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2020.04.30

総力戦で臨んだ2018年西日本豪雨災害
【前編】3日で応急復旧までこぎつけた災害対応の現場

※この記事は2018年11月の情報です。

災害で通信回線が断たれると、インターネットの利用に支障をきたすほか、市民を守る行政の対応や災害情報を発信する放送事業などにも大きな影響を及ぼしてしまう。通信の中継サービスを提供しているNTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)にとって、通信インフラを守ることは社会的使命ともいえるものだ。2018年7月上旬、記録的な豪雨が西日本を中心とする全国各地を襲った「平成30年7月豪雨(以下、西日本豪雨災害)」では、NTT Comの中継光ケーブルも被災。広島~愛媛間、広島~岡山間の2つのルートで故障が発生し、7月7日未明から関係者が復旧対応に奔走した。当時について、関係組織の皆さんに振り返っていただいた。

7日未明の被災で、中国・四国地方では広範囲に回線がダウン

2018年7月6日20時10分、東京オペレーションセンター(TOC)に、広島県と愛媛県の間を結ぶ中継光ケーブルの一部が切れたこと(一部断)を知らせるアラーム発報があった。続く翌7日3時58分には、広島県と岡山県の間でケーブルが完全に切れる全断が発生。中国・四国地方のネットワークは、冗長化契約をされているお客さまのサービスも含めて、広範囲にわたり影響を及ぼす事態に陥った。

広島~愛媛間、広島~岡山間の被災箇所と第三非常態勢発動までの経緯

オペレーションチームは、広島~愛媛間で一部断が発生した際に故障情報を共有し、これ以上被害が拡大した際には非常態勢を組んで対応することを確認し合っていた。その後、広島~岡山間の全断が発生したため、再度状況を確認し合い、同日5時21分にNTT Com カスタマサービス部危機管理室が第三非常態勢を立ち上げた。

地震や台風などにより、通常の体制では対応できない大規模故障が発生すると、NTT Com社内では非常態勢が発動される。危険度に応じて7段階あるが、第三非常態勢では、カスタマサービス部危機管理室が本部機能を担い、情報統括班の下、広報班、総務厚生班、サービス班、お客様対応班、設備班、資材班などがそれぞれ対応にあたることになっている。

7段階ある非常態勢と、第三非常態勢での体制

7日の6時過ぎには、岡山県にある通信ビル(NTTグループのアクセスライン提供会社が管理)が水没するなど新たな情報が次々と入ってきた。各班は電話会議や故障情報管理システムを通じて情報を共有。「情報統括班」は、電話による全社会議を開催するほか、さまざまな情報を取りまとめて定期的に関係者に発信していく。その上で、「設備班」はケーブルが切れた箇所の特定とその復旧方法の検討に入った。

一方、サービス復旧措置やトラフィック疎通確保を担う「サービス班」では、切替先伝送路構築チームが迂回救済する緊急設計を開始し、指示書を作成。その指示書を基に、同班の伝送路切替対応チームが「資材班」と協力して部材を現地に送り込むと同時に、通建会社に工事を依頼し、開通に向けた切替作業を行う。その後の復旧状況を全社に発信するのも、伝送路切替対応チームの役割だ。

わずかに残った10芯のケーブルを頼りに一次的な応急復旧を実施

岡本修二テクニカルマネジャー(以下、TM)ら切替先伝送路構築チーム(サービス班)は、すぐに復旧措置のための設計作業に取り掛かった。

岡本TM

「発災直後の電話会議でだいたいの被害状況が分かったので、つながらなくなってしまったお客さまの回線を順に救済するため迂回ルートを構築することにしました。まず、技術者を集めて設計しなければいけません。夜中は連絡が取れないことも多いのですが、その日は深夜にFIFAワールドカップロシア大会のブラジル戦を見ていた担当者がいて、すぐに連絡が取れ、タクシーでオフィスへ向かってもらいました」(岡本TM)


並行して、設備班は故障箇所の特定作業を進めていく。場所を特定するには、ケーブルが切れている箇所の両側にある2つの通信ビルからの距離を測定する必要がある。

武田担当課長

「両側から測定することで、ケーブル内のファイバーがどの地点で何カ所切れているのか分かります。もし複数カ所が切断している場合は、その後の対応方法も変わってきますので、いかに早く2つの通信ビルにたどり着けるかが、早期復旧のポイントです。初動の段階では、広島県側からしか距離を測定できず、愛媛県、岡山県方面の各通信ビルへは、土砂災害、浸水災害の状況が不明で行けませんでした」(設備班 武田光仁担当課長)

