AI電話サービス

導入事例 奈良県庁

高齢者の暮らしをAIがサポート!
会話ができる「AI電話サービス」で人手不足と
高齢化社会の課題解決に挑む

企業概要

奈良県庁 地域包括ケア推進室写真
奈良県庁 地域包括ケア推進室
所属部署
奈良県 福祉医療部 医療介護保険局 地域包括ケア推進室
業界
官公庁

人手不足の状況下でも実現可能な地域包括ケアを

奈良県
奈良県には高齢化率が50%を超える山間僻地が多くあります。人口減少が進み、ますます人手が減っていくなか、高齢者が住み慣れた地域で健康に暮らし続けられる仕組みづくりが求められており、平成28年度から、奈良県の南部に位置する南和(なんわ)地域をモデル地域として、スマートフォンを活用した健康づくり取組検討事業を実施してきました。

しかしスマートフォンを持っていない高齢者の場合、本体の購入費用や慣れない操作など負担が大きくなってしまいます。とくに、山間僻地に住んでいる方は、畑などをしながら自給自足に近い生活をされていることが多く、費用負担がないことが望ましい状況でした。

費用負担がかからず、かつ人口減少にも対応できる施策はないかと模索するなか、1つのアイディアとしてAIを活用し自動的に電話をかけることで高齢者を見守る取り組みができないかと検討するようになりました。AIと電話を活用した高齢者の見守りは全国的にも新たな取り組みで、実際にどれくらいAIが電話をかけたり受けたりすることができるのかわからない状況でしたので、令和2年、ドコモと奈良県庁で地域包括ケアシステムの推進に関する連携協定を締結し、AI電話サービスを活用した高齢者支援システムの実証実験を開始しました。

NTTドコモは奈良県とAIを活用した地域包括ケアシステムの推進に関する連携協定を締結(2020/3/26)
NTTドコモは奈良県とAIを活用した地域包括ケアシステムの推進に関する連携協定を締結(2020/3/26)

地域包括ケアシステム推進のパートナーとして
ドコモのAI電話サービスを選んだ理由

奈良県
市町村では、緊急通報装置という見守りシステムを高齢者宅に導入している地域が多く、苦しくなった時や緊急性を感じた時に自分で押す仕組みで、オペレーターからの電話は月1回程度と聞いています。

AI電話サービスは、多くの利用者に電話をかけられるため、高齢者の見守りを行う職員の負担軽減につながることを期待しています。また、電話のやりとりを通じて、まだ認知症に至らない人でも、会話をすることで脳が活性化されて認知症予防対策にならないか検証ができればといった話も上がってきました。

利用者が使い慣れた電話を利用でき、利用者さん側に機器利用の費用負担がかからないことが大きな魅力です。高齢者の方はスマートフォンを持っていなくても、固定電話やフィーチャーフォンなら持っているという方は多く、利用者に電話番号を登録してもらえば、RPAと組み合わせて自動架電の設定ができるいう手軽さが良かったです。

奈良県 地域包括ケア推進室の担当者
奈良県 地域包括ケア推進室の担当者

実証実験の手応え

奈良県
令和2年度は実証実験を2回に分けて実施しました。1回目の実験は、AI電話の仕組みや実際の動作を確認することが主な目的で、奈良県南和地域の市町村にお住いの高齢者の方にご協力いただきました。

2回目の実験は、後期高齢者の方を対象に音声認識の精度を確認しました。実験終了後のヒアリングでは、AI電話サービスで概ね音声認識がされており、一人暮らしで普段友人とのお付き合いも少なくなってきている参加者からは「この電話が毎日かかってくることで心強いです」と仰っていただくこともありました。やはり、我々としては、AI電話が利用者の発言に応じて受け答えできるとは言っても、コンピューターであることには変わりないので、どこまで人間らしさや親しみを抱いていただけるか不安に思っていたのですが、話が少しでもできることによる安心感はあることがわかりました。

現在 奈良県が解決しようとしている課題は、今後の日本が直面する課題でもあり、地域の実情に合った地域包括ケアシステムを推進していくためにはICT(情報通信技術)の活用がますます重要と考えています。令和3年度には、南和地域12市町村に対象を拡大したモデル実施も予定しています。南和地域を高齢化の進む日本の縮図として捉え、ドコモさんの AIやICTの技術、経験を活かし、高齢化が進む日本の新たな仕組みを実現できたらと思っています。

「みまもり電話」の構成図
「みまもり電話」の構成図

安否確認や見守りだけでなくコミュニケーションがとれるAIへ

奈良県
普段、人とお話する機会が少ない方は、話したいことがたくさんあるようなので、AI電話で相槌ができるようになればより親しみが持てるのかなと感じています。

また、取り組みを進めるにあたっては、AIの会話のレベルを向上させることが不可欠なので、AIの会話シナリオの作成にあたっては市町村職員や専門職、住民の方と協力しながら実施し、AIと人が自由な会話ができるような技術の進歩を期待しています。

現在、市町村では地域のお知らせ情報などをWebサイトや広報に掲載しているのですが、高齢者の方はWebサイトをあまりみられないので、チラシを配って対応していますが、チラシの場合、いざとなった時に手元になかったりします。今後はAI電話で「今日はこんなイベントがありますよ」だとか、「今日は移動販売の日です」といったお知らせ情報を入れたり、また、クイズなどを実施することで、高齢者の方の毎日の楽しみになるようなサービスを作っていきたいと考えています。

生活支援や医療、介護、予防などに関する見逃しがちな情報やサービスをAI電話サービスが確実に高齢者に届けることで、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができる一助になればと思います。今後は、実証実験の成果を踏まえて、利便性の向上に向けた開発をドコモさんとともに進めていきたいと考えています。

そのほかの導入事例

  • 画面はイメージです。
  • 1「RPA」とはRobotic Process Automation (ロボティック・プロセス・オートメーション)の略で、デスクワーク(主に定型作業)をルールエンジンやAIなどの技術を備えたソフトウェアのロボットが代行・自動化する概念です。
  • 本サービスは株式会社NTTドコモが提供元であり、NTTコミュニケーションズ株式会社が代理人として保有する契約締結権限、および包括的な業務受託にもとづき販売しています。

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