IPoEによる高速インターネットで業務時間を短縮 想定事例
次世代のインターネット接続環境といわれ、これからスタンダードとなる回線方式がIPoEです。今回はIPoEを導入することで、どのように業務効率改善が実現できるのかを紹介していきます。業務効率改善や業務時間短縮、そしてこれらを通して実現される「働き方改革」に関心のある方も、是非、チェックしてください。
インターネットが遅いことで生じるデメリット
まず、インターネットが遅いことで生じるデメリットについて考えてみましょう。そのための前提として、従来と最近のデスクワークの変化に注目することが必要です。
昨今では、高解像度の動画をはじめとした大容量の通信やMicrosoft Office 365、Google「G Suite」など、日常的な業務におけるクラウドサービスの利用が圧倒的に増加しています。もっと言えば、業務システムのパブリッククラウドへの移行が、今後はより進行していく訳ですから、これからのビジネスは、もうクラウドなしには考えられません。つまり、これは安定した快適なインターネット接続へのニーズが必要不可欠になることを意味しています。もう「ウチ(我が社)のがネットは遅くてさ」と言っているようでは、仕事にならないのです。
話を具体的に分かりやすくするために、IPoEとこれまでの接続サービス(PPPoE方式)を比較しながら説明しましょう。IPoEは
両者の違いは、一言でいうとIPoEは最初からイーサネットを用いる前提で設計されているということです。このため、IPoE方式は「ネイティブ方式」と呼ばれることもあります。
対して、PPPoE方式が使用するPPPというプロトコルは、元々は電話回線を前提としたルールなのですが、これをイーサネット上で使うために作られたのがPPPoEという接続方式です。
このためにルーター等の専用の通信機器も必要となります。IPoE方式は、従来のPPPoE方式より大容量化した設備を利用しています。つまり混雑しにくいネットワーク構成なのです。
速度が改善することによるメリット
繰り返しとなりますが、現在のビジネスシーンではクラウドサービス活用が前提となりつつあります。総務省の調査では、クラウドサービスを利用している企業の85.2%が「非常に効果があった」「ある程度の効果はあった」としています。
これからは、インターネット混雑時の通信速度低下はビジネスにとって致命的になると言えるでしょう。ここで、見落としてはならいのが速度とともに、その「安定性」です。
PPPoE方式に比べてIPoE方式は接続設備の大容量化など、通信設備に関して、ゆとりを持たせた設計になっており、安定した通信を実現しています。
さらに、動画サービスなど、混雑の原因となりやすいコンシューマー向けインターネット通信のトラフィックを論理的分離が可能なサービスを選択することで、夜間などの通信が混雑する時間帯、利用者の多い都市エリアでも安定した速度で通信でき、常に安定した通信状況が求められるビジネスユース、オンデマンドでの動画視聴などに適しています。
これが前述したIPoE方式が「混雑しにくいネットワーク構成」という理由です。この安定した通信が、クラウド時代のビジネスの品質を支える確かな力となるのです。
速度だけではなく帯域も改善される
インターネットの用語として、よく「帯域」という言葉が使用されます。帯域とは、ある時間内にどれだけデータを送れるかの指標であり、通信速度と言い換えることも可能です。つまり「帯域が広い」が「高速度」は、ほぼ同じ意味と言えます。
これは「道路」をイメージすると分かりやすいかもしれません。つまり道路(帯域)が広ければ広いほど、多くの車両(情報)がスムーズにより速く通行できるということです。
IPoE方式では従来サービス(PPPoE方式)比で2倍(※)の帯域設計になっています。IPoEを使ったインターネット接続は、従来のPPPoE方式とは異なる通信網や通信設備を経由します。これも道の話に置き換えると、利用者が増えて渋滞している道路とは別に、新しい道路ができた状態をイメージすると分かりやすいかもしれません。つまり、混雑した道路を避けるように、スムーズな通信が可能となります。次世代のIPoE通信は、従来のPPPoE通信と経路を分散させることにより、より高速なインターネット通信を可能にしているのです。(※従来サービス比2倍の帯域設計となる「標準プラン」と、従来サービス比6倍の「ワイドプラン」があります。)
