DXに関する各種の指針と資料の活用方法とは

近時、政府主導のもとDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が求められています。しかし、「DXへの取り組み方がわからない」「何を参考にすればよいかわからない」という方は少なくないでしょう。DXと一言で言っても、取り組むべき方針や内容は立場や業種によっても異なるため、自分にあった情報を精査して取り入れていく必要があります。この記事では、経済産業省が2020年に発表した「DXレポート2」をはじめ、さまざまな切り口からまとめたDXに関する資料をご紹介します。DXを理解し、実現するためのレポート探しにお役立てください。

1. DXについての理解が必要な理由

1. DXについての理解が必要な理由

DXの本質とは?

DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略で、経済産業省では、DXについて次のように定義しています。
『企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること』

DXについては、ケースに応じてさまざまな説明がなされますが、その本質は「単に既存のシステムの刷新や高度化だけでなく、事業環境の変化へ迅速に適応する能力を身につけることや、企業文化を変革すること」です。
つまりこれは、押印や客先常駐、対面販売などといった、これまで当然のこととして行われてきた慣習や企業文化について、どこまで変えることができるかという意識変革ともいえます。

したがって、DXの推進にあたっては、形式的にとらえるのではなく、自社の取り組みと照らし合わせて、抜本的な改革や必要があれば制度の廃止にまで踏み込むといった取り組みが欠かせません。

DXへの取り組み方

日本政府はDXに関する多くの提言や指針を発表していますが、そのすべてが自社の役に立つというわけではありません。なぜなら、DXへの取り組みは、すべての人に共通したものではないからです。

とはいえ、はじめのステップでは、DXの意義や政府の取り組みを知ったうえで、関係者相互でDXへの認識を共有し、自社の課題を見つけることが重要です。
そのうえで、企業に適した取り組みのステップを順次に進め、最終的な目的である競争上の優位性を確立することが求められます。

DXを進めるうえで、よりデータ活用を促進して、事業を発展させるために、まずはデータを統合して管理することが重要です。そこでおすすめなのが、インフォマティカとNTTコミュニケーションズが共同で提供する「データ統合インフォマティカ ソリューション」です。インフォマティカ ソリューションでは、企業がもつデータをつなぎ、データを活用するためのプラットフォームを提供しています。各種サービスのデータを統合する基盤・各種サービスをつなぐネットワークによる環境構築により、データの収集や保管、分析をクラウド上で容易に行えるようになります。

2. DXに関するレポートの概要と使い方

以下では、DXに関する情報や考察をまとめた代表的なレポートをご紹介しますので、比較検討にお役立てください。

2-1. 「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」(経済産業省)

2-1-1. 資料の概要
「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」は、平成30年9月に経済産業省のワーキンググループによって作成されたレポートです。
DX推進の現状と課題、対応策についての考察、今後の見通しや検討の方向性などについてまとめられています。

特にその中でも『今後、十分なDXが推進されない場合には、 IT 人材の引退やサポート終了等によるリスクにより、2025年以降、最大12兆円/年の経済損失と、業務基盤そのものの維持・継承が困難になる』という提言は大きな話題となりました。
この後に作成された「DXレポート2」とあわせて読むことで、さらにDXの現状を理解できるものとなっています。

「2025年の崖」問題について詳しく知りたい方や、自社についてはどんなことが問題となりうるのかを知りたいとお考えの方におすすめです。

2-1-2. 資料の要約
我が国の企業においては、多くの経営者がDXの必要性を認識し、DXを進めるための取り組みが見られるものの、多くの企業で、実際のビジネスの変革に繋がっていないという状況が見られます。
その大きな要因の1つが「老朽化や複雑化、ブラックボックス化している既存の基幹システム(レガシーシステム)」の存在です。

