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2021.06.01

Smart Findingで“なくしたものが見つかる”を当たり前に
~DigiCom出場チーム「Cats Me If You Can」の取り組み紹介~

「Cats Me If You Can」のチームメンバー、第五ビジネスソリューション部 岸本(前列右)、セールス&マーケティング部 宮地(前列左)、第一ビジネスソリューション部 山口(後列左)、セールス&マーケティング部 古宮(後列右)。首に着けているのは猫ちゃんの見守り端末の試作機。※撮影時のみマスクを外しています

NTTコミュニケーションズ株式会社が、社員のアイデアから新規事業を創出する目的で開催しているビジネスコンテスト「DigiCom(デジコン)」。

2020年度DigiComのイベント「Demoday」で第3位を受賞したチーム「Cats Me If You Can」は、「飼っている猫ちゃんがいなくなっても、すぐに見つけられる」というアイデアを事業化するために、取り組みを継続している。現在、猫ちゃん用の見守り端末を試作する段階に進んだとのことなので、これまでの活動内容や今後の予定をインタビュー形式で紹介したい。

    目次

  1. 迷い猫の課題 「一日に200匹の猫が迷い、その8割は行方不明のままという現実」
  2. 小型化を目指しプロトタイピング実施中 猫が身に着けられて、飼い主から見てもかわいいと思える見守り端末を
  3. 新規事業創出の経験は本業にも生きる 原動力は自分の中にある本当に大切だと思うもの!

迷い猫の課題
「一日に200匹の猫が迷い、その8割は行方不明のままという現実」

――迷い猫を見つけるというアイデアは、どのように生まれたのでしょうか?

山口:このアイデアにつながる個人的な体験は、僕が小学校3年生の5月3日に起きたつらい出来事でした。サッカーに行くために家を出たときに玄関のドアを閉め忘れてしまって、飼い猫の「みーちゃん」がいなくなってしまったんです。弟と必死になって3日間探したんですけど見つからなくて。5日の夕方になって、家の前でやっと「みーちゃん」を見つけたんです。近づいたら寝そべった「みーちゃん」の目から血が流れていて……亡くなっていたんですね。

玄関のドアを開けっ放しで出掛けた僕のせいだ……。何とか見つけて助けたかった……。今も思い出すと胸が苦しくなります。

だからこそICTの力で僕と同じような体験をする人がいない世界を作りたいと思ったんです。

――実は私も飼っていた猫がいなくなって、見つけた時には死んでいたという経験があります。だから山口さんの原体験を聞くと泣きそうになりますね。

山口:探しながら、例え戻ってこなくても、どこかで元気に生きていることがわかればなと思いました。途中、車のタイヤの影にいる「みーちゃん」の姿が見えたような気がしたんですけど、近づくとサッと逃げてしまって。やっぱり保護するところまでしっかりとできるようにしたい。

岸本:山口さんの原体験から、猫ちゃんがいなくなってしまった場合に、位置情報を把握しても実際に捕まえることが難しいということに私たちは気付きました。猫ちゃんが身に着けられる小さな見守り端末で位置情報を把握する、そして、いなくなってしまった場合に保護するところまで含めたソリューションをつくりたいと考えています。

――今、飼い犬より飼い猫の数の方が多いと聞きますが、迷い猫ってどれくらい発生するのでしょうか?

岸本:日本の飼い猫945万匹の中で、一日200匹が逃げてしまっていると言われています。逃げた猫ちゃんの8割くらいは帰ってこないそうです。普段家の中で暮らしている猫ちゃんだと外に出ただけでパニックになってしまって、外には他の猫のテリトリーもあるので、どんどん遠くに行ってしまうというケースが多いそうです。

山口:猫探偵さんの話によると、犬は猫よりも圧倒的に家に帰ってくるそうで、猫は家の場所を把握できなくて戻ってこられないのだそうです。だから捜索依頼は犬よりも猫の方が多くて、一社の猫探偵で年間800件もの依頼があると聞きました。

――1年間800件だと、常に並行して探している感じですよね。猫探偵の話が出ましたが、今までどのような方にリサーチをしたのでしょうか?

