損害保険ジャパン株式会社 保険金サービス支援部 品質・育成サポートグループ 主任 田中 真利子氏

損害保険ジャパン株式会社 保険金サービス支援部 品質・育成サポートグループ 主任

田中 真利子氏

「産休前や育児中の社員が通勤負担を避けて在宅を選択できるようになりました。地方ではフル在宅で年に2〜3回だけ出社という働き方も実現。ライフステージに合わせた柔軟な働き方が可能になっています」

損害保険ジャパン株式会社 保険金サービス支援部 SJ-R推進室 主任 松山 奈都美氏

損害保険ジャパン株式会社 保険金サービス支援部 SJ-R推進室 主任

松山 奈都美氏

「新たに開発したAI要約システムは、在宅勤務のスマホで通話した音声も活用できます。テキスト化された音声をコピー&ペーストするだけで当社のフォーマットに要約される。業務効率化が着々と進んでいます」

 

課題

事故対応窓口で「社員を守るインフラ」としてAI音声認識を活用
コロナ禍の在宅勤務で重要なインフラが機能しない課題が顕在化

損害保険ジャパン(以下、損保ジャパン)は日本初の火災保険会社として創業して以来、「お客さまのために、人のために」という強い想いで事業を推進。「安心・安全・健康に資する最高品質のサービス」の提供に向けて、日本国内はもとより世界29の国や地域で幅広い事業を展開している。同社の保険金サービス部門は、事故受付から保険金支払いまでを担う約8,700人の社員で構成される。事故という非日常に直面した顧客への対応は、一般的なサポート対応業務に比べてきわめて精神的負荷が高い業務だ。

かねてより同社ではDEI(Diversity, Equity & Inclusion)推進の一環として育児・出産・介護といったライフステージの変化に対応できる柔軟な働き方の実現に注力してきた。その1つが、2018年に保険金サービス部門の拠点に一斉導入したAI音声認識システム「ForeSight Voice Mining」だ。これにより顧客との通話内容をリアルタイムでテキスト化、NGワード検知などを行うことで、事故対応品質の向上と業務効率化を実現している。事故対応という精神的負荷の高い業務において音声収録は「言った、言わない」のトラブルを防ぎ、社員を守る重要なインフラとなる。顧客とのやりとりがリアルタイムにテキスト化され、チームで共有できることで、管理者が遠隔からでも現場の状況を把握、適切なフォローができる体制が整っていた。

しかし、2020年のコロナ禍で状況が一変する。感染症対策で在宅勤務への対応を余儀なくされたのだ。同社では社員に社用スマホを貸与して在宅勤務を含めて選択できるワークスタイルに移行した。だが、深刻な問題が顕在化する。スマホがAI音声認識システムに接続できておらず、通話音声が記録できなかったのだ。「事故対応の窓口となる保険金サービス部門には、AI音声認識システムが必要不可欠です。お客さま対応の品質向上はもちろん、社員を守るためにもなくてはならないものです。在宅勤務であってもそれは同じ、早急な対応が必要でした」と保険金サービス支援部 品質・育成サポートグループ 主任の田中真利子氏(以下、田中氏)は当時を振り返る。

同社では在宅勤務でもオフィスと同等の品質で音声収録を行う新たな仕組みづくりが急務となっていた。 

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対策

既存システムとの連携を見据えパートナーを選定
スマホに050番号を付与し、AI音声認識に対応

損保ジャパンが選んだパートナーはNTTドコモビジネスだった。「他社のサービスも検討しましたが、既存のAI音声認識システムを手がけているNTTドコモビジネスなら、システムの二重運用を避け、スムーズに拡張できると判断しました。この安心感がパートナー選定の決め手です」と田中氏が語るように、すでに同社ではNTTドコモビジネスの支援のもとで外回りの営業社員約6,000人にスマホを貸与、FMCサービス「オフィスリンク」、Web電話帳「オフィスリンク+」を利用した安全な内線システムを構築していた。

オフィスリンク、PBX、IP Voiceを接続させてスマートフォンでの050外線発着信を構成し、AI音声認識システムで収録することで、固定電話と同様に通話録音·リアルタイムテキスト化

