ADSLとは? 仕組みなどの基本情報や今後について解説

日本のブロードバンドの発展を支えた「ADSL」は順次サービス提供を終了し、2025年1月には完全終了する予定です。本記事では改めてADSLについて知りたい方に向けて、ADSLの基本や仕組み、ISDNや光回線との違い、メリット・デメリットなどを解説します。さらに、ADSLサービス終了後の乗り換え先候補についても紹介します。

従来のPPPoE方式に比べて大容量で、通信が混雑することなくスムーズに行われ、快適で安定した接続環境のため、法人向け回線としても大きなメリットがあります。IPoEは、いったいどのようなサービスなのか、詳しくご紹介します。

【IPoE接続とPPPoE接続】改善とヒント
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ADSLとは

ADSLとは「Asymmetric Digital Subscriber Line(非対称デジタル加入者線)」の頭文字をとった言葉です。一般的な電話回線を使用して高速データ通信を行う技術のことで、非対称とは通信速度の「下り(受信/ダウンロード)」と「上り(送信/アップロード)」が異なることをあらわしています。

ADSLは、アナログ電話回線の従来使用していなかった高周波数帯を使い、電話とインターネット接続の同時利用を可能にしました。1999年にサービスが開始されると、従来の回線よりも通信速度が速いことから爆発的に普及が進みます。

現在、インターネット回線の主流は光回線ですが、それ以前はADSLとデジタル回線を利用したISDNがインターネット普及に大きく貢献しました。

ISDNとの違い

ISDNとは、「Integrated Services Digital Network」の略称で、「統合デジタル通信網」などと訳されます。ADSLとISDNの違いは、ADSLがアナログ回線に対し、ISDNはデジタル回線という点です。ISDNはデジタル信号を用いるため、アナログ回線に比べて音声がクリアで、盗聴されにくい特徴をもっています。また、ADSLの通信速度が下りと上りで異なるのに対し、ISDNの速度は変化することがほぼありません。

1988年にサービスを開始したISDNは、それまでのアナログ接続やダイアルアップ接続よりも速い通信速度を実現しました。しかし、1999年に登場したADSLよりも通信速度が劣るため、近年は利用者が減少し、サービスも縮小傾向にあります。

光回線との違い

光回線は、現在主流のインターネット回線です。光ファイバーという素材を使用し、光信号でデータを送受信します。そのため通信速度が非常に速く、ADSLよりも画像や動画のアップロードやダウンロードがスムーズです。

さらにADSLがノイズを受けやすい性質で、通信速度が出なかったり、通信が不安定になったりするのに対し、光ファイバーはノイズの影響を受けにくく、通信速度が安定しています。

ADSLの利用に必要なもの

ADSLを利用するためには、プロバイダーと契約したり、PCとADSLモデムを接続したりする必要があります。

プロバイダー

プロバイダーとは、回線をインターネットとつなげる事業者のことです。インターネットに接続するためには、プロバイダーと契約しなければなりません。プロバイダーは業者ごとに料金や通信速度、つながりやすさ、アクセスポイント、サポートサービスなどが異なります。そのため、ユーザーは使用環境や求める基準に合った業者選びが必要です。

回線事業者

回線事業者とは、インターネット接続に必要な回線(ADSL、光回線など)を提供している事業者のことです。インターネットに接続するには、プロバイダーと回線事業者の両方と契約しなければなりません。ただし、回線事業者の中にはプロバイダーと一体となり、インターネット接続のすべてを1社で行うところもあります。このような一体型の場合、契約や請求書、サポート窓口などが一本化されているため効率的です。

ADSLモデム

ADSLモデムは、ADSL回線でインターネット接続をするときに必要な機器です。ADSLモデムの役割は、PCからのデータをADSL回線で使える電気信号に変換し、また電話回線からの電気信号をPCで使えるように変換します。ADSLの通信規格は事業者によって異なるため、ADSLモデムは事業者からレンタルまたは購入するのが一般的です。

スプリッター

ADSLモデムにスプリッター機能が内蔵されていない場合には、外付けのスプリッターが必要です。スプリッターとは、電話回線からの信号を低周波の音声信号と高周波のデータ信号に分けたり、統合したりする装置のことで、「周波数分波器」や「DSLフィルタ」とも呼ばれています。スプリッターもADSLモデムと同様に事業者からレンタルが可能です。

