経費精算システムとは何か?代表的な機能や導入するメリット、選定ポイントを解説

経費精算システムとは何か?代表的な機能や導入するメリット、選定ポイントを解説

公開日:2023/7/27

経費精算システムは経理の業務フローを自動化できるシステムです。社員の負担軽減や人的ミスの削減にもつながるため、導入する企業が増えています。しかし、どういった機能が搭載されているのか分からないため、導入に踏み切れないというケースもあるでしょう。

そこで本記事では経費精算システムの概要や代表的な機能を解説します。また、導入するメリットや選定ポイントも詳しくみていきましょう。

経費精算システムとは何か

経費精算システムとは、経費を申請し承認する一連の業務フローを自動化できるシステムです。従来インストール型のソフトが主流であったものの、近年ではインターネットを介して利用できるクラウド型のサービスを利用するケースが増加しています。

代表的な機能

経費精算システムにはさまざまな機能が搭載されています。代表的な機能をみていきましょう。

目的 機能
手入力の負担を軽減する ・申請書のテンプレート
・領収書のOCR読み取り
・交通系ICカードとの連携
・プリペイドカードとの連携
・法人クレジットカードとの連携
・スマホ決済アプリとの連携
申請・承認をスムーズに行う ・チャットツールの通知
・Webブラウザやアプリを介して申請と承認ができる
・規定違反の自動チェック
経理業務の負担を軽減する ・仕訳を自動で行う
・会計との連携
ペーパーレス化を進める ・領収書の電子保存
・データの自動引き出し

経費精算システムには従来の業務を効率化できる機能やアナログ業務をデジタル化できる機能などさまざまなものが搭載されています。

経費精算システムを導入するメリット

経費精算システムのメリットは社員の負担軽減や人件費の削減につながる点です。また、自動で領収書を読み取り、申請のデータに反映できます。申請者による不正の防止や計算ミスの軽減にもつながり、申請書の差し替えに時間を費やす必要もなくなるでしょう。

ここからは、経費精算システムを導入する3つのメリットについて詳しくみていきます。

社員の負担軽減

導入により業務を効率化できるため、申請者・承認者・経理担当者の負担を軽減できます。

項目 メリット
申請者 ・交通系ICカードとの連携によってルート検索や運賃検索の手間を削減できる
・カード連携によって入力を自動化することで、手入力のミスを削減できる
・外出先でも経費を精算できるようになり、承認するために帰社する手間を削減できる
承認者 ・チャットツールの通知機能により、承認忘れを減らす
・申請の承認、却下、差し戻しをボタン1つでできるようになり、時間を短縮できる
経理担当者 ・チェック作業の時間を短縮できる
・自動仕訳の自動作成によって手間やミスの削減ができる
・ペーパーレス化により、データの保管や管理がしやすくなる

経費精算に費やしていた時間を主業務に充てられるようになり、生産性の向上にもつながるでしょう。

人件費の削減

経費精算システムの導入により、人件費を大幅に削減可能です。従来、手入力によるミスが発生した場合、申請書を差し戻す必要がありました。

差し戻しの場合、再度申請者による申請書の作成、承認者による承認、経理担当者によるチェック作業を行わなければなりません。自動入力により再度同じ作業を行う時間を削減できるため、人件費の削減につながるでしょう。

また、経費精算システムは経路検索ソフトや交通系ICカードと連携しているものが多くあります。経路検索ソフトにより、不合理なルートの利用を避けることが可能です。

加えて、経費の使用状況をリアルタイムで把握できるため、無駄に使用しているかを随時チェックできます。無駄に使用されている経費を洗い出せるため、コスト削減にもつながるでしょう。

不正の防止、人的ミスの軽減

申請や承認のログを保存できるため、トラブル発生時には迅速に対応できるでしょう。加えて、さまざまな外部のサービスと連携することで、不正を防止する体制を構築できます。

紙媒体の領収書や申請書などの書類を保管する場合、紛失や記載ミスをしてしまう可能性も否定できません。一方、経費精算システムの場合、基本的にデータで管理するため、人的ミスの軽減にもつながります。

経費精算システムを導入する際に知っておきたい注意点

経費精算とは?概要をわかりやすく解説

このように、企業が経費精算システムを導入することで、さまざまなメリットを獲得することができます。しかし、経費精算システムはデメリットがひとつもないというわけではありません。これから紹介する注意点を確認すれば、そのデメリットの大部分をカバーすることができるので、興味がある方は、ぜひチェックしてみてください。

導入コストがかかる

1つ目の注意点は、導入コストがかかるという点です。

経費精算システムを導入する場合、下記の導入コストがかかります。

・初期費用
・月額費用
・オプション費用

初期費用は、経費精算システムの導入にかかる費用です。一般的にオンプレミス型の経費精算システムは、ハードウェアや周辺機器などを自社に設置しなければなりません。そのため、費用が高くなりやすいです。一方、クラウド型の経費精算システムは、自社にサーバーを設置する必要がなく、業者が提供しているサーバーに接続して使用するため、オンプレミスに比べて費用が抑えられやすいです。

