ChatGPT導入の現状と目的
調査結果によれば、業務にChatGPTを導入している企業のうち、「ほとんどすべての業務で導入している」と回答したのは15.4%にとどまり、約半数の46.9%が「一部の業務のみ導入している」と答えています。

導入の主な目的としては、「業務効率化・生産性向上」が71.1%と最も多く、次いで「人件費や外注費などのコスト削減」が28.7%、「イノベーション推進」が26.7%となっています。
これらの結果から、多くの企業が業務の効率化や生産性の向上を期待してChatGPTを導入していることがうかがえます。
導入による効果と直面する課題
ChatGPTの導入によって、「業務プロセスが効率化した」と感じている企業は53.9%に上り、「従業員の生産性が向上した」との回答も29.9%に達しています。
一方で、導入に伴う課題として、「情報漏洩のリスクなどセキュリティ問題」を挙げた企業が36.9%、「出力情報が不正確」との懸念が35.7%、「出力情報の真偽を確認する作業を従業員がしない」との指摘が22.4%となっています。

これらの課題は、ChatGPTの活用におけるセキュリティ対策や情報の正確性確認の重要性を浮き彫りにしています。
従業員のAIリテラシーに対する経営層の評価

従業員のAIリテラシーについて、経営層の評価は分かれています。
「非常に高い」と答えたのは14.7%、「ある程度高い」が45.9%で、合わせて約6割が高いと評価しています。
しかし、「あまり高くない」との回答が34.4%、「まったく高くない」が5.0%と、約4割の経営層が従業員のAIリテラシーに懸念を抱いています。
特に、年齢層による格差や、プロンプト作成への不慣れ、情報の確認作業の不足などが具体的な課題として挙げられています。
安全なChatGPT活用に向けたルール整備の現状
安全なChatGPTの活用が企業の信頼性向上につながると考える経営層は、8割以上に上ります。

しかし、ChatGPT活用に関するルールやガイドラインを「すでに整備している」と答えた企業は20.4%にとどまり、「現在整備中」が39.9%、「整備していないが、今後整備予定」が30.7%と、約9割の企業が整備の必要性を認識していますが、実際に整備済みの企業は少数派です。

整備の課題として、「責任の所在を明確化できない」(44.9%)、「定期的な見直しと更新が難しい」(35.6%)、「法的・倫理的問題への対応が難しい」(32.1%)といった点が挙げられています。
今回の調査から、ChatGPTの導入が業務効率化や生産性向上に寄与している一方で、セキュリティや情報の正確性、従業員のAIリテラシーに関する課題が浮き彫りになりました。
安全な活用のためには、ルールやガイドラインの整備が急務であり、責任の所在の明確化や定期的な見直し、法的・倫理的問題への対応といった課題を克服する必要があるでしょう。
この記事はドコモビジネスとNewsPicksが共同で運営するメディアサービスNewsPicks +dより転載しております。
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デザイン:山口言悟(Gengo Design Studio)
編集:斉藤和美