ADSLの仕組み

ADSLは、多くの家庭で利用されている電話回線の高周波数帯を使用することで、データ信号を送受信します。しかし、屋内の電話線をそのままPCに接続してもインターネットは使えません。

インターネットに接続するためには、まず電話線とスプリッターをケーブルでつなぎ、音声信号とADSL信号に分けます。次にスプリッターとADSLモデムをケーブルでつなぎ、ADSLモデムで電気信号をPCで使えるデジタル信号に変換します。そしてADSLモデムとPCをLANケーブルもしくは無線LANでつなぎ、プロバイダーのサーバーにアクセスすることで、インターネットに接続できます。

ADSLの通信速度

快適なネット環境を整えるためには、ある程度の通信速度が必要です。ストレスなくインターネットを使用したい場合には、サイトの閲覧なら約3Mbps、高画質の動画視聴なら約25Mbpsの通信速度を確保しましょう。

通信速度には、下りと上りがあります。とくに重視したいのが受信やダウンロードに必要な下りの通信速度です。インターネットをつないで「速い」と感じるのは、この下りの速度が大きく関係しています。一方、インターネットに動画や画像をアップする機会が多い場合には、上りの通信速度を気にしましょう。たとえば、SNSに画像を投稿するなら約3Mbps、テレワークなどでビデオ通話をするなら約10Mbps以上あるとスムーズに行えます。

ADSLの通信速度は、下りが最大50Mbps、上りが最大5Mbpsです。サービスによっては下りが最大50.5Mbps、上りが最大12.5Mbpsとされるケースもありますが、どちらにしろADSLの場合、常に最大の通信速度が出るとは限りません。その理由は、ADSLが基地局との距離が遠いほど通信速度が落ちやすく、ほかの電波の影響も受けやすいためです。また、ADSLは回線にアクセスが集中するとつながりにくくなる性質のため、ユーザーが多い時間帯には著しく通信速度が低下することもあります。

ADSLの特長

ADSLは、2000年代前半に一般家庭で大きく普及しました。その理由としては、「ISDNより高速通信が可能」「工事が不要」というADSLの特長が挙げられます。

ISDNより高速通信が可能

前述のとおり、ADSLは下りで最大50Mbps、上りで最大5Mbpsの高速通信が可能です。対して、ISDNの通信速度は最大64Kbps、2回線使用でも128Kbpsです。

なお、通信速度の単位である「bps」は1秒間に送信できるデータ量をあらわしています。数が大きくなるほどデータのやりとりが速くなり、bpsの単位は「1,000bps=1Kbps」、「1,000Kbps=1Mbps」、「1,000Mbps=1Gbps」と、1,000単位で変わります。これを踏まえてADSLとISDNの速度を比べてみると、ADSLが桁違いに速いことがわかります。

工事が不要

光回線では、使用する前に回線を通すための立ち会い工事が必要です。開通も2~3週間と時間がかかり、新生活シーズンなど工事が混み合う時期には、開通までに1カ月以上待たなければなりません。また、テナントによっては、工事を認められず光回線を通せないこともあります。

一方、ADSLは一般的な電話回線を利用するため、電話線があれば工事は不要です。申し込みをし、事業者から受け取ったADSLモデムなどをつなぐだけで簡単にインターネットが使えます。開通までの期間も申し込みから1~2週間と短いのも特徴です。

ADSLの弱点

インターネット回線の主流がADSLから光回線に変わったのには、光回線と比べて遅延が発生しやすく、通信に不安定さがあるといったADSLの弱点も関係しています。

光回線と比べて遅い

ADSLの通信速度はISDNより速いですが、下り上りともに最大速度1Gbpsの光回線に比べると非常に低速です。さらに、昨今のWebサービスは、データ量の大きい動画や画像を多用していることが多く、光回線に変更したほうがスムーズにインターネット利用ができます。

