AI電話サービス

導入事例 株式会社NTTドコモ

ドコモショップの来店予約をボイスボットに。
入電数の50%を自動音声認識で完了

企業概要

加賀美さま・加藤さま写真
株式会社NTTドコモ
業界
情報通信業
主な事業
携帯電話サービスを始めとした各種通信サービス、各サービスの端末機器販売。動画配信・音楽配信・電子書籍サービス、金融・決済サービス、ショッピングサービス、生活関連サービスなど
ご担当者さま
加賀美さま・加藤さま
(NTTドコモ チャネルビジネス部 ブランドショップ担当)

ドコモショップの抱えていた課題とは

お客さまがドコモショップに来店する際、可能な限りお待たせしないように、来店日時が指定できる来店予約サービスを展開しています。来店予約の導線は2つで、専用のWebサイトからのご予約か、来店したい店舗に直接お電話でご予約いただく方法があります。
店舗に電話をいただく場合の課題として、店舗の受電体制よっては電話がつながらず予約が取れないことによる顧客満足度の低下や、店舗にとっては顧客接点の損失が発生していました
そのため、現状の受電体制でも来店予約の取りこぼしを減らすべく、自動応答への対応が急務となっていました。

そこで、ドコモショップの自動応答導入を目的としたプロジェクトが発足し、我々AI電話サービスチームと、ドコモショップを管轄しているチャネルビジネス部ブランドショップ担当との取り組みがスタートしました。

今回はその導入ステップを踏まえた事例をご紹介します。

「ドコモショップの抱えていた課題とは」イメージ画像

ドコモショップの来店予約のうち、
年間で約700万件以上が電話予約という事実

ドコモショップは、年間約1400万件の来店予約があり、そのうち約半数の700万件が電話での予約となっています。
時間に換算すると約95万時間を電話の予約対応に割いており、多くのスタッフ稼働が発生していることがわかりました。また、このままではお客さまにも、電話がつながらないというご不便をおかけし続けるのは明確でした。

現状 電話がつながらないこともある。ショップスタッフは電話応対で稼働が圧迫される。

カスタマーセンターに集約せず、AIを選択した理由

加賀美担当課長
「ショップスタッフの稼働が圧迫されるからといってこの95万件をそのままカスタマーサポート窓口へ集約しては、次はカスタマーセンターの稼働が圧迫されてしまい、ドコモ全体でみたときには、稼働削減にはなっていません。
来店予約対応は定型的な対応業務であり、自動化が可能な分野です。完全にAIに移行することにより、人にしかできない業務へ集中できるのが理想の姿と考え、AI電話サービスの導入を進めることにしました。」

加賀美さま写真

全国2,300店舗へ導入するステップ

我々AI電話サービスが短期間で全国導入まで進める際に気を付けたのは、以下の2つのポイントです。

(1)全国導入への判断項目に優先度をつける

 →判断の最重要項目を「対話完結率」「予約完了率」とする

(2)早期に課題が発見できる最小限のシステム構成を考える

時間と費用のかかる完璧なシステム構成よりも、まずは上記の指標が判断できる構成で早期に課題を抽出することに価値を置き、プロジェクトをすすめました。

実証実験での最重要ポイント 実証実験で抽出した改善ポイント

加藤さん
「上記の2つのポイントに絞って進めた理由の1つとして、プロジェクトのスピード感がありました。ショップスタッフの稼働削減は急務な課題であるため、自動応答の早期導入が求められていました。自動応答のクオリティとスピード感を維持できる進め方を考えた結果、この2つのポイントに気を付け、まずは15店舗へ導入し、課題を抽出しました。」

