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オンプレでもクラウドでも無視できないサーバーの電気代 企業が確認すべき3つのこと
2026年4月に変わった「データセンターの省エネルール」とは

オンプレでもクラウドでも無視できないサーバーの電気代 企業が確認すべき3つのこと<small>2026年4月に変わった「データセンターの省エネルール」とは</small>

「電気代が高い」というと、自社でサーバーを運用している企業だけの問題だと思われがちです。しかし、クラウドを利用している場合でも無関係ではありません。クラウドサービスはデータセンターに設置されたサーバーやネットワーク設備を利用して提供されており、それらを動かすためには大量の電力が必要です。そのため、電力コストはクラウド事業者の運営コストの一部となり、結果として利用料金にも影響します。オンプレミス(サーバーなどを自社で保有し運用するシステムの利用形態)では電気代が自社の請求書として見えますが、クラウドでは利用料金という形で間接的に負担していると考えることができます。そして2026年4月、その「どこかで動いているサーバー」のルールが変わりました。省エネ・非化石転換法にもとづく新たな措置が施行され、データセンター事業者は省エネの目標や実績を自社サイトで公表することが求められます。利用する企業から見れば、これまで外から見えなかった「その施設がどれだけ効率的か」を、選ぶときの材料にできるということです。

目次

電気代の話と、データセンターの省エネルール。別々のことのようですが、どちらも「グリーンIT」と呼ばれる領域の話です。グリーンITとは、IT機器やデータセンター自身の省エネ(Green of ICT)と、ITを活用した社会全体の省エネ(Green by ICT)を両輪で進める考え方です。

環境対応の取り組みとして語られることの多い考え方ですが、2026年は、電気料金と制度対応という、コストと実務に直結する課題になっています。

いま何が起きているのか ― 2026年夏の電気代

経済産業省は、2026年7月・8月・9月の使用分について「電気・ガス料金支援」を実施しています。値引き単価は低圧が7月・9月使用分1kWhあたり3.5円、8月使用分4.5円。高圧が7月・9月使用分1.8円、8月使用分2.3円です。申請は不要で、契約中の小売事業者を通じて請求額から値引きされます。対象は低圧・高圧の契約で、特別高圧は対象外とされています(特別高圧で受電する中小企業等には、重点支援地方交付金による別枠の支援があります)。

注意したいのは、これが期間限定の措置である点です。10月使用分以降の継続について、2026年8月時点で政府からの正式な発表はありません。過去の支援は、冷暖房需要が高まる時期に断続的に実施されてきました。自社で受電しているサーバー室があるなら、「来月も同じ値引きがある」前提で予算を組むのは避けたほうが安全です。

※出典:経済産業省「2026年7月、8月及び9月使用分の電気・ガス料金支援の実施に伴い、電気・都市ガス料金の値引きを行うことができる特例認可・承認を行いました」(2026年6月12日)、資源エネルギー庁「エネルギー価格の支援について

クラウドの利用料は、電気代と連動していない

ここで注意が必要です。この値引きが届くのは「電気の需要家」、つまり電力会社と直接契約している側です。クラウドやハウジングの利用料が、電気代の値引きに合わせて自動的に下がる仕組みはありません。

電気代は事業者側のコストとして、料金改定という形で時間差をおいて反映されます。実際、電気料金が高騰した局面では、ラックを貸すハウジングを中心に事業者の値上げが相次いだと報じられています。

支援が終わっても翌月の請求が跳ね上がるわけではない代わりに、支援があってもその恩恵が利用者の請求書に現れることもありません。電力コストの上昇は、時間差でサービス料金に影響する可能性があります。クラウドを使っていても電気代を無視できないのは、このためです。

一方、支援の有無にかかわらずかかる費用もあります。「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」です。経済産業省は2026年3月19日、2026年度の単価を1kWhあたり4.18円と設定しました。使用量に比例するため、24時間動き続けるサーバーや空調ほど影響を受け続けます。

※出典:経済産業省「再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2026年度以降の買取価格等と2026年度の賦課金単価を設定します」(2026年3月19日)

2026年4月、
データセンターの省エネルールが変わった

2026年4月、省エネ・非化石転換法(エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律)にもとづき、データセンター業への新たな措置が施行されました。

背景にあるのは、電力需要の増加です。電力広域的運営推進機関の需要想定(2026年1月公表)では、データセンターと半導体工場の新増設にともなう最大需要電力が2035年度で762万kW(全国比4.63%)、うちデータセンター分は661万kWと個別に計上され、国内の電力需要は2035年度まで増加に転じる想定です。