クラウドサービスを利用することは、端末とクラウドの間で継続的に通信がおこなわれていることを意味します。このことにより、インターネットの通信帯域を占有してしまう可能性がある訳です。今後、クラウドサービスを利用する企業が増えると、インターネットトラフィックが増加し、クラウドサービスのレスポンスが低下したり、通信が途切れるリスクも懸念されています。やはり、早めの対策が必要なのです。
想定事例1 データ入稿速度やアップロード時のエラー率が改善
ここからは、実際のビジネスの現場でIPoE導入の効果がどのように現れるのか、3つの想定事例から検証してみましょう。
企業コンサルタントをおこなっているA社。数多い顧客の取引のなかで、最終なレポート等は顧客のシステムを利用して、アップロード納品しています。顧客からの資料ダウンロードも同様です。
A社では最近、各種のクラウドツール活用やリモートワーク切り替えによるオンライン会議の増加等もあり、データ入稿速度やアップロード時のエラー率が問題になってきました。データ入稿速度やアップロード時のエラーは、単に業務効率の問題にとどまらず、顧客との信頼関係にも影響します。そこで、回線方式をIPoEに変更し、インターネット接続環境を一新することで、問題解決に成功しました。
ここでポイントとなるのは、OCN光 IPoEサービスが「IPv4 over IPv6」であることです。
IPv4 over IPv6では、IPv6とともに、本来はIPoEが対応していないIPv4にもシームレスにつながります。現在はIPv4からIPv6への移行期であり、IPv6に対応していないウェブサービスも少なくありません。さまざまなウェブサービスを使う必要があっても安心して利用できるのです。
さらにA社では、「Windows Update」による通信を識別して、そのほかの業務用の通信から分離する「ワイドプラン」を採用して、万全を期しています。
想定事例2 クラウドツールの動作速度が改善して作業スピードアップ
オフィス事務機器を販売しているB社では、最近、名刺の一括管理にクラウドツールを導入。名刺を専用アプリで撮影するだけで、情報の電子化が可能となり、社内の評判も上々でした。
業務の効率改善や、新たな事業戦略の構築にも可能性を感じていたところ、管理画面が固まるなどのトラブルが発生。「やっぱりクラウドは使えないのでは・・・」そんな声がささやかれはじめ、雲行きがあやしくなりだしました。
そこで、回線方式をIPoEに変更し、問題を解決しました。これは、クラウドツール導入に関しては、まず、その前提となるインターネット接続環境の見直しが必要という典型的な事例です。B社では、クラウド型セキュリティ機能をパッケージ化した「OCN光IPoE vUTMセット」を導入。以前から懸念されていたセキュリティ対策もあわせて解決しました。
想定事例3 拠点間のオンライン会議がスムーズに
大手企業を中心に人材派遣をおこなっているC社。勤務形態をリモート中心に切り替えたため、オンライン会議が増えています。さらに取引先企業からの派遣社員の在宅勤務リクエスト等の新しい課題も増え、情報交換のためのオンライン会議も急増。さらに今後は派遣社員の採用面接もオンライン中心に移行する予定・・・。
オンライン会議のスムーズにおこなうことが、もはや企業活動の生命線であるという経営判断のもと、回線方式をIPoEに変更し、今後のビジネスに備えたインターネット接続環境を構築しました。
この事例のポイントは、オンライン会議はまさにリアルタイムで動画、音声を配信するため、相当な帯域幅を使用するということです。オンライン会議システムの提供各社は、様々な技術を使用してできるだけ動画や音声データを圧縮、縮小して転送できるようにはしています。しかし、前提条件として遅延などのない満足できるオンライン会議を行うためには十分な回線帯域を準備確保することが、とても重要になります。
3つの事例から見えること。それはクラウド時代の新しいビジネスをスタートするには、まず、その基盤となるインターネット接続環境を見直すことが大切ということではないでしょうか。
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