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岡野バルブ製造株式会社
株式会社明電舎
発電所用バルブの保守を変革する
職人ノウハウとAI解析の融合
セキュアな通信基盤が実現する
次世代スマート保安
課題
- TBM(時間基準保全)中心の保全体制で、現地訪問・分解点検のたびにコスト・工数の負担が発生
- エネルギーミックスによる電源構成や運用環境の変化に伴いバルブ・水門の動作頻度が急増、従来の点検周期では突発停止リスクに対応しきれない懸念が浮上
- 遠隔予兆診断を模索するも、データ量の壁とセキュリティ証明という2つの壁に直面
対策
- NTTドコモビジネスのマッチングと伴走支援を契機に、互いの技術課題を補完し合う岡野バルブ製造と明電舎の共創が始動
- バルブ診断ノウハウとエッジAI技術を融合し、現場でのデータ軽量化と安全なクラウド送信を実現
- docomo business SIGN®の脅威検知・遮断機能により「つながりながら守る」セキュリティを確立
効果
岡野バルブ製造株式会社
メンテナンス事業部 課長補佐
ORCL事業統括
江頭博志氏
「100年にわたり培ってきたバルブ保全の知見に、新たな技術を融合し、保全の常識そのものを進化させたい。インフラ保全の未来を切り拓く。それが今回の共創に懸ける私たちの想いです。」
岡野バルブ製造株式会社
執行役員
メンテナンス事業部
VQ事業統括
堀口優氏
「100年にわたり培った現場の知見とAI・デジタル技術を融合し、設備保全のあり方そのものを変えていきたい。共創の輪を広げながら、社会インフラの持続的な運用を支える新たな価値を世界へ届けていきます。」
岡野バルブ製造株式会社
メンテナンス事業部
VQ事業 主任
奥田祐一郎氏
「重要インフラを支える企業として、セキュリティに妥協はできません。docomo business SIGN®は既存環境を大きく変えることなく導入でき、安全性の向上と運用効率化を両立できる点が決め手でした。」
岡野バルブ製造株式会社
メンテナンス事業部
ORCL事業
大橋慶久氏
「お客さまから寄せられた『人が行かなくても設備状態を把握したい』という声が大きな転機でした。現場の負担を軽減しながら、安全性と信頼性をさらに高める。その課題への挑戦が今回の取り組みの原点です。」
株式会社 明電舎
研究開発本部
遠隔監視事業推進室長
庄司豊氏
「最大のブレークスルーは、メーカー主導の高度な遠隔監視による故障予兆診断というビジネスモデルを確立できた点です。このセキュアなパッケージは発電所に留まらず、半導体工場など多くの設備領域へ展開できるプラットフォームになると確信しています。」
株式会社 明電舎
研究開発本部
遠隔監視事業推進室 主任
井坂一貴氏
「発電所など重要インフラを支える解析データやAIモデルを扱う以上、セキュリティに妥協はできません。データ保護だけでなく通信経路も守る多層的なセキュリティを実現できたことが、今回の取り組みの前提でした。」
課題
2社が直面した共通の壁、
それは「通信」だった
岡野バルブ製造株式会社(以下、岡野バルブ)は、原子力発電所用バルブで国内シェア約80%、火力発電所用高温高圧バルブで約90%を占める国内トップシェアのバルブメーカーだ。発電所向け高温高圧バルブをはじめ、石油・化学プラント向けバルブやダムゲートの診断など、幅広い事業を展開している。
発電所においてバルブは、蒸気や水、燃料の流れを制御する重要設備であり、その不具合は発電効率の低下や設備停止につながる可能性がある。そのため、安定した電力供給を支えるうえで、確実な保全が欠かせない。
こうした中、岡野バルブでは長年、時間や期間を基準に点検を行うTBM(時間基準保全)を中心に保全業務を実施してきた。しかし、「このやり方では現地訪問のたびにコスト・工数・安全管理の負担が生じます。ここを打開する必要がありました」とORCL事業統括の江頭博志氏(以下、江頭氏)は語る。現地での定期点検や分解作業には多くの人手やコストがかかるうえ、健全な設備まで点検対象となるケースもあり、効率化が課題となっていた。
さらに近年は、再生可能エネルギーの普及に伴う発電環境の変化により、バルブや水門の稼働頻度が増加。設備異常を早期に検知し、24時間体制で状態を把握できる遠隔監視へのニーズが高まっていた。「24時間の常時監視、異常の早期検知へのニーズが、お客さまからの口からもしばしば出てくるようになっていました」(江頭氏)
