サステナブルとは何か?ESGやSDGsとの関連性や取り組み例を徹底解説

サステナブルとは何か?ESGやSDGsとの関連性や取り組み例を徹底解説

公開日:2022/05/25

サステナブルという言葉は耳にするものの、具体的な意味までは理解できていない人も多いのではないでしょうか。今回は、サステナブルの意味をはじめとしてESGやSDGsも含め、徹底解説していきます。最後に、企業がサステナブルに取り組む際のポイントについても解説します。

サステナブルの意味とは

サステナブル(sustainable)は「維持できる」「耐えうる」「持続可能な」といった意味です。近年では地球環境、人間社会における文明や経済システムにおける持続の可能性など、一般的にも使用され始めています。

長期的な視点で経済・環境・社会のバランスが考えられており、世界を持続的な状態にしていくことが目標です。

サステナブルの歴史

1972年3月『成長限界―ローマ・クラブ「人類の危機」レポート』がローマ・クラブより発表され、世界を揺るがしました。レポートには、人口・工業投資が幾何級数的に成長し続けた場合に起こり得る衝撃的な内容が記載されています。

地球上の天然資源の枯渇、許容範囲を超えた環境汚染の進行により、100年以内に限界点に達するといった内容です。しかし、サステナブルという概念は、1987年の「環境と開発に関する世界委員会」で公表された報告書により、はじめて取り上げられました。

サステナブルの言葉が世界中に広がり浸透したのは、「地球の未来を守るために(Our Common Future)」の発表がきっかけといえます。

ESGが関連する分野

ESGが関連する分野として、環境・社会・企業統治が挙げられます。3つの分野において、責任ある行動やプラスに改善していく姿勢を見せることが重要です。

  • 環境:二酸化炭素(CO2)排出量の削減、廃棄物の排出による水質汚染の改善、マイクロプラスチックといった環境問題対策、再生可能エネルギーの使用や生物多様性などの確保
  • 社会:適正な労働条件や男女平等といった職場内の人権対策、ワーク・ライフ・バランスに配慮した職場構築、児童労働問題、地域社会への貢献
  • 企業統治:業績悪化の直結につながる不祥事の回避、リスク管理のための情報開示や法令順守、資本効率に対する意識の高さ等

世界的には、上記3つの要素を考慮した「ESG投資」が行われはじめ、企業価値の評価材料となっています。

ESGとSDGsの関連性

SDGs(エスディージーズ)は、世界規模ですべての人が取り組むべき課題目標です。SDGsは世界の目標となっているため、すべての組織・団体を対象としています。

一方、ESG(イーエスジー)は「ESG投資」とも呼ばれており、企業・投資家がターゲットです。ビジネスの発展を見込んで投資をする企業の選択基準となり、投資家・運用機関の指標となっています。

ESG投資は、企業がSDGsの取り組みを活発に行うための要因ともいえるでしょう。

サステナブルが求められる理由

ここでは、サステナブルが求められる理由について解説していきます。

気温変動の加速

地球温暖化は深刻な問題となっており、世界的に見ても陸と海上を合わせた平均気温の上昇は現在も加速している現状です。

1986年〜2005年の平均気温と比較しても、1880年〜2012年の間に0.85度上昇しています。気象庁の予測では、2100年の平均気温は最大4.8度にまで上昇すると報告されているのが現状です。

今後は、海面上昇による壊滅的な洪水の頻発が懸念されています。近年、日本でも集中豪雨や台風などの自然災害が頻発しており、大きな問題となっています。

野生動物の絶滅増加

2019年12月、国際自然保護連合(IUCN)により絶滅の恐れがある野生動物「レッドリスト」が発表されました。最新のレッドリストにて公開された絶滅危惧種は、30,178種にまで増加していることが公開されています。

野生動物の絶滅危惧種の総数は、リストが更新されるたびに増え続けているのが現状です。

廃棄物の排出量増加

開発途上国による急速な都市開発、人口増加の影響などから廃棄物の排出量が著しく増加しており、世界中で問題視されています。とくに、化学肥料の生産や農作物栽培により、窒素化合物の排出量が増加傾向にある状況です。

窒素化合物は形を変えつつ地下水や川を流れ、海に流出していきます。海の富栄養化や地下水の汚染だけでなく大気中にも放出されるため、酸性雨や気候変動の原因にもつながるとされており大変深刻な状態です。

2016年の世界的な廃棄物の排出量は20億tでした。しかし、今後30年間で推定34億tに達すると予測されています。

サステナブルと似たワードの違い

サステナブルと似たワードに、SDGs・エシカル・ESG・CRSがあります。ここでは、それぞれの違いについて解説します。

サステナブルは大枠、SDGsは細かい目標

サステナブルは経済・環境・社会の3つの側面の大枠です。対してSDGsは3つの側面を細分化し、具体的な17の目標と169の達成基準が設定されています。 17の目標は以下の通りです。

  1. 貧困をなくそう
  2. 飢餓をゼロ
  3. すべての人に健康と福祉を
  4. 質の高い教育をみんなに
  5. ジェンダー平等を実現しよう
  6. 安全な水とトイレを世界中に
  7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  8. 働きがいも経済成長も
  9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
  10. 人や国の不平等をなくそう
  11. 住み続けられるまちづくりを
  12. つくる責任 つかう責任
  13. 気候変動に具体的な対策を
  14. 海の豊かさを守ろう
  15. 陸の豊かさも守ろう
  16. 平和と公正をすべての人に
  17. パートナーシップで目標を達成しよう

SDGsは、サステナブルの考え方をより具体化させたもので、誰一人取り残さない持続可能な経済開発を目標としています。2030年までにより良い未来を築くため、SDGsは世界中で取り組まれています。