「レガシーシステム」とは、『技術面の老朽化、システムの肥大化・複雑化、ブラックボックス化等の問題があり、その結果として経営・事業戦略上の足かせ、高コスト構造の原因となっているシステム』と定義され、現在、約 8 割の企業がこのレガシーシステムを抱えているとされます。

今後、もし有効な対策ができない場合には、2025年以降、経済損失が最大12兆円/年(現在の約3倍)にものぼるとともに、DXを実現できないユーザ企業については、デジタル競争の敗者となる恐れがあるでしょう。(2025年の崖)

このレポートでは、「2025年の崖」問題への将来的な対策として
・「DX推進システムガイドラインの策定」
・「見える化」指標、診断スキームの構築
・刷新後のシステムが実現すべきゴールイメージの共有
・協調領域における共通プラットフォームの構築
といった提言がまとめられています。

また、DXを通じてユーザ企業やベンダー企業のそれぞれが目指すべき姿や、契約の見直し、DX 人材の育成・確保、DX 実現シナリオといった、具体的な対応策についても触れています。

詳細はこちらよりご参照下さい。
経済産業省「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_03.pdf

2-2. 「DXレポート2」中間取りまとめ(経済産業省)

2-2-1. 資料の概要
経済産業省では、前出の「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」を公表して以降、DXの推進を推奨してきましたが、多くの企業では取り組みが進んでいないというデータが出されました。このような現状を改善し、DXをさらに推し進めるため、具体的な対応について踏み込んだものが本レポートです。
現在、DXに関するレポートの中でも、特に多くの方に読まれています。

このレポートでは、DXの本質について言及するとともに、企業・政府の取るべきアクションなどについて、ステップごとの対応がまとめられていますが、現状では中間報告書という位置づけのため、今後内容が変化することがあり得るので注意してください。
「DXに関する最新の情報を知りたい」「今後の自社の状況にあった対策を知り、経営に活かしたい」という方には特におすすめです。

2-2-2. 資料の要約

政府主導のもとDXの推進が要請される中、多くの経営者がその必要性を認識し、DXを進めるための取り組みが見られるようになりました。
しかし、DX に関する自己診断を行った企業への調査によると、取り組みが未着手、または散発的な取り組みにとどまっている企業の割合は全体の約95%にもおよび、日本全体でのDXへの取り組みは未だ広がっていないことが浮き彫りとなりました。

近時、世界的なコロナ渦を契機に、企業は「いかに感染拡大を防ぎつつ、事業を継続するか」という対応を迫られ、その結果としてテレワーク制度の導入やオンラインでの商談、印鑑の廃止などが普及しました。しかし、中にはこのような対応ができない企業も多く、変革を進めている企業との格差が広まりつつあります。

本レポートでは、DX の本質を『単にこれまでのシステムの刷新や高度化にとどまるのではなく、事業環境の変化へ迅速に適応する能力を身につけることや、固定的な企業文化を変革すること』と位置づけ、対応ができない企業は生き残れないと予測しています。

このような状況を打破すべく、DX実施のステップごとに、以下のような取り組みを推進すべきとしています。

【ファーストアクション】

  • 業務環境のオンライン化(テレワークシステムによる業務や会議のリモートワーク対応)
  • 業務プロセスのデジタル化(紙書類の電子化や営業活動のデジタル化)
  • 従業員の安全・健康管理のデジタル化(活動量計等を用いた現場作業員の安全・健康管理)
  • 顧客接点のデジタル化(ECサイトの開設や電話応対業務の自動化・オンライン化)

【短期的アクション】

  • DX推進に向けた関係者の共通理解の形成(経営層とIT 部門における対等な関係の構築)
  • DXの推進の役割・権限等の明確化(デジタルの戦略的な活用の提案や施策ができる人材や経営層の育成)
  • 遠隔地コミュニケーションを可能にするインフラ整備(外部とのコミュニケーションインフラの整備)
  • 業務プロセスの再設計とアクションの明確化(デジタルを前提とし、かつ顧客起点で業務を見直すアクションの実践)