※出典:電力広域的運営推進機関「全国及び供給区域ごとの需要想定(2026年度)」(2026年1月21日・PDF)

電力需要の増加は日本だけではありません。IEA(国際エネルギー機関)は特別報告書「Energy and AI」(2025年4月)で、データセンターの電力消費が2024年の約415TWhから2030年には約945TWhへ2倍以上に増え、現在の日本の総電力消費をやや上回る規模になると示しました。

※出典:IEA「Energy and AI」(2025年4月)

①目標と実績の「見える化」が始まった

2026年度の提出分から、定期報告書にデータセンター関連の項目が追加されました。電気使用量、PUE、エネルギー消費原単位などの実績値や今後の目標が対象です。このうちPUE(Power Usage Effectiveness=電力使用効率)は、施設全体の消費エネルギーをIT機器の消費エネルギーで割った値で、1.0に近いほど冷却や照明といった付帯設備で余分に使われる電力が少ないことを示します。さらに事業者には、その情報を提出年度の年度末(3月31日)までに自社サイトなどで公表することが求められます。これまで把握しにくかった省エネ性能が、預け先を選ぶ判断材料になるということです。

②新設データセンターにPUE1.3以下の基準

ベンチマーク制度では、特定事業者に「2030年度までに事業者平均のPUEを1.4以下にする」目標が設定されています。今回これに加え、2029年度以降に新設するデータセンターは、稼働開始から2年経過時点の翌年度以降のPUEを1.3以下とする基準が設けられました。設計時PUEを1.28以下とすることも望ましい取り組みとされています。

基準を満たせない場合は合理化計画の作成・提出が指示され、従わない場合は公表や命令、命令にも従わない場合に同法第174条にもとづく罰金の対象となります。基準未達だけで直ちに罰金となる仕組みではありません。

③「テナント型」も対象に加わった

制度上、データセンターは「ハウジング型」(場所と付帯設備を貸す)、「ホスティング・クラウド(オーナー)型」(場所もIT機器も自社)、「ホスティング・クラウド(テナント)型」(借りた場所に自社機器を持ち込む)の3つに区分されます。

これまで対象は前の2つに限られていました。しかしテナント型も、IT機器の稼働率がPUEに影響することや、付帯設備の運用権限を持つ場合があることから、2026年度の提出分より対象に加えられました。

※出典:資源エネルギー庁「増加が見込まれるデータセンターの電力需要をどうする?さらなる省エネを進める新たな制度に注目!」(2026年5月20日)、同「省エネ・非化石転換法に基づくデータセンター業に係る措置のガイドライン」(2026年4月10日策定・PDF)

自社は関係あるのか?利用形態別に整理する

「うちも報告が必要になるのか」と思われた方もいるかもしれませんが、多くの一般企業は直接の対象になりません。

資源エネルギー庁のガイドラインは、制度上の「データセンター業」を、データ処理を目的とした建物または室を運営・利用し、情報処理に係る設備または機能の一部を提供する事業と定義しています。重要なのは、自社内の管理(経理、管理、研究開発など)の用途で用いる場合は該当しないという点です。

自社の状況別|制度上の扱い

自社の状況 制度上の扱い 押さえておきたいこと
(a) 自社に
サーバー室がある
自社内で使うだけなら
対象外
電気代も空調の負担も、自社の請求書に直接かかる
(b) データセンターに
ラックを借りている
自社内で使うだけなら
対象外
グループ企業への役務提供や、情報サービス業・インターネット附随サービス業を行う場合は該当する
(c) クラウドのみを
使っている
規制の直接の
対象ではない
電気代は利用料に含まれる。今後は事業者の公表情報が選ぶ材料になる

※資源エネルギー庁「省エネ・非化石転換法に基づくデータセンター業に係る措置のガイドライン」(2026年4月10日策定・PDF)をもとに作成

規模の線引きもあります。法の対象は、年度のエネルギー使用量が原油換算1,500kL以上の事業者。ベンチマーク制度の対象施設は、原油換算1,500kL以上またはサーバ室面積300㎡以上です。サーバ室面積300㎡は、オフィスの一室に収まる規模を大きく超えます。