岸本:最初に猫ちゃんの気持ちを理解すること、そして猫ちゃんがどのようなシチュエーションでいなくなるケースが多いのかの実態を把握したいと考え、いろいろな専門家の方にお話を伺いました。

まずは猫探偵さんのところに行って、自分たちのラフなアイデアをぶつけてみたんです。

飼い主さんにとって猫ちゃんは大切なパートナーで、いなくなってしまうとペットロスになってしまう方も多く、迷い猫の捜索依頼は年間800件もあるので困っている人が本当に多いんですよというお話を聞き、自分たちのアイデアで世の中の困りごとを解決できるなと思いました。

その後も保護猫団体さん、獣医さん、動物愛護協会さんなどにお話を伺い、実際に猫ちゃんの飼い主さんが困っていること、猫ちゃんをどのように保護すれば良いのかなどを確認することができました。

山口:猫ちゃんは、ペットショップなどでの購入よりも保護猫の譲渡の方が2対8の割合で多く、もらい受けた猫ちゃんが慣れない環境で1週間以内に逃げてしまうケースが多いそうです。保護猫団体さんから、飼い主さんと猫ちゃんの幸せにつながるので、位置情報がわかる見守り端末をセットにして譲渡できればというお話を伺い、これはマーケティングとして販路があり、ニーズもあるということがリアルにわかりました。

メンバーの宮地さん家の保護猫ちゃん

――実際にヒアリングしてみると、いろいろなことに気付きますね。ヒアリングする中で、皆さんも「猫」じゃなくて「猫ちゃん」と呼ぶようになったという話をDigiComの際にお聞きして印象に残っています。

岸本:はい、猫探偵さんは「猫ちゃんが~」と話されていて、本当に人間と同じ目線で猫に向き合っているのだと気付きました。また飼い主にとって猫は家族なんだということも思い知らされて、それからは自分たちも「猫」ではなく「猫ちゃん」と敬意を持って接するようになりました。

山口:猫探偵への依頼は1件7万円くらいかかるんです。依頼するのは裕福な家庭だけじゃないそうで、「もう一度猫ちゃんに会いたい」とお子さんがお年玉を使って調査を依頼してきたりもするそうです。

――猫探偵のドラマを見て、こういう職業もあるんだと知りました。猫探偵が注目されるようになったのは最近ですか?

宮地:日本全国でも猫探偵は10件くらいしかないです。しかも関東でも東京とか限られた地域にしか探偵事務所がないんです。私たちは東小金井市の猫探偵さんにお話を伺いましたが、そこを拠点に全国47都道府県の依頼を受けているそうです。

山口:猫探偵が注目されたのは社会情勢の変化もあると思います。震災などの災害があったり、新型コロナの影響もあったりで、家庭内でペットとのつながりを大切にしたいという価値観が生活の中で大きくなっているので、メディアでも猫探偵のことを取り上げるようになったのだと思います。

小型化を目指しプロトタイピング実施中
猫が身に着けられて、飼い主から見てもかわいいと思える見守り端末を

――現在、プロジェクトはどのあたりまで進んでいますか?

宮地:今までアイデアを机上で検討していましたが、ここにきてまずは、市販の子ども用見守り端末と猫の首輪をセットにした試作機を作りました。これで、データをデバイスからクラウドに上げる実験もできるようになり、アイデアが具体的なフェーズにステージアップしたと思います。

(左)行動観察用のデバイス試作機(右)宮地さん家の猫ちゃんが試着

――これが見守り端末の試作品ですか?

宮地:こちらは行動観察用の試作機です。これとは別に猫ちゃんへの装着感も試せるプロトタイプの設計図ができました。これも具体化への進歩です。プロトタイプは、猫ちゃんの首にフィットした形状でつくる予定です。

山口:必要な要素をデバイスの中にどのようにパッケージして、猫ちゃんが身に着けても邪魔にならないくらいのサイズと軽さになるまで小型化できるかが製造工程のポイントです。

――皆さんがインタビュー中も首に着けられている行動観察用の試作デバイスですが、着け心地はいかがですか?