【中長期的アクション】

  • 他社との共通プラットフォームの形成
  • 小規模な開発体制(アジャイル開発)の構築
  • パートナー企業の育成
  • 人事制度の見直しとDX人材の確保

また、今後の政府によるDXに関する政策の方向性として、DX取り組みポイント集やDX 成功パターンの策定、共通プラットフォーム形成の推進、金融支援や各種補助金でDXへの取り組みを要件とすることなどがまとめられています。

詳細は以下よりご参照下さい。
経済産業省「DXレポート2 (中間取りまとめ)」
https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201228004/20201228004-2.pdf

2-3. 「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」(経済産業省)

2-3-1. 資料の概要
「DXレポート」では、DXを実現していく上でのアプローチや必要なアクションについて、認識の共有が図られるようにガイドラインを取りまとめることの必要性が提言されました。

このガイドラインはこれを受けて、「DXの実現やその基盤となる IT システムの構築を行っていく上で経営者が押さえるべき事項を明確にすること」「取締役会や株主がDXの取り組みをチェックする上で活用できるものとすること」の2点を目的として作成されたものです。

DXの進め方や実行プロセスについて、自己診断ができる形式でまとめられており、失敗・先行事例なども掲載された内容となっているため、「自社の取り組み状況を客観的に確認したい」「事例を参考にしたい」という方におすすめできます。

2-3-2. 資料の要約
経済産業省が平成30年9月に発表した、「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」の中で、DXを実現していく上で必要なガイドラインの取りまとめが必要との提言を受けて
・DXの実現やその基盤となるITシステムの構築を行っていく上で経営者が押さえるべき事項を明確にする
・取締役会や株主がDXの取組みをチェックする上で活用できるものとする
という2点を目的として策定されたのが本レポートです。

「DX推進のための経営のあり方、仕組み」と「DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築」の2つで構成されており、項目ごとに自社の体制の確認ができるため、経営の現場ですぐに役立つものとなっています。

主な内容は、以下の通りです。

1)DX推進のための経営のあり方、仕組み

  • 経営戦略・ビジョンの提示
    -今後のビジネスの方向性やビジネスモデルの構築について、経営戦略やビジョンがあるか?
  • 経営トップのコミットメント
    -経営者が、ビジネスや仕事の仕方、組織などの変革に強いコミットメントを持って取り組んでいるか?
  • DX推進のための体制整備
    -経営層が各事業部門に対し、新しい挑戦を促し、それを継続できる環境を整えているか?
  • 投資等の意思決定のあり方
    -DX推進のための投資等の意思決定において、適切な判断をしているか?
  • DXにより実現すべきもの
    -経営方針転換やグローバル展開等へのスピーディーな対応が可能となっているか?

2)DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築

  • 全社的なITシステムの構築のための体制
    -DXの実行を可能とする基盤と、それらを連携できるITシステムを構築するための体制が整っているか?
  • 全社的なITシステムの構築に向けたガバナンス
    -ITシステムが複雑化・ブラックボックス化しないための必要なガバナンスを確立しているか?また、ITシステムの刷新にあたっては、ユーザ企業自らがシステム連携基盤の企画・要件定義を行っているか?
  • 事業部門のオーナーシップと要件定義能力
    -各事業部門がDXで実現したい事業企画・業務企画を自ら明確にしているか?
    さらに、ベンダー企業から提案を集め、それを自ら取捨選択し、そのうえで自らが要件定義を行い、完成責任までを担えているか? など 

2-4. 「デジタルトランスフォーメーションに向けた課題の検討~ ITシステムに関する課題を中心に ~」(経済産業省)

