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エアロトヨタ株式会社 技術戦略企画室 小川由佳氏

エアロトヨタ株式会社
技術戦略企画室

小川由佳氏

「機内Wi-Fiサービスの実装に見合う充分な通信速度が確認できました。今後はヘリコプターでの移動中でも、お客さまが快適にインターネットを利用できる環境を整えていきたいと考えています」

エアロトヨタ株式会社 空間情報事業本部 国土インフラ事業部 空間情報部 航空計測グループ グループリーダー 八上祐至氏

エアロトヨタ株式会社
空間情報事業本部 国土インフラ事業部 空間情報部 航空計測グループ
グループリーダー

八上祐至氏

「電波技術の知識がない我々にとってNTTドコモビジネスの技術支援は不可欠でした。速度測定ツールの提供、データ分析の共同作業など、二人三脚で実証を進められたことが成功の鍵だったと思います」

エアロトヨタ株式会社 空間情報事業本部 国土インフラ事業部 空間情報部 航空計測グループ 福島紘佑氏

エアロトヨタ株式会社
空間情報事業本部 国土インフラ事業部 空間情報部 航空計測グループ

福島紘佑氏

「30MBの写真データを約1分半で送信できたことは充分な成果です。今後実証を重ね、被災状況を伝える数枚を速報として送れるようになれば、初動対応のスピードが劇的に変わる可能性があります」

 

課題

災害現場の空撮写真データ共有が初動対応遅延の要因に
機内Wi-Fiニーズの高まりに応える通信環境の整備も急務

エアロトヨタ株式会社は1955年の創業以来、ヘリコプターとビジネスジェット機を軸とした「航空事業」、航空写真や航空レーザー測量などの地理空間情報技術を駆使した「空間情報事業」の2つを柱に社会基盤の構築に貢献してきた。かつては黒部ダムの建設、富士山気象レーダーの設置、青函トンネルの測量など、日本の重要インフラ構築を技術面で支えてきた実績を持つ。現在は55機のヘリコプターと2機のプライベートジェットを保有し、航空事業ではドクターヘリや全国の自治体が保有する消防防災ヘリコプターの運航受託、プライベートジェットによる旅客輸送などに注力している。また、空間情報事業では道路、上下水道、ガス、電気といったインフラ整備、ハザードマップや避難経路の位置情報などの防災支援、災害時の緊急撮影や航空測量などを展開し、スマートシティを支える基盤として活用されている。

長年、ある深刻な課題に悩まされていたのが空間情報事業本部だ。従来、上空で撮影した災害現場の写真は着陸後にSDカードなどの記録媒体を取り出し、地上にデータ展開を行っていた。「大規模災害時には被災現場の状況をいち早く関係者に届けることが人命救助や被害拡大防止に直結します。『撮ったデータを持ち帰るまで共有できない』というタイムラグをなんとかしたい強い思いを持っていました」と語る空間情報事業本部の八上祐至氏(以下、八上氏)は、この積年の課題に危機感を抱いていた。

また、航空事業本部では旅客サービスの高付加価値化を模索していた。航空・空情の技術戦略を考える部署である技術戦略企画室の小川 由佳氏(以下、小川氏)は「ヘリコプターやプライベートジェットをご利用のお客さまより、機内でWi-Fiを利用したいという要望が増えています。これを受けて新たに導入するヘリコプターの機体外装にアンテナを取り付ける計画も進んでおり、その際に機内Wi-Fiサービスの実現可能性を検証する必要がありました」と説明する。

こうした2つの課題を同時に解決する転機が訪れた。近年の電波法の規制緩和により、従来は高度150mまでしか利用できなかったLTEが、高度150m以上でも利用可能になったのだ。同社はすぐさまNTTドコモビジネスの「LTE上空利用プラン」に着目。ここから実証実験への道が開けていく。

 

対策

NTTドコモビジネスと2段階の実証実験を実施
LTE上空利用プランで通信品質と安定性を徹底検証

エアロトヨタが着目したNTTドコモビジネスの「LTE上空利用プラン」は、ドローンや小型航空機で上空のモバイルネットワークを利用できる専用料金プランだ。2023年4月の電波法規制緩和により、ドローンはもちろん、ヘリコプターなどの有人航空機や高度無制限で利用可能になっている。基地局側で送信電力を制御する技術により、機体側に特別な改造や専用モジュールの搭載は不要。ワイドオプション(優先制御機能)、閉域接続オプション、上空電波シミュレーションなどのオプションも充実している。

「かねてより、災害時の初動については、社員含め経営層も強い課題感を持っていました。上空LTEが商用利用できるようになったことを知り、『これはいける!』と。すぐに実証実験をスタートさせる準備が始まったのです」と小川氏は振り返る。そこからNTTドコモビジネスと共同で約半年かけて企画を練り、同社は2ステップのアプローチで検証に臨んだ。

最初のステップでは上空でのインターネット接続可否の基礎検証を実施した。平野、山間、沿岸部の3ルートを3つの高度帯に分けて飛行し、合計9パターンで通信状況を確認。さまざまな地形・高度での電波状況を測定した。「正直、当初はそこまで電波が取れないと予測していました。しかし、地上から1000m程度の高度までWebサイトの検索なら問題なくできた。同グループの福島紘佑氏(以下、福島氏)は当時の手応えを語る。