そこで、武田担当課長ら設備班は、ケーブルの保守を委託している保守会社に愛媛県方面にある通信ビルに向かうように依頼。同時に、広島県の通信ビルからの計測でケーブルが切れたと思われる場所に人を向かわせ、現地で直接、被災状況を確認した。現場では、道路が崩落して管路が離脱。ケーブル内の光ファイバー40芯のうち30芯が断線していることが分かった。

被災直後の現地および被災現場までの移動ルートの様子


小清水担当課長

残る10芯は、危険な状態ではあるがなんとかつながっている。伝送路切替対応チーム(サービス班)の小清水天担当課長らは、断線した側に含まれているお客さまの回線を10芯側に切り替えることにし、作業を行った(7日15時55分)。「ただし、この時点では、空き芯線がなく救済できない回線もあったため、一次的な応急復旧の状態でした」(小清水担当課長)

その6日後の13日に、設備班は10芯だけでつながっているケーブルの修復に着手し、復旧ケーブルの敷設まで完了。あとは切り替えるだけという段階で、警察からストップがかかる。同じ場所で行われていた土砂災害による行方不明者の捜索活動と重なったのだ。そのため、広島〜愛媛間については、一次的な応急復旧の状態で作業が一時ストップすることになった。(この続きは、後編で紹介します)

故障発生からわずか3日で中継ケーブルの応急復旧を完了

時間を少し戻そう。7日未明に生じた2ルート断により完全にストップしたお客さまの回線を救済するため、サービス班は迂回ルートを設計。8日22時に切替作業を完了した。

なお、鳥取県での切替工事は、広島県の通建会社が行うことになっていたが、豪雨の影響で現地に向かうことができなかった。そこで急きょ、NTTコム エンジニアリングのオンサイトユニットの東京部隊が空路で現地入りし、別の飛行機で送った部材をピックアップして作業を行った。

迂回ルートの切替作業

一方、広島~岡山間は、岡山県にある通信ビルから故障箇所を測定しなければならないが、こちらも時間がかかっていた。大規模災害の場合、現地の要員確保ができなかったり、行政対応などが必要になったりするため、NTT Com本社から設備班の6人が現地に向かった。

東京を出て広島県にある通信ビルに着いたのは8日19時。岡山県側の通信ビルへは、設備班の武田担当課長と桑山博敏主査が、保守会社の2人とともに車2台で行くことになった。ただし、土砂崩れが起きているようなところを夜中に移動するのは危険なため、東広島で一時待機し、9日早朝の日の出とともに車で出発した。

武田担当課長

「日の出とともに行動したのは正解でした。何カ所か、交通規制がされていない土砂崩れの場所があり、迂回路を探しながらの移動でした。なんとか岡山県側の通信ビルに着いて、(9日)7時ころに測定を終えると、広島県の通信ビルから16kmの全断箇所以外に、岡山県側の通信ビルから27km、37km地点にも一部断が2カ所あることが判明し、ようやく被害の全体像が見えたのです」(武田担当課長)


広島~岡山間の全断箇所は、橋が崩落して管路が流出していた。切替作業を開始したのは10日14時36分。まず両側のマンホールから地下ケーブルを引き上げ、電柱に引き上げ管路を仮設。電柱に沿って架空ケーブルを作り、最後にマンホール内で芯線を接続した(10日20時55分)。一部断の箇所も同様に修復し10日21時20分にサービスが復旧。これにより、中継ケーブル全体の応急復旧はわずか3日ほどで終了した。

広島~岡山間の被災地における対応

あの手この手で部材を運ぶ

復旧に欠かせないのは、光ケーブルや伝送装置などの部材である。通常、部材は契約先の物品管理会社に保管されており、単発の故障はそこから払い出すことになっているが、大規模災害時には物品管理会社の在庫だけでは足りないため、必要部材を各地から集めて送り込まなければならない。

佐藤主査

「通常運用ができない場合、資材班は、故障情報管理システムで災害状況を確認した後、必要となる部材と量も確認し、各物品管理会社の間に入って調整します」(資材班 佐藤憲一主査)


現地にどの物品をどのくらい送る必要があるかを指示するのは、設計作業を行うサービス班の切替先伝送路構築チームの役目だ。通信ビル内の装置と装置をつなぐ光ケーブルは、設計したら種別、長さ別にどのくらい必要かがだいたい分かる。それにプラスアルファして、各通信ビルにどんどん搬送した。