2-4-1. 資料の概要
このレポートは、経済産業省がDXへの取り組みにおける、ITシステムに関する課題を中心にまとめたものです。

企業がDXに取り組む意義や課題の他、IT技術者が具体的にDX対応を進めていくための方法などが、イラストを豊富に使ってわかりやすく説明されています。
また、資料のボリュームも全8Pとコンパクトにまとまっているため、短い時間で「DXによるITシステムへの影響を知りたい」という方や、「具体的な対策のプロセスを知りたい」という技術者の方におすすめです。

2-4-2. 資料の要約

DXの推進にあたっては、経営戦略や新規サービスの創出、組織・人材、ITシステムなど多岐にわたる課題があります。その中でもDXとITシステムの活用には密接な関係があるため、これらに関する課題や対応はDX推進のための有効なプロセスとなります。

現在、国内企業では、既存のビジネスから脱却して、新しいデジタル技術を活用することによって、新たな価値を生み出していくことが求められています。
そのためには、企業が外部エコシステム(顧客、市場)の劇的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)を変革しながら、第3のプラットフォームを利用するなどの工夫により、価値の創出や競争上の優位性を確立することが必要です。

現時点においても、DXを推進している企業では、顧客維持率、売り上げ、利益、生産性といった各指標について、そうでない企業と比べ、高いアドバンテージを獲得しています。
しかし、国内企業全般においてDX化が思うように進まないのは、次のような原因があると考えられています。

  • IT関連費用の80%は、現行システムの維持管理(ラン・ザ・ビジネス)に使われてしまっている。
    そのため、長期的に保守・運用費が高騰する「技術的負債」を引き起こし、戦略的なIT投資に資金・人材を振り向けられていない(DX推進の足かせ)
  • 日本では、アメリカに比べて「攻めのIT投資」が進んでおらず、バリューアップに向けた投資を進められていない。
  • 老朽化・複雑化・ブラックボックス化したシステムの残存のために、維持管理に多くの予算がかかっている。(8割以上の大企業で老朽システムが残存)

このような状況を解決し、DX化を進めていくためには、機能ごとに次の4つの象限にわけて分析・評価し、仕分けを実施しながら戦略的なシステム刷新を推進することが提案されています。

  • A:頻繁に変更が発生する機能→クラウド上で再構築
  • B:変更されたり、新たに必要な機能→適宜クラウドへ追加
  • C:システムの中の不要な機能→廃棄
  • D:あまり更新が発生しない機能→塩漬け

詳細は以下をご参照下さい。
経済産業省「デジタルトランスフォーメーションに向けた課題の検討~ ITシステムに関する課題を中心に ~」
https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/digital_transformation/pdf/001_haifu.pdf

2-5. 「DXの実現に向けた取り組み」(独立行政法人情報処理推進機構)

2-5-1. 資料の概要
本資料は、DXへの取り組みに対して、ある程度の投資は行われるものの、多くの企業で実際のビジネス変革には繋がっていないという現状を踏まえ、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が各企業のDX推進指標による自己診断結果を収集・分析し、その中からDXの実現における技術的課題とその対応策についてまとめたものです。
これにより、企業規模別の数値の傾向や、PFデジタル化指標についての理解も得られるため、主に経営者や技術者の方におすすめできる内容となっています。

2-5-2. 資料の要約
DXへの取り組みを進めるにあたり、「既存システムのブラックボックス化」や「現場サイドの抵抗」などにより、取り組みの進捗が見られない事態が懸念されています。
この問題への対応の一つとして、経済産業省が提供した「『DX推進指標』とそのガイダンス」にもとづく約300社の自己診断結果をIPAが分析した結果、一部の項目で先行企業(上位約5%)と全体平均との間で顕著な差が見られ、規模や意識の差による違いが浮き彫りとなりました。

分析の主なポイントは、以下の通りです。

  • 中規模以上企業ではIT分析・評価は相対的に進んでいる一方で、廃棄や競争/非競争領域ごとの対応といった分野での取り組みは低調で、具体的なアクションにまで結びついていない。
  • 一般企業の大規模と中規模の間では、項目ごとの成熟度のパターンが似た傾向を示す。
  • 一般企業の大規模と中規模の間では、平均値の差がほぼ見られない。
  • これらの分析結果から、日本の大企業と中堅企業の多くがDX実践で足踏みをしている傾向があると考えられる。

