2001年11月22日
NTTコミュニケーションズ |
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1.NTT Comのビジョン NTT Comは、世界中のお客さまに最高水準のIPサービスを提供する「グローバルIPカンパニー」を目指して事業を展開してきており、来年にはこれを完成し、グローバルIPカンパニーとしての企業アイデンティティを確立したいと考えています。 2.市場環境の変化と事業基盤 今日の情報通信市場において顕著な変化は、携帯電話の爆発的普及と、インターネットの拡大です。これに加え固定電話の市場では、優先接続制度(マイライン)導入に伴い、事業者が顧客獲得のための激しい価格競争をくりひろげた結果、市場は全体として縮小傾向にあります。 NTT Comは、この固定電話サービス市場の縮小を早くから予測し、「電話」に代わる新たな事業基盤として「データ・IP」通信を主要な収益基盤に転換する事業展開を行ってまいりました。 特にIT革命を支える基盤として世界中に普及したインターネットは、通信そのものの変化だけではなく業種・業態の変容、さらには産業構造全体の変革をもたらすとともに、国境を乗り越え、経済社会のグローバリゼーションを一気に加速させる大きな要因となっております。また、新しい事業領域として、インターネット接続事業(ISP)やデータセンター事業、コンテンツ流通事業、さらに企業のサプライチェーンや企業間取引のIPベース化(e化)を促進する「プラットフォーム」、「eマーケットプレイス」といった新たな市場を創造しており、今後とも確実に成長を続ける事業分野であると認識しております。 NTT Comは、以上のような市場認識のもとに、これまで提供してきたデータネットワークサービスやトータルソリューションの事業基盤に、インターネットバックボーンやホスティング事業の強力な経営リソースをドッキングし、NTTブランドの持つ信頼性、安定性とサービス品質の高さを活かしつつ、アジア、米国、欧州においてグローバルIPソリューション事業を展開していくこととしております。これがNTT Comの「グローバルIPカンパニー」戦略です。 3.Verio社の買収とこれまでの成果 昨年、NTT Comは、この戦略を実現するため、その中核機能として位置づけられるVerio社を買収しました。この買収は、インターネットの本格的市場である米国において、世界でも屈指のGlobal IP バックボーンを獲得するという戦略的目標を達成するとともに、ホスティングを始めとするウェブビジネスソリューションに強みを持つVerio社のリソースとNTT Comのリソースとを結合し、IP事業へのシフトを加速することを目的とし、これまでにほぼこれを達成し、大企業からドットコム企業まで、幅広いユーザニーズに応えていくことが可能となりました。 Verio社買収後一年間で、米・欧・アジアをカバーするNTT/Verio Global IP Networkを確立し、グローバルIP-VPNサービスを開発・導入するとともに日米欧の三極を核とするグローバルオペレーション体制(24時間保守)を導入しました。またNTT Comがもつ優れた管理能力とVerio社のベンチャー精神やスピード経営が融合し、両社の企業カルチャーの変革がもたらされ、「グローバルIPカンパニー」の第一歩を進めることができました。 4.厳しい市場環境への対応と今後の成長戦略 IT革命を牽引役として急成長を遂げた米国経済も、不況に苦しんでいますが、やがては実体経済をベースにした着実な市場拡大が想定されます。従って、「グローバルIPカンパニー」戦略は堅持しつつ、当面は、厳しい環境へ対応するため、経営資源を将来の成長の基盤となるIPビジネスに集中する構造改革を実施することとしました。 Verio社における具体的な経営改善の内容は以下のとおりです。 (1) 従業員の大幅な削減(25%以上) (2) データセンターの大幅な統廃合 (3) ダイヤルアップ事業など不採算事業からの撤退 (4) アクセス事業の効率化 (5) 設備投資の大幅な削減 また多くの新興企業が行詰まりを見せる中、信頼性、安定性および様々なサービスをグローバルかつ一元的に提供してほしいというユーザニーズに応えるため、NTT/Verioブランドを前面に出し、Verio社とNTT Comの海外リソースの統合(営業/開発/オペレーション)の早期化を図るとともに、グローバルTier1のバックボーンサービスとデータセンター事業を一体として展開し、強力なIPソリューションプロバイダーとしての事業を推進します。 NTT Comは、IP関連サービスを将来の事業成長の基盤ととらえ、今後とも「Verio社を将来に亘るビジネスのコア」としてグローバルIPカンパニーへの転換を加速していきます。 5.財務状況および事業見通し この度の米国会計制度の変更に伴うVerio社の営業権の評価の問題については、新ルールに則って、景気の低迷なども踏まえた適正な評価損を計上したところでありますが、残念ながら財務的には今年度相当の影響を受けることになります。一方、このことは、NTT Comグループとしては後年度の負担を軽減する意味を持ち、今後、グローバルIPカンパニーの実現に向け、一層の収益の確保、財務基盤の安定に努力を続けて参ります。 当面は、電話サービスの利益の減少が見込まれるものの、新たな収益の担い手としてデータ・IP系サービスの成長によりこれを補い、収益全体としては漸増傾向を堅持し、2002年度以降経常利益の改善を見込んでおります。また、国内のデータ・IP事業は2001年に黒字化の見込みです。さらには、グローバル事業も、Verio社単体および子会社を含む連結ベースで、2005年黒字化することを目指します。 |
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