特集
森林価値の最大化に向け
「森かち」にできること
森林クレジットの創出・流通を通じて森林価値を高めることが私たちの未来にどうつながっているのか、NTTドコモビジネスと住友林業が提供する森林価値創造プラットフォーム「森かち」に託された想いを特集します。

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「森かち」ができるまで
カーボンニュートラル実現に向けて、近年、日本国内ではカーボンプライシングに関する検討が活発になってきました。日本における排出量取引は、国の認証制度J-クレジットが信頼性の高い選択肢として浸透し、2023年にスタートした日本初の本格的な排出量取引制度GX-ETSにおいても適格クレジットとして認められています。
森林資源に恵まれた日本では、大気中に存在するCO2を直接的に除去できる森林由来J-クレジットにかかる期待が大きく、気候変動対策への貢献度も高いとされてきました。しかしながら、排出量取引自体は、今後期待される需要の高まりに対して活発とは言えません。創出者側である森林・林業関係者や審査機関にとってはクレジットを創出するための制度や手続きが煩雑なこと、審査機関の数が限られていることなどが創出拡大に向けた障壁となり、一方購入者側にとってもクレジット関連情報が可視化されず、購入したいクレジットの検索が困難といった課題がありました。
こうした状況の中、2024年8月にNTTドコモビジネスと住友林業が連携してサービスの提供を開始したのが、森林由来J-クレジットの創出から審査、購入取引までを包括的にサポートする森林価値創造プラットフォーム「森かち」です。2021年頃から情報交換をきっかけにスタートした両社の協業は、カーボンニュートラルへの貢献という共通の課題意識が原動力となり、幾度も議論の場を設ける中で、事業コンセプト「クレジットで森、育む。」が生まれました。
森林クレジットの創出・流通の活性化は、国内の森林・林業への投資につながります。森林は木材を生み出すだけでなく、CO2の吸収源となるという重要な性質を持っています。今、国内の森林は担い手不足や整備資金の不足などから吸収量の低下が懸念されており、森林の整備不足は水源の涵養や土砂災害の防止、生物多様性の保存といった機能の低下につながる恐れがあります。森林の多面的な機能を守り、育てていくことは、未来を見据えた日本社会全体の課題であり、住友林業とNTTドコモビジネスはこの課題の解決に向けて「森かち」で貢献していきます。


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「森かち」サービスの全体像
森林価値創造プラットフォーム「森かち」は、森林由来J-クレジットの「創出・審査・販売支援サービス」と「購入支援サービス」の2つのウェブサービスで構成されています。GIS(地理情報システム)を活用し、地図と紐づく形ですべてのデータが一括管理され、森林資源情報と位置情報の統合管理を可能にすることでクレジット創出者側と購入者側の双方をつなぐプラットフォームとしての役割を持っています。

「森かち」の認知度向上に向けイベントを開催
NTTドコモビジネスは、森林クレジットの活用というアクションが持つ意味や、カーボンニュートラルへの身近な貢献について多くの方々に知ってもらうために、地域と連動したさまざまなイベントを企画・実施しています。
2024年12月には、ジャパンラグビー リーグワンの浦安D-Rocksとコラボレートし、ホームゲーム開催に伴い排出されるCO2を森かちで調達した熊本県人吉産のカーボンクレジットでオフセットしました。また人吉市の田んぼラグビーに浦安D-Rocksの選手がゲスト出演し、地元との交流も深めました。2025年5月には、Jリーグのザスパ群馬および地元ガス会社とコラボレートし、ホームゲームで排出されたCO2についてカーボンオフセットを実施しました。今後も「森かち」の認知度向上、普及に向けてさまざまな取り組みを実施する予定です。
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北陸支社(ダブルワーク※)
樫村 ゆい -
森かちの魅力を
全国へ広めたい「森かち」の先行事例であるイベントオフセットは、試合時の二酸化炭排出を相殺するだけでなく、時には試合に携わるスポーツ団体、スポンサー、自治体、観戦者などの「人」をつなぐ取り組みになります。そのつながりこそが、森かちが生み出す大きな価値だと思っています。今後は地域ならではの森かちの活用事例を作っていきたいです。
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東海支社(ダブルワーク※)
菱田 朋佳 -
豊かな森や地域の
循環に貢献したいイベントは多くの方に森かちやカーボンニュートラルを体験してもらえる貴重な機会となっています。森かちやイベントを通じ、森や地域に関わる人の想いに触れることで、関心の芽が着実に広がっています。森かちが豊かな森や地域の循環に貢献できるよう、今後も多様な取り組みを考えていければと思います。
※ ダブルワーク制度を利用し他部署から業務に一部参加しています。

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「森かち」に込めた想いが届くまで
住友林業による森林クレジットビジネス拡大と、NTTドコモビジネスの脱炭素プラットフォーム構想が合致し、お互いの強みを掛け合わせることで生まれたのが森林価値創造プラットフォーム「森かち」です。今後も本ソリューションを通じて質の高い森林由来J-クレジット創出をサポートし、透明性の高い流通を促進していきます。