最重要指標の評価が可能な最小限の構成・運用で実施

初期導入時は、“対話完結率”の低さが浮き彫りに

加藤さん
「当初、AI電話による来店予約のサービスにおいて、シナリオの途中でお客さまによる切断(離脱)が多く発生し、対話完結率が低調でした。一定の対話完結率を担保しない限り、ドコモショップへの本サービスの導入は難しいため、どこに原因があるのかを見極める必要がありました。
具体的な改善の進め方は、切断(離脱)箇所を詳細に分析し、設問時間の短縮や、より理解しやすい設問内容への修正、回答方法を複数の手段(音声認識とキー操作)で実装しました。また、トライアルを複数回、長期間に渡って実施し、十数種類にも及ぶ改善案を試すことで細かいPDCAを回しながら対話完結率を高めることができました。」

細かなPDCAを回すことで年間165,300~473,000時間のスタッフ稼働削減が見込める試算ができたため、次のステップ200店舗への導入を決定しました。

CRM連携で予約完結率が37%→54%へ改善

200店舗導入に拡大するタイミングで、CRM連携を行いました。
その効果もあり、予約完結率は54%まで向上しました。
そのことにより、ショップスタッフへの稼働削減効果も現実的なものになってきたので、2022年10月には、2300店舗への導入に至りました。
2300店舗へ拡大後も、AI電話サービスへ入電した予約のうち完結率は50%前後で推移していました。

2300店舗へ着実に導入していくための
具体的ステップとは

加藤さん
「Step1でトライアル店舗15店舗を選定し、開発不要の最低限の構成(顧客システム連携なし)で検証を行いました。そこで得たシステム課題・お客さまや代理店さまからの意見要望を踏まえた機能改善を実施したうえで、次STEPから220店舗に機能導入するための体制を構築しました。

Step2では、トライアル店舗を3グループに分け、約6カ月間、対話完結率向上に寄与する十数種類の機能改善比較検証を実施。各機能で最も効果が高いシナリオを1か月に3回改善シナリオとしてリリースし続けることで、対話完結率・予約完結率のトップライン引き上げに成功しました。

更にSTEP3として、予約完結率低下の最大の要因となっていた認証方法機能の変更を実現。

これら取組により、AI電話による予約完了率をトライアル開始当初から20%以上向上させることができ、全国導入への判断基準をクリアしするとともに、早期導入につなげることができました。」

加藤さま写真

さらなる入電数向上施策GBP掲載により、
入電数が4.8倍に

2300店舗へ導入してから、AI電話サービス対応の電話番号への入電率を上げるための施策は引き続き必要でした。そのため、一部の店舗をGoogle business profileへ掲載するという施策を実施したところ、入電数が4.8倍に向上しました。 もちろん、そこには来店予約以外のお客さまも含まれてしまいますが、その際は、有人対応への転送が問題なくできています。

加藤さん
「全国導入がすすみ、店舗からはドコモショップの営業時間外に予約取得可能になったので予約数最大化につながるという声があがっています。もともとは店舗でのあふれ呼による機会損失がプロジェクトの始まりでしたが、自動応答で24時間対応できることによって、さらにお客さまに快適にご予約いただけるようになったのではと思います」

ドコモショップ全体のこれからの展望
(AI電話サービスに期待すること)

加藤さん
「ドコモショップへの電話による入電は、来店予約以外の内容も多くあります。
今回の取り組みで得られたノウハウをもとに、来店予約以外の受付への対応に挑戦していきたいと考えています。

また電話問い合わせのすべてをAIで一次対応し、お客さまのお問い合わせ内容に応じて、オンラインなど最適なチャネルへ誘導することも目指していきたいと考えています。」

「ドコモショップ全体のこれからの展望」イメージ画像

そのほかの導入事例

  • 画面はイメージです。
  • 1「RPA」とはRobotic Process Automation (ロボティック・プロセス・オートメーション)の略で、デスクワーク(主に定型作業)をルールエンジンやAIなどの技術を備えたソフトウェアのロボットが代行・自動化する概念です。
  • 本サービスは株式会社NTTドコモが提供元であり、NTTコミュニケーションズ株式会社が代理人として保有する契約締結権限、および包括的な業務受託にもとづき販売しています。

このページのトップへ