この成果を受け、次のステップでは本格的な実用性検証に着手した。目的は2つ。ワイドオプション(優先制御機能)による災害時を想定した写真データのアップロード検証、そして通信品質の向上確認だ。「最初のステップの実験データではドコモのサービスエリアマップ上のPREMIUM 4Gエリアで行い、通信速度が速い傾向が見られました。それをもとにサービスエリアなどの同じPREMIUM 4Gエリアを選定し、今回は飛行しながらではなく、一定時間その場に滞留しながら安定性を確認しました」と福島氏は説明する。実証では一眼レフで撮影した高画質な災害写真を想定し、約30MBのデータをアップロード。機内に持ち込んだPCやスマホから社内システムへの送信、YouTubeなどの動画サービスの閲覧など、多角的に検証を重ねた。

プロジェクト推進の鍵を握ったのは、NTTドコモビジネスの徹底した伴走支援だった。「我々は上空でのSIM利用の経験がゼロでした。いちから使い方を教えていただき、2回目のテストでは半自動で速度を測れるドコモ独自の速度チェッカーも提供いただいた。我々のやりたいことに寄り添い、つねに一歩先の提案をしてくれる体制でした」と八上氏は評価する。福島氏も「初回は自分たちで用意したフリーアプリで計測していましたが、あまり精度が高くなかったのです。そこを相談したところ適切なアプリを提案いただきました。我々は電波技術に関しては素人ですから、測定結果の分析を一緒にやっていただけたことも非常にありがたかった。おかげさまで想定以上の精度が出せました」と二人三脚の取り組みを振り返る。

 

効果

30MBの写真データを1分半で送信、災害初動対応の迅速化に道筋
機内Wi-Fiも実用レベル、快適なYouTube視聴が可能に

全2回の実証実験では防災・旅客の両面で具体的な成果が得られた。災害対応の観点では30MBの写真データ1枚を約1分半で送信できることを確認した。「災害時には100枚近くの写真を撮ることもあるため、さすがに現時点の技術ではすべてを送ることは困難です。しかし、まずは災害の状況を伝える数枚を速報として送る意味では充分な成果が得られたと思っています」(福島氏)。上空から「重要な1枚」を確実に地上に送ることで、初動対応のスピードが劇的に変わる可能性が見えてきたわけだ。

旅客サービス面では、より顕著な結果が出た。二度目の実証では通信が非常に安定、YouTubeなどの動画視聴がまったく問題なくできることを確認した。通常の上空LTEプランでは概ね数Mbps程度だったが、ワイドオプションを利用した場合には倍近く、速いところでは3倍程度を超える速度を記録した。「標準画質のYouTube視聴は快適ですが、速いところではなんの違和感もなく視聴できる感覚です」(小川氏)。この結果は機内Wi-Fiサービス提供に向けた大きな一歩となった。

前述のとおり、同社では機体外装アンテナを搭載した新しいヘリコプターを導入予定だ。航空局の承認や電波法への適合など技術的・法的なハードルが高く、実現までに時間を要したが、ようやくめどが立ってきた。「二度の実証実験の成果を踏まえ、機内アンテナと外装アンテナでどれだけ品質の違いが出るかを継続して確かめる必要があります。安定して通信が取れることを確認できれば、お客さまに機内Wi-Fiサービスとして提供したいと考えています」(小川氏)。この実証実験の結果は経営層にも報告され、「旅客サービスには問題なく使えそうだ」という前向きな評価を得ているという。

同社では、さらなる未来を見据えている。「いずれ航空写真や航空レーザーのデータまでをスムーズに地上に伝送できるようになれば、我々の仕事が劇的に変わり、災害対応のスピードも飛躍的に向上するでしょう。今後、LTE上空利用プランと衛星Wi-Fiを同じSIMでハイブリッドに利用できる環境が整えば、より実用化に近づいていくはずです。NTTドコモビジネスにはサービスの強化、拡充に期待しています。それに合わせて我々の災害対応が強化されるのではないでしょうか」(八上氏)。

今回の取り組みについて、八上氏は業界全体への波及効果にも期待を寄せる。「私たちが知る限り、こういう使い方をしている国内の航空事業者はまだいません。これが実現できれば業界のスタンダードとして広がっていくでしょう。日本の防災に資する基盤になっていくものですから、この取り組みは続けていきたいですね」。災害対応の迅速化と旅客サービスの付加価値向上——2つの目的を掲げて始まったエアロトヨタの上空LTE実証実験は、確かな手応えとともに次のステージへと進もうとしている。

導入サービス

LTE上空利用プラン

航空法で定める無人航空機(ドローン等) 、回転翼航空機・飛行機・無操縦者航空機(あわせて以下、小型航空機等)​に搭載している機器の制御や監視等、LTEを上空利用することを前提とした、ドローン等及び小型航空機等向けの専用料金プランです。
2つの料金タイプ「定額無制限タイプ」、「従量タイプ」よりお選びいただけます。
無人航空機(ドローン等) 、回転翼航空機・飛行機(※1)・無操縦者航空機(小型航空機等)​でご利用のLTE対応端末に本料金プランのSIMカードを挿入することで、予約した日時・場所で利用を開始できます。​

※1:国際航空運送事業及び国内定期航空運送事業を除く、客席数15席以下の飛行機​​

※JAPANローミングはご利用いただけません。

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エアロトヨタ株式会社

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事業概要
1955年創業以来、国内のさまざまな国土・社会基盤を支えるサービスの構築に貢献。現在はヘリコプターとビジネスジェット機を軸とした「航空事業」、地理空間情報技術を駆使した「空間情報事業」の2本柱で社会基盤構築に取り組む。

URL
https://www.aerotoyota.co.jp


(掲載内容は2026年3月現在のものです)


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