岸本:着けていると首元がちょっと熱いですし、黒いからか「爆弾つけているんですか?」って冗談言われちゃって、そういった意味でもまだまだだなと思いました。もっとスタイリッシュにして、猫ちゃんが身に着けて邪魔にならず、飼い主さんから見てもかわいいものにしないと。

山口:猫の気持ちを考えないとね。われわれが身に着けて熱くなるようでは、まだダメですよね。

岸本:まずはこれを保護猫団体さんに持って行って検証します。社内にも猫を飼われている方は多いと思うので、協力いただける方にお渡ししてみて生の声(コメント)を頂きたいと考えています。

――この記事を見て、協力したい! って言ってくれる人が出てくると良いですね。プロトタイピングはどのように進むのでしょうか?

行動観察用の試作機30個を組み立て中のメンバー

岸本:設計図をもとにプロトタイピングを作る予定です。プロトタイピングは検証とブラッシュアップを何度か繰り返して操作性や正確に位置情報がとれるかなどを試して行きますので、1回では終わりません。プロトタイピングの後は、クラウドファンディングのような形で進めるのはどうかなとチームで議論しています。

山口:世の中にファンを増やしながら、良いものをつくっていくことを考えると、クラウドファンディングの仕組みが良いと思うんです。

――そうですね。新規事業ではクラウドファンディングは単なる資金集めではなく、共感してくれる人を増やし、一緒に欲しいものをつくる共創のイメージがありますね。

山口:共感を広げて、たくさんの人と一緒につくることに価値があると思います。まずはプロトタイピングをやって装着感も確認して、今年度中に事業化・サービス化の生産工程に入るところまで行きたいですね。

――プロジェクトの進捗は順調なのでしょうか?

岸本:少しずつ進んでいるんですが、解決しなければならない壁がいくつか見えている状態です。目下の課題は、猫ちゃんが充電なくずっと身に着けられるデバイスになるかという点です。小型化とバッテリーの持ちは永遠の課題です。試行錯誤しながら、できるだけ省電力にするとかアイデアを出しながら進めていかないといけないです。

山口:バッテリー容量と探索間隔時間のトレードオフの関係も解決しなければならない技術課題です。ソーラーパネルを付けたらどうか? って考えてみても、それだけだとLTEのモジュールが起動しないんですよね。起動に一番電力がかかるのかとか、技術的な限界がいろいろとわかってきました。最終的にバッテリー性能の限界がサイジングを決めると思います。

新規事業創出の経験は本業にも生きる
原動力は自分の中にある本当に大切だと思うもの!

――このプロジェクトに関わるモチベーションを教えてください。

古宮:猫のアイデアで狙う市場もデカいですし、困っている人がたくさんいることがわかったので、テクノロジーを使って困っている人を助けることができるという点にやりがいを感じます。それがモチベーションにつながっていますね。

宮地:私自身が猫好きで保護猫も飼っているので、自分の好きなことができて、とても幸せだなと思います。このプロジェクトは業務として会社からも認められていますし、幸せを感じながら仕事をしています。

山口:一番強い原動力は、自分の中にある本当に大切だと思うものですね。それが起点となって他の人や社会に役立つものを考えたり、ビジネスとして考えたり、そういう順番だと思います。それはCreating Shared Value(共有価値の創造)の根本的な考え方なんじゃないかな。

もちろんアイデアが儲かることにつながると良いとは思ってますけど、それが一番ではないです。

岸本:入社当時は、人々のつながり方を変えたOCNのようなサービスに憧れ、自分も新しい価値をつくりたいと思っていました。ゴルフボールも迷い猫も、なくしたものが戻ってくることが当たり前になれば新しい価値観をつくることになると思っていて、それが自分の原動力ですね。

山口:僕は入社してから今まで働いている理由は1つしかないんですよ。「小学生の教科書に載るサービスと事業をつくり、仲間と社会を幸せにする」ってこと。この猫ちゃんのアイデアは、もしかしたらそれを叶えるものになるかもしれないという気持ちが少しあります。

――今後、社内の人に成果を紹介したり、協力者を募ったりされる予定はあるのでしょうか?