データセンター業に該当するかどうかの判定フロー 自社のサーバー・IT機器 Q1 自社内の管理(経理・管理・研究開発など)の用途だけに使っていますか? ※「データセンター業」=情報処理に係る設備または機能の一部を他者に提供する事業   自社内利用のみの場合は該当しません はい いいえ データセンター業に該当しない 制度の直接の対象外です ただし電気代・空調の負担は自社にかかります Q2 次のいずれかに当てはまりますか? ・グループ企業への役務提供を行っている ・情報サービス業、または  インターネット附随サービス業を行っている いいえ はい 該当しない 制度の直接の対象外です Q3 規模の条件を満たしますか? ・事業者:年度のエネルギー使用量が原油換算1,500kL以上 ・施設 :原油換算1,500kL以上、またはサーバ室面積300㎡以上 ※事業者・施設の両方で判定します いいえ はい 報告の対象外 データセンター業には当たるものの、 規模の条件を満たさないため報告義務はありません 定期報告・ベンチマーク制度の対象 事業者平均PUE1.4以下(2030年度目標)、 2029年度以降の新設施設はPUE1.3以下

※資源エネルギー庁「省エネ・非化石転換法に基づくデータセンター業に係る措置のガイドライン」(2026年4月10日策定・PDF)をもとに作成

対象外の企業にも参考になる、4つのステップ

制度の対象でなくても、省エネで電気代が下がる効果は変わりません。自社にサーバーを置いているなら、ガイドラインが示す「望ましい取組」は小規模なサーバールームにも応用できます。

ステップ1:測る

電気料金の明細を、基本料金・電力量料金・燃料費調整額・再エネ賦課金に分けて読みます。そのうえで、IT機器が使う電力と、それを冷やす空調が使う電力を分けて把握します。分けて把握すると、どちらに手を打つべきか判断しやすくなります。

ステップ2:運用を直す

ガイドラインは、運用面の望ましい取り組みとして次を挙げています。いずれも設備投資を伴いません。

  • IT機器の推奨運用温度に応じて管理温度・湿度を見直し、過冷却を防止する
  • 適切なエアフローの実現など、サーバー室内の送風効率・冷却効率を継続的に改善する
  • IT機器の稼働状況を把握し、不要なものを廃止・撤去する
  • 設備容量に対して適切な稼働率となるよう、稼働状況を見直す

なかでも効果が見えやすいのが、過冷却の防止と不要機器の撤去です。念のため冷やしすぎていないか、用途がわからないまま通電し続けているサーバーがないか。こうした点の確認が、見直しの第一歩になります。

※出典:資源エネルギー庁「省エネ・非化石転換法に基づくデータセンター業に係る措置のガイドライン」(2026年4月10日策定・PDF)

ステップ3:国の支援を使う

設備に手を入れる段階では国の支援策が使えます。「省エネ診断」は専門家が訪問して設備の管理状況を診断し改善のヒントを提案するもので、診断費用の9割を国が補助します。「省エネ・非化石転換補助金」では、省エネ設備リストから選択して更新する場合に最大1億円・3分の1の補助などを受けられます。老朽化した空調も対象です。公募の回次や締切は変わるため、最新情報は執行団体の一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)のサイトでご確認ください。

※出典:資源エネルギー庁「エネルギーの消費量が増加する夏直前、いま知っておきたい省エネメニューと省エネ支援策」(2026年7月3日)

ステップ4:更新・移行を判断する

打ち手は機器の更新だけではありません。サーバールーム自体を外部へ移すという選択肢もあり、見落とされがちなのはこちらです。

NTTドコモビジネスを含む4社が2026年3月に公表した検証では、約50㎡のサーバー室をオフィス外に集約することで年間約50t相当のCO2排出量の削減効果が見込まれると試算されています(検証環境をモデルとした推計。環境省公表の2024年度実績報告用全国平均排出係数を使用)。オフィス内にサーバー室を構築する初期費用を抑えられる点もあわせて挙げられています。

※出典:NTTドコモビジネス、NTTドコモソリューションズ、NTTアーバンソリューションズ、NTTファシリティーズ「IOWN® APNを活用した新たなオフィスモデルの検証を実施」(2026年3月4日)

ただし「外に出せば必ず安くなる」とは言い切れません。回線費用や移行費用も判断に影響します。これまで計算に入れていなかった電気代と空調の負担を、判断材料に加えることが大切です。移行の進め方はオンプレミスからの移行のポイント、預け先の信頼性についてはデータセンターの災害対策もあわせてご覧ください。

制度を読み解くための用語

ここまで、PUEや液冷といった耳慣れない言葉がいくつか出てきました。いずれも、制度の内容を読み解き、公表された情報から預け先を比べるうえで前提となるものです。本記事で扱った用語を、最後に整理しておきます。

