法人向け固定IPサービスの概要、メリット、デメリットとは?
Wi-fiやIoTの普及により、個人向けの固定IPサービスが注目されています。ここ数年は個人向け固定IPサービスに注目が集まっていますが、実はビジネスユースでもさまざまなメリットがあります。ここでは、法人向け固定IPサービスについて、メリットやデメリット、具体的なサービスの例を交えながら解説します。
この記事の目次
1. 法人向け固定IPサービスとは
固定IPサービスは、IPアドレスを固定させるサービスです。一般的な光回線の契約では、IPアドレスが動的に変化するため、社外からのアクセスやIoT機器の利用、システム間のデータ通信で使いにくいというデメリットがあります。一方、固定IPサービスでは、IPアドレスが固定されていることや、複数の固定IPアドレスを保持できることから、ビジネスユースでさまざまなメリットを享受できます。以下は、法人向け固定IPサービスの活用例です。
○法人向け固定IPサービスの活用例
- 社外から社内ネットワークへのセキュアなアクセス
- WebカメラなどのIoTデバイスに固定IPアドレスを割り当て、外部からモニタリング
- 店舗と本社間におけるPOSシステムのデータ通信
- Web会議システムでの高品質かつセキュアな通信
- 拠点間通信を固定IPアドレスで制限し、セキュリティレベルを向上させる
2. なぜ固定IPサービスが重要なのか?メリットとデメリット
固定IPサービスは、すでに大手企業や官公庁などで広く活用されています。しかし、今後は中・小規模な事業者でも導入を検討すべきサービスといえるでしょう。
○固定IPサービスの重要性
業界や業態を問わず、インターネット、Webの活用が当たり前になっている今、安定した情報通信基盤はビジネスの生命線とも言えます。安定した情報通信基盤を構築するためには、安定した通信回線が必須です。例えば、人手不足対策として在宅勤務者や外部委託者、リモートワーカーを活用するとき、通信回線の品質はコミュニケーションや共同作業の質を左右します。また、業務用システムの拠点間通信においても、固定IPサービスの導入が必須になっているケースは少なくありません。さらに、固定IPサービスは、動的IPサービスに比べて回線の安定度が高まるという特徴があります。今後、業務効率化やコミュニケーションコスト削減、新規事業の立ち上げといった攻守両面で、固定IPサービスの重要性が高まることは間違いないでしょう。
○固定IPサービスのメリット
次に固定IPサービスのメリットを、より具体的に紹介します。
- VPN構築が可能
VPN(Virtual Private Network)は、第三者がアクセスできない閉鎖的ネットワークです。企業が安全かつスムーズに拠点間通信を行う際、物理的な専用線を施設して拠点同士を結んだり、アプリケーションごとに暗号化技術を使用したりといった対策が行われてきました。しかし、専用線の施設は導入・運用コストが、暗号化技術は利用時の手間が課題になりがちです。こういったコストや手間を省きつつ、セキュリティと通信品質を両立させる技術がVPNです。固定IPサービスを導入すれば、VPNの構築が可能になり、高品質でセキュアな通信環境を低コストで実現できます。 - Webサイトやサービスの安定稼働
WebサイトやサービスにおいてVPSサーバーを利用するケースは珍しくありません。このVPSサーバーは、ベンダー側のメンテナンス作業でIPアドレスが変更される可能性があります。仮にIPアドレスが変更されれば、IPアドレスの再取得、DNS登録、ドメインとの紐づけ作業などでリードタイムが発生し、Webサイトやサービスが利用できない状況を生み出します。一方、固定IPサービスを利用していれば、こういったリードタイムが発生せず、Webサイトやサービスの安定稼働につながるわけです。 - 複数の固定IPアドレスを契約できる
法人向け固定IPサービスでは、複数のIPアドレスを契約できるプランが設けられています。例えば、NTT Comが提供する企業向けOCNサービスでは、「IP8(IPアドレス8個)」と「IP16(IPアドレス16個)」というプランを用意しています。IPアドレスを複数持つことで、負荷分散や冗長化が容易になり、結果的にシステム全体の可用性が向上します。 - IoT機器活用が進む
昨今のビジネスシーンでは、ネットワークに接続し、データを収集できるIoT機器の活用が広まっています。代表的な例としては、ネットワークカメラの導入が挙げられるでしょう。ネットワークカメラは従来の監視カメラとは異なり、インターネットやLANを活用した柔軟な配置が可能です。また、取得した画像や動画をサーバー上へ保存するため、記憶媒体の交換が不要という強みもあります。ネットワークカメラの導入には、固定IPアドレスが必須です。 - セキュリティ向上
IPアドレスを固定させることで、ホワイトリスト作成・運用が容易になり、アクセスコントロールが手軽に行えるようになります。クラウドサービスへのアクセスをIPアドレスで制限すれば、BYODやシャドーITといった「見えざるリスク」への対策としても活用できます。 - 拠点間のシステム連携
ビジネスユースでは、本社と店舗や拠点同士における、システム間通信が頻繁に発生します。こういった拠点間のシステム連携においては、厳密な管理が求められるため、固定されたIPアドレスによる通信が適しています。
○固定IPサービスのデメリット
- 不正アクセスの標的になる可能性
IPアドレスが静的であるがゆえに、不正アクセスの標的になりやすい可能性も否定できません。ただし、法人向け固定IPサービスには必ずと言って良いほどセキュリティオプションが用意されているため、予防はそれほど難しくありません。 - 追加料金やオプション契約が必要な場合がある
複数の固定IPアドレスを契約したい場合や、セキュリティ対策を重視する場合には、追加で有料オプション契約が必要になります。
3.法人向け固定IPサービスの例
法人向け固定IPサービスの具体例として、NTT Comが提供する企業向けOCNサービス「OCN光フレッツ」を紹介します。OCN光フレッツは、国内有数のバックボーンをベースに、回線品質やセキュリティ、サポート体制を充実させた法人向け固定IPサービスです。
○OCN光フレッツ(固定IPアドレス)
- 契約方法
固定IP1(単一のIPアドレスを契約)の場合は、Web上から申し込みが可能です。これに対し、複数IP(IP8、IP16)では、原則としてお問い合わせ・ご相談後の申し込みになります。 - 料金体系(価格は全て税別)
固定IP1の場合…初期費用(ネットワーク工事費)3,000円、月額利用料6,800円~
固定IP8の場合…初期費用(ネットワーク工事費)8,500円、月額利用料15,800円~
- セキュリティ
エンドポイントセキュリティ対策…ウィルス・スパイウェア対策、不正サイト接続ブロック、URLフィルタ
LAN側セキュリティ…ウィルス対策、ファイアウォール、URLフィルタ、IDS/IPS
WAN側セキュリティ…ウィルス対策、不正サイト接続ブロック、URLフィルタ
- サポート体制
電話、メールによるサポート
まとめ
この記事では、法人向けインターネット回線の種類や、求められる速度などについて解説してきました。ビジネスユースで求められるインターネット速度は、業務内容や事業規模によって異なります。ただし、一定以上の通信品質とセキュリティは、どのケースでも必須であるといえるでしょう。法人向けのインターネット接続サービスの選定は、これら2つを両立できる事業者を中心に進めてみてはいかがでしょうか。
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