このような、大企業と中堅企業に共通する技術的な課題について、次のような対応策が検討されています。

〇 DXへの取り組みを実行計画に落とし込むためには、ITシステムの現状を把握することが不可欠である。
⇒「DXを実現するためのITシステムのあるべき姿」を構築するために必要なIT成熟度、データの利活用状況を可視化する等の指標(=プラットフォームデジタル化指標)及びそのガイダンスの策定。

〇 多くの日本企業では、部門ごとのシステム構築や、過剰なカスタマイズにより、ITシステムがブラックボックス化する傾向にある。
⇒DXに対応できるシステムへと移行する際の方法論を検討し、実践手引書(=プラットフォーム変革手引書)を策定するとともに、「DXを実現するためのITシステムのあるべき姿」を規定する。

なお、この資料では、企業が利用しているITシステム全体及びすべての機能システムごとに充足度を評価するための指標として、「PF(プラットフォーム)デジタル化指標」についての説明とステップの進め方についても解説しています。

詳細は以下をご参照下さい。
独立行政法人情報処理推進機構「DXの実現に向けた取り組み」
https://www.ipa.go.jp/files/000082763.pdf

2-6. 「中小規模製造業者の製造分野におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)推進のためのガイド」(独立行政法人情報処理推進機構)

2-6-1. 資料の概要
本ガイドはIPAが、国内の中小規模業者の製造分野において、本来のDXの目的である「顧客価値を高めた製品・サービスを提供し続けられる企業となり、競争上の優位性を確保し続ける」ために必要な考え方やスキームをまとめたものです。

概括的なDXに関するレポートが多い中で、中小事業の製造業者に的を絞ったものであり、具体的な製品の写真を使って説明しているため、製造分野に携わる方がDXへの取り組みを実践するうえで、よりイメージしやすい内容となっています。

2-6-2. 資料の要約
日本のものづくり産業においては、人材不足、強い現場力の維持・向上、設備の老朽化による収益力の低下が緊急の課題であり、一人当たりの労働生産性(付加価値額)についても大手企業との格差が拡大しています。

このような課題へ対応するため、本ガイドでは、「製造分野のDX」を以下のように定義し、これにより「顧客価値を高める」ことで、収益力の向上や競争力を高めることができるとしています。

製造分野のDXの定義
『顧客価値を高めるため、製造分野で利用されている製造装置や製造工程の監視・制御(OT)などのデジタル化を軸に、ITとの連携により製品やサービス、ビジネスモデルの変革を実現すること』

本ガイドでは、中小規模製造業が製造分野におけるDXにより目指す姿として、「スマートプロダクト」「スマートサービス」「スマートファクトリー」の3つを提示し、それぞれについての解説と事例を紹介しています。

  • スマートプロダクト:製品変革によるDXタイプ
  • スマートサービス:ビジネスモデル変革によるDXタイプ
  • スマートファクトリー:生産プロセス変革によるDXタイプ

また、製造分野DXの推進ステップとして、企業におけるDXの取り組み手順とガイド、取り組み状況を可視化するためのツールとして「製造分野DX度チェック」が用意されています。

詳細は以下をご参照下さい。
独立行政法人情報処理推進機構「中小規模製造業者の製造分野におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)推進のためのガイド」
https://www.ipa.go.jp/ikc/reports/mfg-dx.html

2-7. 「デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査」(独立行政法人情報処理推進機構)

