NTTコミュニケーションズ
イノベーションセンター プロデュース部門
斉藤 久美子
新規事業創出支援のための施策「DigiCom(デジコン)」と「BI Challenge」を強力にサポートいただいているフィラメント社のオウンドメディア「QUMZINE(クムジン)」と、NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)グループ社内報「ONLINE JOURNAL(以下、OJ)」のコラボ企画の第2弾記事です。
今回はDigiCom出場チームに協力いただき、QUMZINEとOJにてコンテストの振り返りや今後のことについて語っていただきました。
目次
コラボ企画の第1弾記事にてフィラメントCEOの角勝さんと対談する中で、次は出場チームにコンテスト参加体験を振り返ってもらいたい! という話になりました。そこで、DigiCom終了後にBI Challengeで事業化に向けて取り組みを進めているチームの中から「ザ・ボイスターズ」と「Social Impact Innovation」に協力いただきました。
前編・後編の2回シリーズでQUMZINEに掲載された記事がこちらです。
【前編】2021年2月18日
NTT Comの社内ビジコン「DigiCom」を参加チームが振り返る
〜イチから新規事業開発をして学んだこととは?
【後編】2021年2月25日
NTT Comの社内ビジコン「DigiCom」を参加チームが振り返る
〜事業開発で情熱を持ち続けられた理由とは?
DigiComを通じての学びや苦労話などがたっぷり掲載されています。まずはQUMZINEの記事をご覧になってから、この後のインタビューを読んでいただけると2倍楽しめると思います。
両チームにQUMZINEの記事が公開された反響を聞いてみたところ、次のような感想を頂けました。
「ザ・ボイスターズ」
「Social Impact Innovation」
「ザ・ボイスターズ」はNTTコム エンジニアリングのサービスネットワーク部サービスデリバリ部門に所属する6人のメンバーで構成されています(メンバー紹介は後述)。
電話を使って安心してドアを開けられるコミュニケーションツール「マスクコール」というアイデアをDigiComで発表、現在はBI Challengeのステージ3でステークホルダー(顧客となる事業者)へのインタビューを行いながら解決策の検証を行っています。
メンバーは以下の6人。それぞれの役割を質問したところ「○○番長」という楽しいネーミングで紹介いただきました。この話だけでインタビューの半分くらいの時間を使ってしまったほどで、チームワークの良さはもちろんのこと、お互いを尊敬しあっているんだなと感じました。
高橋恵子さん:「総長」
リーダーとして各メンバーが動きやすいように環境を整える担当。気遣いとマネジメント力ありとメンバーから信頼を寄せられている。
藤澤哲也さん:「ガヤ番長」
ガヤで硬直した議論を活性化。藤澤さんがいると何か楽しい方向に空気が変わるとメンバーの証言あり。
井上仁美さん:「Excel番長」
議論した内容をすぐにExcelで可視化。Excel好きが高じて、業務ツールをつくることが本業に。
伊藤博美さん:「資料番長」
あらゆる情報や資料の収集が得意。プレゼン資料も高速作成。どうやって見つけてくるの? とメンバーは不思議に感じているとのこと。
渡辺一樹さん:「的確番長」
話し合いで行き詰まったときに、的確な指摘で軌道修正。言葉選びも的確。サービス名「マスクコール」のネーミングも渡辺さん案。
神在風希さん:「新入社員番長」
いつも元気いっぱい、新しい風を吹き込む担当。「オンラインだと緊張しないので」と発表を買って出る強いハートの持ち主。
――皆さんで考えた事業アイデアについても紹介したいのですが、どんな想いで発案したのか、どんなことを実現したいのかを教えてください。
高橋:私たちは電話サービスを扱っている部署に所属しているので、電話や通話に関連した新しいサービスをつくりたいという気持ちが強かったです。社会課題になっている訪問盗(点検を装った強盗)の被害のニュースを目にするたびに、電話で何か対策できないかなと思いました。そこで、電話を使って安心して家のドアを開けられるコミュニケーションツールをつくろうと思いついたんです。
――メンバーの皆さんはどのような共感があったのでしょうか?
井上:最近ではインターネットによる情報提供が当たり前になりつつあります。
スマホやパソコンを操作できない人は、ネットでしか提供されない情報やサービスを利用することはおろか知ることさえできないんだなと思うと、私の親もスマホは使えないので切ないような悲しいような気持ちになっていました。私たちが考えたアイデアは、固定電話が使えれば利用できるサービスです。固定電話を人とつながる手段として頼りにしている人たちは多くはないかもしれないけど、そういう人たちを置き去りにしないサービスだなと気付いて、これは実現したいって思いました。
藤澤:コロナ禍というタイミングも、私たちが考えたサービスをやった方が良いよという後押しになったのかなと思います。リモートワークで自宅にいる時間が増えたからこそ、自分も訪問盗の被害に遭うかもしれないという危機感を持つ。だから、これは解決した方が良い課題だよねと共感する。課題解決への共感が得られやすい状況でした。
――今回のDigiComではアイデアの必要性や価値をユーザーに問う、ユーザーインタビューを実施することが条件の一つでした。皆さんのチームはユーザーインタビューをするのは初めてだったと思いますが、どんな気づきや学びがありましたか?
