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住友生命保険相互会社
老朽化した全国約1,600拠点のPBXのクラウド化に挑む
固定番号継続と大幅コスト削減を両立した住友生命の電話DX
住友生命保険相互会社
総務部 担当部長 兼 大阪総務室長
松薗林氏
「わずか3名の社内チームで約1,600拠点の移行プロジェクトを推進できているのは、協働プロジェクトとして取り組むNTT西日本、NTTドコモビジネスとの3社一体の週次定例体制があってこそ。大変ありがたいですね」
住友生命保険相互会社
総務部 上席部長代理
秋山寛暢氏
「導入初期のアンケートでは操作性への厳しい声もありました。しかし慣れてくるとメリットが確実に上回る。変化への抵抗は一時的なものという確信が今回の大規模展開を後押ししました」
住友生命保険相互会社
総務部 副長
小西えみ氏
「プロジェクトの立ち上げ当初は固定電話の番号をクラウドに持ち込む手段がないことに加え、いくつものハードルがありました。それらが解決され、現場で『働き方が変わった』という声を聞くと感慨深いです」
住友生命保険相互会社
総務部 副長
井上実佳氏
「次の挑戦である支部への展開では約1,500と組織数が多い上に統廃合も頻繁です。支社で培った標準パターンをベースにしながら、1つひとつ現場に合わせて丁寧に展開していきたいと思います」
課題
ビジョン2030が問う「電話インフラのあるべき姿」
PBXの老朽化×約1,600拠点(90支社、約1500支部)の課題に向き合う
住友生命保険相互会社(以下、住友生命)は1907年の創業以来、生命保険事業を通じて多くの顧客とその家族の人生を支える役割を担ってきた。現在は健康増進型保険「住友生命Vitality」を積極的に展開しつつ、「住友生命グループビジョン2030」のもと2030年に向けた変革を推進している。
同ビジョンでは「ウェルビーイングに貢献する、なくてはならない保険会社グループ」を掲げ、取り組みの柱の1つに「収益構造改革」がある。その中で総務部が担うのが「リソースの最適化とコストコントロールを通じた生産性向上」だ。電話インフラにとどまらず、社内の物流やハード面のインフラ全般を見直し、冗長なコストを削減して生産性向上につなげるという、会社としての大きなミッションがある。
今回のプロジェクトもこの流れの中に位置づけられる。「我々総務部は直接の収益部門ではありません。だからこそコストを最適化して生産性を高めることが、我々のビジョン2030への貢献になるのです」と、総務部 担当部長の松薗林氏(以下、松薗氏)は総務部の立ち位置を明確に語る。
まさにその視点から見直すべき課題が全国90支社、約1500支部、 合計約1,600拠点に配置された老朽化したPBX(電話交換機)だった。「これまで10年に一度、固定設備をまとめて更改する際のコストや稼働は大きな負担でした。ビジョン2030のミッションに照らして単純に更改するのではなく、どう変えていくのが最善かを考えることがプロジェクトの出発点でした」(松薗氏)
さらにコロナ禍における在宅勤務対応で、固定電話中心の業務環境の限界が顕在化した。会社に来なければ電話に出られない、スタンドアローンの社用携帯を持たせれば固定電話との「1人2台」という重複配備になる矛盾が露わになったのだ。一方で毎年頻繁に発生するレイアウト変更、事務所移転のたびに現地工事が必要となり、費用と日程調整の負荷が現場を圧迫する状況が続いていた。
対策
「電話番号を変えない」という条件がクラウド化の突破口に
FMC化と番号継続で現場の業務フローをそのまま継承
検討を主導したのは、2022年から始動したプロジェクトを前任から引き継いだ松薗氏、プロジェクト立ち上げ当初から設計・運用に関与してきた総務部副長の小西えみ氏(以下、小西氏)、RFP作成と要件の網羅性確認を担った総務部 上席部長代理の秋山寛暢氏(以下、秋山氏)の3名だ。それだけにベンダー選定において「ワンストップサポート」が最重要要件となった。複数社のコンペを経て最終的にNTT西日本とNTTドコモビジネスの協業体制が選ばれた。「ニュートラルに各社を横並びで比較し、サービス内容、コスト面、当社業務への理解を総合的に評価した結果です」と秋山氏は振り返る。
