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11時間の休息が過労死を防ぐ。
「勤務間インターバル」の可能性

11時間の休息が過労死を防ぐ。「勤務間インターバル」の可能性

勤務間インターバル制度は、終業から次の始業までに一定の休息時間を確保する仕組みで、2019年の法改正で努力義務として導入され、企業や自治体でも導入の動きが広がっています。実際に導入した企業からは、従業員の健康改善や生産性向上といった声が寄せられており、離職率の大幅な低下につながった例も報告されています。中小企業には助成金制度も用意されており、研修やシステム導入などにかかる費用の一部が支援対象となります。この制度の普及を目指し、国は2025年までに導入企業割合を15%以上とする目標を掲げています。過労死の対策としても注目されている勤務間インターバル制度が企業にもたらす効果と導入するメリットについて解説します。

目次

「勤務間インターバル」で、
終業~出勤までの休息時間を確保する

「勤務間インターバル」という制度をご存知でしょうか?これは、労働者が必ず一定の休息時間を取るようにするための制度で、1日の勤務終了後、翌日の出社までの間に一定時間以上の休息時間(インターバル)を設けることで、労働者の生活時間や睡眠時間を確保するものです。

勤務間インターバル制度が日本で導入されたのは2019年4月のことで、「労働時間等設定改善法」の改正に伴い追加されました。同法の第2条第1項では「事業主は、(略)健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定(略)その他の必要な措置を講ずるように努めなければならない」と記載されています。

同法ではインターバルの時間について特に規定されていませんが、 厚生労働省東京労働局では一例として「11時間」を挙げています。

たとえば朝8時が始業のA社に勤務するBさんの終業時間が夜の23時だった場合、11時間の勤務間インターバルを考慮すると、Bさんの翌日の勤務開始時間は、8時ではなく10時となります。もしA社が、Bさんに朝8時の出社を求める場合は、夜21時以降の残業を禁止し、11時間の勤務間インターバルを確保する必要があります。

このように勤務間インターバルは、労働者に一定の休息時間を確保することで、労働者が十分な生活時間や睡眠時間を確保し、ワーク・ライフ・バランスを保ちながら働き続けることを保証する制度となります。

図:勤務間インターバルを11時間に設定したケース。たとえ始業時間が8時であっても、11時間のインターバルが確保されていない場合は、始業時間を後ろ倒しする
勤務間インターバルを11時間に設定したケース。たとえ始業時間が8時であっても、11時間のインターバルが確保されていない場合は、始業時間を後ろ倒しする(厚生労働省 東京労働局「勤務間インターバル制度をご活用ください」より引用)

勤務間インターバルの導入で、
離職率が40%→6%に下がった!

勤務間インターバルの導入は、現時点ではあくまでも「努力義務」となります。しかし、2021年7月に変更された「過労死等の防止のための対策に関する大綱」では、2025年までに勤務間インターバル制度を知らない企業の割合を5%未満とすること、同年までに勤務間インターバル制度を導入している企業割合を15%以上とする目標が掲げられています。

すでに勤務間インターバルを導入している企業も数多く存在しています。厚生労働省の「働き方・休み方改善ポータルサイト」では、企業・団体における100件以上もの勤務間インターバルの導入例が掲載されています。インターバルの時間はおおむね9~11時間であり、短い例では8時間、長い例では16時間ものインターバルが確保されています。

同ポータルサイトでは、勤務間インターバルを導入するメリットについて「従業員の健康の維持向上」「従業員の定着や確保」「生産性の向上」の3点を挙げています。さらに、インターバルを導入した企業の声として「従業員から『体が楽になった』『体調が良くなった』などの声が聞かれた」(製造業)、「一時40%を超えていた離職率が6%まで低下した」(福祉業)、「生産性が高まった」(建設業)と、同制度に対する好意的な声が挙がっています。

企業だけでなく、地方自治体でも導入が進みつつあります。たとえば福岡市では、生産性と健康の好循環社会の創出のために、11時間の勤務間インターバルを2022年9月に導入。愛知県でも、2025年4月から11時間の勤務間インターバルの導入を発表しています。

勤務間インターバルを導入することで、
助成金も受け取れる

前述の通り、勤務間インターバルの導入は努力義務ではありますが、導入することによって助成金が受給できるというメリットも存在します。

厚生労働省が実施している「働き方改革推進支援助成金」の「勤務間インターバル導入コース」では、勤務間インターバルを導入、もしくは適用範囲を拡大した中小企業の事業主に対し、実施に要した経費の一部を助成します。

対象となる企業は中小企業事業主のみで、かつ労働者災害補償保険の適用事業主であること、36協定が締結・届出されていること、過去2年間に月45時間を超える時間外労働の実態があること、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していることなどが条件として設定されています。

このほかの条件として、勤務間インターバルを導入していないことも挙げられていますが、たとえすでに導入済みであっても、同制度の対象となる労働者が当該事業場に所属する労働者の半数以下である場合、インターバルの時間が9時間未満の場合は対象となります。

支給対象となる取り組みとしては、労務管理担当者や労働者に対する研修、勤務管理用ソフトウェアやデジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新など全9項目が設定されており、いずれか1つ以上を実施する必要があります。これらの取り組みの結果、事業主が事業実施計画において指定した各事業所において、9時間以上11時間未満、もしくは11時間以上の勤務間インターバルを導入し、定着を図ることが成果目標として定められています。

図:課題別にみる助成金の活用事例
課題別にみる助成金の活用事例(厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)のご案内」より引用)

助成金の補助率は、上記取り組みの実施に要した経費の3/4です。助成額の上限は、勤務間インターバルを新規で導入した場合、9時間以上11時間未満は100万円、11時間以上は120万円です。適用時間の拡大・時間延長の場合、上限額は50万円(9時間以上11時間未満)、60万円(11時間以上)です。

同助成金の交付申請は2025年4月から開始されており、11月28日まで受け付けられる予定です。ただし、国の予算額の制約により、早期に受付が終了する可能性もあるといいます。

勤務間インターバルは、従業員の健康を守ることで離職を防ぎ、かつ業務の生産性を高める効果が期待できる制度です。もし残業が多いにも関わらず、同制度をまだ導入していない企業は、一度検討してみてはいかがでしょうか。

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