伊藤:私たちは「ユーザーインタビュー」って何? というところからでしたので、実施の仕方、インタビュー対象の見つけ方、質問する内容も事務局やフィラメントさんと確認しながら進めました。初めてのインタビューは、めちゃくちゃ緊張しましたね。
ターゲットユーザーとして想定していたガス会社の方にもインタビューできたのですが、サービス内容を説明したら共感してもらえて、頑張って実現してくださいと言ってもらえたので、自分たちの自信にもつながりました。また、実際に業務をやっている人でないとわからないことも教えてもらえたので、サービスを検討する上でもユーザーインタビューは大事だなと実感しました。
――DigiComに参加してみて、ご自身や周囲に変化はありましたか?
藤澤:この質問は本日のインタビューに欠席している渡辺さんから回答を預かっているので紹介させていただきます。
「DigiComに参加してみて、聞く力と発信する力が成長した。議論する中で解決策が浮かばない場合に、身近なことに置き換えて検討したり、まず自分から意見を発信してみたりすることで解決に結びついた。周囲の変化として、私たちのアイデアが社会的課題の解決策として非常に有効な手段なので実現すべき! という熱を帯びた支援がどんどん高まってきたのを実感している」というのが渡辺さんからのメッセージです。
周囲の支援という点で一例をあげると、DigiCom予選会の2日後くらいに、上司(部長)が自らプログラミングしてデモ機を作ってくれたんですよ。サービス側のプラットフォームサービス本部アプリケーションサービス部にも協力いただき、先に進んでいる実感がありますし、周囲に社会課題の解決のためになら協力を惜しまないという変化が巻き起こっていると思います。
――部長が自ら手を動かしてデモ機を作ってくれるなんて、すごくありがたいですね!
伊藤:別にDigiComをよいしょするわけじゃないですけど、「DigiComに出るので、こういう資料ありますか?」と声を掛けると「DigiComね。いいよ、いいよ!」って、いろんな人が協力してくれるんです。だから「DigiCom」の力も感じています。
それと、協力していただいている方には本当に感謝しています。周囲の協力なくして、今の私たちはありません。協力いただいた方の名前を今ここで全部出したいくらい。本当に感謝しています。
――それはDigiComの事務局としては本当にうれしいエピソードです! 今、次年度のDigiComの準備を進めているのですが、参加を検討している人に向けてメッセージをお願いします。
高橋:正直なところ、DigiComと本業の両立はとても難しいです。でも仲間の意外な一面を知ることができますし、これまでに経験したことのないような学びや考え方も身に付きます。「新規事業なんて……」と尻込みしてしまうかもしれないですけど、こんなことができたら自分がワクワク生活できるかなというような身近なことから考えてチャレンジしてみると良いと思います。
藤澤:「DigiCom」という冠があることで、新しいことにチャレンジしやすくなっていると思います。私たちの日常業務はサービスの申し込みやデリバリーをするところなので、「こんなサービスつくろうよ!」といったところで、「それはサービスをつくる部署の仕事でしょ?」となる。良くも悪くも縦割りの組織の中で、「なんでお前がやるの?」をすっ飛ばして前向きに組織横断で新規事業に取り組めるので、DigiComは良い仕組みだと思います。
――他に「これは言いたい」ってことがある方、いらっしゃいますか?
伊藤:私の中ではDigiComって若い人が参加するイメージがあって、自分ではちょっと参加しづらいなって思っていました。実際に参加してみると、大変なところも多いんですけど、楽しい部分もあるし、人生経験を積んでいたからこそプラスになることも多いと思いました。日ごろの業務から離れて、ちょっと遠くの新しいことを考えると視野が広がるし、これからの業務にも役立つと思うので、人生経験豊富な方にもぜひ参加してほしいです。
「Social Impact Innovation」は入社24年目のソリューションサービス部 金子憲史さんと2020年度新入社員の第二ビジネスソリューション部 小室直也さん2人のチームです。コロナ禍で加速する音楽ライブのオンライン配信市場への参入というアイデアをDigiComで発表。現在はBI Challengeのステージ4でMVP(顧客に価値を提供できる最小限のプロダクト)の検証として音楽ライブ配信のテストイベントを実施中です。
――メンバーの役割を教えてください。
金子:小室さんが持っている音楽業界の知識や感覚に助けられています。私は音楽業界の用語とかこなれていないところがあって、業界インタビューをしても分からない言葉が出てきたりするんですよね。あと事業アイデアを説明するんですけど、ユーザーである音楽業界の方にご理解いただけるような内容になっていない時もありました。そんな時に小室さんが話の内容をかみ砕いてくれたりして、意思疎通を促進してくれるような役回りを担当してくれました。インタビュー内容を振り返る際も、小室さんの気づきが重要な分析につながったりしました。
――なるほど、小室さんにはバンド経験があり、またコロナ以前は年間数十本ものライブに足を運んでいるとお聞きしましたが、そういった経験が生きているんですね。