2-7-1. 資料の概要
本レポートは、2018年度に実施した「デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査」の後続として、抽出された課題の深堀、取組状況の継続把握、事例の拡充等を行ったものです。
3,000社の企業を対象にアンケートを行い、IT人材個人の学び直し及び転職に関する意識の実態等のデータが提供されています。
DXへの取り組みを人材という視点でまとめており、項目ごとに詳細なデータを確認することができるため、今後、社内にどのような人材を配置し、育てるべきかという課題への参考としておすすめです。

2-7-2. 資料の要約
この調査結果では、以下のような傾向があることがわかります。

●DXへの取組みに関し、企業規模による格差が見られる。
アンケート回収企業全体では4割強の企業においてDXへの取組みを実施中。
ただし、企業規模別にみると、8割近くが取り組んでいるとする従業員1,001名以上の企業群に比べ、300名以下の企業群での取組比率が低くなっている。

●「電気・ガス・熱供給・水道業」「金融、保険」に加え、製造業の従業員1,001名以上の企業及び情報通信業の従業員301名以上の企業において積極的な取組みがうかがえる。
業種別では「電気・ガス・熱供給・水道業」「金融、保険」における取組比率が高い。

●成果が出ている取り組み内容は、業務効率化がいまだ中心的。
成果が出ている取り組み内容としては、業務効率化による生産性向上(38.3%)が中心となっている。

●成果が出ている企業の特性は、全社戦略に基づいた全社的取り組みであることや、IT業務がわかる役員の存在など。また、組織文化においても違いが見られる。
全ての取り組みにおいて、「全社戦略に基づいてDXに取り組んでいる」という企業ほど、成果が出ている割合が高い。また、IT業務がわかる役員の比率が高いほど、取り組み成果が出ている企業割合が高い。

●成果が出ている企業とそれ以外の企業で大きく異なる課題認識。
成果が出ていない、あるいは取り組んでいない企業群では“内向き問題”(危機感の浸透や変革に対する社内の抵抗、社内人材の育成など)を課題とするケースが多いが、成果を出している企業群においては“外向き問題“(連携先とのWin-Win関係、DX人材の社外からの獲得)が多く見られる。

●DX専任組織は、DX実施の当事者部門としての役割に加え、関連部門の支援役や全社コントロールタワーとしての役割を担っている。
DX専任組織を置いている企業では、その役割をDX遂行当事者としての役割と、社内関連部署の支援役という役割に加え、全社戦略の立案や関連部署への指示、他社等との連携の推進といった、コントロールタワー的な役割もほぼ同程度の比率で担っている。

また、レポートでは、DXの取り組みに先進的な企業に対するインタービューを実施し、その回答をまとめている他、IT人材の学び直し・人材流動状況についても触れています。

詳細は以下をご参照下さい。
独立行政法人情報処理推進機構「デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査」
https://www.ipa.go.jp/files/000082054.pdf

2-8. 「農業DX構想」(農林水産省)

2-8-1. 資料の概要
「農業や食関連産業の分野では、デジタル変革により何を目指し、何に取り組んでいくべきか?」というテーマにもとづき、農業分野におけるDXの方向性や取り組むべき課題を提示したレポートです。
農業分野における実情を踏まえたものとなっているため、農業分野におけるDXの導入を検討されている方などにおすすめです。

2-8-2. 資料の要約
現在の国内農業分野では、農業者の高齢化や労働力不足が進む中、デジタル技術を活用して効率の高い営農を実行しつつ、消費者ニーズをデータで捉え、消費者が価値を実感できる形で農産物・食品を提供していく農業への変革が必要とされます。

今後、農業が将来にわたって持続性を確保しながら、食料の安定的供給という役割を果たしていくためには、デジタル技術は活用されるべきであり、ロボットやAI等の技術の現場への実装を強力に進めることで、生産効率の高い営農を実行しつつ、消費者の需要をデータで捉え、消費者が価値を実感できるような形で農産物や食品を提供していく農業への変革が目標となります。

