領収書とは。保存期間や保管方法、無い場合の対処方法について解説

公開日:2022/07/29
企業や店舗、個人商店などから商品の購入やサービスの提供を受けた際に、対価として金銭を支払います。その際に確実にお金を受け取った証明として、領収書が発行されます。
本記事では領収書について、保存期間や保管方法、領収書が無い場合の対処方法などについて解説します。領収書について不安点がある方は、参考にしてください。
目次
領収書とは
金銭の授受の証明として発行されるのが領収書です。レシートや領収証の違いについても詳しくみていきましょう。
領収書とは
領収書は、商品やサービスに対し金銭を支払った事実を証明します。そのため、領収書があれば、支払った代金の再請求防止となります。
領収書の発行は、法律で義務付けられていません。そのため、販売側・購入側の双方が不要だと合意した場合、発行の必要はありません。ただし、購入者側から発行の要望があれば、領収書発行の義務が生じます。
レシートとの違い
スーパーやコンビニなどで買い物をした場合、一般的にはレシートが発行されます。これは、領収書と同等の書類とみなされる点を把握しておきましょう。
領収書と比較した場合、レシートの方が金額の内訳が細かく記載されています。ただし、領収書と比較した場合宛名がない点には注意が必要です。また、感熱紙で発行される場合が多く、文字が消える可能性があるので保管方法には注意しましょう。
ただし、宛名の有無で経費精算の有効性は決まりません。そのため、レシートであっても下記の必要事項が記載されていれば、領収書代わりとして利用できます。
- 店名
- 発行日
- 商品内容
- 金額
領収証とは
「領収書」は書類の意味合いが強くなり、「領収証」は金銭授受の証明書の意味合いが強くなるとされています。ただし、経理処理上の区別はなく、どちらも同等に利用可能です。
領収書の必要事項
領収書にはタイトルがわかるよう、上部の左側か中央に「領収書」と記載します。領収書の必要事項について確認しておきましょう。
日付
実際に金銭の授受が行われた日付の記載が必要です。記載場所は、領収書の右上となるものが多く見られます。
宛名
宛名には正式名称を記載するのが望ましいとされています。宛名のない領収書は無効と判断されるため注意が必要です。
略称や通称はマナー違反とされており、例えば(株)ではなく、株式会社と記載するよう心がけます。
領収書の宛名は「上様」と記載すればよいと聞いたことがある人もいるでしょう。しかし、これでは税務調査で認められない場合があるため注意が必要です。
金額
数字の改ざんを防ぐため、金額の記入方法にはルールがあります。
- 数字の先頭に「¥」を記載
- 数字の末尾に「―または※」を記載
- 三桁ごとに「,」をつける
なお、「¥」の代わりに「金」と記載できます。その場合、数字の末尾は「也」となる点を把握しておきましょう。
受取時には必ず、金額が相違ないか確認します。
但し書き
商品やサービスの内容を記載します。その際は「お品代」と言った漠然としたものではなく、第三者が見ても内容がわかるように具体的な商品名などを記載するとよいでしょう。
ただし、品数が多い場合などは納品書やレシートを添付しても構いません。
収入印紙
領収書の金額が5万円以上の場合、収入印紙が必要です。印紙税額は金額により異なり、300万円までは下記のとおりです。
- 5万円未満:非課税
- 5万円超100万円以下:200円
- 100万円超200万円以下:400円
- 200万円超300万円以下:600円
収入印紙の貼り付けを忘れた場合、印紙税法により本来納めるべき税額の3倍相当の税金を支払うことになるため注意しましょう。また、再利用防止のために貼り付けた台紙と印紙との間に押印、または自署が必要となります。
発行者
領収書発行者の住所と名称の記入が必要です。印刷・社判・手書きなどで記載します。
領収書の保管期間
領収書の保管期間の基本は7年です。ただし、場合により異なるため詳しくみていきましょう。領収書の保管ができていないと、税務調査で発覚した場合追徴課税となる場合もあるため注意が必要です。
なお、保管期間は確定申告提出期限の翌日から数えます。
法人
法人の場合、領収書の保管期間は基本的に7年と法人税法で定められています。ただし、決算が赤字となり欠損金の繰越控除を利用する場合、領収書の保管期間は10年となるため注意が必要です。
また、会社法では次の書類は10年間の保管を求めています。
- 会計帳簿及びその事業に関する重要な資料
- 計算書類及びその附属明細書
そのため10年間保管しておけば安心です。
個人事業主
個人事業主の場合は、青色申告か白色申告かで保管期間が異なります。
- 青色申告事業者:7年
- 白色申告事業者:5年
また、消費税納税義務のある事業者で、仕入税額控除を行っている場合も、領収書の保管期間は7年です。
領収書の保管方法
7年間保管する場合、どのように保管すればよいか悩む人もいるでしょう。ここでは、領収書の保管方法について確認します。
