まずは「遊び」から始めて興味を育む
波多野 AIと付き合っていくポイントをズバリ、教えてください。
髙橋 AIは単なる効率化ツールではなく、自分の仕事をサポートしてくれる「パートナー」として捉える「with AI」のスタンスが、これからの時代に不可欠です。
波多野 AI初心者の会社員がGeminiを使い始めるとしたら、最初の1週間でやるとよいことは何だと思いますか?
髙橋 「AIを使いこなさなければ」と意気込む必要はありません。仕事からいったん離れて、まずは遊んでみることが大切です。いきなり完璧な効率化を目指すのではなく、自分が興味のあることから触れてみることが、AIと仲良くなるための秘訣です。
おすすめは、Geminiの「画像生成」機能です。例えば、お子さんと一緒に「10年後の車はどうなってるかな?」と話した内容をそのままGeminiに伝えて絵にしてみる。自分の言葉にしたアイデアがビジュアルになる体験は、AIの可能性を直感的に理解させてくれます。また、Canvas(キャンバス)機能を使えば「ブロック崩しゲームを作って」と指示するだけで、簡単なゲームを生成することも可能です。こうした「こんなことまでできるのか!」という驚きが、仕事への応用発想につながっていきます。
AIに任せる仕事・自分でやる仕事の「見極め」
波多野 なるほど、遊びから興味を育むのですね。では、日々の業務の中で、AIに任せたほうがいい仕事と、自分でやったほうがいい仕事は、どのように見極めればよいでしょうか?
髙橋 仕事を2種類に分類すると、わかりやすいです。ひとつは、議事録作成やメールの下書き、膨大なアンケート集計といった、面倒で時間がかかる「マイナスをゼロにする」作業。これらはAIに“丸投げ”して、徹底的に効率化すべき領域です。
もうひとつは、営業の質を上げるための提案作成や、新しい企画のアイデア出しといった「ゼロをプラスにする」創造的な作業です。ここでは、AIをアイデア出しの壁打ち相手として「一緒に」取り組むことで、アウトプットの質を高めることができます。
波多野 たしかに、この連載でも分析結果をもとにスライドを作る過程で、AIと壁打ちしながら内容を詰めていく感覚がありました。ただ、まだ私自身は、AIを使えば早い作業と、自分でイチから進めたほうが早い作業の線引きで迷うケースがあります。迷った際に、線引きする基準はあるのでしょうか?
髙橋 自分が「楽しい」と感じる仕事や、セミナー資料のように独自の「メッセージ」を込めたい仕事は、あえて自分で行うことでオリジナリティを保つことも大切です。AIにすべてを任せるのではなく、自分の楽しさやこだわりは譲らない。このバランス感覚が、AIとの上手な付き合い方と言えるでしょう。
避けるべき「やりがちな失敗」は…
波多野 Geminiを使い始めた人が「これはやりがちだけど、避けたほうがいい」という使い方はありますか?
髙橋 はい。Geminiを「検索エンジン」のように一問一答で使ってしまうことです。生成AIは「対話型」のAIなので、一度の質問で期待した答えが返ってこなかったからと諦めてしまうのは、非常にもったいないです。
重要なのは、AIの回答に対する「ツッコミ力」です。「それってどういうこと?」「こういう観点はないの?」と、まるで友人に話すように対話を重ね、深掘りしていくこと。この「対話」を続けることで、AIは文脈をより深く理解し、回答の質を劇的に向上させてくれるのです。
AIと一緒にもっと仕事を「楽しく」しよう
波多野 ありがとうございます。最後に、これからGeminiを使い始める読者へメッセージをお願いします。
髙橋 AIは、私たちの仕事を奪うものではなく、選択肢を増やしてくれるパートナーです。AIと協業することで、面倒な作業から解放され、より創造的で「楽しい」と感じる仕事に集中する時間を生み出すことができます。「面倒なことはAIに、楽しいことは自分で(あるいはAIと一緒に)」。このバランスを見つけ、あなたなりのAI活用を、今日からスタートさせてみてはいかがでしょうか。
この記事はNTTドコモビジネスとNewsPicksが共同で運営するメディアサービスNewsPicks +dより転載しております。
編集協力:IKIGAI lab.
編集:NewsPicks +d編集部
デザイン:山口言悟(Gengo Design Studio)








