法人向けクレジットカードを経費精算に利用するメリットと注意点は?活用方法や選び方も解説

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公開日:2022/08/22

法人向けのクレジットカードを利用すると、経費精算の効率化が見込めます。しかし、導入を検討しているものの、経費精算に利用した際のメリットや注意点がわからず踏み切れないという経理担当者の方もいるのではないでしょうか。

本記事では、法人向けクレジットカードを経費精算に利用するメリットや注意点について解説します。また、法人向けクレジットカードの選び方にもふれるため、選定する際の参考にしてみてください。

法人向けのクレジットカードを経費精算に利用する際の3つのメリット

ここでは、法人向けのクレジットカードを経費精算に利用する際に見込まれる3つのメリットについて解説します。

経費精算の効率化

現金払いと比較すると、法人向けクレジットカードの利用は経費精算業務の効率化につながります。

例えば、業務に使う備品購入や出張時の交通費・宿泊費の支払いを社員が現金で済ませたとしましょう。現金で支払った場合、以下のような作業が発生します。

・経費の立替払い
・精算申請書の作成
・領収書の保管

立替払いをした社員だけでなく、精算を承認する上司や仕訳業務や精算を行う経理担当者の負担は大きくなります。企業によって頻度は異なるものの、備品購入や出張にかかった経費の精算がなくなることはありません。

一方、法人向けのクレジットカードを経費精算システムに連動させると、利用したデータが瞬時に自動反映されます。そのため、精算申請書や領収書の確認、仕訳処理の業務を省くことが可能です。

今まで経費精算業務に割いていた時間と人材を他の業務にリソースを割けられます。加えて、細かい作業を行う手間が省けるため、生産性の向上にもつながると想定されるでしょう。

コスト削減・キャッシュフローの安定化

法人向けのクレジットカードの年会費は経費として計上できるため、節税につながります。

さらに、個人用のクレジットカードと同じく、ポイントやマイルを貯めることが可能です。ポイントやマイルを支払いに充てたり、商品券と交換したりできるため、コスト削減につながるでしょう。

また、クレジットカードの決済は購入から支払いまでの期間が1~2ヵ月あります。引き落としは翌月の決められた日に行われるため、購入から支払いの間に猶予が生まれます。法人口座の金額を一定に保てるため、キャッシュフローが安定するでしょう。

福利厚生の充実

法人向けのクレジットカードにはさまざまな付帯サービスが付いています。発行するカードの種類によって付帯サービスの内容は異なるものの、法人向けのクレジットカードには以下のようなビジネス向けのものが多く付いているのが特徴です。

・会計ソフトとの連携
・空港ラウンジサービス
・交通系予約サービス
・福利厚生代行サービス
・レストラン優待
・ゴルフ優待

レストランやゴルフ、映画などの割引チケットを取得できるケースもあります。社員に利用してもらうことで、福利厚生の充実を図れるでしょう。

また、付帯サービスを福利厚生として活用すると、企業は費用を負担する必要がありません。加えて、福利厚生費として計上するためには、さまざまな条件を満たさなければならないため経理処理の負担が増えてしまいます。

付帯サービスを福利厚生として活用することは、費用や処理の面においても負担を軽減できる点がメリットだといえるでしょう。

福利厚生費の具体例や条件については、下記の記事で詳しく解説しています。

法人向けクレジットカードを経費精算に利用する際の5つの注意点

経費精算の効率化やコスト削減などメリットは多くあるものの、利用する際に注意したいポイントもあります。ここでは、法人向けクレジットカードを経費精算に利用する際の注意点をみていきましょう。

支払いから精算までに時間がかかる

クレジットカードを利用した場合、購入から支払いまで一定の期間を与えられるためキャッシュフローの安定化につながる点がメリットです。逆をいえば、支払いと精算まで時間がかかるため、残高管理の面では注意が必要です。

過剰に利用してしまう

クレジットカードで購入する場合、現金を出さずに会計が完了するため、お金の流れが想像しにくくなるケースも少なくありません。物品購入では過剰に利用してしまうリスクも想定されます。

そのため、クレジットカードで物品を購入する場合は、事前に上司の承認を得たり、周囲と相談し購入数を検討したりしましょう。

二重計上のリスクがある

クレジットカードで決済を行うと、領収書やクレジット売上票が発行されます。領収書とクレジット売上票を別々に保管しておくと、二重に計上してしまうリスクがあるため注意しましょう。

二重計上のまま申告した場合、税務署に不正と判断され、会社がペナルティを受けてしまいます。領収書とクレジット売上票はまとめて保管することで、二重計上の防止につながります。

経費の利用可能範囲を周知させる

社員が私的にクレジットカードを利用しないために、経費として利用できる範囲を周知させることが大切です。

また、私的に利用した購入履歴が記録されると、経理担当者は経費と私的利用を分けて仕訳しなければなりません。経理担当者の負担が増えてしまいます。

クレジットカードを導入する際には、利用範囲を定め、私的な利用は取り締まるようにしましょう。

クレジット売上票を残す

クレジット売上票とは、クレジットカードで決済した際に事業者側が発行する書類のことです。クレジット売上票に以下の項目が記載されている場合は、領収書の代わりに経費の出費を証明できるようになります。

その書類の作成者の氏名又は名称
課税資産の譲渡等を行った年月日
課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容
税率の異なるごとに区分して合計した課税資産の譲渡等の対価の額
その書類の交付を受ける者の氏名又は名称

引用:カード会社からの請求明細書(国税庁)

