ふるさと納税の仕組みとは?控除の流れや控除例をわかりやすく解説

ふるさと納税の仕組みとは?控除の流れや控除例をわかりやすく解説

公開日:2023/3/8

「ふるさと納税」に興味を持っている方も多いでしょう。しかし、どのように取り組めばいいのか、どの程度お得なのかよくわからないという方も見られます。

ふるさと納税の寄付金控除は年末調整では対応できません。

しかし、年末調整担当者の中には、「ふるさと納税の寄附金控除」について社員から質問されて、頭を悩ませる人もいます。

本記事では、ふるさと納税の仕組みや控除の流れ、控除例について解説しますので担当者の方は参考にしてください。

ふるさと納税の仕組み

ふるさと納税とは好きな自治体に対して寄付できる制度です。寄付した金額に対して、希望する返礼品が受け取れます。

さらに、寄付した金額は自己負担分の2,000円を除き、本来納めるべき税金から控除できるため、「お得な制度」と言われています。興味はあるものの今一つ仕組みがわからないため、始められないという方もいるでしょう。

ここでは、ふるさと納税の仕組みについて詳しく解説します。

所得税について詳しく知りたい方は、こちらの記事をあわせてどうぞ。
所得税とは?種類や計算方法、納付期限について解説!

好きな自治体に寄付が可能

ふるさと納税は、好きな自治体に寄付できる制度です。自分の故郷、復興支援、まちづくりを応援したい自治体、好きな返礼品のある自治体など、寄付したい自治体を自由に選択できます。

寄附金の使い道を指定することが可能な自治体も少なくありません。たとえば、選択肢が設けられている場合、大きな災害にあった地域に対して「災害支援」の用途に絞って寄付することも可能です。

返礼品が受け取れる

ふるさと納税の魅力の1つは返礼品が受け取れることといえるでしょう。

各自治体は返礼品として、地域の名産品などを用意しています。寄付した人は、その自治体からの名産品などを受け取ることが可能です。

自治体によって異なりますが、肉・魚介類・野菜をはじめ、お菓子やジュースといった加工品、米・パンといった主食といった食べ物だけでなく、雑貨・工芸品・電化製品・旅行券・チケットをはじめ幅広い返礼品が用意されています。

ふるさと納税は自治体のサイトだけでなく、「さとふる」や「楽天」などをはじめとした、さまざまなポータルサイトでも取り扱われており、インターネットショッピング感覚で気軽にスマホから好きな商品を選び、寄付することが可能です。

上限があるが控除を受けられる

ふるさと納税を行うと、所得税の還付や翌年の住民税の控除が受けられます。年収や家族構成により、控除の上限額は異なります。

控除の上限額にかかわらず、実質の自己負担は2,000円のみです。

つまり、ふるさと納税は、控除額の上限以内で寄付をすれば、実質2,000円だけの出費で好きな自治体に寄付し、好きな返礼品を手に入れることができる仕組みといえます。

例えば、1万円を寄付して好きな名産品を手に入れます。そうすると、翌年の所得税・住民税から8,000円控除されるという仕組みです。(※寄附金の控除上限額が8000円以上の人の場合)

10万円を寄付した場合、翌年の所得税・住民税から9万8000円控除されます。(※寄附金の控除上限額が9万8000円以上の人の場合)

ふるさと納税で寄付金控除を受ける仕組み

会社員の場合、一般的に確定申告は行わず年末調整のみで納税申告の代わりとすることが少なくありません。しかし、ふるさと納税は「年末調整」では対応できません。

ふるさと納税で寄付金控除を受ける仕組みは次の2つです。
・ワンストップ特例
・確定申告

ふるさと納税の利用者は、どちらかを選んで利用します。それぞれにメリット・デメリットがあるため、自分にあった方を選択しましょう。

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ワンストップ特例制度

ワンストップ特例は、寄付先の自治体に所定の申請書を提出するだけで、寄付金控除の手続きが完了する便利な制度です。

しかし、その年に寄付した自治体の数が5つ以内の場合に限られます。

なお、ワンストップ特例を利用した場合は、所得税還付の対象とはなりません。翌年の住民税からの控除のみとなる点に留意しましょう。

同じ自治体に複数回寄付する場合は、何度寄付しても1自治体とカウントされます。ただし、特例申請の申請書などの必要書類は寄付回数と同じ枚数、提出しなければなりません。

