(Network as a Service)で、特許取得済みのセキュリティ攻撃に対する脅威検知・遮断機能をNW側で提供し、IoTデバイスだけでは対応しきれない場合があるセキュリティ防御をNW側で強化できるサービスだ。このような他社にないアセットを活用することで、インテリジェントIoTのコンセプトを下支えする。さらには今後、docomo business SIGN™の枠組みに、ネットワークやセキュリティ以外の分野も取り込んでいくことも予定されている。

「フィジカルAI」で新たな一手を

そしてもう一つ、新たな武器として期待されるのが「フィジカルAI」だ。フィジカルAIとは、センサーやカメラによって現実の世界を認識し、ロボットや自動車などが自律的に動けるよう制御するシステムのこと。このフィジカルAIを活用し、製造・物流領域などに切り込む取り組みも進めている。

具体的な取り組み内容としては、製造・物流領域に強みをもつパートナーとアライアンスを組み、フィジカルAIによって、例えば生産ラインで動くロボットや、倉庫で物を運ぶAGV(Automatic Guided Vehicle・無人搬送車)などを管理する仕組みを提供することを想定している。製造業では、経営資源を管理する基幹システムや実際の生産ラインを管理する製造実行システムなどさまざまなシステムが稼働し、その一つ一つが大量のデータを活用している。将来的には物流工程を足掛かりにさまざまな工程でフィジカルAIを提供し、データを連携させた上でバリューチェーン全体を横断した最適化の実現も視野に入れている。

担当よりお客さまへメッセージ

淵上さん(左)と西野さん(右)

IoTはこれからますます広がる大きな成長領域です。IoTは進化を続けるAIと組み合わせることによってさまざまな社会課題の解決を実現することができます。われわれは、お客さまやパートナー企業の皆さまのアセットと、NTTドコモビジネスのIoTプロダクトやアセットを掛け合わせることによって、新たな価値を創出するサポートをしております。IoT導入に関するお困り事や実現方法のお悩みなどがございましたら、お気軽にご相談ください。

社員メッセンジャー

NTTドコモビジネスプラットフォームサービス本部 5G&IoTサービス部

淵上 豊崇

システムエンジニア、パートナービジネス、営業企画、協創ビジネスなど、幅広い法人ビジネスに従事してきました。直近では、5G・IoTを活用したB2B案件の支援や、B2B2X協創ビジネスの創出に取り組んでいます。5G・IoTに加え、AIなどに関するお悩みやお困り事がありましたら、お気軽にご相談ください。

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