ソリューション選定においてプロジェクトを大きく前進させたのが、固定電話番号(0ABJ番号)のポータビリティの実現だ。2025年1月、固定電話番号を変えずに通信事業者を自由に切り替えられる「双方向番号ポータビリティ」制度がスタート。これによりクラウドPBX上で0ABJ番号をそのまま利用可能なIP電話サービスに移行できる道が開けた。「それまでは固定番号をクラウドに持ち込む現実的な手段がなく、050番号への変更か現地にオンプレ機器を残すハイブリッド構成しか選択肢がなかったのです。NTTドコモビジネスから番号ポータビリティが実現できると聞いたとき、ようやくクラウド化の道筋が見えました」(松薗氏)。同社の1,600拠点規模での固定番号ポータビリティは国内でも稀な大規模事例となった。顧客への番号案内もなく使い慣れた番号のまま移行できる。この1点が関係者の合意形成で大きな説得力を持った。
採用したソリューションはNTT西日本が契約元として構築・提供するクラウドPBX、NTTドコモビジネスのFMCサービス「オフィスリンク」、IP電話サービス「Arcstar IP Voice」の組み合わせだ。くわえて、社用端末にはドコモケータイ(ガラホ)が選択された。「取り次ぎ・保留・転送といった日常的な電話の運用をいちばん違和感なく継承できるのがガラホでした。スマホを入れても通話機能しか使わなければ、セキュリティリスクも端末コストも無駄に上がるだけと判断したのです」(秋山氏)。業務フローへの「なじみやすさ」でも固定電話の後継として最適な選択だった。余談だが、最近の新入社員にはガラホの存在を知らない者もいるという。
2023年11月、複数の支社でPOCを実施。約1ヵ月の試験運用と振り返りを経て課題を洗い出し、2024年4月以降に本格展開の準備体制へ移行した。各支社へのキックオフ説明会をNTT西日本・NTTドコモビジネスが担い、3年以上継続する週次定例で課題と進捗を一元管理する体制が、約1,600拠点規模のプロジェクトをわずか3名の社内担当で推進する原動力となった。
効果
約1,600拠点の電話環境を変え、現場の働き方を変えていく
支社に続き、支部展開へ——住友生命の電話DXは続く
2025年度末時点で46支社への展開が完了した。全体の約1,600拠点から見ればまだ緒に就いたばかりだが、現場からはすでに手応えある声が届いている。「電話を持ち歩けることが便利だという声が多いですね。保留にして書類を取りに行く必要がなくなり移動しながら通話できることに加え、配線がなくなって執務室がすっきりした、在宅勤務に対応しやすくなったなど、働き方が変わった実感の声をよく聞きます」と小西氏は語る。
FMC化により端末1台ごとの利用状況が可視化されており、「リソース最適化」の観点でも大きな意味を持つ。従来の固定電話では把握できなかった使用頻度を基に、未使用端末の回収や再配分を進め、適正化を継続的にモニタリングする体制が整った。コスト面では従来の更改コストを大幅に圧縮。端末ごとの経常経費は増加するものの、10年トータルでは大幅なコスト削減が実現できる見込みだ。
当初の計画になかった地方本社25拠点についても、追加導入の検討が始まっている。支社での展開が安定し、コスト試算と運用実績が社内で共有されたことで、追加導入に向けた機運が自然に高まった。「先行導入の効果が社内に広がり、追加導入の稟議も通りやすくなっています」(松薗氏)。現在は配備基準の再検討と現地ヒアリングを進めている段階だ。
2027年度以降は、本格的に約1,500支部への展開フェーズへ入る。支社に比べて支部ごとに特性があり、組織の統廃合も頻繁な支部向けに、複数の標準パターンを用意した上で実地検証を重ねる計画だ。「これまで積み上げてきたものをしっかり引き継いで、支部展開を本業への影響を最小化しながら進めていくことが私のミッションです」と、今後を担う総務部 副長の井上実佳氏は力を込める。
住友生命とNTT西日本・NTTドコモビジネスは、今後も3社一体の週次定例体制を軸に、電話インフラのさらなる進化と、その先の音声テキスト化・分析基盤の構築に向けた挑戦を共に続けていく。
住友生命保険相互会社
事業概要
1907年創業。生命保険事業を通じて多くの顧客とその家族の人生を支える。「住友生命グループビジョン2030」のもと、デジタルを活用した働き方変革・リソース最適化による生産性向上、ウェルビーイングへの貢献を目指している
URL
https://www.sumitomolife.co.jp
「住友生命保険相互会社」導入事例印刷用ファイルのダウンロード
(PDF形式/602 KB)
(PDF形式/602 KB)
(掲載内容は2026年5月現在のものです)
関連リンク