エシカル・ESG・CSRとは根本的な考え方が違う

ここまで、サステナブルは「持続可能な」、SDGsは「持続可能な開発目標」であることを解説してきました。エシカル・ESG・CSRとは根本的な考え方に違いがあります。

エシカル

エシカル(ethical)は直訳すると「論理的な」「道徳的な」という意味があり、論理的な行動や活動を表しています。地球環境や社会貢献など「エシカル消費」「エシカルフード」といった良心的な判断による個々の行動です。

ESG

ESGは、環境・社会・企業統治の観点として、長期的な観点から企業の成長に欠かせない要素として位置づけされています。現在では、ESGの観点から企業を分析して投資を行う「ESG投資」が注目を集めています。

世界全体で「持続可能な社会づくり」が大きなトレンドとなっているため、ESGを重視する企業へ投資する時代となりました。そのため、ESGを重視している企業はSDGsに貢献し、長期的に見て発展する展望があると考えられています。

CSR

CSR(シーエスアール)は、「企業の社会的責任」を意味します。企業は利益の追求だけでなく、「法律違反・環境破壊などに責任を持つべき」という考え方です。

従業員・消費者・投資家・環境といった幅広い内容に対し、社会への影響に責任を持ち、貢献する行動が重要になるといえるでしょう。

サステナブルの取り組み例

近年、サステナブルな社会を実現させるため、国全体でさまざまな取り組みが開始されています。ここでは、サステナブルの主な取り組み例を3つ解説します。

街づくり

サステナビリティを高める街づくりとして、世界中で自然環境を守る活動が行われています。台湾では廃工場のリノベーションが活発に行われており、生態系を保護する取り組みを実施中です。

パリではゴミの埋立地を利用し、100本以上の木を植え森林に変えることにより、野生動物の生息地を生み出しました。現在、世界中で自然環境を守るための活動が開始され、サステナブルを意識した街づくりを加速させています。

リユースプロジェクト

リユースプロジェクトとして、米仏で先行スタートさせたのが「Loop」です。従来型ショッピングプラットフォームに整える取り組みを開始し、食品や生活用品などで使用する容器を再利用可能な材質へ置き換えました。

2021年から、日本でもさまざまな企業が団結してLoopに参加しています。リユースプロジェクトは、衣服・おもちゃ・スマホなどの製造においても、廃棄物を減らすため積極的に行われています。

カーボンニュートラル

2020年7月、世界的に有名な大手の某企業は「2030年までにサプライチェーンの100%カーボンニュートラル達成を約束」すると発表しました。地球環境および気候変動に対処しつつ、新たな技術改革への取り組みを見せています。

日本では、菅首相が2021年の所信表明演説にて「2050年までに国内の温室効果ガスの排出を実質ゼロにする」との方針を表明しました。

企業がサステナブルに取り組む際の5つのポイント

ここでは、企業がサステナブルに取り組む際に必要な5つのポイントを、それぞれ解説していきます。

現状を把握し、環境への影響力を軽減する

企業がサステナブルに取り組む際、現状の把握と環境への配慮は重要なポイントです。事業活動において現状を把握し、環境への負荷を軽減するための取り組みが必要となります。

再生可能なエネルギーへの切り替え、使用した水の循環利用など、さまざまな企業がサステナブルに力を入れています。また、使用していない会議室の節電やゴミの分別を徹底するなど、小さな積み重ねも大切です。

環境保護の推進に積極的な取り組みを見せることにより、企業のイメージアップにもつながります。

業務効率化を行い3Mを取り除く

業務効率化を行うには、3M(ムリ・ムダ・ムラ)を取り除くことが大切です。以下は3Mに関する概要となります。

  • ムリ:能力以上の負荷がかかっており、作業が溜まって停滞している状態
  • ムダ:能力に対して負荷が下回り、人員が余ってしまい作業待ちの状態
  • ムラ:ムリとムダの両方が混在し、さまざまなタイミングで発生している状態

人手不足になるとムリが生じ、人員が余るとムダができてしまいます。そのため、適切な人員を配置して3Mを取り除きましょう。

サプライチェーンの見直し

企業は、製品の原材料を調達するルートまで遡り、製造・在庫管理・配送・販売までのサプライチェーン全体を把握し、見直す必要があります。サプライチェーン全体の管理にはコストがかかるものの、持続的な成長につなげるには欠かせない項目です。

サプライチェーンの構築は、原材料の安定した調達、品質向上、生産コストの低減などのメリットが見込めます。サステナブルの実施により、持続可能な社会を目指すことができるでしょう。

商品開発の方法を変更する

企業の事業活動継続において、商品開発の変更も意識すべきポイントです。地球資源の使用量を最小限に抑え、環境を守るためには、サステナブルな製品を増やしていく必要があります。再利用はもちろん、水や土の中で分解する素材を使った容器に変更することが大切です。

社会課題の解決を念頭においた事業を展開する

社会課題の解決を念頭におき事業を行わないと、企業の存続が危ぶまれる時代に突入してきました。今後はSDGsの浸透により、無農薬野菜の購入やマイバッグを活用する消費者の増加が予測できます。

そのため、サステナブル消費をサポートしていく事業展開が重要です。近年では環境に配慮した素材を使用し、サステナブルなノベルティグッズ制作に乗り出している企業も増えています。

まとめ

現在サステナブルは、世界中でさまざまな企業が積極的に取り組み始めています。企業は今後の事業展開やサプライチェーンの見直しをはじめ、環境保護のためにサステナブル製品を増やしていくことが大切です。2030年に持続可能な社会を実現させるためにも、サステナブルの取り組みを開始しましょう。

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