そのために必要なこととして、本レポートでは
・2030 年を展望しながら、各種プロジェクトを可能な限り速やかに実行する。
・デジタル技術の進歩や農業構造の変化等に応じた、内容・スケジュールの機動的な見直し。
が提言されています。
また、農業・食関連産業分野におけるデジタル技術活用の現状について、各現場(生産現場・農村地域・流通、消費など)の状況と課題が紹介されています。

詳細は以下をご参照下さい。
農林水産省 農業DX構想検討会「農業DX構想」
https://www.maff.go.jp/j/kanbo/dmap/attach/pdf/nougyoudxkousou-88.pdf

このように、DXに関するさまざまなレポートが政府や独立行政法人から提供されています。特に、複数のレポートで取り上げられていたITシステムの構築に関して、現在社内に散らばったデータを1つのシステムでまとめて管理できるようにすることがデータ統合管理です。そのデータ統合管理に役立つのが、「データ統合インフォマティカ ソリューション」です。このソリューションでは、部署ごとに使用しているシステムやBIツールなどのデータを、1つのシステム上にまとめて可視化・管理できます。これにより、DXで重要となるデータ活用の促進が期待できます。

3. 改正情報処理促進法とDX認定制度

3. 改正情報処理促進法とDX認定制度

DX認定制度についても詳細に押さえておくと良いでしょう。2020年5月15日施行された「改正情報処理促進法」は、IoTやAIなど新しいテクノロジーによって社会課題の解決を目指す「Society5.0」を実現するための施策の1つとして、『企業のデジタル面での経営改革、社会全体でのデータ連携・共有の基盤づくり、安全性の確保を官民双方で行い、社会横断的な基盤整備を行うための措置を講ずる』ために制定されました。

この法律にもとづき、優良な取り組みを行う事業者を認定する制度が定められています。
申請に関する主な内容は以下の通りです。

  • 制度の対象:全ての事業者(法人と個人事業者、公益法人等を含む)
  • 申請期間:通年(1年を通していつでも申請が可能)
  • 認定基準:デジタル技術を活用する戦略の推進に必要な体制・組織に関する事項を示していること
  • 審査期間:認定結果の通知までの期間(標準処理期間)は60日

この認定を取得することにより、DXへの取り組み姿勢を社外的にアピールできるだけでなく、補助金申請時の優遇の根拠になることが考えられます。

詳細は以下をご参照下さい。
経済産業省 独立行政法人情報処理推進機構「DX認定制度 申請要項(申請のガイダンス)」
https://www.ipa.go.jp/files/000086670.pdf

4. まとめ

一口にDXと言っても、いろいろな意味で語られることが多く、その内容や取り組みは多岐にわたります。
そのため、レポートや各種資料を参考にする際は、まずはDXに関する共通の概念について書かれたものから目を通し、順次自身の状況にあったものを選択すれば、効率よく理解できるでしょう。
特に、ここで取り上げた「DXレポート」と「DXレポート2」の2つは、DXへの取り組みを俯瞰・概括的に理解するためには、欠かせない資料です。
また、製造業者や農業関係者の方については、「中小規模製造業者の製造分野におけるDX推進のためのガイド」や「農業DX構想」などが参考になります。
それぞれの具体的な課題に応じて、適切なレポートや資料を選択することが、効果的な知識の拡充と同時に、DX推進のためのスムーズなスタートに繋がるはずです。

『DXレポート』などの資料が示すように、DXの実現にあたっては、全社的なITプラットフォームを構築し、データを最大限活用することが欠かせません。そこでおすすめしたいのが、「データ統合インフォマティカ ソリューション」の導入です。

インフォマティカ ソリューションは複数システムにまたがってデータを一元管理できるクラウドツールとして、企業の効果的なデータマネジメントを促進します。これによって企業はデータ主導型のDXを遂行するための確かなデータ基盤を構築することが可能です。ぜひ下記のページをご覧いただき、導入をご検討ください。

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