NTTコミュニケーションズ(略称:NTT Com)は、個人情報など重要な情報の入ったモバイルPCを、漏えいの危険なく安全に持ち出すことができる「セキュアドライブ」を研究・開発しました。
1.「セキュアドライブ」概要
モバイルPCへドライバをインストールし、携帯HDD(ハードディスクドライブ)をはじめとする外部記憶装置にデータを分散させることにより、重要な情報が入ったモバイルPCの紛失や盗難による漏えいの心配をなくし、安全に外部へ持ち出すことが可能になります。
NTT Comが開発した「秘密分散システム」(別紙1参照)をWindowsのドライバレベルで実装したことにより、リアルタイムに分散・復元処理することができます。分散・復元処理にともなう動作遅延は10%程度であり、通常の利用と体感的にはほとんど変わりません。
データはすべてモバイルPC、携帯HDDに分散され、単独の分散データからは元のデータが復元されないため、モバイルPC、携帯HDDのどちらか一方を紛失しても情報漏洩にはなりません。
2.特長(別紙2参照)
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従来の閾値法*1での秘密分散とは異なる、真性乱数を用いた新しいアルゴリズムを開発することにより、大容量ファイルを高速に処理でき、かつ、どんなに時間を掛けても元の情報が復元できない仕組みを実現しました。
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現在、ドライブ内のデータを暗号化する手法が広く使われていますが、暗号には時間をかければ解読可能という問題があります。秘密分散システムでは
・いくら時間をかけても単独の分散データからは解読不可能
・鍵の管理が不要
・処理速度が高速
・分散データの断片を紛失した場合のデータの無効化処理と復旧処理が可能
などの特長があります。
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他社の秘密分散アルゴリズムと異なり、1つの分散データを紛失した場合、残りの2つの分散情報から新たな3つの分散情報を生成する際に、元の情報が、メモリ上にも展開されません。
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3.今後の予定
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広くパートナーを募集し、各種関連ソフトウェアの開発、セキュアドライブ対応のPC・外部記憶装置の開発および販売・展開を進めていきます。
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事業化に向けて、株式会社プライブ・シェルター、ミニストップ株式会社、東邦薬品株式会社、株式会社東邦システムサービス、NTTコムウェア株式会社など6社のご協力のもと、5月中旬から「セキュアドライブ」のフィールド実験を開始する予定です。
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*1 閾値法:シャミア博士が連立方程式の仕組みを使って構築した秘密情報分散方式。
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