Arcstar Universal One
導入事例
株式会社城山
株式会社 城山
IPネットワークを活用したモバイル通信で
現場の声に応えた新しい無線システムを実現
課題
- 無線システムの電波が届かないエリアを解消したい
- 持ち運びに便利で柔軟に使える無線機端末を提供したい
対策
- 通信エリアの広さと高速安定性を評価し、Arcstar Universal One モバイルを採用
- 無線システムと携帯電話の“いいとこ取り”の新サービスを開発
効果
- 全国どこでも安定的な通信が行える無線システムが実現できた
- さまざまな現場業務や用途で使える無線機端末を提供できるようになった
導入ソリューション
課題
中継電波の届かない不満を解消するため、無線とIPネットワークの融合が必要に
業務用無線機や携帯電話、関連するネットワークシステムの構築・保守など、一貫して「通信」に特化した製品・サービスの提供を行ってきた城山。現在は全国にマルチキャリアの携帯電話ショップも展開し、情報コミュニケーションの総合商社としてその存在感を発揮している。
同社が得意とする業務用無線機の新たなラインアップとして誕生したのがスマートフォンタイプのIP無線機「SmaTalk」シリーズである。これは「Push To Talk方式(送信ボタンを押している時だけ音声送信状態となる方式)」。無線機の使い勝手はそのままに、ネットワークはIP網を使うというユニークなシステムで、2013年発売の初代モデル、2014年8月発売のタフネス仕様モデル「SmaTalkⅡ」ともに、さまざまな現場で実運用が始まっている。
この端末を開発した発端は、従来までの無線機に限界を感じていたからだという。「これまで業務用に使われてきた中長距離向けの無線機は、地下街やトンネル、移動する車内など中継電波の届かないエリアが存在します。特に東日本大震災以降は社員の安否確認や危機管理という意味で、常につながる無線機が要望されていたため、携帯電話のIP網を使ったらどうかというアイデアが出たのです」と同社の吉田 寛氏は語る。
携帯電話のIPであれば、通信キャリアの設備を使うため、全国ネットワークが保証できる。さらに端末がスマートフォンになれば持ち運びが容易で、事務所や車両に固定化された無線機より柔軟に使える。こうした同社独自のアプリケーションをオリジナルのAndroidスマートフォンに搭載し、スピーカーマイクなども接続して使えるSmaTalkを開発したのだ。
対策
新サービスの全国展開を見据え、高速安定性と定額料金に対応した回線を選択
SmaTalkの展開にあたり、同社はIPネットワーク基盤にNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)のモバイルデータ通信サービス「Arcstar Universal One モバイル」を採用した。これはNTT Comが、MVNO事業者としてNTTドコモのXi®/ FOMA®網とVPNをダイレクトにつなぎ、モバイル端末からのセキュアなリモートアクセスを実現するソリューションである。
「低価格での全国展開を図るため、まずは国内人口カバー率100%のFOMA®網を利用したいと考えていました。同じ3G回線を扱うMVNOの中でもNTT Comのサービスは、高速安定性に優れているため、音声品質だけでなく写真などを送る際にも非常に有効です」と吉田氏は話す。
また、パケット定額料金にも対応しているため、料金を気にせず業務で存分に使える。さらに、インターネットを介さないVPNであるため、通信のセキュリティ性も高い。「提案も早くこちらの業務やビジネスの目的をわかってくれる。最後は人を見てNTT Comに決めました」と吉田氏は語る。
SmaTalkシリーズにNTT ComのSIMカードを装着することで、従来の無線では通信が困難だったエリアも問題なくカバーできるようになった。無線にありがちな周波数混信の心配もない。さらにFOMA®エリア外では無線LANのアクセスポイントで通信が行える。
「通常の業務無線機を扱うには免許や申請手続きが必要ですが、FOMA®回線を使うSmaTalkにはその負担がありません。あらゆる企業・組織で容易に導入していただけるのが大きな特徴です」と同社の小室 羊詩氏は話す。
効果
危機管理用通信からスポーツイベントまで、幅広い利用シーンに対応し、市場を拡大
通常の電話は1対1で通話を行うが、無線機の仕組みに則ったSmaTalkは「1対n(多数)」の一斉呼び出し通話やグループトークが行える。また防水・防塵仕様のSmaTalkⅡは、水害や土砂崩れなどの緊急事態発生時に通話へ強制的に割り込み、アラートや緊急通信を入れられる「エマージェンシーモード」も搭載している。災害時にも通信制限されにくいパケット帯域を利用する仕様とも相まって企業や自治体の危機管理用通信としての引き合いが増えているという。「1対nの全国一斉通信ができるSmaTalkなら、本社から全国拠点への緊急通信が瞬時に行えます。また各地からの災害状況をほぼ同時に聞くことができるため、従来型無線に比べて対応スピードが大きく変わってきます」(小室氏)。
過酷な使い方が想定される工事現場や保守・メンテナンスの現場でも導入が進むSmaTalkだが、意外にもマラソンなどのスポーツイベントでの活躍も多い。
「これまで神戸マラソンや、青森と東京をつないだ復興支援イベント“1000km縦断リレー”などでSmaTalkを採用していただきました。スタートからゴールまで数十キロ以上の長距離を結ぶ道程の中では、見通しが悪いとなかなか無線電波が届かない状況が予想されます。その点SmaTalkなら、どのような状況でも安定的な通信が行えますし、GPS機能で位置情報もリアルタイムに把握できる。ランナーの追跡や救護班の迅速な派遣などで非常に有用だと高い評価をいただいています」と吉田氏は胸を張る。
このほかにも空港のグランドスタッフ業務や大規模駐車場の管理など、これまで無線が一般的だった現場にも利用が拡大しつつある。「今後は、お客さまの業務アプリも実装するなど、スマートフォンならではの強みも活かした付加価値の高い提案を行っていきたいですね」と小室氏は期待を寄せる。
今後は、より携帯電話のように会話が行えるIP電話アプリ「050 plus for Biz」の導入や、動画配信でもストレスのないXi®回線への対応も進めていく予定だ。SmaTalkシリーズによる「無線革命」の拡大は、これからが本番になりそうだ。
「SmaTalk」システムの概要
IP回線を利用した無線通話システムSmaTalkは、Arcstar Universal One モバイルの適用により、ドコモFOMA®エリアで人口カバー率100%の通信と無線LAN接続を実現している
会社概要
株式会社城山
- 本社
- 兵庫県姫路市飾東町豊国289-1
- 設立
- 昭和51年9月3日
- 従業員数
- 400名(グループ全体)
- 事業内容
- 携帯電話・業務用無線機・雷検知システム・デジタルタコグラフ・ビジネスフォン・セキュリティシステム・その他電子通信機器・PCおよびOA機器全般