クレジットカード会社が発行する利用明細書は領収書の代わりに利用できません。そのため、クレジット売上票は捨てずに大切に保管しましょう。

クレジット売上票を含む領収書の保管期間や紛失した際の対処法について詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてみてください。

法人向けクレジットカードを有効的に活用する方法

ここでは、法人向けクレジットカードを有効的に活用する方法を解説します。

社員カードやETCカードを導入する

社員カードやETCカードなど複数のクレジットカードを導入するとよいでしょう。複数枚のクレジットカードを使用することで、ポイントを多く貯められる点がメリットです。

営業や出張で高速道路を頻繁に利用する場合、ETCカードの導入をおすすめします。現金で交通費を立て替えると都度精算が必要になります。

ETCカードは経費を立て替える手間をなくし、利用日や利用区間のデータの一元管理が可能です。

経費精算システムと連動させる

経費精算システムと連動させると、クレジットカードを利用したデータがそのまま取り込めるため業務の手間を大きく軽減できます。入力ミスや書類の紛失といったリスクを心配する必要はありません。

一旦取り込んだデータは改ざんできないため不正利用の防止にもつながるでしょう。

また、書類などの紙媒体にデータを残す必要がありません。紙媒体に印刷する費用や時間も大きく削減できるため、SDGsの取り組みにもつながるでしょう。

SDGsの定義や事例などについて詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

法人向けクレジットカードの選び方

法人向けのクレジットカードはカード会社によって入会条件や付帯サービスの内容などが大きく異なります。企業によって重視したいポイントはそれぞれ異なるでしょう。

ここでは、実際に法人向けクレジットカードを選ぶ際に注目したいポイントを解説していきます。

年会費は発生するか

年会費は無料のものから10万円超のものまで幅広くあります。さらに、社員カードやETCカードを発行する場合、本カードとは別に年会費が発生する場合があるため、検討する際にはよく確認しましょう。

年会費によってクレジットカードのスペックが大きく変わるわけではありません。年会費が無料のクレジットカードと比較すると、有料のものは手厚い付帯サービスを受けられる傾向にあります。

経理業務の効率化を目的とする場合は、年会費無料のクレジットカードでも十分だといえます。

ポイントの還元率は高いか

法人向けのクレジットカードは利用金額が大きくなるでしょう。そのため、ポイントの還元率が高い方がお得になります。

しかし、個人向けのクレジットカードと比較すると、ポイント還元率の低さがデメリットです。個人向けのクレジットカードのポイント還元率の相場は0.5%~1%です。

一方、法人向けのクレジットカードはポイント還元がないものも少なくありません。法人向けのクレジットカードでは、ポイントの還元率は高くて0.5%です。ポイントを貯めたいと考えている場合は、ポイント還元の有無と還元率に着目しカードを選定しましょう。

限度額の上限はいくらか

限度額はカードで利用できる金額の上限のことです。1ヵ月に利用する経費を想定し、その1.5~2倍の限度額に設定できるカードを選定するとよいでしょう。

クレジットカードは購入から引き落としまで1~2ヵ月の期間が空くため、1ヵ月に利用する経費と同額に設定すると利用できない期間が生じてしまいます。

また、急な出費の支払いに利用するケースも想定されるため、限度額の上限をできる限り高く設定できるカードを選ぶのがポイントです。

付帯サービスは充実しているか

付帯サービスに焦点をあててクレジットカードを選定するのもよいでしょう。例えば、営業で出張が多い企業は、空港のラウンジを利用できたり、旅行保険が付帯していたりすると、法人向けクレジットカードを導入するメリットは大きいといえます。

逆をいうと、出張の少ない企業の場合、旅行関係のサービスが付帯しているクレジットカードは好ましくありません。企業にとって本当に必要なサービスが付帯しているのか・不必要なものはないかを見極めることも重要です。

法人プリペイドカードという選択肢もあり

法人向けのクレジットカードを導入するのが困難な場合は、法人プリペイドカードという選択肢もあります。法人プリペイドカードは審査を受けずに発行できるため、すぐに経費精算業務を効率化したいと考えている企業に向いています。

プリペイドカードとは、事前に現金を入金し商品を購入できるキャッシュレス決済ツールです。法人プリペイドカードを導入することで、現金払いによる立替精算の手間を省けます。法人向けのクレジットカードと同様に、精算申請書の作成や承認、確認を行う必要がないため、経費精算業務の効率化につながるでしょう。

また、入金した金額のみ利用できるため、クレジットカードのように過剰に使いすぎるリスクがありません。発行の審査がなく、過剰に使いすぎるリスクもないため、クレジットカードよりも手軽に利用できるでしょう。

法人プリペイドカードについて詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてみてください。

まとめ

経費精算に法人向けのクレジットカードを利用することで、立替払いや精算申請書の作成など煩わしい手間を省けるため社員の業務負担を削減できます。

さらに、経費精算システムと連動させると、業務の効率化を図れるでしょう。また、付帯サービスを活用し社員の福利厚生を充実できる点もメリットといえます。

一方、現金の流れが把握できず過剰に使いすぎたり、私的に利用してしまったりするリスクも想定されるため注意が必要です。クレジットカードの導入に踏み切れない場合は、利便性・業務効率化が進む面から法人プリペイドカードを導入してみましょう。

また、法人向けクレジットカードは種類によって年会費やポイント還元率、付帯サービスなどが大きく異なります。利用する範囲や目的を明確にし、自社の条件に適したものを選定しましょう。

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