岸本:検証を手伝いたい人がいればぜひ協力をお願いしたいです。もしこのアイデアをメンバーとして一緒にやりたいと思ってくれる人がいたら、そちらも大歓迎です。

山口:職場の担当業務以外に、自分のやりたいことをやってみる経験をみんなにしてほしいですね。その両方を行き来する中で、相乗効果でどちらも輝いてくると思います。

――新規事業プロジェクトが本業に生きることはありましたか?

岸本:自分は本業でも見守り系のことをやっているので、ゴルフボールや猫ちゃんのプロジェクトでやったことが、本業で提案の幅を広げることにつながったりしています。本業で行き詰まった瞬間って、そこに留まってずっと考えていても何も浮かんでこないけど、猫ちゃんの作業をやって気持ちがリフレッシュして、また本業に戻ると解決策が見えてきたりして。山口さんの言う相乗効果って、あると思います。

古宮:猫プロジェクトではユーザー目線でものを考えることを経験できるので、本業に戻ったときに、決められたやり方で良いのか? もっと違うやり方はないのか? と考えるきっかけになります。自分はパートナー営業を担当しているのですけど、パートナー目線だけではなく、その先のエンドユーザーの目線を意識して視野を広げるってことにもつながっていますね。あと、デバイス開発とか一人ではできないものなので、誰と組むかとかアライアンスビジネスも考える必要があるので、それは私たちが狙っているB2B2Xをやっていく上でも必要な知見になると思っています。

宮地:パートナーとB2B2Xで新たなビジネスをつくるという意味では、猫プロジェクトは本業に近いですね。それに携われることは非常に幸せな立場だと思うので、これも本業としてやっていきたいです。

(聞き手:DigiCom事務局/斉藤久美子)

Cats Me If You Canのメンバー紹介

岸本進也/Shinya Kishimoto(キャプテン)

第五ビジネスソリューション部 第五グループに所属し、パートナーセールスとしてネットワーク提案などを行っている。チームではキャプテンとして新規開拓や開拓先との折衝を担当している。

山口修/Osamu Yamaguchi(メンバー)

第一ビジネスソリューション部 ビジネスデザイン部門で営業の皆さんの応援をしている。チームでも応援担当として「SEKAI NO OWARIのDJ LOVE(ピエロ)」的な存在。自身の新規事業における“しくじり体験”をチーム運営に生かしたいと思っている。
小学校3年生の時に飼い猫の「みーちゃん」を失った悲しい原体験がチームのアイデアとなっている。

宮地義祐/Yoshisuke Miyaji(メンバー)

セールス&マーケティング部 デジタルマーケティング部門でパートナーセールスのネットワーク提案時の技術支援を行っている。ヒューマンリソース部のグローバルCSR活動として、フィリピンの貧困層向け教育支援活動にも参加している。保護猫の飼い主として、リアルなユーザー目線をチームのアイデアやデザインに生かしている。

古宮嵩大/Takahiro Komiya(メンバー)

セールス&マーケティング部 パートナービジネス部門で中小企業向けのパートナー提案支援を行っている。チームではモバイルアプリケーションの検討を中心に担当している。

蒲生裕史/Hiroshi Gamou(メンバー)  セールス&マーケティング部 パートナービジネス部門

宮崎晃平/Kouhei Miyazaki(メンバー)  第五ビジネスソリューション部 第三グループ
IoTゴルフボール「Attazo!」メンバーであり、Smart Findingの世界観に共感している。

社員メッセンジャー

NTTコミュニケーションズイノベーションセンター

斉藤 久美子

社内ビジネスコンテスト「DigiCom」の立ち上げから企画運営を担当。DXや新規事業創出にチャレンジするNTT Comグループ社員の熱い想いを感じていただければと思います!

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