同一自治体宛であれば、必要書類を複数枚まとめて提出しても構いません。

ワンストップ特例に必要な書類は次のとおりです。
・寄附金税額控除に係る申告特例申請書
・マイナンバー確認書類と本人確認書類

自治体によってはワンストップ特例を希望すると、必要な申請書類を送付してくる場合もあるため利用しましょう。必要であれば、総務省のサイトなどからダウンロードすることも可能です。

確定申告

自営業やフリーランス、またワンストップ特例が利用できない会社員などは確定申告で寄付金控除を行います。

ふるさと納税を行った翌年の次の期間に税務署に申告書を提出します。
・2月16日~3月15日

この時、自治体が発行した寄付金受領証明書の添付が必要です。

また、ワンストップ特例を行っていたとしても、医療費控除などで別途確定申告を行うと、ワンストップ特例が無効となるため注意が必要です。ワンストップ特例と確定申告は併用できません。

確定申告を行う場合は、事前にワンストップ特例をしていたとしても、改めて確定申告が必要になる点を把握しておきましょう。

確定申告時などに利用できるイータックスで利用できることについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をあわせてどうぞ。
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受け取る流れ

寄付金控除を受け取る流れは、控除の申告方法により異なります。

ワンストップ特例を利用すると、住民税から控除されます。「住民税決定通知書」の税額控除欄の合計額は、前年のふるさと納税の寄付金合計額から2,000円差し引いた数字と同じ額になっていることを確認してみましょう。

確定申告を利用すると、所得税還付及び住民税の控除が行われます。

どちらの場合も、還付や控除の合計額はふるさと納税の寄付金合計額から2,000円差し引いた数字になります。

ふるさと納税の歴史

ふるさと納税は2008年5月にスタートした制度です。地方と大都市の格差是正や、地方の人口減少による税収減少をカバーするためにつくられました。

ふるさと納税という名称ですが、故郷に限らず自由な自治体に寄付できます。

当初は、控除できない額が5,000円と高額だった(現在は2,000円)、確定申告が必要だった、といったこともあり、使い勝手が悪くあまり普及しませんでした。

ふるさと納税が広まったのは、「高額返礼品」や「金券」が返礼品に含まれ始めたためです。各自治体の高額返礼品や金券がエスカレートしていったため、2015年4月に総務省が返礼品規制を始めました

2017年4月に、「返礼割合を寄付額の3割以下にする」という規制が出たため、今では「高い還元率」の返礼品を受け取ることはできません。

その後「原則として返礼品は地場産品とする」というルールも出されており、ふるさと納税の規制やルールは時間の流れとともに変わりつつあります。

年収ごとのふるさと納税の控除例

ふるさと納税の控除例は年収ごとに異なります。ここでは、専業主婦(夫)の配偶者と小学生の子どもを2人持つ会社員を例に、年収ごとに控除例を見ていきます。

なお、小学生を含め16歳以下の子供を扶養している場合、控除額の計算には含みません。

年収 控除額
1800万円 498,314円
700万円 99,269円
400万円 33,945円

年収が多いと控除額の金額が高くなります。そのため、特に年収の高い人にとって、お得な制度ということができるでしょう。

なお、この計算では社会保険料を概算で差し引いています。その他、生命保険料控除や住宅ローン控除などはないものとして計算しているため、実際の数字とは異なる場合があります。

ふるさと納税を行う際、控除額以上の納税をすると控除対象とならず、自分の負担となってしまいます。例えば専業主婦(夫)や年収103万円未満のパートなど、全く納税をしていない人の寄付金控除額は0円です。そのため、いくらふるさと納税をしても、還付金や控除を受けることはできません。

実際にふるさと納税を行う際は、必ずご自分の状況でシミュレーションを行って控除額を確認したうえで納税するようにしましょう。

扶養控除申告書について詳しく知りたい方は、こちらの記事をあわせてどうぞ。
扶養控除申告書はなぜ必要?配偶者控除の違いも違いも解説

まとめ

好きな自治体に寄付できる制度がふるさと納税です。実質、2,000円だけの負担で、各自治体の名産品などが手に入るため、人気のある制度です。なお、ふるさと納税の寄附金控除は年末調整では行えません。

しかし、年末調整の対象である会社員であっても、年に5つの自治体以下でふるさと納税をおこなっている場合は、ワンストップ特例が利用できるため確定申告をする必要がなくなります。

年収や扶養人数などにより上限額が異なりますので、必ずご自身の上限額を確認したうえでふるさと納税を利用するようにしましょう。

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