岡野バルブは、電流や電圧データから設備状態を非分解で診断する独自技術「VQ-ORCL」を保有していたが、診断データの取得には依然として現地訪問が必要だった。遠隔監視の実現を目指したものの、大容量データを送信するための通信基盤や、IoT・クラウドシステムを自社単独で構築するための人材・ノウハウが不足しており、新たな仕組みづくりには限界があった。
一方で、VQ事業を統括する堀口優氏(以下、堀口氏)は、「単なる保全業務の効率化にとどまらず、人手不足やエネルギー環境の変化といった社会課題の解決につながる新たなビジネスモデルの実現を見据えていた。」と語る。こうした想いが、パートナーとの共創へとつながっていくことになる。
「VQ-ORCL」
対策
NTTドコモビジネスが
つないだ共創
診断ノウハウとAI解析を支える
セキュアな通信基盤
自社だけでは遠隔監視サービスの実現に限界を感じていた岡野バルブ。その課題解決に向けて動いたのがNTTドコモビジネスだった。エッジAIやIoTデバイス、システム構築の知見を持つパートナーを模索する中で出会ったのが、回転機の遠隔監視・診断サービス「REMOTIER」を展開する株式会社明電舎(以下、明電舎)である。NTTドコモビジネスのマッチングをきっかけに、両社の共創プロジェクトがスタートした。
明電舎は、エッジ端末からクラウド、AI解析までを一貫して実装できる高い技術力を強みとしていた。特にエッジ端末上でデータを一次解析し、効率的にクラウドへ送信する技術は、岡野バルブが抱えていた「大容量データを送れない」という課題の有力な解決策となった。
REMOTIER(リモーティア)
両社には共通する課題もあった。それが「通信」だった。岡野バルブは大容量データを安定して送信する仕組みを必要としていた一方、明電舎は発電所など重要インフラ向けにサービスを展開するうえで、データ通信の安全性を客観的に証明する必要があった。「いくら『セキュリティは大丈夫です』とお客さまに説明しても、それを証明するのは非常に難しいのです」と語るのは、研究開発本部 遠隔監視事業推進室長の庄司豊氏(以下、庄司氏)だ。異なる課題を抱えながらも、両社が行き着いた先は同じ通信の壁だった。
一方で、両社の強みは見事に補完関係にあった。岡野バルブは長年培ってきた診断ノウハウと顧客基盤を持ち、明電舎は回転機の遠隔監視・診断サービスの提供を通じてエッジ端末やクラウド、AI解析技術に強みを持つ。それぞれの不足を補い合える関係だったことから、共創はスムーズに進展した。
ただし、これは新たな懸念も生んだ。「解析データだけでなく、現場で診断を行うエッジAI自体も両社のノウハウが詰まった機密情報です。万一これらが通信経路から漏洩すれば重大なリスクとなるため、自社の暗号化対策に加え、ネットワーク上でも高いセキュリティが不可欠でした」と語るのは明電舎のデータアナリスト井坂一貴氏だ。データを軽くして送る技術はあるが、いかに送信経路の安全性を担保するか——両社は新たな課題に向き合うことになった。
そこで通信経路の安全性を模索する両社に対し、ドコモビジネスが解決策として提示したのが『docomo business SIGN®』(以下、SIGN)だった。SIGNはモバイル通信網にセキュリティ機能を標準搭載し、通信の中に潜む脅威を検知・遮断するIoT向けネットワークサービスである。既存環境を大きく変更することなく導入できる点も評価され、両社はリリース直後に導入を決断した。
「既存構成への影響を抑え、安全性を高めながらも、従来のコストと比較してもデメリットが一切なく、安全性を高められる。他に選択肢はありませんでした」とVQ事業主任の奥田祐一郎氏は語る。大容量データの活用と高いセキュリティの両立という課題をクリアしたことで、両社の遠隔監視ソリューションは実用化に向けて大きく前進した。
効果
常時遠隔監視が変える
重要インフラの保全現場
省人化・コスト削減の実現で
2030年グローバル
3,000台導入をめざす