月額費用は毎月かかる費用です。ユーザー1人に対して〇〇円というような価格設定を採用しているところが多くなります。

オプション費用は、標準機能に業者が別途で提供している機能等を追加する際に発生します。例えば、勤怠管理機能やワークフロー管理機能を経費精算システムに搭載したいという場合にオプションを活用するのが一例です。

このように、経費精算システムにはさまざまなコストが発生します。無料で使用できるサービスは少ないため、導入を検討している企業はあらかじめ予算を確保する必要があるでしょう。

経費精算システムに合わせて社内ルールの整備を行う必要がある

2つ目は、経費精算システムに合わせて社内ルールを整備しなければならないという点です。

基本的に経費計算システムを導入すると、従来の経費精算ルールが使用できなくなります。例えば、手書きからシステム入力に切り替わることで新たな社内ルールを整備しなければなりません。そのため、導入に合わせてしっかりと社内ルールを整備し、申請者や経理担当者の負担が少ないように工夫することが重要です。

情報漏洩への対策を行う

3つ目は、情報漏洩に注意することです。

クラウド型の経費精算システムは、情報が自社以外に設置されたサーバーで管理されています。情報を取得したり、登録したりする場合、必ずサーバーとの送受信が必要になるため、情報漏洩の危険が伴います。

基本的に多くの経費精算システムはセキュリティ対策が万全なため、安心して運用することができます。しかし、情報漏洩のリスクはゼロではないため、その点には注意が必要です。

従業員に前もって経費精算システムの導入を知らせる

4つ目は、従業員に前もって経費精算システムの導入を知らせることです。

経費精算システムを導入することで、社内ルールの変更が必要になります。そのため、事前に導入することを従業員に知らせずに運用を開始してしまうと大きな混乱を招くことになるでしょう。

経費精算システムを導入する際は、事前に従業員へ導入する旨を知らせて社内ルールが変更されることを共有することが重要です。

また、今まで経費精算システムを利用したことがない社員がほとんどです。使い方がわからない社員などが出てくることが予想されるため、マニュアルの作成はもちろんのこと、経費精算システムの理解を高めるために研修や説明会を開催することも重要になるでしょう。

経費精算システムの選定ポイント

経費精算システムにはさまざまな種類があるため、自社に本当に必要なものを選定することが大切です。選定ポイントは機能面や費用面などが挙げられます。

ここからは、経費精算システムを選定するポイントを詳しくみていきましょう。

機能

経費精算システムによって、搭載されている機能は大きく異なります。さまざまな機能があるため、自社に必要なものを洗い出すことが大切です。

たとえば、計算ミスや記入ミスなどによって申請書の差し戻しが多く発生している場合、スムーズに申請できるOCR機能やオペレーター入力代行などの機能が搭載されているシステムを導入するとよいでしょう。

出張や営業、通勤などの交通手段として電車を頻繁に利用する場合、交通系ICカードと連携できるシステムを使用すると、乗車履歴から簡単に申請ができます。申請者によるミスが発生しないため、経理担当者にとっても嬉しい機能といえます。

また、経費精算システムは自社で使用している会計ソフトなどの他システムと連携するケースが一般的です。自社で使用しているソフトとの連携方法も事前に確認しておきましょう。

予算

予算も重要な選定ポイントの1つです。システムの利用料金の相場は1人当たり300~700円、企業当たり2~15万円です。必要な機能や企業の規模によって料金は大きく変動するため、システム導入に使用できる予算を事前に確認しておきましょう。
電子帳簿保存法への対応
従来、帳簿書類は紙媒体で保存しなければなりませんでした。しかし、電子帳簿保存法によって保存要件を満たした場合、電子データによる書類の保存が認められるようになりました。

また、2022年の電子帳簿保存法の改正では、電子取引において電子保存が義務付けられるようになったため、電子データでの保存できる体制を整える必要があります。しかし、経費精算システムによって電子帳簿保存法に対応している度合いが異なるため注意が必要です。

対応の度合いを確認するためには、国税庁公認のJIIMA(日本文書情報マネジメント協会)の認証を受けているシステムかをチェックしましょう。

電子帳簿保存法について詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ。
電子帳簿保存法の定義とデータ保存の形式

サポート体制

経費精算システムの初期設定や他ソフトとの連携によってトラブルが発生する可能性があります。システムには自社で使いやすいようにカスタマイズできるものもあるため、知識がない場合、設定に時間を多く費やしてしまうでしょう。

そういった場合、電話でのサポートを受け付けているシステムを選定しましょう。サポートはメールやチャットのみで対応している場合、文面でトラブルを伝えなければならないため、スムーズに対応できない可能性も否定できません。