紙
受け取った原本をそのまま紙で保管しましょう。なお、電子取引においての領収書は紙での保存が禁止され、データ保存が義務化される予定です。ただし、2022年1月から2年間は紙での保存が容認されています。
領収書の管理方法に決まりはありません。領収書やレシートはサイズがさまざまで保管しにくいのが難点です。そのため、のりなどで台紙に貼り付けファイリングしている会社が多い傾向です。
社内監査や税務調査の際などに、すぐに取り出せるように見やすくファイリングしておきましょう。見やすく管理するために、保管方法についてのルールを作り社内で統一します。
電子化
電子帳簿保存法を満たした場合、領収書が電子化できます。また、電子的に取引した情報はデータ保存が義務化される予定です。なお、2022年1月から2年間は紙での保存が容認されています。
領収書をデータで保存すると、検索作業が簡単になる点がメリットです。また、紙での領収書保管は場所を取りますし劣化が気になりますが、電子化であればそのような心配がありません。管理コストの削減につながります。
領収書がない場合の対処方法
領収書をなくして困っている人もいるでしょう。また、慶弔費や電車、自動販売機の利用など、最初から領収書が発行されない取引もあります。そのような場合の対処方法についてみていきましょう。
再発行
領収書を紛失した場合、発行元に再発行を依頼してみましょう。再発行が可能な場合も少なくありません。
ただし、不正防止などの観点から再発行を一切していない企業もあるため必ず再発行されるとは限りません。このような時は、出金伝票への記載で代用します。
レシートの利用
領収書が無い場合は、レシートを利用します。レシートの方が項目を細かく記載されている点がメリットです。
ただし、感熱紙の場合が多く、光に当たる・空気に触れるといった理由で、時間とともに文字が消えていく点がデメリットと言えるでしょう。レシートの場合は文字が消えてしまわないように、保管方法に注意が必要です。
空気に触れないように内側に折り込み、領収書収納用のクリアファイルに入れておくと文字が消えることを防止できます。また、頻繁に確認が必要な場合は念のためコピーをとっておき原本と一緒に保管するのも、対策方法の1つです。
出金伝票
領収書が紛失した場合やそもそも領収書が無い場合には出金伝票を利用します。出金伝票の記載必要事項は次のとおりです。
- 伝票番号
- 日付
- 支払先
- 勘定科目
- 金額
- 摘要
ただし、出金伝票は自社で簡単に作成できるため客観性に乏しいのが難点です。関連書類などを一緒に保管し、信頼性を高めましょう。
交通費精算
タクシーや電車などを利用した場合、領収書やレシートがない場合があります。このような場合は出金伝票で対応しましょう。
慶弔費
結婚祝いや香典には、領収書が発行されません。そのため、出金伝票で対応します。この場合、参考書類として招待状や会葬御礼を保管しておきましょう。
クレジットカード払い
クレジットカードで支払う場合に領収書が発行されないことがあります。この場合は、クレジット売上票や利用控えを保管しておきましょう。
クレジットカードの利用明細書は正式な領収書としては利用できません。
領収書を楽に管理する方法
領収書は基本的に7年の保存が必要なため、大変と感じる人もいるでしょう。ここでは、領収書管理を楽にする方法について解説します。
電子保存
領収書を用紙で受け取った場合、スキャナやカメラ・スマートフォンで撮影し、電子保存可能です。
以前は電子帳簿保存を行うためには税務署長への承認申請が必要でしたが、2022年に廃止されています。そのため、システムを整えたらすぐに実施できます。スキャナ保存後は書面原本の破棄が可能になったため、紙での保存義務がなくなり管理が楽になる点がメリットです。領収書を用紙で受け取った場合、スキャナやカメラ・スマートフォンで撮影し、電子保存可能です。
経費精算システムの利用
領収書の電子保存では、タイムスタンプが必要となります。保存方法にルール設定も必要となるため、領収書の保管に適した経費精算システムを利用してもよいでしょう。
専用のツールなので使い勝手の良い点がメリットです。システム導入の際は、法令に定めた要件を満たしていることを確認しましょう。
会計ソフトの利用
領収書やレシートを直接取り込めるタイプの会計ソフトを利用してもよいでしょう。取り込んだデータが電子帳簿法に対応していれば、領収書を別途保管する必要がなくなり、領収書管理が楽になります。
まとめ
領収書は金銭授受の証明を行う大切な書類です。法人であれば、7年~10年という長い時間保管しておかなければなりません。保管に手間やコストがかかるため、負担に感じる人もいるでしょう。
会計ソフトや経費精算システムを導入し、電子保存すれば領収書管理の手間が大幅に削減できる点がメリットです。
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