2026年3月、岡野バルブと明電舎は国内発電所での実証実験(PoC)に成功した。配管が複雑に入り組む環境下でも安定したデータ通信を確認でき、現在は商用サービス化に向けた準備を進めている。今回の取り組みにより、診断データを安全にクラウドへ送信し、設備の状態を遠隔かつリアルタイムに把握できる環境が実現した。VQ-ORCLによる非分解診断と常時監視を組み合わせることで、「本当に点検が必要な設備」をデータに基づいて判断できるようになり、従来のTBM(時間基準保全)からCBM(状態基準保全)への転換が現実味を帯びてきた。
さらに、異常の予兆を早期に検知できるようになったことで、現地点検の負担軽減や保全業務の効率化、人手不足への対応など、現場運用の改善も期待されている。
「常時監視による予兆検知でトラブルが未然に減らせるメリットを見込んでいます。人に依存していた領域をソリューションが補うことで、人材確保が困難な現代でも最小人数で現場を回せるようになるでしょう。リアルタイムにデータを定量化することで従来の保全サイクルを適切化、コスト削減や設備の長寿命化へと繋げられると確信しています」(江頭氏)
これまでハードルが高かったセキュリティの説明にも、確かな変化が生まれた。発電所という厳しいセキュリティポリシーを持つ顧客への新技術導入は、SIGNによる強固なセキュリティのエビデンスが立ったことで、提案の現場で大きな武器となった。「セキュリティが担保されたことで、セキュリティポリシーが厳しい発電所のお客さまにも、自信を持って安全性を説明できるようになりました」(江頭氏)
明電舎では今回の取り組みを、単なる遠隔監視ソリューションの実現にとどまらず、メーカー主導による遠隔予兆診断という新たなビジネスモデルの確立と捉えている。
「最大のブレークスルーは現場で機械(バルブ)の動的特性を深く理解し、メーカー主導の高度な遠隔予兆診断という新たなビジネスモデルを確立できた点にあります。このセキュアなパッケージは発電所に留まらず、半導体工場など多くの設備領域へ展開可能なプラットフォームであり、当社のサービス拡大を牽引する重要なマイルストーンになると考えています」(庄司氏)
両社は2030年にグローバル市場で3,000台以上の導入を目標に掲げている。対象機器もバルブから水門・ダンパーなどの間欠動作機器へ拡大し、国内での実績を踏まえてアジア・中東・オセアニア・南米への展開も視野に入れる。
「実績を足がかりに共創を進めたい」と語っていた堀口氏の読みは、明電舎という強力なパートナーを得て、確かな形になりつつある。このセキュアなインフラをベースにしたスマート保安のエコシステムを構築しながら、堀口氏が見据えるのはより大きな構想だ。「すでに連携例ができましたので、たとえば次は振動センサーのメーカーを巻き込んで取り組みを拡充していくなど、重要インフラの安全を支える共通の管理・分析プラットフォームとして、世界中に広げていきたいと思っています」(堀口氏)
岡野バルブと明電舎が長年培ってきた現場の知見と最先端のAI解析技術、そしてdocomo business SIGN®によるセキュアな通信基盤。その融合により、発電所をはじめとする重要インフラの保全は、経験や勘に頼る時代から、データに基づくスマート保安の時代へと進化しようとしている。
導入サービス
docomo business SIGN®は特許取得のセキュリティ機能が標準搭載されたIoTサービス。回線、サーバー等の主要機能に加え、不正通信の検知・遮断機能を一体的に提供。
詳しくはこちら
岡野バルブ製造株式会社
事業概要
発電用高温高圧バルブの開発・製造・保守、その他工業製品の受託生産、工業プラントにおける各種工事、研究開発の受託、DXの実施・支援、産業振興・地域振興の実施・支援を手がける。
URL
https://okano-valve.co.jp/
株式会社明電舎
事業概要
モーターや発電・変電設備、再生可能エネルギー関連製品といった電気機械機器の製造・販売・保守事業を展開。近年はAIによる回転機の遠隔監視・診断などDX関連サービスの提供にも注力している。
URL
https://www.meidensha.co.jp/
「岡野バルブ製造株式会社 株式会社明電舎」導入事例印刷用ファイルのダウンロード
(PDF形式/937 KB)
(PDF形式/937 KB)
(掲載内容は2026年8月現在のものです)
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