小室:私は入社1年目なので、業務に関して金子さんに勝る点はないと思っています。だからこそ、自分ができることって何だろうな? と考えた時に、自分が音楽を好きであること、音楽に対するパッションとか、そういったことがプロジェクト推進の一助になればと思っています。
――改めて、お二人がどんな事業アイデアをお持ちなのか? どんな想いで発案したのか? などを教えてください。
金子:DigiComが始まったのは新型コロナウィルスによる1回目の緊急事態宣言下でした。今年、コンテストにチャレンジするなら、この危機的状況を打破することに何か貢献したいと思っていました。どうやって貢献するかまでは見えていなかったですが、アイデア創出のワークショップで社会課題とNTT Comの強みを掛け合わせする中で、新型コロナで大打撃を受けている音楽業界の課題とNTTグループの映像配信技術の組み合わせに気付いたんです。ちょうど宇多田ヒカルさんがYouTube上で複数のアーティストと一緒に音楽の感動を届けるというライブを見て感動して、自分もこれくらい社会にインパクト与えるものにチャレンジしたいなって思いました。また音楽の感動を人に届けることをNTT Comなりの立ち位置で必ずできるはずだって思いました。
――宇多田ヒカルさんのライブは金子さんにインパクトを与えたんですね。
金子:歌は音楽と歌詞を一緒に届けられるのでメッセージ性が強いですよね。たまたま耳にした歌がその時の自分を応援しているような内容だったりすると、すごく力をもらえる。歌の力をすごく感じたんですよね。
――小室さんは途中から金子さんのチームにJOINしていますが、どのようなところに共感や期待感を持たれたのでしょうか?
小室:私はDigiComの予選会までは違うチームで音楽系の違うアイデアに取り組んでいたんですけど、NTT Comとしてやる意義があるのか? という点で評価されず予選落ちしていました。金子さんが考えた音楽配信のアイデアは、NTT Comとしてやる意義があるなと思ったし、新規性と実現可能性も併せ持っていたので、ぜひ自分も関わりたいと思いました。
――今回のDigiComではアイデアの必要性や価値をユーザーに問う、ユーザーインタビューを実施することが条件の一つでした。ユーザーインタビューをやってみて、どんな気づきや学びがありましたか?
小室:ユーザーインタビューをしたころには他社からライブ配信サービスが次々と出ていたので、これからNTT Comができることってあるんだろうかと疑問を覚えるところがありました。でも実際にお話を伺ってみると、ライブ配信事業者からすると現状に満足しておらず、課題がまだ山積みな状態だということに気付きました。それはインタビューをしなければわからなかったことでした。
金子:最初に3人の方をインタビューした際は、私たちの仮説を前提にディスカッションさせていただきました。事業アイデアにおける自分たちの立ち位置がうまく理解されていないなということに気付きました。結果的には言いたいことは一緒なんですけど、どのようなワーディングで説明するかによって、先方の理解度が変化するんですよね。どのように説明するかもユーザーインタビューで調整していきましたし、それによって表現が成長したと思います。
――次にやろうとしていることを教えてください。
金子:昨年7月にDigiComの予選会を通過して、11月にDemodayで発表し、12月にステージアップ審査をクリアして、ステークホルダーインタビューの段階まで来ました。そこで事業アイデアの解決策にニーズがあることが証明できたので、次は実証実験をやりたいということになって、さらにステージアップしてプロジェクトに予算を付けてもらいました。この3~4月に実証実験としてクローズドなテスト配信イベントを実施します。その成果をもって音楽業界のパートナーと連携して、少し大きなパブリックイベントを2021年度上半期にやりたいと思っています。先々の目標地点を定めて取り組んでいこうとしています。
――最後に、次年度のDigiComに参加しようと思っている人へのメッセージをお願いします。
金子:自分の担当している業務以外で新規事業創出に取り組める仕組みが提供されている企業はそう多くないと思います。外部でゼロから事業を立ち上げようとしたら相当苦労するところ、ある程度の新規事業創出の指針が流れとして示されていて、取り組みの支援も受けられるので、一度はチャレンジしてもらいたいです。
事業を設計することや立ち上げようとする経験は、すごく貴重な体験になると思います。新規事業を創出する中で感じるワクワク感や高揚感は良い刺激になりますし、自分が活躍できる新しい可能性に気付けたり、さまざまな人との新しい出会いもあったりと、得られるものがたくさんあります。
小室:私は自身が入社1年目で参加したので、新入社員こそ参加してほしいと思います。参加すると忙しくなってしまいますが、学びも多く貴重な経験になると思うので、ぜひ仲間を誘って取り組んでみてほしい。
私自身、大好きな音楽に関われて、音楽業界の関係者とたくさん話すこともできて楽しいです。
(聞き手:DigiCom事務局/斉藤久美子)
NTTコミュニケーションズイノベーションセンター プロデュース部門
斉藤 久美子
NTTドコモグループ新規事業創出プログラム「docomo STARTUP」、オープンイノベーションプログラム「ExTorch(エクストーチ)」などの事業創出をミッションとした施策の事務局を担当しています。社員のチャレンジを社内外に発信します!
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