インコム・ジャパン株式会社 代表取締役 荒井 琢麿氏

インコム・ジャパン株式会社
代表取締役

荒井 琢麿氏

「クラウドであれば、運用監視の負担を軽減し、ソリューション開発やサービス自体の運用に注力できるため、事業のスピード感をさらに上げていけると考えています」

インコム・ジャパン株式会社 CTO 小川 健敏氏

インコム・ジャパン株式会社
CTO

小川 健敏氏

「プロジェクトにおけるNTT Comの対応は素晴らしいものでした。プロジェクトマネージャーのリーダーシップにより、プロジェクトを着実に進捗してくれました」

 

課題

新サービスには堅牢性の高いシステムが必要
既存のクラウド環境はキャパシティやビジビリティが課題

FinTech業界を代表するプレイヤーの1社であるInCommグループの日本法人として、2008年から事業を展開しているのがインコム・ジャパン株式会社(以下、インコム・ジャパン)である。同社が手がけている事業の1つが、POSAカード事業だ。これはPOSレジで支払いを完了してはじめて有効となるPOSA(POS Activation)カードの流通と、レジでPOSAカードを有効化するシステムを提供するサービスとなっている。

さらにインコム・ジャパンでは、バーコードを用いたクーポンサービス事業の展開に向けた準備も進めている。消費者が何らかの商品を購入する際、SNSアプリで表示されたバーコードやQRコード決済アプリを提示し、それを店員がPOSレジで読み取ると、自動でリアルタイムに割引やポイント還元などが受けられるというサービスだ。このサービスの特長は、さまざまなスマホアプリで利用でき、さらにリアルタイム性があることである。

「従来のクーポンの場合、利用状況などの結果がわかるまでに数日から数週間かかることが少なくありません。しかし我々のシステムの場合、POSレジとダイレクトに接続されているため、リアルタイムで利用状況を把握することが可能です。また、ポイント還元などの形で消費者にインセンティブを提供する際にも、我々のサービスであれば即座にポイントを付与することができます」(同社代表取締役 荒井琢麿氏)

このクーポンサービスを実現するインフラ環境として、既存サービスのシステムで利用しているクラウドサービスを拡張する方法もあった。しかしAmazon Web Services(以下、AWS)環境とクラウドネイティブな監視ツールを利用するほうが、拡張性やコストパフォーマンスに優れていると判断した。

また従来のクラウド環境には、システムの稼働状態を自社ですべて把握することができないという課題もあったと述べるのは、同社CTOの小川健敏氏である。

「従来から使っているクラウド環境では、システムの稼働状況が可視化できていないという課題がありました。トラブルが発生した際はベンダーからの報告を待つしかないという状況をたびたび経験しており、故障に迅速な対処ができない懸念が常にありました。新しいクーポンサービスは即時にエンドユーザーにレスポンスを返すことが必須であるため、システムの堅牢性は最重要課題です。このような課題があったことから、新しいクーポンサービスのためのインフラ環境は新たなクラウドサービスを利用して構築することを決断しました」

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対策

クラウド環境にAWSを用いた新たなインフラ環境を構築
ビジネス要件を一元的に実現可能なパートナーを選定

クーポンサービスを提供するための新たなシステムを構築するクラウドサービスとして、AWSを選んだ理由について、小川氏は「拡張性やコストパフォーマンスに優れていたことに加え、我々の業界で広く使われていることもポイントでした」と語る。

さらにインコム・ジャパンでは、このAWSを用いたインフラ環境の構築および運用のパートナーについて、数社にRFPを提示して提案を依頼した。その提案内容を精査し、最終的に選ばれたのはNTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)である。

NTT Comを選定した理由として、小川氏は「ネットワークに非常に強いことに加え、データセンターやクラウドを一元的に提供可能であることを第一に評価しました。加えてマネージドサービスも提供可能であるため、構築から運用保守まで、私たちのビジネス要件を柔軟に踏まえた一元提供が可能であったことが選定の理由でした」と語る。

さらに小川氏は「ほかのベンダーと異なり、NTT Comは我々の立場で要件の実現方法を一緒に考えてくれた」と評価する。その一例として挙げられたのは、故障が発生した際に自動的に待機系に切り替えるフェイルオーバーと、トラフィックを複数のサーバーに分散するロードバランサーの実装である。

今回のシステム開発において、当初インコム・ジャパンでは同社の米国本社がスタンダードとするロードバランサーを導入することに決めていた。しかし、そのロードバランサーはAWSが標準でサポートしていないものだったため、ほかのベンダーはAWS標準のものを実装するように提案してきたという。

「しかしNTT Comは『実装できない』と言うのではなく、どうすれば実装が可能になるかを私たちと一緒にポジティブに考え、何度も調査のうえ、提案をしてくれました。そのおかげで、最終的に弊社指定のロードバランサーを導入することができました」(小川氏)

図 AWS環境基盤構成概要

図 AWS環境基盤構成概要

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効果

監視・運用サービスのカスタマイズで最適な運用環境を整備
既存のクラウド環境で課題だったビジビリティも確保

運用面において、柔軟にアウトソース部分をカスタマイズできることもインコム・ジャパンが評価するポイントになっている。

「我々が自分でできることは自分で対応しつつ、任せたいところはNTT Comに頼むといったように、運用でアウトソースする部分を柔軟に選択できたことも、NTT Comを評価している点です。ほかのベンダーの場合、これはパッケージ化されているからなどといった理由で、細かくカスタマイズすることができないことが少なくありません。しかしNTT Comであれば柔軟に運用を依頼する部分を選択できます。今回のインフラでは、AWSのネットワーク部分に関しては自分たちで運用監視を行い、それ以外の部分はNTT Comに任せる形にしました」(小川氏)

さらに新たに構築したインフラでは、インコム・ジャパン側で稼働状況をすべて把握できる。これにより従来のインフラで課題となっていたビジビリティを確保でき、安心して運用できているという。

プロジェクトがスタートしたのは2020年3月で、NTT Comをパートナーに選定したうえで同年7月に開発を開始し、10月にはインフラ構築を完了させている。このインフラ構築の期間中、ほぼ毎日のようにインコム・ジャパンとNTT Comでミーティングを行っていたという。「プロジェクトにおけるNTT Comの対応は素晴らしいものでした。プロジェクトマネージャーに強いリーダーシップがあり、着実にプロジェクトを進めていただいたことにより、迅速にシステム稼働を開始することができました」(小川氏)

今後について、そのほかのシステムのクラウド移行を積極的に進めていきたいと荒井氏は話し、その意図を「クラウドであれば、運用監視の負担を軽減し、ソリューション開発やサービスそのものの運用にエネルギーを注ぐことができるため、事業のスピード感をさらに上げていけると感じています」と説明した。またNTT Comからは今回のシステム基盤をベースにBIダッシュボードの構築提供を受けるなどパートナーとしてますます期待していると語る。

このインコム・ジャパンの事例は、これからクラウドを用いて新たなシステムを構築する、あるいは既存システムのクラウド移行を検討しているといった企業にとって、大いに参考になるものだろう。

※アマゾン ウェブ サービス、Amazon Web Services、AWS、(リリース内で利用したサービス名:Amazon EC2)および Amazon Web Services ロゴは、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。

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インコム・ジャパン株式会社

インコム・ジャパン株式会社

事業概要
2008年設立。カード発行会社からPOSAカードを仕入れ小売店に卸売販売をする流通事業を行うPOSAカード事業をはじめ、カード発行事業、ペイメント事業、マーケティング事業を展開している。

URL
https://incomm.jp


(掲載内容は2021年12月現在のものです)


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