NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は、サイバー関西プロジェクト
*1(以下、CKP)の協力を得て、放送・通信事業者3社とともに、東京-大阪間のネットワーク(10ギガビットイーサネット)を利用して、複数の非圧縮HDTV映像
*2 (1映像あたり約1.5Gbps)をIPv4/IPv6
*3上でリアルタイム伝送する実証実験に、今年8月世界で初めて成功しました。
これにより、遠隔地間での高画質映像のリアルタイム素材伝送やリモート編集が、実用化のレベルに達したことになります。放送業界の中継業務における高速な素材送りや複数カメラ映像の同時中継などが可能となり、取材から番組送出までの時間短縮化や 生中継番組の高度化が進むことが期待されます。
今後は、構築・運用ノウハウの蓄積、実環境上での技術検証を目的とした共同実験を平成17年8月末まで実施し、光を中心としたブロードバンドネットワーク時代における次世代高品質映像素材伝送サービスのあり方を検討していきます。
1.非圧縮HDTV映像リアルタイム長距離伝送実験について(別紙1参照)
従来、遠隔地間の素材伝送は、マイクロ波、通信衛星、専用中継回線、テープの輸送などにより行っていたために事前の回線の予約が必要であったり、リアルタイムで伝送できなかったりする問題がありました。今回東京―大阪間をJGNII
*4の10ギガビットイーサネットで結び、複数の非圧縮HDTV映像素材をリアルタイムに伝送し、映像品質の確認をしたことで、超高速IPネットワーク網による高画質映像のリアルタイム素材伝送やリモート編集が実用化レベルであるとの結果を得ました。
2.InterBEE2004における実験デモンストレーションについて(別紙2参照)
NTT未来ねっと研究所が開発したi-Visto
*5を利用して、大阪、六本木、大手町、幕張をJGNIIおよびギガストリームサービス
*6により4拠点間を結び、複数の非圧縮HDTV映像のリアルタイム伝送に加え、複数カメラ映像のショックレスな切り替えや映像同期を実現させる実証実験を実施します。
3.今後の実験予定について
平成17年8月末まで非圧縮映像伝送システムの実用化へ向けて実験を行います。
<用語解説>
*1: |
CKP
サイバー関西プロジェクト(会長:宮原秀夫(大阪大学総長))
関西の産学官で構成される、次世代インターネット実証実験コンソーシアム(http://ckp.jp/)
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*2: |
HDTV
High Definition Television(高精細テレビ)の略。地上デジタル放送、衛星デジタル放送で放送されている方式
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*3: |
IPv4/IPv6
Internet Protocol Version 4 / Internet Protocol Version 6の略
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*4: |
JGNII
JGN(Japan Gigabit Network)を発展させ、独立行政法人情報通信研究機構(理事長:長尾真)が、2004年4月から運用している新たな超高速・高機能研究開発用テストベッド・ネットワーク
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*5: |
i-Visto
Internet video studio system for HDTV productionの略(http://www.i-visto.com/)
非圧縮HDTV,非圧縮SDTVといった高品質映像信号をIPネットワーク上の複数の拠点間でリアルタイム伝送するネットワークシステムです。今回の実験に用いたゲートウェイは、大容量映像ストリームをリアルタイムにIPパケットへ変換し、最大10Gbpsまで多重して伝送することができます。HD-SDIの他にSD-SDI、DVB-ASIなど複数の種類の映像インタフェースを自由に選択/組み合わせて10GbEやGbEなどのインタフェースで多重伝送することが可能です。またIPアドレスによって送信先をダイナミックに変えることができ、複数拠点への同時配信(マルチキャスト)も可能です。
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*6: |
ギガストリームサービス
0.1Mbpsから10Gbpsまでの帯域を提供するNTT Comの高品質ネットワーク・サービス
(http://www.ntt.com/gigas/index.html)
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