最大40%の税額控除も!「賃上げ税制」とは

最大40%の税額控除も!「賃上げ税制」とは

企業の賃上げを促進する「賃上げ促進税制」が、2022年度から開始しました。同制度で中小企業が税制優遇を受けるためには、どのような要件を満たす必要があるのでしょうか。

目次

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1.そもそも、「賃上げ税制」とは何か?

賃上げ税制とは、前年度よりも給与を増額した企業に対し、増加分に応じた法人税額の控除を受けられる制度で、正式名称は「賃上げ促進税制」といいます。

この制度が始まった背景には、2021年に発足した岸田内閣の方針にあります。岸田総理は、首相就任後の所信表明演説において、企業に賃上げを促す優遇税制を引き上げる方針を明らかにしました。この方針を受け、同年12月に与党で決定された「令和4年度税制改正大綱」において賃上げ税制が盛り込まれることになりました。

賃上げ税制の対象となるのは、青色申告書(確定申告のために計算した事業所得や不動産所得の明細を記載した書類)を提出した全企業です。そのため、確定申告時に青色申告書を提出している個人事業主も対象となります。個人事業主の場合は、所得税の控除が受けられます。

控除額は、中小企業・大企業で異なります。中小企業の場合は、雇用者給与等支給額(国内雇用者の給与、賃金、賞与などの給与所得)の増加額のうち、最大40%の税額控除を受けることができます。大企業の場合は最大30%の控除となります。

賃上げ税制が適用される期間は、令和4年(2022年)4月1日から令和6年(2024年)3月31日までの間に開始される事業年度が対象となります。個人事業主の場合は令和5年(2023年)及び令和6年の各年が対象となります。

2.賃上げ税制の対象か否かは、どうやって判断するのか?

この賃上げ税制の控除を受けるためには、いくつかの要件を満たす必要があります。たとえば中小企業の場合は、雇用者への給与等支給額が、前年度と比べて「1.5%以上」増加していることが求められます。

自社が「1.5%以上」の要件を満たしているか否かを調べるためには、中小企業庁が公開している「中小企業向け賃上げ促進税制ご利用ガイドブック」に記載された計算式を用います。

まずは、今年の給与総額か、前年度の給与総額を引き、差額を算出します。今年度の給与総額が5,200万円で、前年度は5,000万円だった場合、差額は200万円となります。雇用調整助成金を受けている場合は、その金額も加算した額を給与総額として計算します。

さらにこの差額から、前年度の給与総額を割ります。前述のケースだと、200万円÷5,000万円となり、算出後の数値は0.04、つまり「4%」となります。この場合、適用要件である1.5%以上の増加を満たしているので、適用対象となります。たとえ前年よりも従業員の給与を増やしていたとしても、この数値が1.5%未満だった場合は、賃上げ税制の対象外となります。

適用対象となった企業は、控除対象雇用者給与等支給増加額の15%が、法人税額から控除されます。

3.条件が合えば、控除率はさらにアップする

賃上げ税制では控除額の“上乗せ”も可能です。賃上げ税制は、通常要件と上乗せ要件の二段構想になっています。どちらの要件も満たすことで、控除率のさらなる優遇が受けられる仕組みになっています。

通常要件は、前述の雇用者給与等総支給額が前年度比の1.5%以上増加を満たすことですが、上乗せ要件には、雇用者給与等支給額のさらなる増加と、教育訓練費用の増加の2つがあります。

中小企業の場合、雇用者給与等支給額が前年度と比べて2.5%以上増加していた場合は、さらに15%の控除がプラスされます。

さらに企業が従業員に対し行った教育訓練費が、前年度と比べて10%以上増加している場合も、さらに10%の控除が受けられます。ここでいう教育訓練費とは、外部講師を招いた講習やセミナーの実施や、技術研修会の参加など、職務に必要な技術や知識を習得・向上させるための費用のことになります。

このように通常要件の15%に加え、上乗せで25%が控除されるため、中小企業では最大40%の税制控除が受けることが可能となります。

もし業績が好調で、すでに従業員の給与をアップしているという企業は、本制度を利用することで、さらなる節税効果が期待できることになります。

一方で、業績が芳しくなく従業員の給与が上げられないという企業でも、本制度は2024年3月までに開始する事業年度が対象となるため、次年度以降に申請できるチャンスがあります。その時のために、賃上げ税制の存在を覚えておいた方が良いでしょう。

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