コニカミノルタ株式会社
SAPとクラウドで販売管理システムをグローバル統合
迅速な拠点展開を柔軟なコストで実現

コニカミノルタ株式会社
執行役 IT業務改革部長
田井 昭 氏
「成長著しいアジア地域で戦略的なビジネスを展開できる基盤を実現できました」
課題
北米、欧州に続きアジア・中東地域のIT改革に着手
主力の情報機器事業において複合機「bizhub」やカラーレーザープリンター「magicolor」、商業・産業印刷機器などのイノベーティブな製品・ソリューションで知られるコニカミノルタ。現在は中期経営計画「TRANSFORM 2016」に基づき、「持続的な利益成長の実現」「顧客密着型企業への変革」「強靭な企業体質の確立」の3つの取り組みを強力に推進中だ。
ジャンルトップ戦略を軸に、売上の約77%を海外市場で稼ぎ出す同社は、競争の厳しいグローバル市場全域で、顧客価値の創造と利益成長を追求しなければならない。そのためにも、世界中の事業拠点をシームレス・効率的に支えるIT環境の実現は同社にとって従来からの課題であり、かねてよりグローバルIT戦略を掲げ、さまざまな施策に取り組んできた。
その一環として、新たに着手したのがアジア・中東地域の販売会社が利用する販売管理システムの統合化だ。「すでに欧州と北米においては、国や地域ごとのERP間連携を進めるためにマスターデータの統一なども進め、業務プロセスのグローバル標準化やコスト削減を図ってきました。しかし、アジアを中心とする地域は、個別にシステム構築が行われているケースが多く、ムダなコストもかさんでいました」と同社の田井 昭氏は説明する。
一方、販売管理システムを統合する上で、問題となったのが、システムをどこに集約するかという点である。「新しい販売管理システムは、中国、東南アジアからインド、ドバイに至るまで、非常に広範なエリアの販売会社が利用します。あらゆる地域からできるだけレスポンスの遅延なくアクセスでき、かつ安全な場所にシステムを集約することは欠かせない条件でした」と田井氏は明かす。
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対策
運用方針を変えずにクラウドに移行できる点を評価
複数のデータセンターおよびクラウドサービスを候補に挙げ、綿密な比較・検討を実施した結果、同社が採用したのが、世界130拠点に展開しているNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)のデータセンターサービス「Nexcenter」、そしてクラウドサービス「Enterprise Cloud」(以下、ECL)である。
「データセンターの場所はシンガポールを選びました。国内のデータセンターも検討しましたが、やはり日本からドバイは遠いしコスト的にもメリットが薄い。地理的な優位性や政情リスク、自然災害の少なさなどを加味した結果です」と田井氏は言う。
NTT Comのサービスについては、安定性と性能の高さを評価した。データセンターとクラウドサービス、双方に24時間・365日無停止で稼働を継続できる高い信頼性と、遠方の拠点からでも快適にシステムを利用できるパフォーマンスを求めたわけだ。
また、もう1つの決め手となったのが、強力かつ柔軟な運用管理体制だ。
「クラウド上で基幹システムを稼働させる際に大きな問題となるのが、すでに弊社が定めている運用ルールにどこまで対応できるかという点です。一見メニューとしては用意されていても、細かい部分まではカバーしきれないケースも少なくない。例えば、弊社では、バックアップもオンラインのまま行い、サービスを停止させないことが大前提ですが、サービスによっては、システムを停止せざるを得ないものもあった。ほかにも、バックアップデータの世代数が限定されてしまうなど、さまざまな問題があったのです。一方、NTT Comは、我々のニーズを十分に満たしてくれました。また、利用者をサポートする日本語・英語・中国語対応のヘルプデスクまで用意されており、これらが、採用を後押ししました」と田井氏は説明する。
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効果
必要に応じてすぐに拠点を展開可能 アジア市場の攻略に貢献
Nexcenter 、ECLというNTT Comのサービスを利用した統合基盤には、冒頭に触れた国々を含む10カ国の販売管理システムが集約される予定だ。すでに6カ国分のシステムが本稼働を開始しており、残りのシステムについても順調に移行作業が進められている。
「これにより、まず運用の標準化、コスト削減が目に見える効果として上がっています。インフラ運用にせよヘルプデスク対応にせよ、これを自前で行っていたのでは大変なコストと工数がかかってしまう。これらを軽減できるのは大きなメリットですね」と田井氏は語る。
さらに見逃せないのが、今後、同社にとってますます戦略的な意味を持つアジア市場のビジネスを活性化できるという点だ。
「新たな拠点やサービスを立ち上げたいという時に、一からインフラを作っていたのではとてもビジネスの求めるスピードに応えきれない。その点、今回のような基盤があれば、時間をかけることなく即座に必要な環境を提供し、拠点展開にかかる時間を極小化できます」と田井氏は強調する。
開発作業の終盤には、本番稼働開始までの限られた時間内に運用テストを実施する必要に迫られたが、ネットワークの運用を担うネットワークオペレーションセンターとデータセンター間がNTT Comの回線で結ばれていたことが奏功した場面もあった。
「弊社の基本方針は、ベストオブブリード。それぞれの分野でベストなサービスを検討しています。中国拠点を結ぶネットワークにもNTT Comの『Arcstar Universal One』を採用していますが、それが今回の選定に影響を与えたわけではありません。とはいえ、ネットワーク、クラウド、運用サービスを一体提供できるというのは、やはり通信事業者であるNTT Comの大きな強みだと感じました」と田井氏は話す。
販売管理システムの統合を足がかりに、同社は、今後、生産管理システムの改革などにも取り組む予定。グローバルなビジネス展開を支えうるITの実現に向け、着々と次の構想を練っている。
※「BizホスティングEnterprise Cloud」は2015年8月3日、「Enterprise Cloud」 に名称を変更しました。

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導入サービス
Enterprise Cloudは、データセンター、ネットワーク、サーバーが連携した通信事業者ならではのプライベートクラウドサービスです。柔軟なリソース提供とお客さまの要望に応じた豊富なオプションを装備し、基幹系業務でも利用可能な環境をご提供します。
先進メニュー提供、品質向上、コスト効率化などを実現する、NTTコミュニケーションズの次世代グローバルデータセンターサービスです。

コニカミノルタ株式会社

概要
日本を代表するグローバル製造業として、複合機、プリンター、印刷用機器、ヘルスケア機器、産業用・医用計測機器、電子材料、光学デバイスなどの開発・製造・販売を手がける。

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(掲載内容は2015年3月時点のものです)
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