この仕組みを軸に、NTTドコモビジネスが提案したのがオフィスリンク→PBX→IP電話サービス「Arcstar IP Voice」を接続させ、スマホでの通話を固定電話と同一の音声基盤に収容する構成だ。これによりスマホでの通話録音・リアルタイムテキスト化が利用可能になる。ポイントはスマホに050番号を付与して安定した音声品質を担保していることだ。PBXの段階で音声を分岐させ、顧客への通話とAI音声認識システムへの収録を同時に行う。携帯電話回線を直接録音するのではなく、IP電話でPBXを経由させることで、デジタル音声をクリーンな状態で分岐できる。こうすることで高い音声品質を実現しているわけだ。

「導入にあたっては、少数の部署で100台程度のトライアルを実施しました。そこで電話転送機能の運用方法などを慎重に検討した上で、問題がクリアになったところで段階的な拠点展開を開始。そして2023年5月から全国約250拠点・約8,700人の本格運用がスタートしたのです」と、保険金サービス支援部 SJ-R推進室 主任の松山奈都美氏(以下、松山氏)は導入の経緯を説明する。

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効果

在宅勤務でもオフィスと同等の事故対応品質を実現
遠隔フォローと心理的安全性向上で働き方改革を加速

AI音声認識システムに在宅勤務のスマホが対応したことにより、働く場所にとらわれることなく、自宅からでもオフィスへの出社時と遜色ない環境で業務を行えるようになった。事故対応品質の維持・向上と、社員の多様な働き方に柔軟に対応できるワークスタイルの変革が実現した。とくに大きな効果はリアルタイムな通話音声テキスト化による遠隔フォローができるようになったことだ。「オフィスと異なり、在宅勤務の社員のお客さま対応は把握しづらいものです。AI音声認識システムに対応できたことで、社員が電話応対で困っていてもすぐにわかるため、フォローや育成がしやすくなりました。これにより在宅時、出社時いずれも、お客さまとのやりとりを含めて環境に差異がない安心した環境で働けるようになっています」(田中氏)

この仕組みは社員の心理的安全性の向上にも大きく寄与している。「かつては私自身も在宅勤務で事故対応をしていた経験がありますが、通話音声が収録されないことは非常に不安でした。ひとこと、『大丈夫?』と声をかけてもらえるだけでも心が軽くなる、万一の際には助けてくれる仲間がいるから安心といった声もありましたね。くわえて、通話内容を記録することで聞き逃しや聞き間違いのリスクを減らし、再確認の手間を省くことができるようになり、業務効率の向上にもつながっています。」(田中氏)

柔軟な働き方の実現は、人材確保の観点からも効果を発揮している。産休前や育児中の社員が通勤負担を避けて在宅勤務を選択できるようになり、ライフステージに合わせた働き方が可能になった。また、人口減少が進む地方の事業所ではフル在宅勤務で年に2〜3回出社する柔軟な働き方も実現。地方における人材確保にも貢献している。さらに、今回のプロジェクトで従来は複数キャリアで利用していた社用スマホをNTTドコモビジネス1キャリアに統合し、運用・管理の稼働も軽減した。

現在、同社ではAI音声認識システムをベースにした、次の音声プラットフォーム戦略が進んでいる。「直近ではAIを活用したテキスト要約システムを導入しました。テキスト化された音声をコピー&ペーストすると、通話内容が要約され、当社の基幹システムに登録できる仕組みです。すでに業務の効率化に貢献しており、今後さらに精度が向上すれば、より効率化が進むと考えています」(松山氏)

最後に田中氏は次のように締めくくる。「先日、NTTドコモビジネスから最先端のAI動画を見せていただきました。最先端AIの活用により、懸案となっているカスハラ対策や、未然防止につながる事故対応品質の向上、それを担う社員の育成が実現可能だと思っています。今後もNTTドコモビジネスには、そうした新たなサービス、ソリューションの提案を継続的にいただけるとうれしいです」

損保ジャパンとNTTドコモビジネスは、今後も両社のさまざまな知見や技術を活用し、より付加価値の高い高品質なサービスを顧客に提供するため、ビジネスを変革し続けていく。

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損害保険ジャパン株式会社

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事業概要
1888年創業の日本初の火災保険会社。SOMPOホールディングスの中核会社として、「お客さまの安心・安全・健康に資する最高品質のサービス」の提供に向けて人的投資の拡充などの取り組みを推進している


(掲載内容は2026年7月現在のものです)

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