通信に不安定さがある

先述したように、ADSLは基地局からの距離が遠くなるほど通信速度が遅くなり、ほかの回線や電波などの影響を受けやすいという性質をもっています。たとえば、電子レンジやラジオなどの電波を発する家電が近くにあるだけで、通信が遅れたり、途切れたりする可能性があります。また、ADSLはネットワークの混雑状況によっても速度が遅くなるなど、通信の不安定さが弱点です。

近年、企業ではテレワークが推進され、インターネットで大容量データのやりとりを行うことも少なくありません。時代に合った快適なネットワークでの業務を求めるのなら、通信に不安定さがあるADSLではなく、環境や状況に左右されない安定した通信回線が望ましいでしょう。

ADSLの今後

光回線への乗り換えやスマホの普及、固定回線ニーズの減少などから、今やADSLの利用者は減少の一途をたどっています。また、ADSLは20年以上前に開始されたサービスであるため、設備の老朽化や関連機器の製造終了が進んでおり、今後サービスを存続するのは厳しい状態です。

さらに電話回線がデジタル化へとシフトしていくことから、ADSLサービスは2024年3月に完全終了となる予定です。そのため、現在ADSLサービスを利用中の場合は、ほかのサービスへの乗り換えを考える必要があります。

なお、NTT東日本・西日本では、すでにDSLアクセスサービス「フレッツ・ADSL」のサービス提供を終了していますが、一定期間中に新たに「フレッツ光」の利用が可能となったエリアでは、2025年1月31日までサービスが提供されます。

参照元:一部エリアにおける「フレッツ・ADSL」の提供終了日変更について
https://www.ntt-east.co.jp/release/detail/20220302_01.html
https://www.ntt-west.co.jp/news/2203/220302a.html

ADSLからの乗り換え先

ADSLからの乗り換え先としては、「ホームルーター」「モバイルルーター」「光回線」の3つが選択肢として考えられます。

ホームルーター

ホームルーターとは、モバイル回線を利用してインターネットに接続する据え置き型のルーターです。開通工事が不要でルーターが届いたらコンセントにつなぐだけで、インターネットが簡単に利用できます。また、ホームルーター1台で複数の端末を同時接続することが可能です。

ただし、通信速度や安定性は光回線に比べて劣り、置き場所によっては電波が入りにくいこともあります。さらに、一定期間内で大容量のデータ通信を行うと速度制限がかかる場合があるため、契約前にサービス内容を確認しましょう。

モバイルルーター

モバイルルーターとは、持ち運びができる小型ルーターのことです。モバイルルーターも工事不要で届いたら即日利用でき、対象エリア内であれば出先でも使えます。そのため、出張や移動が多い場合におすすめです。

デメリットは、光回線などの固定回線と比べると通信速度が遅く、場所や環境によって接続が不安定になることです。また、プランによってはデータ容量が決まっているため、複数デバイスや複数人での使用には向いていません。

光回線

通信速度や安定性を求めるのであれば、光回線に乗り換えるのがおすすめです。大容量のデータ通信が可能なため、複数人でのビデオ会議やオンラインゲームも快適に行えます。また、多種多様なプランがあるのでニーズに合うものが見つかりやすい点もメリットでしょう。

ただし、前述したように、ADSLから光回線に乗り換える場合、回線を引くための立ち会い工事が必要であり、工事が混み合う時期だと開通までに時間がかかります。

インターネットの普及に貢献したADSLサービスは、まもなく完全終了する予定です。現在もADSL回線をお使いの方は、早めにインターネット環境の乗り換えを検討しましょう。

まとめ

2025年1月に完全終了予定のADSLサービスに代わるインターネット回線として、メリットの多い光回線「OCN光 IPoEサービス」の導入を検討してみてはいかがでしょうか?
遠距離ほど速度が低くなる傾向にあるADSLと異なり、光回線は距離による制限はありません。大容量の動画やファイルのアップロードやダウンロードなどを高速転送できます。さらに法人専用設計のため、個人利用による動画アクセスと分離されます。IPoEサービスは、より混雑の緩和された安定した通信環境を実現します。

・IPoEサービス 標準プラン
https://www.ntt.com/business/services/network/internet-connect/ocn-business/ftth/ipoe.html

通信速度の改善でお困りではありませんか?

「法人向けOCNサービスとは」関連情報

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