(左写真)切替先伝送路構築チームが設計内容から必要な部材と量を算出(右写真)資材班が、在庫状況を確認して配送調整を実施

塩本担当課長

「光ファイバーケーブルは、2011年の東日本大震災の後に、NTT Comの本社が入る大手町ビルと、大阪の中之島ビルに災害用として大量にストックしてありました。最初は大阪から運んでもらおうとしましたが、鉄道も道路もだめだと分かり、急きょ東京から空輸することにしたんです。物品管理会社が伝送装置を運ぶ途中で大手町に寄ってもらい、一緒にケーブルを空輸してもらいました」(サービス班 塩本幸宏担当課長)

その空輸先は当初、岡山空港を予定していたが、岡山から広島への陸路も雨で配送ができない状況だった。そこで資材班は、広島までの空路および陸路を含めた配送方法を検討し、宇部空港(山口県)から陸路で運ぶことにした。広島に部材を早く届けられたのは、資材班と物流のプロである物品管理会社に負うところが大きい。

7月13日に予定していた広島~愛媛間のケーブル修理の目途が立たなくなると、切れてしまうリスクに備え、さらに別の迂回ルートも設計し部材を送り込んだという。このように、復旧工事の進捗や、恐れ故障(故障が発生しそうな箇所)の増加により、設計も部材の数もどんどん変わっていく。そのうち新幹線が動き出したので、サービス班である大阪のオンサイトユニットのメンバーも協力し部材を運び始めた。

山内担当課長

「中之島ビルの設計・構築ユニットのメンバーたちと一緒に、必要なケーブルや伝送装置を確保し、新幹線が動き出すと同時に現地に向かいました。私たちオンサイトユニットは、24時間365日、現地保守を行っている部隊です。普段やっている業務も回さなければいけないので、メンバーを入れ替えながら対応しました。東京のオンサイトユニットメンバーも応援に駆け付け、延べ34人を現地に派遣。アクセスライン提供会社の各ビルを回りましたが、それらのビルに入るのは初めてで、しかも通常はやらないケーブル施工作業も行うため、ある程度スキルを持った人材でないと対応できません。それを誰に任せるか、他ビルの配置人員をどうするか悩みました」(サービス班 山内担当課長)

こうして現地に搬送した部材は、伝送装置180個、通信ビル内ケーブル1468本、通信ビル間ケーブル6km。また、NTT Comグループの駆け付け要員は全部で50人に及んだ。「やれることはみんなやる、というのがわれわれ復旧班。まさに総力戦でした」と皆さんは振り返った。

お客さまから寄せられる早期復旧要望にどう応えていくのか、そして、広島~愛媛間のケーブル工事の行方は……。(続きは、後編をご覧ください)

お話を伺った方々(所属、役職名などは2018年11月当時の情報です)

サービス班

  • 切替先伝送路構築チーム
    • NTT Com カスタマサービス部 サービスオペレーション部門 塩本幸宏担当課長
    • NTTコム エンジニアリング インフラネットワーク部 設計・構築ユニット 岡本修二テクニカルマネジャー
    • NTTコム エンジニアリング インフラネットワーク部 オンサイトユニット(大阪) 山内英明担当課長
  • 伝送路切替対応チーム
    • NTTコム エンジニアリング サービスネットワーク部 サービスフロントユニット 大瀬浩幹担当課長、小清水天担当課長

設備班

  • サービス基盤部 基盤設備部門 武田光仁担当課長、天野翔さん

資材班

  • プロキュアメント部 第三調達部門 佐藤憲一主査

情報統括班

  • カスタマサービス部 危機管理室 岸山哲也担当部長、松浦新司担当課長、小林利博主査、篠原裕二主査、渡辺一利主査、高橋誠さん

お客様対応班

  • 西日本営業本部 営業推進部門第四グループ 荻野隆志主査

総務厚生班

  • 西日本営業本部 企画部門 松田洋幸担当課長、本社総務部 福谷隆二担当課長

ボランティア活動

  • 西日本営業本部 中国支店 多田明弘担当課長

社員メッセンジャー

NTTコミュニケーションズプラットフォームサービス本部 事業推進部

松浦 新司

プラットフォームサービス本部 事業推進部の危機管理室において、非常態勢時の情報収集や全社会議の統制、NTTグループ間の情報連携、社外機関との連携などを担当。生活に欠かせなくなった通信インフラを守るため、関係者との密な連携と冷静な判断を心がけています。

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