考え方

グリーンIT

Green IT

  • 出発点は2007年
  • 経済産業省

IT機器自身の省エネと、ITを活用した社会全体の省エネを両輪で進める考え方。2007年12月の第1回「グリーンITイニシアティブ会議」に由来します。

整理の軸

Green of ICT/Green by ICT

グリーン・オブ/バイ・アイシーティー

  • 総務省の整理
  • 今回は前者

前者はICTシステム自体のグリーン化、後者はICT活用による社会全体のグリーン化。今回の制度は前者にあたります。

制度

省エネ・非化石転換法

通称は「省エネ法」

  • 2026年4月に新措置
  • 原油換算1,500kL以上が対象

一定規模以上の事業者に、エネルギー使用状況の報告などを求める法律です。正式名称は「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」で、データセンター業への措置もこの法律にもとづきます。

指標

PUE(電力使用効率)

Power Usage Effectiveness

  • 2030年度に1.4以下
  • 新設は1.3以下

施設全体の消費エネルギーをIT機器の消費エネルギーで割った値。1.0に近いほど、冷却や照明などの付帯設備で余分に使われる電力が少なく、効率が高いことを意味します。制度上の目標も、この指標を用いて示されます。

技術

液冷(直接液冷)

Direct Liquid Cooling

  • 高発熱サーバー向け
  • 液浸とは別物

チップ上のコールドプレートに冷媒を循環させて熱を奪う方式。液体にサーバーごと浸す「液浸冷却」とは別の方式です。

政策

GX(グリーントランスフォーメーション)

Green Transformation

  • 電力需要増の背景
  • 政府方針

化石エネルギー中心の産業社会構造を、クリーンエネルギー中心の構造へ転換する取り組み。データセンターの電力需要が増える背景にあります。

データセンターの省エネルールに関する
よくある質問

最後に、制度と電気代について疑問になりやすい点を整理します。

自社のサーバールームも省エネ法の報告対象になりますか?

多くの場合、対象になりません。制度上の「データセンター業」は、情報処理に係る設備や機能の一部を他者に提供する事業を指し、自社内の管理用途で使う場合は該当しないとされています。ただしグループ企業への役務提供や、情報サービス業・インターネット附随サービス業を行う場合は該当しうるため、自社の使い方をご確認ください。

PUEはどのくらいの数値なら良いのですか?

制度上の目安は「2030年度までに事業者平均で1.4以下」「2029年度以降の新設施設は1.3以下」ですが、これはデータセンター事業者に向けた水準で、一般企業のサーバールームに同じ基準が課されるわけではありません。またPUEには提供ルーム単位の「pPUE」など算定範囲の異なる指標もあるため、比べるときは範囲をそろえる必要があります。

電気代の支援は10月以降も続きますか?

2026年8月時点で、10月使用分以降の継続について政府からの正式な発表はありません。支援は期間限定の措置のため、継続を前提に予算を組むことは避けたほうが安全です。なお、この支援は電気の需要家に対する値引きで、対象は低圧・高圧の契約です。クラウドやハウジングの利用料が連動して下がるわけではありません。

まとめ:省エネ性能が、
データセンターを選ぶ基準になる

電気・ガス料金支援は9月使用分までで、10月以降の扱いは決まっていません。再エネ賦課金は初めて4円台に乗り、電力需要の増加も続く見通しです。

一方で2026年4月、目標や実績が公表される仕組みが動き始めました。これまで見えなかった省エネ性能が、預け先を選ぶ材料になります。

企業が確認すべきことを、あらためて3つに整理します。

  • 電気料金の明細を開き、IT機器と空調がどれだけ使っているかを分けて把握する
  • 2026年4月に変わった省エネルールが、自社に関係するかを確認する
  • 機器の更新や移行を判断するとき、電気代と空調の負担を計算に入れる

サーバー室を外に出すことを検討するなら、一般的な業務サーバーはNTTドコモビジネスの「Nexcenter」、GPUサーバーのように発熱の大きい機器は「Green Nexcenter®」と、用途によって適した環境が異なります。規模を問わない取り組みについては中小企業でもカーボンニュートラルを達成する方法はあるもあわせてご覧ください。

  • 本記事は2026年8月28日時点の情報にもとづいて作成しています。
  • 制度・補助金の内容や公募状況の最新の情報は、各省庁および執行団体の公式サイトをご確認ください。

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