サポート体制が整っているシステムを選定することで、スムーズに導入できる上に、時間削減にもつながります。

経費精算システム導入までの流れ

経費精算システム導入までの流れ

経費精算システム導入までの流れを知ることで、経費精算システム導入時のイメージがつきやすくなります。また、本格始動までどのようなステップを踏み、進めばいいのかが理解できるので、ぜひ参考にしてみてください。

自社が抱える課題を洗い出す

まず、自社が抱える課題を洗い出すことです。

経費精算システムの導入を進めたい企業では、経費精算に関する悩みを抱えているケースが多いです。例えば、『紙の業務を大幅に減らしたい』、『電子帳簿保存法に対応したい』、『経費の返金作業をなくしたい』というような悩みが挙げられます。

基本的に、経費精算システム導入の恩恵を受けるためには、企業が抱える課題を解決するための製品を選択しなければなりません。はじめに、課題を洗い出すことで、どのような機能が搭載されている製品を選べばいいのかがわかるのでおすすめです。

選定ポイントを踏まえて最適な経費精算システムを選ぶ

次に、選定ポイントを踏まえて自社に最適な経費精算システムを選定します。

前述した通り、経費精算システムの選定ポイントには機能性や予算、電子帳簿保存法への対応などが挙げられます。企業が現在抱えている課題を洗い出し、それを解決してくれる機能が搭載された製品を選ぶのが最適です。

また、経費精算システムを選ぶときは、複数の製品で比較するのがおすすめです。それぞれの経費精算システムで機能や料金などが変化します。そのため、各製品を比較することで後悔のない選択ができるでしょう。

経費精算システム運用の認識を共有する

自社に最適な経費精算システムを選定することができたら、次に運用の認識を社内で共有します。具体的には、経費精算システムをどのような流れで運用するのかなど、運用フローの認識を社内で共有し、経費精算システムを提供する担当者に伝えます。

しっかりと共通認識ができていない場合、システム設定などを何回もやり直すことになるため、効率が悪くなりやすいです。そのため、できる限り社内で細かく話し合うようにしましょう。

経費精算システムの基本設定を行う

経費精算システムを契約したら、システムの基本設定を行います。

基本設定では、会社や社員情報、勘定項目などを設定するのが一般的です。また、承認フローを設定し、経費精算書を申請するときに誰から承認してもらうのかなどを決めます。

試験運用の実施

運用開始の準備が整ったらすぐに本格始動をするのではなく、試験運用の実施がおすすめです。試験運用を行うことで、業務に支障がないか最小限の範囲で確認することができます。

基本的に、経費精算システムは営業部門や管理部門など部署に関係なく使用されます。そのため、各部署で小規模に試験運用するのがおすすめです。

本格稼働開始

最後は、本格始動の開始です。

本格始動を開始するときは、すべての従業員が経費精算システムを使用することになるため、操作マニュアルを準備しておきます。操作マニュアルがない状態で本格始動を開始すると操作方法の確認に時間がかかるため、その点は注意が必要です。

経費精算システム導入後に企業がやるべき2つのこと

経費精算システム導入後に企業がやるべき2つのこと

経費精算システム導入後に企業がやるべきことは下記の2つです。それぞれのやるべきことを詳しく解説します。

社員に意見を伺い運用フローを適切に改善する

1つ目は、必要に応じて運用フローの見直しを図ることです。

試験運用の中で気づくことができなかったことが本格始動で見えてくることもあります。例えば、『操作がしづらい』、『フローの見直しが必要』などです。

本格始動後、定期的にアンケートを実施し、経費精算システム運用の課題などを伺います。そして、必要であれば運用フローの見直しを図るようにしましょう。

操作マニュアルを更新し誰でも見られる環境にする

2つ目は、定期的に操作マニュアルを更新することです。

初版のマニュアルは試験運用に基づいて作成されることが多いです。細かい点まで網羅されていないことも少なくないため、本格始動後に操作マニュアルを更新して従業員からの問い合わせを減らすように工夫することが重要になります。

まとめ

経費精算システムの導入によって、データの自動保存や簡易申請が可能になり、経費の申請者や承認者、経理担当者など社員の負担を軽減可能です。計算ミスや記入ミスの削減にもつながり、差し戻しの回数も削減できるでしょう。

システムの選定では機能や予算、電子帳簿保存法への対応、サポート体制などを事前に確認しておくことが大切です。自社に向いているシステムを選定しましょう。

NTTコミュニケーションズが提供するSmartGo® Stapleは電子帳簿保存法に対応している経費精算システムです。加えて、交通系ICカードとの連携により、経理精算業務の効率化を図れるため、利便性が向上します。

初期設定サポートのオプションメニューなども選択できるため、安心して導入できます。経費精算の業務負担を改善したい場合、SmartGo® Stapleの導入を検討してみましょう。

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